5。
「おまえは、いっしょう、アタシのものなんだぞ!」
「うん、わかった。ぼくは、いっしょう、かおりちゃんのもの」
8。
「ぼくは、かおりちゃんのものだよね?」
「は、はぁ?なにいってんだおまえ、き、きもちわりーな!」
「え・・・そ、そっか・・・ごめんね・・・?」
「あ・・・」
10。
「あはは、そうだよねぇ~、それでさ・・・」
「・・・オイ」
「ん?あぁ、香織ちゃん。どうしたの?」
「・・・お前はだれのもんだかわかってんのか?」
「え?・・・どういういみ?」
「・・・チッ」
13。
「今日から中学生だね!・・・きんちょうするなぁ」
「そうか・・・?・・・おい、寝ぐせたってるぞ」
「えっホント・・・?あ、あはは・・・実はさっき起きたばっかなんだよね」
「・・・飯食ってねぇのかよ」
「うん、だいたい毎日食べてないかな」
「・・・チッ」
「あ、女の子が舌打ちしちゃだめだよ?」
「うっせー。・・・アタシが、今日から毎日作る」
「・・・え?」
「だから、アタシが朝飯食わしてやるっつってんだ!」
15。
「・・・オカエリ」
「なんでカタコトなの・・・」
「・・・それで、なんつったんだよ」
「あぁ、断ったよ。タイプじゃないんです!なんちゃって」
「た、タイプだったら付き合ってたのか?」
「うーん、まぁそうかな」
「・・・チッ。メシ、作っといたから」
「あれ?一緒に食べないの?」
「食欲わかねー。それと・・・いや、なんでもない」
「なに?気になるなぁ」
「・・・・・・おまえは、あたしのものなんだぞ」
「おやすみー」
17。
「また喧嘩?スカートホコリまみれだよ」
「やりたくてやったわけじゃねーよ。自己防衛だ」
「もう、女の子なんだから、喧嘩なんかしちゃだめだよ!禁止!」
「うっせぇ!黙って殴られろってのか!」
「だから、そうならないように、今日からお買い物とかもついてくよ」
「チッ、タッパだけでかくなったからって調子のんなよ。喧嘩もしたことねぇなよなよのクセに・・・」
「うーん、確かに喧嘩はしたことはないけどね。でも、一生俺が守ってあげるから、だから、禁止ね?」
「い、いっしょ!?な、な、・・・」
18。
「オイ、なんでそんなボロボロなんだよ」
「・・・いやぁ、もう香織に手を出さないでーって、あの人たちにお願いしてきたんだ」
「・・・あいつら殺す」
「わわ!ちょっとまって!もう大丈夫だから、わかってもらえたから!」
「はぁ!?口だけでわかるヤツらなワケねぇだろ!」
「あ、うん。口だけじゃわかってもらえなかったけど、もう大丈夫になったから」
「は?」
「最後はわかってもらえたよ」
「・・・は?」
20。
「・・・ったく、飲み会までついてくんなっつの・・・過保護なんだよ」
「・・・だって、心配じゃないか!香織がお酒に飲まれちゃってよからぬことを・・・って考えたら夜も眠れないよ!」
「んなことねぇよ!アタシ酒強いの知ってんだろ!・・・てか、お前の方が心配だぞ。酒弱いから、イキオイで・・・とか・・・」
「あ、大丈夫。間違っても香織以外じゃたたない自信あるから」
「タっ!?へ、ヘンタイ!」
「ゲハァ!」
22。
「・・・ねぇ」
「あ?なんだよ」
「俺は香織のもの、なんだよね?」
「んなっ!て、テメェ覚えてやがったのか!」
「うん。当たり前でしょ」
「あんなガキん頃のこと・・・よく覚えてたな」
「だって香織、たまにちょくちょく言うじゃん」
「はぁ!?聞こえてッ・・・じゃねぇ、言ってねぇよ!」
「ほら、反応したら怒りそうだなーって思って」
「クソッ・・・お、おまえ・・・」
「それでさ」
「香織も、一生俺のものになってほしいんだ」
