戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない   作:imuka

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ではどうぞ。


秘密の部屋とブラッジャー

 朝食前、いつものように朝の運動をしながらハグリッドの小屋を訪れたイーニア。少し迷惑かなと思いつつもノックをすると起きていたらしく快く迎えてくれた。

 

「おはよう。ハグリッド。朝早くにごめんね?」

 

「いんやかまわんよ。俺はこの時間にはいつも起きとるで。それにノーバートがお前さんに会いたくて仕方なかった感じだ。」

 

 イーニアの姿を確認するなり飛びついてくるノーバート。少し見ない間にまた大きくなったノーバードに驚きつつも頭を撫でてやる。

 

「ドラゴンの成長は早いね。そろそろ抱えるのは難しいかな?」

 

 今はまだ抱えてやることはできるがこのペースで成長を続ければ直に抱えられなくるだろう。

 "ノーバートに乗る日が来るのかな"などと笑いながらいうと"可能性は十分あるだろう"とハグリッドも笑っていた。30分ほどノーバートと遊んだイーニアは朝食を食べるために一度寮へ戻り着替えると大広間へと向かった。

 

 2年生初の授業はハッフルパフとの薬草学。内容はマンドレイクの植え替え。

 

「手本を見せます。耳栓をして!」

 

 ポモーナ・スプラウトが指示すると皆、耳栓をした。それを確認すると一気にマンドレイクを引き抜く。とても嫌な鳴き声が教室を響いた。前にいたネビルがふらふらっとした後、倒れそうになり思わず支える。

 

「ネビルが気絶しました。」

 

「ロングボトムは耳栓をしてないのですか?」

 

「いえ、してます。」

 

「なるほど、たまにいるんです。そのまま寝かしておきなさい。」

 

 イーニアはネビルを邪魔にならないよう端に寝かせておく。

 

「今度は自分たちで植え替えてもらいますが先ほどより近くで声がします。ロングボトムのようにならないように。」

 

 ポモーナ・スプラウトの掛け声で一斉にマンドレイクを抜くと先ほどと比べものにならない鳴き声が聞こえてくる。あまりにもうるさかったのでイーニアは無音魔法を植え替えるまでかけていた。

 

 次の授業の魔法薬学は去年同様スリザリンとの合同。今年もまた背表紙の内容を問題に出したりしていたがハリーたちにはイーニアが背表紙があることを教えていたので何とか答えることができた。

 またスネイプも去年とは違い、ちゃんと勉強していることを素直に褒めていた。あのニヘラっと笑った顔は誰もが忘れないとはずだ。

 

 そしてある意味話題となっていたロックハートの授業。入ってくるなりいきなり小テストを始めるというのでイーニアはホッとしたが内容を読んで愕然とした。

 

1【ギルデロイ・ロックハートの好きな色は?】

2【ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は?】

3【現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が1番偉大だと思うか?】

 

「よし、吹き飛ばそう。」

 

 イーニアは小声で言ったつもりだったが隣に座っていたロンには聞こえたらしく全力で止められる。仕方なく小テストに取り組んだがイーニアは3問で嫌気が差し、それ以上は解かなかった。テスト用紙を回収され、ハーマイオニーが満点だった。点数を追加されたがさすがに皆、喜んではいない。

 

「さて!魔法界でもっとも穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の使命です!」

 

 そう言ってロックハートは覆いのかかった籠を教卓に置くと、茶番にうんざりしていたイーニアは"ようやく授業か"と真面目に聞き出す。ロックハートが覆いを取るとそこには20センチくらいの青色をしたピクシー妖精が詰まっていた。生徒の一部が笑う。

 

「笑っていられませんよ?連中は厄介な小悪魔です。では君たちがどう扱うか、お手並み拝見!」

 

 ロックハートが籠の戸を開けた。途端に教室が大混乱になる。ピクシーはロケットのように四方八方を飛び回り、インク瓶を投げつけ、本を引き裂く。イーニアは自分のものが壊されてはたまらないと盾の呪文を唱える。大混乱は落ち着くことはなく悪化していく。ネビルが吊るされそうになっていたので持ち上げているピクシーを失神呪文で撃ち、助けた。

 

「あ、ありがと。イーニア。」

 

「ネビルってどうも上に上がっていくね。」

 

