戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
ではどうぞ。
目を覚ますと起床にはかなり早い時間で皆まだ寝ていた。
昨日、運動し足りなかったイーニアは寝間着から動きやすい格好に着替え、ストレッチをしながら静かに部屋出る。
外に出ると湖のせいか少し肌寒い。ストレッチを終え、ランニングを始める。敷地が広く景色に飽きない。"これはいいコースになりそう"と少しご機嫌になり、速度を速める。一頻り走ると大きな木が並んでいる森が見えてきた。
「大きな木…。」
「ここが禁じられた森じゃよ。」
思わず声を上げるイーニアにダンブルドアが後ろから現れ声をかけてた。
「あ、ダンブルドア校長。おはようございます。」
「うむ。おはよう。ずいぶんと早起きなんじゃな。」
「いつもはこんなに早くには起きないんですけど、昨日運動が足りなかったみたいで早く起きちゃいました。」
"えへへ"と頭を掻きながら少し困ったように言う。
「運動が趣味と言っておったか。両親の影響かね?」
「はい。反面教師で始めた運動ですけど、武術とか学ぶのが結構楽しくってすっかりハマっちゃったんです。」
「よいよい。趣味があることはいいことじゃ。」
ダンブルドアは微笑み肯くと"そろそろ戻った方がいい"と言いイーニアもそれに従った。
軽くかいた汗を流し制服に袖を通す。皆まだ寝ていたので暇つぶしに談話室で読書をする。しばらくしてハーマイオニーやハリー、ロンも下りてきたので一緒に大広間に向かう。大広間にはまだそんなに人はおらず疎らであったがドラコはスリザリンの列でクラスメイトと食事をしていた。
イーニアとハリーはドラコと目が合うと挨拶かわりに軽く手を振り、ドラコも目だけでそれに返事をした。席に着き食事を始める4人。食べ始めて少したつとロンが質問を投げかけてくる。
「一番最初の授業は?」
「魔法史。」
「歴史かぁ。僕、ずっとマグルで生活してたから結構楽しみだよ。」
短く質問に答えたイーニア、最初の授業をそれなりに楽しみにしているハリー。ロンは魔法史と聞き少しげんなりした顔をしていた。
食事を終え、教室に移動する。教師はゴーストであるカスバート・ビンズ。読書家のイーニアは歴史書なども読んでいるのでとてもつまらない授業であったが、ハリーは初めて聞く歴史にそれなりに楽しんでいたようだった。
その後も薬草学、呪文学、闇の魔術に対抗する防衛術、占い学などをこなしていき授業開始から3日目の最初の授業。スリザリンとの合同授業の魔法薬学がやってきた。
グリフィンドールとスリザリンはきれいに分かれて座っていたのだが、ドラコの隣がいないことに気が付いたハリーは隣の席に座った。その光景に両クラス目を見開いたがそこまで騒ぎ立てなかった。その前の席にハーマイオニーとロン、イーニアはネビルと座る。
「おはよう、ドラコ。」
「ああ、おはよう。」
短い挨拶だけだったがイーニアにはそれだけでドラコが少し上機嫌になったことに気が付いた。担当教師のセブルス・スネイプが入ってきて授業が始まる。出席をとり、この授業のなんたるかの演説が終わると突然ハリーを呼び、いくつかの問題を投げかける。
ハリーは少し迷いながらも問題に的確に答えて行った。答えられると思っていなかったのかスネイプはハリーが答えるたびに眉間にしわが寄っていく。全ての問題に答えたハリーにスネイプは点数をあげた。
「よく勉強しているようだな。グリフィンドールに5点。―しかしこれはどうかな?先ほど問題にあった生ける屍の水薬は基本的に水のように澄んだ色をしているがまれに薄く黄色に色づくことがある。これの効果は?」
これにはハリーも黙り、ハリーが悩んでいるときに勢いよく手を挙げていたハーマイオニーも手を上げない。だれも答えることができず静まり返っているとイーニアがすっと手を挙げた。スネイプは"ほう"といった顔でイーニアを指名する。
「効果としては寝れない程度の眠気、正確に言えば眠いけど寝れなくなるという効果です。またなぜこのような黄色い生ける屍の水薬ができるかはここ100年近くわかっていません。」
「よく教科書を読んでいる。グリフィンドールに10点。さて、ポッターとシュツベルが言ったことをなぜ誰もノートとらんのだ?」
正しく答えたイーニアにスネイプはニヤッと笑うと点数をあげると他の生徒にノートを取るようにいう。イーニアは少しため息をつきながら着席した。
