ハイスクール右手は×ゴッドハンド   作:S4nobu

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 すまない、タグに原作再構成と設定するのをすっかり忘れていた。すまない。

 3話目と共に追加させていただきました。
 原作をなぞってるようで脱線したりしますので。




俺の右手はゴッドハンド3

 

 

「天野夕麻? 誰だそれ? イッセーの彼女?」

「おいおい、そんなのいるわけ無いじゃん。俺の携帯に写メ? ……イヤ届いてないな。勘違いじゃないか?」

 

 仁が夜中に抱いた予感が現実味を帯び始める。

 彼らには昨日一誠を除く三人で鑑賞会をした記憶しか無かった。どうやらもっとややこしいことになっているようだが。

 

 三人で登校していた時、合流した一誠を見た仁は思わず固まってしまった。

 

(兵藤先輩から人の気配がしない)

 

 当人は謎の身体能力に困惑しているようで望まぬ形での変化のようであった。

 昨日まで人間だったのが人外になる。仁の知る中で可能性は限られていた。

 

 悪魔の駒。

 

 堕天使の総督曰く、これを使えば対象を悪魔に転生させ下僕に出来るという。

 過去の大戦により減ってしまった悪魔達。このままでは滅んでしまうと危機感を抱き、それを解決するために生まれたもの。

 かつては軍団を率いた悪魔も駒による少数精鋭になった。優秀な下僕、特異な能力を持つ下僕を率いるのが悪魔社会において一種のステータスにもなってたりするのは余談である。

 

 ともかく人間だったのが人外に変わると言ったらこれがよく目に付くのだ。

 一誠の気配は、悪魔のそれ。仁がさり気なく観察しているとどうも一誠は自身がどういう存在かは分かってないように見える。

 

(候補としてはリアス・グレモリーと、生徒会長か? でもあの二人が無理矢理悪魔にするわけ無いだろうし……)

「おいジン、聞いてんのか!」

「へ、あ? なんです?」

 

 声をかけられハッとする仁の目に映ったのは、何かの間違いであってくれと焦躁に駆られる一誠の姿。

 

「だから、俺、彼女いた筈なんだ! いたよな!?」

「あ、はい、確かに、天野夕麻って他校の子がいたはずじゃ……」

「ほらやっぱり、いたんだ、いたんだよ俺。でも誰も覚えてないんだ……」

 

 剣幕に圧され、つい口走ったことで項垂れる一誠。その顔は青ざめていた。震える左手が腹部を押さえている。

 ただ事で無い、しかも悪い何かがあったのだと仁は察した。

 幸い、記憶操作は彼自身まで及んでいない。右腕の存在がそういった類いを弾いたのだろう。

 となれば、お人好しの仁は首を突っ込むことにした。普段世話になっているのもある。今こそ後輩が先輩の為に一肌脱がずになんだというのか。

 いずれ一誠の主人であろう悪魔がやってくるはずだが、ここまで精神的に参っている先輩を見ていられない仁はある提案をした。

 

「兵藤先輩、放課後にもう一度会いませんか。俺、もしかしたら先輩の力になれるかもしれません」

 

 

◆◆◆

 

 

 放課後、駒王町を歩き回る仁と一誠。

 それは一誠が天野夕麻と辿ったデートコースだ。

 ああでもないこうでもないと、一生懸命考え吟味したというその道のりは、彼なりに恋人を楽しませようとした努力がついてまわる仁にもうかがえる。

 彼女いない歴=年齢、女心なんて複雑怪奇なものはこれっぽっちも分からない仁から見ても、堕天使であろう彼女が「つまらない」と無かったことにしてフる要素は無い。

 やはりというか、一誠が訪れた記憶はあっても天野夕麻という少女がいた痕跡は残されていなかった。

 

 休む間もなく、掴めぬ幻を追いかけるように歩き続けていると時間が過ぎるのも早い。

 気付けば日は沈み、主婦が夕飯を支度し始める時刻。

 

「次が最後だ」

 

 終始意気消沈していた一誠が静かに呟く。

 ふたりが辿り着いたのは、一誠の記憶がもっとも曖昧になった場所。

 

「最後は、この公園にやってきたんだ」

 

 そこはありふれた公園。

 遊んでいた子供達が、また会う約束を交わし、ふたりとすれ違うように駆け抜けていく。

 笑い声が無くなり、代わりに烏の声が遠くから響く。ふたり以外誰もいない公園は何処か物悲しい。

 

