戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
今年もよろしくお願いします。
ではどうぞ。
黒のドレスを着て、支度を済ませると談話室へ降りる。早い時間であったため談話室にはまったく人がいなかったが優雅に椅子に座っているフレッドがいる。いつもと格好が違うせいなのか様になっている。
「フレッド。」
イーニアは暖炉の方を向いているフレッドに声をかけ、隣に座った。
「結構似合ってるね。」
「そいつはどうも。――というか早いな。もっと時間がかかるもんだと思ってたんだが。」
「私は皆と比べると化粧とかもあんまりしなくていいからね。というか肌に合わない。」
「なるほど。すっぴん?」
「流石にすっぴんではないよ。いつも通りかな。―――遅くなると思ってたのにこんな早くから待ってたの?」
「女を待たせることなかれ、女を待つ時間こそが至高って読んだ本に書いてあったから実践したところ。」
「で、どうだった?」
「いまいちわからん。」
その言葉にイーニアはクスクスと笑う。その笑う姿を見ていたフレッドだったが何かを思い出したかのように立ち上がりイーニアを見る。
「ああ、言うのが遅れた。綺麗だぜ、イーニア。」
「ありがと。」
その言葉に微笑みながら差し伸べられた手を取り立ち上がる。
「しかしあれだな。イーニアが微笑んでるからそう感じないが、これで妖艶に笑ったなら完全に悪い女だな。」
「やっぱりそう思う?黒髪に黒いドレスなんてそういうイメージ持つよね。」
そんな話をしつつ、2人は腕を組み笑いながら談話室を出ていく。
―――――――――――
大広間の扉の前に着くとマクゴナガルが扉の前で立っていた。
「おや、2人とも。時間はまだ先ですよ。」
「一番乗りってもの悪くないと思いまして。」
「先生も、こんな早くからずっと立ってるんですか?」
「ええ、まあ、一応。貴方達のように早く来る生徒もいますから。」
「へー、で、どうするよ。イーニア。」
「フレッド、ダンス経験は?」
「多少?」
「私も多少。――時間までかなりあるし先生に見てもらいながら少し練習しよっか。」
「うげ、マジかよ。」
「マジ。ジッとしてても寒いだけだしね。―――それとも談話室で踊る?」
「それは流石に嫌だな。――てか踊ること前提なのかよ。」
「だいたい座ってた私に手を差し伸べて連れ出したのフレッドじゃない。」
「うっ――。わかったよ。」
「マクゴナガル先生、音楽流してもいいですか?」
「大きな音でなければいいですよ。」
イーニアは杖を取り出し、振ると杖が音楽を奏で始めた。
「オーケストラみたいな音楽は流せないけど今はこれでいいでしょ。」
「そもそも音楽に詳しくないから違いがあまりわからないけどな。」
そんなことを言いながら踊り始める2人。最初は息が合わずギクシャクしていたが、10分も立たないうちに息ぴったりに踊って見せた。2人ともダンス経験は多少と言ったがマクゴナガルの目には長年付き添った相手のように踊っているように見えた。
杖から流れていた音楽が止まり、2人もダンスをやめる。するといつの間にか来ていた数組の生徒とマクゴナガルから拍手をもらう。
「なんか恥ずかしいな。」
「何言ってるの、代表選手は一番最初に踊るからもっと大勢の前で踊るんだよ?」
「え?」
「知らずに私を誘ったの?――まったく、事前に練習やって正解じゃない。」
呆れた顔をするイーニアにフレッドは困ったように頭を掻いた。
そんなこともありつつも、実際に踊った2人は周りを魅了するような踊りを見せつけた。
「練習より短い時間だったのに、練習より疲れた…。」
少し息を切らしているフレッドは背中を壁に付けた。そんなフレッドに飲み物を持ってくるイーニア。
「はい、フレッド。」
「サンキュー。…んくっ…はっー。生き返るー。」
「ごめん。少しハードだった?」
「いや、クィディッチの試合よりはずっと楽だ。日頃使ってない筋肉が悲鳴を上げてるだけで。」
そんなことを聞きつつも少し申し訳なさそうな顔をするイーニア。そんなイーニアを見てフレッドは気にするなと言うと、疑問を投げかけた。
「なんで見せつけるようにやったんだ?」
「んー、なんとなく他校生が不満そうじゃない?うちから2人も出たもんだから。」
「それは多少はあると思うが、仕方なくないか?」
「うん。だからこそ、こう、試合もそうだったけど見せつけたかったの。実力があるぞーって。」
「贔屓じゃないって?――ダンスはあんまり関係ないだろ…。」
「あるよ。品とかそういうのもでるから。――少なくとも半分以上の生徒の目は集められたと思う。」
「そんなもんか?」
「そんなもん。」
2人はその後のんびりと食事をしつつ、ハリーやロン、ハーマイオニーとも合流し、食事を楽しんだ。
―――――――――――
パーティーが終わり大浴場の湯船に浸かっているイーニア。今日は多くの生徒がここを利用し、イーニアもその1人である。課題である卵片手にぶくぶくとやっているとハーマイオニーが横に入ってくる。
「今日くらい考えるの止めればよかったんじゃないの?」
「そう思ったんだけど気になっちゃって。――ハリーとのダンスはどうだった?」
「初めてって言ってたけど上手だったわ。貴方達のせいで誰も見てないでしょうけど。」
「あははは…は。」
少し嫌味を言われ思わず苦笑いするイーニア。
「だいたい、化粧もいつも通りってどういうことよ!!それでいて十分可愛いし、私よりスタイル良いし!!」
「ひゃぃ!?―ちょっと胸揉まないで――ちょっ!?そこはっ!」
ハーマイオニーがイーニアの身体を弄りだし手に持っていた卵を浴槽の中へ落とす。しかしハーマイオニーは止めることなく5分ほどイーニアの身体を堪能していた。
「はー、はー、はー、もう。ハーマイオニーだって、綺麗じゃない。貴女を目で、追ってた生徒、結構居た、わよ。」
イーニアは息を切らせながら胸を押さえつつハーマイオニーにそう告げたが納得はしていないようだった。呼吸が落ち着くと卵を探す。卵に触れると開いていることに気が付いた。
「え?」
「どうかしたの?イーニア。」
「卵開いてる。」
イーニアとハーマイオニーは顔を合わせると浴槽の中へと潜った。
探しにおいで 声を頼りに
地上じゃ歌は 歌えない
探しながらも 考えよう
我らが捕らえし 大切なもの
探す時間は 一時間
取り返すべし 大切なもの
一時間のその後は もはや望みはありえない
遅すぎたなら そのものは もはや二度とは戻らない
歌が終わると卵を閉じ浴槽から顔を出した。
「なるほど、マーミッシュ言語だったんだ。」
「地上で聞くと聞き取れないわけね。」
「第二の課題は水の中かー。2月だっていうのに、寒いじゃない。」
イーニアがため息を吐くとハーマイオニーは苦笑いしつつも、頑張ってね、と応援し、2人は大浴場を出た。
平凡回でした。
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