この薄い黄色の生ける屍の水薬は教科書の背表紙、しかも背表紙があるように見えないように細工されて、そこに書かれている。そこには解明されていない薬についてや筆者が作ってみたかった薬についてなどまるで授業に役に立たないことばかり書かれてある。
そもそも魔法界の本、特に背表紙がないように見えるものに関しては基本的に背表紙が存在し、その何かしらが書かれていることが多い。イーニアもそれらの本に小さいころから触れていたため、今回のように気が付くことができただけで本来は気が付く様なものではないのだ。恐らく上級生にもこの教科書に背表紙があることを知っているものは少ないだろう。しかも全部の教科書に何かしら書かれている。基本的には知っていてもなんの得にもならないような内容が。
そんな問題を出してきたスネイプにため息をつくしかなかったイーニアだった。
* * *
飛行訓練についての張り紙が出され皆楽しみにしながら校庭に集まった。教師のマダム・フーチの指示に従い、箒のそばに立つ。
「右手を箒の上に突き出し、『上がれ!』と言う。」
その言葉に従い皆大きな声で箒を呼ぶ。イーニアだけは普通に会話する声量で"上がれ"と言う。上がってきた箒を持ちながらイーニアは"箒を使って飛ぶのめんどくさいな"などと考えていた。
そもそも浮遊魔法が存在するのになぜ箒を使わなければならないのかと疑問に思ったイーニアは、自らの研究で箒を使わず箒と変わらぬ速度で飛ぶ術を編み出した。そんなイーニアには箒を使うこの授業は魔法史よりつまらないものだった。皆が箒も手に持つと握り方と乗り方について教わる。笛の合図で空に飛ぶように指示され、カウントを始めたがマダム・フーチが0という前にネビルが空を飛んでいく。
「あわあああわ。」
ネビルはどんどん上昇していく。皆、わーわー騒ぎ出しマダム・フーチも焦り始める。15mくらいを越えたあたりでドラコが飛んで助けに行こうとしたのをイーニアが止めた。
「なんで止める!?」
「細いドラコが慌ててるネビルを支えられるわけないでしょ。」
あくまでも冷静に答えるイーニアに思わず睨みつけるドラコだったがそんなことを言っている場合ではなかった。20mを超えたあたりでネビルが落下してきた。全員から悲鳴が上がる。
"
「大丈夫?」
イーニアが声をかけたがネビルは気絶していた。"ありゃ?"と思っているとすごい勢いでマダム・フーチがやってくる。
「大丈夫ですか!?」
「はい。きれいに受け止めましたから。ただ気絶しちゃったみたいです。」
「よく受け止められましたね。」
「鍛え方が違うんで。」
イーニアはニカッと笑うとネビルをマダム・フーチに任せ、列に戻る。マダム・フーチは誰も箒触らないように告げ、ネビルを連れて行った。マダム・フーチの姿見えなくなるとイーニアは質問攻めにあった。多くの生徒に囲まれ、皆同時に喋るせいで何を聞かれているのかわからない。そんなごちゃごちゃしている中、もめている声が聞こえてくる。
「やめないか。そんなことをしてどうする。」
「貴様みたいな純血失格なやつに指図される筋合いはない!」
「それはネビルのだ!こっちに渡してくれ!」
声の主はドラコとハリーと他の生徒の声が聞こえてくる。イーニアは他生徒に囲まれていて、どこでもめているか見えない。
「ほしければ取りにこい!ポッター!」
そう声が聞こえたと思うと1人の生徒が箒で空に上がっていき、それに続くようにハリーも上がっていく。その光景に一部生徒が歓声を上げる。なんでも最初に上がっていった生徒、セル・カローは親がクディッチの選手らしく、今後かなり期待されている生徒らしい。
「箒に触っちゃいけないって言われたのに。」
いつの間にか隣にいたハーマイオニーが心配そうに空を見上げる。2人はどんどん上へあがっていく。ハリーは初めて箒に乗るはずなのに安定して上昇していく。
2人は競争を始めたがハリーに追いかけられていたセルがバランスを崩し、落ちそうになる。彼は思わず手に持っていた何かを離し、ハリーはそれを取りに駆けた。すごい速度で地面に接近していくハリーを見てイーニアは杖を出し、今度はわかるように魔法を唱える準備をした。
しかしハリーは地面すれすれで落下していたものを取り、危な気なく着地した。安堵し、杖を下したと同時に再び歓声が上がりハリーを皆が囲む。上を見ればいつの間にか箒で上昇していたドラコがセルを支えながら下りてきていた。
「ハリー・ポッターァッ!!」
歓声でワイワイしている中、凄まじい声をあげマクゴナガルが駆け寄ってくる。マクゴナガルは少し動揺しながらもハリーを連れていった。
「ハリー大丈夫かしら。」