「・・・は?」
「・・・結婚しよう。俺は、一生あなたのものでありたい」
「・・・・・・・・・ち、ちょっとまて、きき、急すぎて、か、顔あっつ・・・て、てかなんかもっと前置きとか、クソ!あぁ、もう!にやけんなよあたしぃ・・・」
「今までもこれからも、1番、大好きだよ」
「・・・・・・そんなの、知ってたっつーの」
26。
「可愛いなぁ~赤ちゃん。目元は俺に似てるかな?」
「鼻の形とかはアタシだな」
「え、そう?くちもとと輪郭は香織かなぁって思ってたけど。鼻はそんなでもなくない?」
「は?いやよく見ろよ。可愛らしい感じみるからに私だろ」
「香織はどっちかっていうとシュっとしててカッコイイよね、外人さんみたいで!これは間違いなく俺の母さんの鼻だね。隔世遺伝。」
「そぉーかぁー?」
「・・・ね、香織。ありがとうね、子供」
「ん。アタシも欲しかったからな」
「・・・しあわせだぁ!大好きだよかおりー!」
「あーもう鬱陶しい!離れろ!」
30。
「オイ、なんだこの名刺は」
「違うんです!接待でしかたなく行ったんですけど!なんにもしてないです!ほんとに!ちょっと触られたくらいです!全部断って誓って何もしていないんです!」
「ほおォ~、そんなクッッッサイ香水のニオイぷんぷん撒き散らしやがって、信憑性もクソもないのはわかるよなぁ・・・?」
「で、ですよね・・・で、でも本当に、何もしてないよ?時間いっぱいお話で終わったよ?」
「・・・・・・チッ、信じてやる。でも」
「で、でも?」
「・・・そのニオイ上書きするまで、寝かさねぇから」
50。
「この家も静かになったねぇ」
「そうだね、居間かけまわってたのが懐かしいよ」
「・・・香織も丸くなったなぁ」
「はぁ?なに、急に」
「昔はなんというか、もっとオラついてた口調だったなぁって」
「お、オラついてたって・・・もう五十路なんだから、そりゃ大なり小なり変わってるでしょ」
「そう?大好きなのは、俺変わってないよ?」
「はいはい。アタシもよ」
「適当だなぁ・・・」
「本心だからいいでしょ」
「それもそうだねぇ」
65。
「香織、これ行こうよ」
「んー?」
「世界旅行!」
「・・・世界1周、半年ツアー?」
「うん、時間もできたことだし、行こうよ」
「そうねぇ・・・行きましょうか」
「うん!いろいろ準備して、忙しくなるね」
「まぁ、あなたも仕事が終わって、落ち着かなかったんでしょうね」
「そうなんだよね・・・ま、老い先も短いことだし、ハネムーン気分でいこう。人生最後まで、楽しまなくちゃな」
「はいはい・・・」
〇〇。
「・・・ねぇあなた」
「うん、なに?」
「・・・よかった、そこに居たのね」
「うん、いるよ」
「ねぇ、あたし、本当に幸せだった」
「うん」
「・・・ずっと、あたしを守ってくれて、ありがとうね」
「・・・うん」
「・・・・・・ずっと、愛してくれて、ありがとうね」
「・・・うん。今も、愛してるよ」
「・・・ふふ、私も・・・・・もう、あなたの顔をみられないのが、少し寂しいけれど」
「・・・・・・うん」
「・・・・・・あなたと出会えて、あなたと生きれて、あなたのことだけ考えていて。本当に・・・しあわせな一生だったわ・・・」
「俺は、君のものだから」
「少し待っててね」
「すぐ行くよ」
先日、友人の結婚式ですごく感動したので、ちょっと趣向を変えて書いてみました。
結婚は人生の墓場、なんて言いますが、死後の世界があれば、それはきっと人生よりも何10倍も長いものなんだろうし、それを好きになれた人とずっと過ごせるんだと考えれば、案外墓場も悪くない、なんて思えます。
って友達の友達が言ってたような気がします