「ここで別れた……。でも、どうやって?」

「兵藤先輩……?」

 

 腹部を押さえフラフラとある地点まで歩く一誠。

 その顔色が次第に悪くなっていく。

 まるで思い出したくない事があるように。

 一度ぎゅっと目を瞑った一誠が、次に瞼を開いたあとなんと表現したらいいか、表情と形容できないような苦悶に顔を引きつらせて仁に振り返った。

 

「どうしよう、ジン。俺、ここで死んだ……」

「先輩!?」

 

 フラリと崩れ落ちる一誠。

 仁は倒れそうな彼を抱き留めると、ベンチの方へ導き座らせる。

 

「死んだってどういう事ですか。先輩、こうして生きてるじゃないですか」

 

 ふるふると首を横に振った一誠の口から出たのは予想外の言葉と、仁のイヤな予感の予想だにしない正体だった。

 

「俺は間違いなく死んだんだ。あそこで、殺されたんだ。夕麻ちゃんに」

 

 初めての逢瀬に対する天野夕麻がした、とびっきり残酷な裏切り。

 一誠の殺害という恐ろしい事態が起きていたという事実に仁は驚いた。

 一方でどうして一誠が悪魔になっていたのかも理解した。

 彼は失われる筈の命を繋がれたのだ。人間ではなく悪魔に転生することで。駒王学園に在学する王であろう悪魔、どちらかに。

 王が転生させた、というよりもしかすると悪魔との契約によるところも大きいかもしれない。

 仁は以前町中で誰かの使い魔らしきものに魔法陣のあるチラシを受け取っていた。一誠もその時偶然所持していたに違いない。そして彼はきっと、最後にこう願ったはず。

 死にたくない、と。

 

(となると、これは天野夕麻には誤算か?)

 

 一誠と付き合った天野夕麻という存在を駒王町から消す。一誠に関しては死んでいるはずだからどうだっていい。明日の紙面に迷宮入り間違いなしな高校生変死事件が飾られるだけ。イレギュラー的に仁は記憶が残るが誤差の範囲だろう。

 悪魔が治める地でなんという大胆な犯行。

 しかしそうはならなかった。他ならぬ一誠自身が打ち砕いてしまった。肝心の一誠が生きてしまっていることで闇に葬られたはずの天野夕麻が浮き彫りになってしまうからだ。

 当事者からすれば、知りたくない現実だったが。

 

「大丈夫、じゃないっすよね……。今から帰れそうですか?」

「悪いなジン。いろいろと、整理したいから……」

「なら落ち着くまで休みましょう。いくらでも付き合いますから」

「ありがとうな」

 

 昨日の夜から始まった記憶の改竄、その真相は分かった。

 しかし何故一誠が殺されなくてはならないのか。悪魔が治める地で堕天使が人殺しなど何のためなのか。新たな謎が仁を悩ます。

 

(あのおっさん、部下の管理ぐらいしっかりしてくれよ)

 

 甚平姿の愉快な中年を脳内でタコ殴りにしていく仁。

 これは合法的に殴る理由が出来たな。今度あった時に地面に埋めてやろう。そこまで考え、ふと、文字通り降ってわいた気配にバッと顔をあげた。

 

「よもや、こんなところで悪魔を見つけようとはな」

 

 地に降り立ったのは、コートを着込みシルクハットを被る屈強な男。尋常ならざる気配を醸し出す男の眼光に射貫かれた一誠は思わず萎縮するが、男の言葉が一誠の口を動かす。

 

「悪魔……? なんだよ、それって俺のこと……、なのか?」

「何をとぼけている。どうやら転生悪魔のようだが貴様、主人は?」

「転生悪魔? 主人? なに、なに訳分からないことを言ってるんだ!?」

「ふむ、よもやはぐれと言うことか? なら丁度いい。暇つぶしに貴様を駆除してやる」

 

 そう言って男の手に生まれる光の槍。

 それを目にした一誠は光の槍に途轍もない恐怖を覚える。あれは触れてはならない。自身の中で知らない本能が、警鐘を鳴らしていた。

 昨日の出来事がフラッシュバックする。

 

『あのねイッセーくん、死んでくれない?』

 

「う、あ……」

 