「罰を与えるって感じではなかったような気がするけど。」
心配しているハーマイオニーにイーニアはマクゴナガルがどこか歓喜しているような感じを取り"心配ないでしょ"と続けた。その後マダム・フーチが戻ってきて特別変わることなく授業を続けた。
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戻ってきたハリーからシーカーになることを告げられる。その話を聞きイーニアはマクゴナガルの表情に納得がいき、ロンは大喜び、ハーマイオニーは退学にならなくなってよかったと安堵した顔をした。
夕食を食べ終わり、ハリーは退学になっていないことを告げるためドラコのところへ向かった。ドラコと話している最中、セルが再びハリーに喧嘩を売りドラコが止めはしたものの、夜中決闘をすることになったらしい。
ドラコやハーマイオニー、イーニアも行くべきではないと止めたが、ハリー行く気の顔だった。
夜中、イーニアは部屋にハーマイオニーがいないことに気が付き部屋を出る。談話室に行くとちょうどハリーたちが出ていくのをハーマイオニーが止めていた。3人はイーニアに気が付く。
「イーニアも言ってやって!」
「イーニア、僕は行くよ。」
ハリーとハーマイオニーが同時に喋り少し困りつつも、ハリーに聞いた。
「どうしてそこまでしていこうと思うの?」
「あいつは…あいつは僕だけじゃなくドラコまで馬鹿にしたんだ。――屑と関わっている哀れな純血だって。」
ハリーは友人を馬鹿にしたことに腹を立てていた。イーニアは嬉しそうに笑う。
「そういうことなら乗るわ。友人を馬鹿にされて黙ってられる程、私も大人じゃないもの。」
「イーニア!?」
止めてくれる相手だと思っていたハーマイオニーはイーニアが賛同したことに驚きを隠せなかった。
「ただ、ハーマイオニーが言うことももっともね。見つかったらただじゃすまない。」
「そうよ!だからこんなバカなことは――。」
「だったらみつからなきゃいいのよ。」
そういった瞬間、イーニアは杖を振ると目くらまし術を唱える。みるみる保護色に染まっていくのを見て驚く3人。"これなら問題ないでしょ?"と言うイーニアにハーマイオニーは何も言えなくなっていた。
4人は忍び足で予定していたトロフィー室へ向かうがそこにはセルはおらず、かわりにフィルチとミセス・ノリスがいた。ひとまずその場から離れ、4人は話し合う。
「どういうこと?」
「騙されたのよ。ハリーがくるのを見越して。」
「ま、そうでしょうね。意地でもハリーを貶めたいみたい―――と、これはドラコだ。」
とても小さく丸めてある紙がイーニアの手元にふらふらと付く。そこには短く言葉が書かれていた。
"行くな。フィルチがいる。"
それを読み苦笑いするしつつ、3人に戻ることを告げる。しかしピーブズに出くわしたので逃げるために移動したところ、ダンブルドアが言っていた例の4階の右の廊下にでて、そのまま鍵が付いていた部屋へ逃げ込んだ。
4人が一息ついているとそこに何かがいた。そこにいたのはよだれを垂らしながらこちらを見ている3頭犬。イーニアは声が出そうなったのを手でふさぐ。しかし残りの3人はそうもいかず大きな声を出した。
「「「うあああああああああああああああああ!」」」
部屋を飛び出した3人を追いかけ、寮へと駆け抜ける。談話室へと着くとそのまま椅子へかける。
「な、なんであんなのがいるんだ。」
「私が知るわけないでしょ。」
「あー、びっくりした。」
「なにがなんだ…疲れたわ。考えるのはまたにして今日はもう寝ましょ。」
さすがのイーニアも自分より大きな犬を目の当たりにして疲労を感じていた。3人も寝ることに賛同し部屋に戻りベットへと倒れ込んだ。
背表紙や生ける屍の水薬の設定はオリジナルです。少しお茶目な部分がほしかったんです。
ネビルを助けるために使った魔法は身体強化魔法。指定した個所の身体強化。もちろん全身に使うこともできます。ドラコがイーニアに届けた紙は授業中に離れた席の相手と会話するためにイーニアが考えた手紙魔法。
皆さんは授業中に手紙で会話している人は周りにいませんでしたか?私の周りは居ましたし、一時は私もやってました。たわいもない会話を文字で書くとどこか楽しいですよね。
オリキャラのセル君ですが今度どう関わらせるは何も考えていません。今回は原作のドラコの行動になりましたができれば自由に動かしたいと思っています。
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感想お待ちしています。