 去年の箒騒動を思い出し、少し笑いながら手を出し起き上がらせる。

 

「捕まえなさい、たかがピクシーでしょう。」

 

 見かねたロックハートが杖を出し唱えるが何も起きない。それどころか杖を奪われてしまっていた。丁度終業のベルが鳴り、皆我先と出て行こうとする。ネビルを起き上がらせたイーニアもハリーたちに声をかけ教室を出ようとするがロックハートがピクシーを片付けておくよう言い出したので仕方なくやることにする。1匹ピクシーを捕まえると強く握り、悲鳴を上げさせる。すると暴れていたピクシーたちが全員止まった。

 

「こうなりたくなかったら散らかしたものを片付けて今すぐ檻に戻りなさい。」

 

 イーニアの低めの声にハリーたちも少し身震いした。ピクシーたちは大急ぎで散らかしたものを片付け檻に入っていく。

 

「いい子たちね。」

 

 全員入ったところで檻の鍵を閉める。しかし片付けたといってもピクシーができることは些細なことだったので残りは自分たちで片付けた。あまりにもひどい授業だったためイーニアはぶつぶつと文句を言い続け、ハーマイオニーは誰でも失敗はあるとロックハートを擁護していた。

 

 

* * *

 

 

 競技場にクィディッチの練習を見に訪れたイーニアたち。ウッドの熱を入れて何かを演説している。

 

「新しい作戦か何かかもしれないけど朝早くからやってるせいか皆船漕いでるね。」

 

 ハーマイオニーとロンも肯いたのでひとまず近づき一旦休憩を取ることを提案した。休憩を取り、さっそく新戦術を試そうと空へ上がろうとするとスリザリンのチームがやってきた。

 

「あれ?ドラコじゃない。クィディッチの格好してどうしたの?」

 

「ぼくがスリザリンのシーカーになったからな。」

 

「へぇ!それはおめでとう!」

 

 その言葉にハリーも反応し、和気藹々とした光景が繰り広げられる。ウィーズリー兄弟以外のグリフィンドール生とスリザリン生はその光景にあまりいい感じを示さなかったがシーカーである2人の闘争心に火が付いたことは喜ばしいことだった。

 

「ドラコ。試合中は手加減しないから。」

 

「もちろんだハリー。君を真っ向から叩き潰してやろう。」

 

 拳をガンッ!!とぶつけ、やる気を見せる2人。そこに1人生徒がやってくる。

 

「なぜだ!!なんで哀れな純血がシーカーなんだ!!僕じゃなく!!」

 

 叫んだのはセル。スリザリンのキャプテンが負けたのはお前だと言い放つ。

 

「そんなやつを入れればスリザリンのチームとしての品格を問われるぞ!!」

 

 するとドラコはセルに近づき言い放つ。

 

「お前はどんな手段を用いてもぼくに勝てなかったんだ。いい加減それを認めろ。それに品格が問われると言うがその品格が問われるような奴に負ける人間をシーカーにするほうが、よほどどうかと思うね。」

 

 ドラコの久しぶりの嫌味にイーニアは"言うね~"と面白がっていた。それが効いたのかセルは言い返させくなる。どうやらドラコはセルを完膚無きまで叩きのめしたようだった。

 

「生まれ損ないの【穢れた血】に関わっているやつが…。」

 

 セルのその一言が空気にヒビを入れた。グリフィンドール生から非難が吹き荒れる。ドラコに同調しているスリザリンの生徒も言い過ぎだと反感を買ったがセルは取り消すつもりはなかった。殴り合いになりそうな勢いだったので怒ってはいたがイーニアは手を叩き音を出すと皆を落ち着かせる。

 

「皆、ヒートアップしすぎだよ。――セルも言って良いことと悪いことがあることを知った方がいいよ。」

 

「黙れ!!指図するな!!両親共々屑一族が!!」

 

「今、何言った。」

 

 イーニアの顔が完全に固まるとその場が凍りつき、睨まれたセルは座り込んでしまう。誰も言葉を発しない空気でイーニアはゆっくりとセルに近づいていく。恐怖でガタガタ言い出したセルを見かねたドラコがイーニアを止めた。

 

「イーニア!!」

 

 呼ばれたイーニアはピタっと止まると眉間にしわを寄せ、機嫌悪そうに振り向いた。

 