 身体に突き刺さる光の槍。

 己の命を奪ったものと同じものだった。

 怯える一誠に鼻で笑うコートの男。ゆっくりと近付こうとしてその足が止まった。

 仁が一誠を守るように立ちふさがったからだ。

 

「そこをどけ人間。はぐれ悪魔なぞ庇う理由はなかろう」

「この人は、俺の学園生活に色をくれた人だからな。殺させるわけにはいかないんだよ」

 

 一誠達と話すときのぎこちないしゃべり方と違う、荒っぽい口調。自分より小さい筈なのに、一誠は仁の背中が大きく見えた。一見無謀にしか見えないのに。

 

「ひとつ聞いて良いかコートのおっさん。天野夕麻、この名前に覚えがあるか?」

「おっさ……、ん、んんっ。天野夕麻、ああ知っているとも。知りたいかね?」

「だいたい察しはついてきた。でも、一応聞きたいね。あんたをぶちのめした後でな」

 

 拳を構える仁。その姿にコートの男は笑う。

 当然の話だ。たかが人間がこの身に敵うものか。

 相当身体を鍛えている様だが、逆立ちしたところで越えられない壁があるというもの。それは人間より上位の種族の生まれだから。

 と、見ていたコートの男の目が僅かに見開かれる。

 

 仁の左手に光が集まると、そこに籠手が現れたからだ。

 

「ジン!? なんだそれ!?」

「なるほど神器か」

 

 龍の手。それは使用者の力を一定時間の間二倍にする神器。ありふれたものだが、封印された存在によって力にばらつきがある。成長すれば可能性は広がるだろう。

 それでもコートの男は脅威と判断しない。

 ありふれているからこそ、大抵はたいしたことがないと知っているから。そもまともに成長したのを見たことがない。

 油断しても簡単に対処できる。

 それだけの自信が男にはあった。

 龍の手だって傷だらけ、まともに力が使えるものか。

 負ける要素は、なにもない。

 再びコートの男は歩き出す。

 

「ぶちのめすと言ったな。そんなザコ神器で何が出来ると言うんだ人間」

 

 嘲笑うコートの男を余所に仁は右腕を後ろに引くだけ。

 構えを変えても隙だらけにしか見えない。一誠もどうするつもりだと見守るばかりだ。

 ゆっくりだった男の歩みが早くなる。

 距離は縮まり、もはや走って逃げられない間合いまで近付く。

 

「何が出来るって? てめぇを花火に出来るぜ」

 

 そして、一誠は見た。

 いつ如何なる時も仁の右腕にある謎の拘束具。

 それが独りでに弾け飛び、仁の右腕が制服の袖を吹き飛ばす。

 現れたのは、神々しいまでの輝きを放つ右腕だった。

 仁はラリアットの要領でコートの男に向かって突進する。

 

「!? 速い!?」

 

 コートの男は輝きを見た瞬間、咄嗟に槍を割り込ませた。迫る丸太の如き右腕。しかし槍は右腕を焼くどころか逆にへし折られ、男の身体をくの字に曲げる。

 

「ハッァァ!!」

「ゴハッ!?」

 

 交差する仁とコートの男。

 自動車事故にあったように宙に吹き飛ばされる人影。

 そして――――。

 

「う、ううッ、ウグオアァァーッ!?」

「ハッハァ!!」

「え、えぇ!?」

 

 コートの男の身体が、叩き込まれたエネルギーが爆発する。エネルギーは宙で色取り取りの光となって散っていく。それは夜空に咲く刹那の花。

 紛うごとなき、花火。

 コートの男は、花火となった。

 仁の手によって本当に花火にされてしまったのだ。

 身体の中で暴れるエネルギーに翻弄され、くるくると激しく宙で回りながら。

 仁はと言うと片膝を立ててノリノリでポーズを取っている。弾けていた謎の拘束具が磁石のように右腕に取り付き、輝きを封じ込めて。

 

「汚ぇ花火だぜ。ハッ!」

「グガァァー……ッ! おぅっ!?」

 

 一頻り爆発して落ちてくるコートの男を、仁は飛び上がって回し蹴りを叩き込む。

 男の身体はピンボールの如く、勢いよく水平にすっ飛んでいくと公園の電柱に激突して地面に倒れ臥した。

 

「左手使ってねぇ……」

 

 一誠のツッコミに仁は答えない。

 驚くにしてももう少し正しい驚き方があるような気がするし、なんとコメントしていいか、一誠には分からなかった。

 

