戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない   作:imuka

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画像みて思ったけどトロールってそこまで大きくないんですね。



ではどうぞ。


ハロウィンの戦い

『親愛なるアリシスへ

 月日が流れるのが早すぎでこれ以上歳を取ったら一日なんて一瞬なんじゃないかと悩む今日この頃ですが、早くに感じるのはそれだけ充実しているのだと願いつつ私は元気にやっています。アリシスはどうですか?

 正直な話、電話がないのはとても不便です。手紙なんてほとんど書いたことがないので何を書いていいかさっぱり。最初は”私は元気。珍しい本があったら送って。”とすごく短い文を書いたのだけれどもさすがにそれはまずいと思い、こうして書き直しています。

 さて本題ですが、先も書いた通り本を送ってほしいです。持ち込んだ本のほとんどを読み切ってしまった上に図書館にある本のほとんどが魔法の本だし、3分の1は自宅にあるものだから全部読み切るのにそう時間はかからなそう。なので魔法の本に限らず面白そうな本があったら送ってほしいです。マグルの本でも全然OK。

 寒くなってきてるのでアリシスも体調には気を付けてね。

 あなたの姪 イーニア・シュツベルより』

 

 ペンを置き、伸びをすると手紙を包む。イーニアの梟、スノウにそれを渡し部屋をでた。

 ホグワーツもすっかりハロウィン色に染まりあちらこちらで飾り付けがされている。休日のため皆、仮装したり楽しんでいる。イーニアはというと自分の作った魔法のテストと武術の技の練習などに没頭していた。

 

「うーん、技をかける相手がほしいなー。」

 

 イーニアのストレッチやジョギングに付き合う相手は居たが武術の技の相手は居なかった。無理な注文だとイーニアは考えを止めると別の型に入り、練習していく。

 気が付くと夕方になっており夕食の時間が近づいていた。寮に戻りシャワーを浴びて、大広間へ行こうとするとハリーから手紙が飛んでくる。内容はロンとハーマイオニーが喧嘩をし、ハーマイオニーが怒ってどこかへ行ってしまったらしい。ハリーはロンを宥めているのでイーニアにハーマイオニーを見てきてほしいとの内容だった。

 "喧嘩するほど仲がいいとは言うけど…ちょっと揉め過ぎじゃない?"などと考えつつもイーニアはハーマイオニーを探すことにした。クラスメイトに話を聞くと、トイレいたという話を聞く。イーニアは大広間にあったパンを3つほど持つとトイレに向かった。

トイレに着くとハーマイオニーが個室で泣いていた。ノックをし、声をかける。

 

「ハーマイオニー?」

 

「イーニア?ごめんなさい。今は1人に――。」

 

「パン持ってきたから食べよ?トイレだけど。」

 

「え?」

 

「私は喧嘩の内容は知らないし、ハーマイオニーの痛みが分かってあげられるわけじゃないけど、でも1人は余計に悲しくなるし、お腹が空くともっとつらくなるんだよ。

――私は痛みや悲しみを取ってあげられるわけじゃないけどこれ以上増やすことを防ぐお手伝いはできるんじゃないかな?」

 

 そこまで言うと目を真っ赤に泣き腫らしたハーマイオニーが個室から出てくる。

 

「私、調子に乗ってたのよ。学年トップだからって。だからつい口を出して、きつく当たって、押し付けて、教えるつもりが相手のことなんてこれぽっちも考えてなかった。」

 

イーニアは何も言わずただ聞いている。

 

「嫌われて当然よ。自分勝手な私なんて―。」

 

 その言葉を遮るようにイーニアはハーマイオニーを抱きしめた。

 

「私はハーマイオニーのこと嫌いじゃないよ?むしろ好き。でも少し教えるときは気を付けたほうがいいかもしれないね。――大丈夫、自分で気が付いたもの。相手のことを考えて教えることができるはずだよ。」

 

 ハーマイオニーの抱きしめ返す力が強くなったのを感じイーニアは頭を撫でる。10分ほどイーニアの胸で泣き続けたハーマイオニーはイーニアから離れると落ち着いたいつもの顔をしていた。

 

「私、ロンに謝るわ。」

 

「うん。でも女の子を泣かせたんだ。いかなる理由でもロンには反省してもらわないと。」

 

 少し悪そうな顔をしたイーニアを見てハーマイオニーは笑う。笑っているとお腹の音がなった。顔を真っ赤にするハーマイオニー。

 

「泣いて体力使ったから余計にお腹すいたんだね。夕食、食べにいこ。」

 

 イーニアがくすくす笑いながらハーマイオニーの手を取る。2人でトイレから出ようとすると棍棒を持った大男が入ってきた。思わず2人は息をのむ。

 

「トロール!?」

 

 ハーマイオニーが叫んだのと同時に棍棒が振られる。

 イーニアは"コンフィンス!(強化せよ)" と叫び全身を強化するとハーマイオニーを抱え棍棒を避ける。トイレの個室が壊れ破片が散らばる。イーニアから降ろされたハーマイオニーはイーニアの身体に青光している紋様に驚く。

 

「イーニア!?それは!?」

 

「話は後!今はコイツをどうにかしなきゃ!」

 

 跳躍し、顔に蹴りを入れる。しかしトロールはびくともしない。

 "ウエイト差がありすぎる!"イーニアは舌打ちをしつつ、着地を狙って振られた棍棒をすれすれで避ける。後ろにステップし、間合いの外へ出る。今度はハーマイオニーを狙ってきたので抱え回避する。中途半端なサイズをしているため、これを抜けてトイレから脱出もできない。

 

「ハーマイオニー!一番後ろまで下がって!」

 

 出入り口からあまり動こうとしないトロールに対し2人はトイレの後ろまで下がる。イーニアが助走をつけて蹴り行こうとすると出入り口から声がする。

 

