今回、艦娘が沈んだりしますので、嫌な方は読むことをお勧めできません。
あとネクスト二人目も登場!
後でイラスト載せます。
1
静まり返った鎮守府に雨音が響く。
雨の日は昼であっても暗く、調子が上がらない人も多いだろう。
しかし彼女は、時雨は雨が好きだった。
落ちて来る雨はまるで自分の悲しみを洗い流してくれるように思えるのだった。
「もう二年前か・・・」
そう言って時雨は過去を思い出す。
あの日も今日と同じように雨が降っていた。
「提督!深海棲艦の襲撃です!」
提督室内にいた提督に大淀から伝えられた言葉。
「敵戦力は?」
提督が大淀に尋ねた。
「報告によれば駆逐棲姫を中心とした駆逐艦で構成されていますが、数が多すぎます。艦隊が海上で迎撃していますが、限界があります」
「どうすればいいんだ・・・!」
提督は拳を強く握りしめた。
「他の鎮守府からネクスト戦力の援軍を呼んでみてはいかがでしようか?」
「仲間を・・・家族を守るために、有害な力を受け入れなくてはいけないのか!?」
「ですが!」
提督の言葉に対し大淀は強く反発したが、少し黙ってから言った。
「もう我が艦隊は持ちません。ネクストに頼らねばもう・・・」
「俺は認めん。あんな兵器、許される物ではない」
「では、この鎮守府は廃棄ということでよろしいでしようか?」
「致し方ない。総員に避難を開始させろ」
「了解しました。総員にそう通達します」
そう言って大淀は提督室を後にした。
「ここももう終わりか・・・」
提督は腕を組み、机に顔を伏せた。
ネクストなどに頼ってはいけない。
あの兵器はだけはと提督は繰り返した。
提督室の窓の外に深海棲艦の航空機の影が現れる。
航空機の機銃が弾丸を吐き出し、ガラスを突き破って提督に吸い込まれる様に命中する。
「ネクストはまだなの!?」
白露が叫ぶ。
敵艦に完全に囲まれた。
圧倒的物量で艦隊の仲間達が次々と水底へ沈んでいく。
「時雨!そっちは!?」
また白露が叫ぶ。
時雨が答えようとした時、白露の最期の言葉が耳に飛び込んで来る。
「うそ・・・私、沈むの・・・?」
時雨が振り返ってもそこには白露の姿は見えない。
周りを見回しても誰もいない。
時雨一人である。
その時鎮守府の方角から大淀の声で総員の避難が伝えられる。
それを聞いて時雨は鎮守府の方向へ急いで向かった。
水柱の上がる海上、鉄と炎の臭いが纏わり付く。
鎮守府へ足を急がせる時雨の前に突然駆逐棲姫が現れた。
「春・・・雨・・・?」
その姿は以前の戦闘で沈んだ筈の春雨と酷似していた。
時雨は駆逐棲姫に歩み寄り、駆逐棲姫は歩み寄る時雨に砲を向けた。
時雨は立ち止まった。
その目には涙が浮かんでいた。
駆逐棲姫は依然として砲を時雨に向けている。
「何をしているんですか!」
そう言って霧島が駆逐棲姫を蹴り飛ばした。
「ボサッとしてないで早くしてください。生きますよ」
そう言って霧島は時雨の手を引いて鎮守府の方向へ向かう。
「後はシェルターに移動して、生存者の確認をしなくては」
そう言って大淀は指令室を後にした。
暗い廊下を走り抜け、シェルターに向かう。
ここの鎮守府のシェルターは建物の外に入口があった。
大淀がシェルターの入口の前まで行くと霧島が時雨の手を引いて走ってきている。
「恐らくこれが最後です!」
霧島は大淀にそう叫んだ。
「了解しました!提督に伝えてきます」
そう言って大淀は提督室へ向かう。
時雨はシェルター入口付近で立ち止まり、空を見上げた。
嫌な予感がした。
上空にネクストが見えた。
外見は白と金色で塗装されており、ライフル、レーザーライフル、ミサイル、レーザーキャノンを装備しているように見える。
自分とそのネクストが対峙するその光景はまるで、神と人間のように思えた。
ネクストがシェルターにレーザーを放った。
時雨の背後から強い爆風が襲い掛かる。
爆風により時雨の体は地面に強くたたき付けられた。
シェルターの方向を向けばそこには瓦礫しかなかった。
そして、時雨の足元には先程まで自分の手を引いていた、霧島の手が転がっている。
「お前が!お前がやったのか!」
時雨はネクストに向かって叫ぶ。
「僕は絶対に忘れない!絶対に!」
