※麗さんのあだ名シリーズ
「おーい、ダンナ、メイドさん、来てるぜ」
「ん?あ、ありがとう教えてくれて」
「ったく、羨ましいやつだぜほんと、あんな綺麗な人に尽くしてもらえるなんてなぁ」
昼休み。高校生になって半年、僕にも何人か友達ができた。困ったことに、麗さんが僕を旦那様って学校でも呼ぶから、あだ名がダンナになってしまった。
ただし女子がダンナって僕のことを呼ぶと、麗さんが凍てつくはどうを出すため、男子オンリー。
ところかわって、麗さんが部長を務める茶道部教室。3年生の楓さん、僕、麗さんしか部員がいない。麗さん目当てで入ってくる男子生徒も多かったらしいが、絶対零度の視線に耐えきれず1週間持たず辞めていくとは、楓さんの談。
「お、来たねぇダンナくん、元気?」
「どうも、楓さん」
「・・・楓」
「なによ麗、アダ名くらいでそんなに怒らないでよ・・・」
こんな感じで、麗さんはしょっちゅうガンをとばしている。噂では、鉄の女とか呼ばれているらしい。可愛らしいところいっぱいあるんだけどなぁ・・・
「旦那様、お弁当です」
「うん、いつもありがとう麗さん」
「メイドとして、当然のことですので」
「・・・毎日飽きないねぇ、そのやりとり」
「そ、そんなに毎日してますか?」
「私は礼など無くとも、と言うんだけれどね」
「毎日してるよ・・・一言一句違わず」
「・・・まぁでも、麗さんにはいくら感謝してもしたりないですから。本当に幸せなんです、毎日麗さんのご飯を食べられるの」
「・・・私の方ですよ。あなたに尽くせることが、私にとって何よりの幸せなんです」
「・・・・・・あれぇ?おかしいなぁ?私卵焼きは砂糖入れない派なんだけどなぁ?これカステラと間違えちゃったかなぁ!?」
そんなこんなで食事を開始。楓さんがおもむろに口を開いた。
「しかし、この部活も新入部員が来なくなったねぇ」
「そうね。まぁ、もともと私が、家事に支障が出ない部活がなかったから作っただけだし・・・」
「あぁ、この学校部活入るの義務付けられるもんね。へんな校則だよね」
「まぁ、麗のおかげで私もいい感じに楽に学校生活送れてるし、ラッキーだったわ」
部活なんかだるいだけだしねー、と楓さん。
「楓、あなたはだらしなさ過ぎるわよ。すこしは目標を持って・・・」
「建設的に日々を過ごしなさい、でしょ。麗の説教は聞きあきたよ~。ほれ、ダンナくん身代わりになって」
「えぇっ!?・・・あ、で、でも、2人が卒業しちゃったら、僕どうしようかな。流石に茶道部部長になるのに、お茶の一つもたてられないじゃなぁ・・・」
「ご心配なく、旦那様がもし続けられるというのであれば、今週末にでも、お茶のたて方をお教えします・・・・・・あ・・・」
「ん?麗、どした?」
「い、いや、なんでもないわ」
「気になるなぁ・・・いいなよ!ほら、ダンナくんも気になってる顔してるよ!」
「えぇっ?・・・いや、まぁ気になりますけど」
「・・・いえ、その、旦那様がお茶をご自分で入れられるようになったら・・・私が入れることも無くなってしまうと思うと、すこし寂しくて・・・」
「・・・なんだ、そんなことか」
「・・・旦那様?」
「もし僕が教わったとしても、麗さんより美味しくいれられるワケないよ。なにより、僕は麗さんが入れてくれたお茶ってだけで、世界一美味しく飲めるだろうから。教わっても、お茶をいれるのは麗さんに頼むよ」
「・・・っ!」
麗さんが顔を赤くして、膝元を握りしめている。かわいい。
「・・・・・・あれぇ?今日のご飯甘くない?やたら麦芽糖きいてない?ひょっとして水飴で炊いちゃったかなぁ!?」
そして、そんな昼休みを過ごして下校時刻。
「へーい、ダンナ、嫁さん来てるぜ」
「まだ嫁さんじゃないよ・・・」
「うっわまだとか言いやがってコイツ・・・」
「あはは、痛いって!」
ヘッドロックで頭をぐりぐりされる。じゃれているだけなのに、だんだん廊下にいる麗さんの冷気が膨れ上がってきてる気がするので、いいとこで抜け出した。
「旦那様。部活の話なんですが」
「うん?」
「・・・私に気を使わず、好きなことをなされてもいいんですよ?」
「・・・うーん、僕の好きなことは、麗さんと一緒にいることだからなぁ」
「あぅ・・・旦那様は、最近恥ずかしいことを言うのに躊躇いが無くなってきています・・・」
「あはは、成長したってことだよ。麗さんに飽きられちゃわないよう、ガンガン行かないとね」
「飽きるなんてありえません。貴方に仕えることこそ、私の生きる意味ですから」
「・・・それにね」
「はい?」
「麗さん、あの場所好きでしょ?昼休みに、楓さんとご飯を食べて、本を読んだり勉強したり、たまにお説教したりさ。僕が入った時も、2人ともすごく居心地が良さそうでさ。卒業してから学校に行った時、あの部室がなくなってたら、麗さんも楓さんも寂しいでしょ」
結構、寂しがり屋さんだもんね、と僕。
「・・・あ、ありがとうございます」
小さくお礼を言って、麗さんは僕の袖をきゅっと握った。その手をとって、僕は歩き出した。
しんみりだけじゃもの寂しいので連続投下。
やっぱギャグ路線は気楽でいいですね。
ちなみにニューダンv3ではキルミーのパンツを真っ先に狙うくらいにはメイド好きです。
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