「2人とも無事!?」

 

「生きてる!?」

 

 ハリーとロンの声が聞こえた。トロールもそちらを向く。

 イーニアはその隙を見逃さなかった。"アッケラーティオ!(加速せよ)" と唱え、数歩しかない助走だったがイーニアはさらに加速した速度でトロールを蹴った。蹴りを受けたトロールはよろける。攻撃を受け、再びイーニアたちの方へ向く。今度は出入り口から動き、どんどん近づいてくる。近づいてきたトロールにハーマイオニーは悲鳴を上げるがイーニアは勝ちを確信する。

 棍棒を振りかぶった瞬間にハーマイオニーを抱え"ウォーレ!(飛べ) と唱えると、トロールの上を綺麗に飛び越した。ハリーたちの前に着地し、出入り口から廊下へ出るとトロールの方へ振り向く。

 

「何してんだ!?逃げるぞ!」

 

「イーニア!」

 

「早く!」

 

「大丈夫だよ。」

 

 ロン、ハリー、ハーマイオニーの言葉を無視し、手をトロールに振る。

コンフリンゴ!(爆発せよ)

 イーニアが唱えた瞬間凄まじい爆音とともにトロールが爆発した。廊下にいたハリーたちにも衝撃がいき、こけてしまう。

 

「やっぱり攻撃魔法は杖がないと加減ができないね。」

 

イーニアは手首をくるくると回しながらハリーたちに手を伸ばし起き上がらせる。

 

「い、今のは…。」

 

 あまりのことに言葉もでない3人だったがハリーがようやく言葉を発する。イーニアがどう説明しようかと悩んでいるとマクゴナガル、スネイプ、クィレルが駆けてきた。

 

「これはいったいどういうことです?」

 

 4人を見回し、とても怒っている様子のマクゴナガル。スネイプはトロールの残骸のところへ足を運び、クィレルもそれに続いたがトイレの中の様子を見てへなへなと座り込んでしまっていた。

 

「ハーマイオニーとトイレにいたらトロールが来たので撃退しました。ハリーとロンはそれを知らせに来てくれたんです。食事前にトイレに行くことは伝えてありましたから。」

 

 ハーマイオニー、ハリー、ロンが返事をする前にイーニアが喋り出す。

 

「撃退ってなにを使ったんです?」

 

「コンフリンゴで爆破しました。」

 

「「「ッ!」」」

 

 3人の顔が固くなる。

 

「トイレを壊してすみません。ここで撃退しないと大広間に連れて行くだけなので。」

 

 イーニアがぺこりと頭を下げる。スネイプは中の状態からして間違いないと告げる。マクゴナガルは悩んだ末、イーニアに聞いた。

 

「Ms.シュツベル。なぜコンフリンゴを?」

 

「?」

 

 その質問に首をかしげるイーニア。

 

「爆破魔法が唱えられるなら失神魔法なども唱えられるのでは?」

 

 少し考えたのち"あ!そっか!"と大声を出す。イーニアは倒すことばかり考えていたため完全に失念していた。イーニアは再び"ごめんなさい!"と頭を下げる。

 

「まったく…まあいいでしょう。その勇気と知恵に免じて1人5点ずつあげましょう。怪我がないのなら、寮に戻りなさい。生徒達がパーティーの続きを談話室でやっています。帰ってよろしい。――とMs.シュツベルは校長室に来なさい。」

 

 マクゴナガルは少し呆れつつも生徒の無事に安堵した顔をしていた。

 

「イーニア、談話室で待ってる。」

 

「わかった。大丈夫だと思うけどロンとハーマイオニーお願いね。」

 

「わかったよ。――そうそう、イーニアもう少し考えて動いた方がいいよ?」

 

「どういうこと?」

 

「いや、あの…えーと、そのスカートだからさ。飛んだ時とかに、そのー下着が…。」

 

 そこまで言われイーニアはスカートを押さえると顔を真っ赤にし俯く。沈黙が続き耐え切れなくなったのかイーニアは"校長室!先に行ってます!"叫びと走り出してしまった。

 

「イーニアもあんな反応するんだ。」

 

 ロンが少し唖然としているとマクゴナガルがやれやれといった感じでため息をつく。

 

「彼女も普通の女の子なんですよ。それなのにまったく。」

 

 ぶつぶつ言いながらマクゴナガルはイーニアを追いかけた。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 イーニアは顔を赤くしながら校長室の前で立っていた。後ろからマクゴナガルがやってくる。

 

「Ms.シュツベル。恥ずかしいからと言って廊下を走るのはよろしくないですね。」

 

「ううー…。すみません。」

 

「今回は大目に見ましょう。さ、中へ。」

 

 中ではダンブルドアが椅子に座ってポテチをつまんでいた。

 

「どうかしのかの?ミネルバ。」

 

 マクゴナガルが事情を説明する。

 

「ふむ、コンフリンゴが唱えれることに別段不思議はないがの。

――なぜ杖なしで唱えられる?」

 

「家で練習していた、としかお答えできません。――どうしても知りたければアリシスに聞いてください。私の判断では何も言えません。」

 

 イーニアは少し困りつつもそう返事をした。ダンブルドアはその言葉に"ふむ"と肯くとイーニアをそのまま帰した。

 その後、談話室でハーマイオニーとロンは和解した。もちろんハーマイオニーを泣かしたとしてロンはイーニアに説教を受け、それを見ていた2人はイーニアを怒らしては行けないと心に誓った。

 




アッケラーティオ《加速せよ》物体を加速させる魔法。
ウォーレ《飛べ》イーニアが箒で飛ぶ代わりに編み出した飛行魔法。
オリジナル魔法は一覧でキャラ設定のところへ載せる予定です。



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