戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
なんとか一年立つ前に更新ができましたッ!!!!
ではどうぞ。
勉強会初日。イーニアは1人早くに必要の部屋に入り自身に高位魔法を唱えていた。自身にかけるタイプの高位魔法は危険が伴うため、アリシスからは細心の注意を払う様に言われている。
今回挑戦しているのは一部の高位魔法を自身の内に入れ、詠唱を無しで魔法を使うというもの。また使わずとも自身の中で貯めた魔法エネルギーを運動エネルギーに変えることで自身の体術の威力を向上させる。
イーニアは通常魔法の取込み、変換、発動はできることがわかっていたので可能であると踏んでいたが、高位魔法を取り込み、維持するには疲労が激しく、とても使えモノにならない状態に頭を悩ませていた。
「くぅーっ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
高位魔法を取り込んだイーニアは膝に手を付き、荒く呼吸をする。
「この…っ…方法も…だめか。」
イーニアは片手をかざすと魔法を使う。外に放出された魔法は壁に当たり消滅。それを確認したイーニアは大の字にで床に転がった。
思いつく限りの方法を試しきり頭を悩ませていると部屋の扉が開き、ハリーたちが中へと入ってきた。
「イーニア、皆を連れてきた――よ?ってなんで横になってるの?」
「少し疲れたから休憩してたの。―――結構の人数が集まったね。」
立ち上がるとハリーたちが隣に立ち、入ってくる生徒の顔を見ながらイーニアがそう呟く。
皆が部屋に入り並ぶと、ハーマイオニーが手を叩きイーニアに始めるように促した。
「――皆、今日は良く集まってくれたね。皆にはこれから本来の授業でやることにちょっとだけ増した分のことを覚えて行ってもらおうと思ってる。もちろん、さらに先のステップに踏んでもらっても構わないし、達成できなくても問題はない。
ただ一つだけ覚えておいてほしいのは本気にならなければ自分の身を護ることはできない、ということ。
前置きはこれくらいにして始めよう。――ああ、そうそう。アンブリッジとダンブルドアの許可を取ったから。表向きは勉強会って名前になってるけどダンブルドアの名前使っていいってことだったから裏の名としてDA、ダンブルドア軍団とでも名乗ろうか。」
許可証をぴらぴらと見せると全員が目を見開いて驚き、思考が止まっている。
「――?どうかした?」
「許可取ったの!?」
「え?うん、勉強会って名目だけど。」
いち早く思考を取り戻したハーマイオニーがイーニアを問い詰める。
「アンブリッジから!!?」
「うん。」
「――!!なんていうか…イーニアの行動力には驚かされるわ。」
「そう…?――ま、いいわ。始めよう!!皆、2人1組になって。」
皆が組み終わるとイーニアは再び口を開く。
「まずは初級編。武装解除と――ハリー、私に武装解除を。」
「全力で?」
「もちろん。」
「
イーニアはハリーの武装解除魔法をステップで避ける。
「避けることを覚えてもらう。盾呪文に頼りすぎるのは良くないからね。1人は武装解除を、1人は防御役ね。盾呪文使っても構わないけどできるだけ使わないように、ね。――それじゃ、始め!!」
イーニアの掛け声で皆が始めると、イーニアは一組一組見ながら指摘をしていく。
クィディッチをやっている人は日頃から体を動かしているため、呪文を避けるのは上手い。が、避ける動作が激しいためか持久力がないと、イーニアは判断した。
一度、手を叩き攻守交代を行い、更にそれぞれの個性を見定めていく。
ローテーションを3回したところで誰もが立っていられず、床に座り込んでいた。
「皆いい感じになってきたね。――色々指摘はあるけど……そうだね、一つだけ。
皆動作が激しい。激しい動きはその分体力を使うわ。動きは最小限に。――最小限の動きは最適な動きになるときもあるからね。
お手本を見せましょう。まだ動ける人いる?」
イーニアが質問を投げるとハリーやハーマイオニー、ロンを含む8人が立ち上がった。
「8人か…――全員でかかってきていいわよ。」
「さすがにそれは、僕たちのこと舐めてない?」
人数を数えたイーニアが余裕綽々と言わんばかりに言うとロンが眉を吊り上げた。
「そう?今の皆と私とではそれ位実力に差があると思うよ。」
いいからかかってこいと言わんばかりに手をちょいちょいとやるイーニアを見て、一番最初にロンが、続くようにハリーたちがイーニアに武装解除の呪文をかけてくる。
イーニアはそれをゆったりとした動きで躱していく。高さも調整されたほぼ全方位からの攻撃を避けられたハリーたちは気合いを入れ直し、間髪入れずにイーニア目がけて攻撃を仕掛けた。