「ぐ、ぐぅ、なんだと言うんだ今のは……。龍の手には、あんな力……。いや、あれは神器の力ではない。貴様、一体なにもンガッ!?」

 

 ぶすぶすと身体中から煙をあげ

 顔に振り下ろされる靴底が男の口を塞ぐ。

 一回だけではない。何度も何度も。それもかなり本気で。

 時に踏みにじり、或いは雑に蹴り付けたり。

 仁は悪ガキ染みた笑みで男に追い打ちをかける。

 

「が、や、やめ、ぐふっ、ぎ、ま、まて、待って、ぐへ、待てって、あば、おねがい! やめて!」

「ひ、ひでぇ。ジンってオリヴィア相手にはドMなだけで本当はドSだったのか……」

 

 なんだか可哀想。

 そう思った一誠だが、さっきはコートの男に殺されかけたわけだし、生き生きとしている仁の姿を見てその考えはぶん投げた。ならばかけるべき言葉は制止ではない。勝利を願う応援であろう。

 

「いいぞジン、もっとやれ」

「了解っす先輩!!」

「お前は止めさせろぉ! うごっ、げはっ、こんな、こんな戦いあってたまるかぁ!! あば、あばばばばばっ」

 

 加速する踏みつけ。本来ならばはね除けることは容易いはずなのに。人間にあるまじき怪力が、人外の肉体へ着実にダメージを与える。

 

「く、うぉおぉっ!」

「あっ」

 

 このままではチンピラの喧嘩のような蹴りで倒されてしまう。

 それだけは絶対に嫌だと男がとった行動は実にシンプル。ただ横に転がるというだけ回避運動。その試みは踏みつけから逃れる最適解であった。無様に転げた後は、身体に渇を打ちフラフラと立ち上がる。

 サンドバッグを失った仁の足はズンと土煙を巻き上げ空振る。

 

「おのれ、このドーナシークにこんなっ、こんな泥を塗るとは! 生かして帰さんぞクソガキ!!」

 

 赤子の手を捻るに等しい手合いの筈が、花火にされ、蹴り飛ばされあげく足蹴にされる。

 コートの男、ドーナシークの紳士然とした姿は何処へやら。湯気がでそうなほど顔を真っ赤にして怒り狂っている。

 対して仁の顔は相変わらず悪ガキ染みた笑みで、しかも余裕そうにフラフラとステップを踏んでいるだけ。

 それどころか手を叩いて煽る始末。

 

「こ、ここっ、殺すぅぅ!」

 

 背中から翼を広げるドーナシーク。

 一誠は目を擦ったり頬を抓ったりして見ているものの真偽に困惑していた。人間から翼なぞ生えるものか。

 だけど、男の背中にある翼は確かに存在している。

 

「ジン!」

 

 一誠は叫ぶ。

 あんな恐ろしいものと戦うつもりなのかと。

 さっきのような舐めた衝突ではない、本当の戦いに後輩が己が身ひとつで。

 仁は答えない。

 ただ彼は、慣れっこと言わんばかりに自ら駆けだしていく。

 

「絶対に許さんからなクソガキめ! お前が何者だろうと、この手で八つ裂きにしてくれるわ!」

 

 ドーナシークは両手に槍ではなく、剣を生みだして飛び込んでいった。

 仁の拳が握り込まれる。

 堕天使を迎え撃つために。

 

 






 ちなみにこれまでと次の4までがプロローグ兼チュートリアルだったりします。

 次の4を投稿したら章分けしていく予定になります。

 今回のドーナシークはステージ1の雑魚……ではなく、闘技場前に置かれてる試技用の木人ポジです。

 しなちくはどんなゴッドリールか確認したくてよく相手して貰ってました。かっこいい技に喜んだり、「!?」ってなったり。

 きっと同じ経験した人はいるはず。

 分からない人もいるかもしれないのでここで解説すると、2のゴッド☆土下座、今回の仁がドーナシークにした仕打ちは実際にゴッドハンドで出来てしまいます。
 基本格好良く敵を殴り倒していく作品なのに酷いゲームですね。(褒め言葉)

 仁が使う技は実際にゴッドハンドで登場した技になります。
 オリジナルの技を出す予定は現在無いのでこんな技出して!って期待からはずれます。すいません。



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