「なに?」

 

「もういいだろ。セルにはぼくから言っておくから今日のところは勘弁してくれ。」

 

「――――ドラコに感謝するんだね。ドラコ、練習頑張ってね。」

 

 怒った口調だったがドラコにそういうとイーニアは競技場を出ていく。ハリーたちもドラコに軽く応援を送るとイーニアに続いた。

 

 

* * *

 

 

 ハロウィンが訪れ、去年楽しめなかったパーティーを大広間で楽しんだ4人は寮へと戻ろうとする。

 

「――?何か聞こえなかった?」

 

「何かって?」

 

「また聞こえた。こっちだ!!」

 

「お、おい。待てよ、ハリー!!」

 

 駈け出したハリーについていくと、そこには吊るされているミセス・ノリスがいた。さらに壁に血文字が書かれている。

 

 

《秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵よ、気を付けよ》

 

 

「秘密の部屋…?」

 

 どこか聞き覚えのある単語に首をかしげているとフィルチがミセス・ノリスを見て騒ぎ出す。騒ぎを聞きつけた先生や生徒たちが集まり、ダンブルドアがやってくるまでその騒ぎは続いた。ダンブルドアは固まったミセス・ノリスを見る。

 

「生きておる。」

 

 フィルチがすごい勢いでダンブルドアに近づき問い詰める。

 

「生きておるよ。この猫は石になっているだけじゃ。」

 

 それを聞いたフィルチは喜び、石化はマンドレイクで治せるのでその場は解散となった。

 

―――――――――――――――

 

「うーん。秘密の部屋、秘密の部屋…。」

 

 談話室に戻ってきたイーニアはずっと引っかかっている単語を脳内検索していた。

 

「そんなに気になるの?」

 

「どこかで聞いたか見た単語なんだけど――あ!」

 

 イーニアは一度部屋へ戻り、数冊の本を持って談話室へ帰ってくる。

 

「これ!これだよ!!ホグワーツの歴史!!この本に載ってたの!!」

 

「イーニア、君そんなの読んだことあるの?」

 

「え?一回は読まない?図書館にあったのは結構読まれている形跡あったけど。ついでにこれ、1943年6月に秘密の部屋が開かれて、女子生徒が一人亡くなったっていう記事。」

 

「よくこんなのあったわね。」

 

 呆れ顔で言うハーマイオニーに少し苦笑いしながらイーニアはいう。

 

「お父さんの趣味で新聞とか書籍が家にたくさんあるの。一部持ってきてたのは正解だったみたい。」

 

 新聞が役に立つ日が来るとはイーニア自身まったく想像していなかったが。

 

「で、内容は?」

 

「記事の方はかなり誇張して書かれてるから参考にはならない、そもそも秘密の部屋が何たるかだけど…。」

 

 イーニアが説明を始めると談話室にいた全員が話を聞いていた。

 

「ホグワーツの創設者、ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、サラザール・スリザリンは皆知ってるよね?

――うん、ならよかった。最初、4人は仲良くやっていたのだけれどもスリザリンは根っからの純血主義で、純血以外はこの学校で学ばせるべきではないと考えたの。

――ああ、長い歴史を重ねていくうちに色々な考えができたりしたけどそこは置いておくね。で、その考えの相違からグリフィンドールと決闘を行うことになったんだけどスリザリンは敗れて学校を去ることになったの。

――問題はここから。スリザリンは去る前に他の創設者に知られない、隠された部屋を作ったっていう伝説があるの。

それによればスリザリンは部屋を密封、学校に真の継承者があらわれるまで、何人たりともあけられなくした。継承者のみが秘密の部屋の封印を解いてその中の【恐怖】を解き放ち、それを用いてホグワーツで学ぶに相応しくない者を追放するって」

 

「恐怖とは…?」

 

「今回ミセス・ノリスが石化していたことと、スリザリンのマークからしてバジリスクとかかな?」

 

「バジリスクって?」

 

「え?バジリスクも知らないの?」

 

 ロンの質問に驚き皆に聞くと肯く。

 

「皆もう少し読書したほうがいいんじゃない?