避ける隙間すらないように見える魔法の中をイーニアは小さい動きだけで避けていく。
「なんで当たらないんだ!?」
激しい攻撃を何食わぬ顔で避けるイーニアにセドリックは思わず叫んだ。
「前の
言葉と同時にイーニアは高く跳ねた。
「空間認識の魔法の見直しをしたんだ。人の動き、魔法の動き、飛び先なんかをね。」
空中で身体を捻らせながら飛んでくる魔法を避け、華麗に着地する。
「この距離なら指の動きまで私は認識できるよ。――後は認識した動きに対する私の身体能力次第。ちなみに今は身体強化は使ってないわ。」
イーニアの言葉にフレッドはゲッとした顔をし、皆もそれに賛同するように顔を顰める。ただハリーだけはそうではなかった。
「
身体強化でイーニアに一気に近づくと杖をイーニアに当てた。構えた杖にはいつもの何倍もの魔力が籠っている。
「
「え?」
想定外の魔力量に驚いたイーニアは避けることを不可能と感じ、放たれた魔法と同時に後ろに下がり、右手でハリーの放った魔法を吸収した。
「危ない危ない。取り込む魔法の練習してなかったら危なかったわ。―――すごいね、ハリーいつの間にこんな高位な魔法を?」
イーニアはハリーの魔法にとても感激していた。独自で高位魔法に唱えられるようになることは並大抵の事ではない上に、イーニアも勉強会前に取り込む魔法を練習していなかったら対処できなかったからだ。
「イーニアが使うところは何度も見ているからね。見よう見まねでやったんだけど…――やっぱり防がれちゃった。」
ハリーは少し落胆したように言ったがイーニアはその言葉に焦りを感じていた。
”本来見よう見まねでできる様なものじゃないんだけど…ハリーは才能あるなぁ。”
ハリーの言葉に半分苦笑いをしつつ練習量増やそうと、内心決めると周りに向き直る。
「攻撃面の話だけど今のハリーみたいに接近するっていうのも一つの手段だよ。現に私は意表を突かれたしね。――さあ、続けよう。休んでる皆は引き続き私の動きとか攻撃側の動きをよく見ていてね。」
そう言うとイーニアは身体強化魔法をかけ、ハリーたちと向き合う。
”ロンの言うとおり少し舐め過ぎてたのかも。鍛錬してるのは何も私だけじゃないもんね。”
イーニアが顔を引き締めると攻撃側にも緊張が走る。
先ほどのハリーのような接近を息ぴったりでジョージとフレッドが行うとそれを合図に2回目の攻防が始まった。
1時間後、イーニアは肩で息をしつつも座り込んでいる皆の中央で一人立っていた。
2回目の攻防が始まり、体力が回復した人も交代で参加したが、1時間かけてイーニアに盾の呪文を唱えさせたのはわずか6回。
6回当たったことに少し悔しい思いをしつつも、イーニアは満足そうに笑い呼吸を整える。ふと、ジョージがあることに気が付き、イーニアに投げかけた。
「そういえば今更だが、イーニア。君、スカートなんだから飛んだり跳ねたりするなよ。」
ジョージがぼやきにイーニアは胸を張り自信有り気に腕を組んだ。
「残念でした。スカートに魔法かかっているからいくら激しい動きをしても下着は見えませーん。」
そんなことを言いながらイーニアはくるくる回ったりジャンプして見せたりする。皆、イーニアに当てることに夢中になっていた為、さっきまで気が付かなかったが、イーニアの動きに本来は風で靡くはずのスカートは全く動きを見せなかった。
「1年の時に僕が指摘したこと気にしてたんだ…?」
「あれで思いついた魔法ではあるよ。」
ハリーが少し苦笑いしながらそう聞いてくるのをイーニアは笑顔で返した。
「授業で習う魔法が全てじゃないわ。意外と創作魔法も難しくはないから人の数だけあるって言えると思う。―――さて、結構時間たったし今日はここまでにしようか。次回も来週のこの時間でいい?」
「いいんじゃない?クィディッチがある人もいるし。」
ハーマイオニーの応答を聞き、周りを見渡し反論もなかったので解散することとなった。
* * *
それから週に2回。DAは集まると、1回目は実技、2回目は筆記を行い、アンブリッチには2回目の勉強風景を見せることで不正なことをしていない、と疑いの目を向けさせないように仕向けるように決めた。
もちろん、アンブリッジの前の防衛術の勉強をしていると五月蠅いのでアンブリッジがいる間は個別に他の苦手科目の勉強をしている。
しかしクィディッチの試合が近づき、参加人数が減ると一旦、休止としそれぞれに鍛錬を積むように周知した。そんなクィディッチはというとスリザリンのクィディッチメンバーの多くが野外授業ということもあり、スリザリンは現在全敗という波乱の戦いとなっている中でグリフィンドール戦。
イーニアは応援に行こうと思っていたがハグリッドが帰ってきたことを聞き、1人小屋を訪れていた。
「おかえり、ハグリッド。」
「おお。久しぶりだな、イーニア。小屋の掃除とファングの世話ありがとな。」
「気にしないで。ファングの世話はノーバートと一緒だったし、ロイたちも交代で世話してくれてたし、ね。」
ハグリッドの代わりに紅茶を入れてきたロイとサーベイに視線を移すとハグリッドはロイ達にも頭を下げる。
「頭を上げてくれハグリッド、犬の世話なんてドラゴンに比べたら1億倍くらい楽だ。イーニアのおかげで
「ああ、勝手に小屋を使わせてもらってるしな。」
そんなことを話す2人だが、2人も騎士団メンバーである。騎士団再結成の際、2人の実力と素性を確認したダンブルドアはすぐに2人をスカウトした。
2人もまた、遠目からこのホグワーツで起きている事件を見てきたため、すぐにダンブルドアの話を飲み、騎士団へと入った。
「で、首尾はどうだった。その感じだとだいぶ手こずったようだが…。」
ロイが紅茶を配り、ハグリッドに今回不在にしていた件について聞く。
「色々と邪魔は入ったが、ひとまず話をすることはしてきた。耳を傾けた奴もいる。多少はええかと思う。」
「なるほどな。できれば
「すでに彼奴等の手が入っていると見た方がいいか。」
「聞いてくれた人は居たんでしょう?なら今は悲観することはないと思うよ。―――っち、アンブリッジがこっちに来る。」
イーニアは探知魔法に引っかかったことを告げると人差し指を口の前に持っていく。
「今の話は…?」
「ここはノーマークだったから大丈夫。」
「アンブリッジってのは誰だ?」
サーベイの質問にイーニアは首を振り、ハグリッドの質問に答えようとした時、小屋の扉がノックされた。ハグリッドは少し早足で扉を開ける。
「貴方がハグリッド?」
「そうだが――あー、失礼だとは思うが――いったいお前さんは誰ですかい?」
「私はドローレス・アンブリッジです。――と、Ms.シュツベル貴女なんでここに?」
アンブリッジはグイッとするように中へ入ってきて、イーニアの存在に気が付いた。
「私がドラゴン研究会でドラゴンの飼育をしているのは知っていますよね。ハグリッドは場所やノーバートの御飯を用意してくれたりしてますから。帰ってきた知らせを受けて会いに来たんです。」
「「右に同じく。」、というか生徒でも教師でもなく、魔法省の承認を受けている私たちが行動について色々言われる覚えはありませんが、ね。」
ロイは嫌味っぽく目を細め、睨むとアンブリッジは少し臆し、ワザとらしく咳をする。
「まぁ貴方達には用がないのでいいですゥ。――改めて、ドローレス・アンブリッジです。今は闇の魔術に対する防衛術の教師です。」
「たしか魔法省の人だと思ったが―――てぇしたもんだ。今じゃあの職に就く人はいねぇで。」
ハグリッドが関心したように言うと少し自慢げにアンブリッジは続けた。
「さらにホグワーツの高等尋問官です。」
「そりゃ何ですかい?」
ハグリッドは聞きなれない役職に顔を顰める。
「高等尋問官は同僚の先生方を査察する、という仕事をしています。魔法省は教師として不適切な者を取り除く覚悟います。貴方の授業も視させていただきますよ。」
ハグリッドは驚きの声を上げた。
「お前さんが俺たちを査察?」
「ええ。ですので戻ってきたばかりではありますが挨拶を、と。ご承知おきくださいませ。」
アンブリッジは要件だけ伝えるとそそくさと小屋を後にした。
「いってぇどうなってんだ…。」
「ダンブルドア先生の話だと手当たり次第ってことらしいよ。」
唖然としたハグリッドの呟きに少し呆れたようにイーニアが言う。
「ただ――これまでのハグリッドの授業のやり方じゃ不味いかなー。ロイ、サーベイ。悪いんだけどハグリッドの手伝いしてもらえない?」
「授業のか?」
「うん。2人はドラゴン以外にも多少は生物学明るいよね?」
「まぁ人並み以上は詳しいが…。――いいのか?」
「実際に授業には出ないでアイディアとかならアンブリッジにはわからないでしょ。けど次の授業までには時間が無いから――ハグリッド一回目の授業はドラゴンなんてどう?」
ロイとサーベイが肯いたのを確認するとイーニアはハグリッドに問いかける。
「ノーバートをか?」
「うん。成体になったノーバートは皆見てないし、ノーバートは私の言うこと絶対に聞くから安全でしょ。」
「おー、そうだな。イーニアがいいならそうさせてもらえるか。」
「じゃ決定。ノーバートには私から言っておくよ。――その次からの授業はロイとサーベイに相談してね?」
あー、とか、うー、とか少し歯切れの悪いハグリッドに
ハリー高位魔法を覚える
ハグリッドの授業へのフォロー会
でした。
超遅更新ですみません。多少はペース上げれるよう頑張ります(汗
誤字脱字などございましたら、遠慮なくご報告ください。
感想お待ちしています。