――バジリスクは別名【毒蛇の王】って言われてる緑色の大蛇のこと。牙には猛毒が含まれ、その毒はフェニックスの涙でしか中和することができず、眼を直視した者は即死、間接的に目を見た者は石化するらしいよ。」

 

 イーニアは一緒に持ってきていた本を一冊取るとぱらぱらと捲る。

 

「あったあった。記録に残る最初のバジリスクは――ギリシャの闇の魔法使いでパーセルマウスの【腐ったハーポ】が実験を重ねた結果、ヒキガエルの下で孵化した鶏の卵から、異常なまでに強力な力を持つ巨大な蛇が生まれる事を発見した。これだね。

――バジリスクを創り出すことは中世には禁じられたが、バジリスクは非常に長命であり、創り出すことが禁じられた後も長くこの世に存在し続けていたと思われる。記録上最古のバジリスクとされる【腐ったハーポ】のバジリスクは900年生きたとされている。また、バジリスクは400年間イギリス国内で目撃された記録は無い、だってさ。」

 

 イーニアが喋り終わると皆暗い顔をしていた。

 

「いるとわかったわけじゃないんだからそんな暗くならないでよ。」

 

 余りにも暗い状態に慌てるイーニアにロンは俯いたまま言う。

 

「でも君の説明、結構辻褄が合うよ?」

 

 その言葉にイーニアは困り果てていた。

 

* * *

 

 イーニアが話した内容があっという間に学校中を駆け巡り、余計な恐怖感を与えてしまったと少し罪悪感を覚えつつも今日はグリフィンドール対スリザリンのクィディッチ戦。色々気になることはあったが応援に集中しようとイーニアは切り替える。試合開始前、ハリーとドラコは握手をしてお互いの健闘を祈っていた。そんな燃える展開にイーニアの応援にも気合いが入る。

 試合開始のホイッスルが鳴り上空に上がっていく選手たち。数分後、去年とは比べものにならないくらいの連携を見せるスリザリンに90対30とグリフィンドールはかなり押し負けていた。しかも突如ブラッジャーに狙われ始めるハリー。その状況下スニッチを見つけ取りに行くハリーとドラコ。ブラッジャーから逃げながらの激しいドックファイトになる。

 

「明らかに様子がおかしいんだけど…2人とも戦いに熱入りすぎじゃないかな。」

 

 ブラッジャーに追いかけられるという異常事態にも関わらずスニッチを追いかける2人に思わず苦笑いするイーニア。2人に怪我なければと考えた瞬間、ブラッジャーがドラコの箒に当たりドラコが箒から落ちる。しかしうまく受け身を取りすぐに立ち上がったドラコを見てホッとするイーニア。

 視線をハリーへと戻すとスニッチを掴むために伸ばしていた右腕をブラッジャーが直撃した。思わず飛び出しそうになるイーニア。しかしハリーはそのまま飛び続け左手でスニッチを掴むと箒から落ちた。それを見て飛び出すイーニアたち。痛みで蹲っているハリーにブラッジャーが再び襲おうとしていたのでハーマイオニーが粉々に砕いた。

 

「大丈夫!?ハリー!?」

 

「痛っ…取れたよ。スニッチ。」

 

「うん。試合終了のホイッスルなったよ。――ってそうじゃない。このクィディッチ馬鹿!!」

 

 笑うハリーに少し安堵した表情を見せるイーニアたち。腕を触ると骨が折れていることがわかる。イーニアが応急処置の魔法を唱えようとするとロックハートがやってきて治療をしようとする。

 

「これは!私にお任せください!なに、ちょちょいのちょいで――。」

 

「専門の人がいるので先生は手を出さないでください。――エピスキー(癒えよ)。」

 

 イーニアが唱え終わるとマダム・ポンフリーがやってきてハリーを担架で運んで行った。医務室に着くとハリーの腕は3秒で治り、幻痛がするハリーのために一晩入院が決定した。

 翌朝退院してきたハリーにブラッジャーにいたずらしたのはドビーだという話を聞いていると、コリン・クリービーが石化した状態で発見されたと言う話が舞い込んできた。

 

 

 




注意したのに2度暴言を吐くとはいい度胸だ、セル。さあ、貴様の罪を数えろ。
という感じで暴言を吐くセルに切れるイーニアでした。
ピクシーがあんな感じで言うことを聞くかどうかは知りません。オリジナルです。



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