時雨は右手をネクストへ伸ばそうとしたが、その手は動かなかった。
2
そうだ、この右手はただ一人生き残った自分の罪なのだ。
時雨は自分の右手を見つめた。
クラースナヤの戦闘をモニター越しに見ていた時、時雨は自分にもあんな力が欲しいと思った。
自分に力があれば仲間を救えたのかもしれない。
しかし、今の時雨では戦うことはできない。
あの時よりも無力なのだ。
「やっぱり無理なのかな・・・」
そう言って時雨は窓の外を眺める。
すると一人の少女が倒れていた。
驚いた時雨はすぐに外に出て、少女の下へ向かった。
時雨がその綺麗な青い髪の少女の前に立つと、その少女は立ち上がった。
「ここは?」
その少女は時雨に尋ねた。
「ここは鎮守府だよ。君の名前は?」
「あぁ、私セレブリティ・アッシュ。よろしくね」
そう言ってセレブリティ・アッシュは手を差し出した。
時雨はしの手を握り、軽く握手すると鎮守府の中へ入るように言った。
「詳しい事は鎮守府の中で聞くからね、着いてきて」
「あぁうん」
時雨はセレブリティ・アッシュの手を引いて室内へ向かった。
鎮守府の中で一番綺麗な提督室で、史紀、時雨、セレブリティ・アッシュの三人が向かい合って座っている。
「要するにお前は鎮守府が襲撃されて逃げ出して来たということだな?」
セレブリティ・アッシュは頷く。
時雨は何やら暗い顔をしている。
「その鎮守府はどうなったのか分かるか?」
「多分私が最後の生き残りだと・・・」
時雨は自分に似ていると心の中で呟いた。
「私にもっと力があれば!私はヒーローに・・・!」
セレブリティ・アッシュは泣きながら言った。
ヒーローになりたい。
それがセレブリティ・アッシュの夢だった。
しかし、仲間一人守る事のできなければヒーローになんてなれない。
セレブリティ・アッシュはそれが悔しくて涙を流しているのだ。
「まぁ、落ち着け、お前のことは俺が何とかしてやる。まずは泣き止めって」
そうは言ったものの史紀にとってこれはかなり難しいことだった。
それはネクストを鎮守府で運用するに当たって、厳守せねばならない『ネクスト運用法』という法律があるからだ。
鎮守府は1機以上のネクスト戦力を保有してはならない。
詳しい理由はわからないが、これは全世界共通らしい。
この鎮守府は既ネクスト戦力であるクラースナヤを保有している。
そして、憲兵にセレブリティ・アッシュの存在を隠すのは困難を極めるだろう。
だが、そんなことよりも今は更に重要な問題がある。
セレブリティ・アッシュの話によれば、敵戦力が彼女を追ってこの鎮守府へ向かっているという。
「とりあえず、セレブリティ、俺は面倒が嫌いだ。アッシュでいいな?まずはお前の可能性を俺達に見せてみろ」
史紀はそう言って提督室を後にして指令室へ向かった。
提督室の扉を開けたとき史紀は時雨にクラースナヤに準備をさせるようにと言った。
「それじゃあアッシュ、行こうか」
そう言って時雨はアッシュに手を差し出した。
アッシュは涙を拭い、時雨の手を掴んだ。
「なるほど、貴女がこの鎮守府の新たな戦力ですね。期待しますよ」
カタパルトに足を固定しながら、クラースナヤは言った。
「自分で言うのもなんだけど、役に立つと思うわ!」
アッシュは自信満々にクラースナヤに言った。
「そう思うでしょ?あなたも。思わないの?思ってるんでしょ?」
アッシュは時雨に尋ねたが時雨は苦笑いするだけだった。
「なるほど・・・」
クラースナヤもこれを見て何かを察し、苦笑いした。
「じゃあ僕は指令室に行くね。作戦の内容は後で連絡するよ」
そう言って時雨はその場を後にした。
OBの音を響かせ、二人のネクストが海上を突き進んで行く。
普通ではありえない光景だ。
作戦の内容は鎮守府近海に出現した敵戦力の殲滅。
敵の戦力は駆逐イ級のみと、ネクストで相手するような戦力ではない。
しかし戦闘可能な艦娘がいない、この鎮守府では仕方のないことだった。
『もうすぐ敵艦隊と接触するよ。交戦可能な距離に入ったら撃ってね』
クラースナヤ達の目の前に敵艦隊が見えた。
「さぁ、狩りの時間だ」
「普段通りにやれば問題無いさ」
クラースナヤとアッシュがOBで敵艦隊の正面へと突っ込んで行く。
この戦いについて史紀はクラースナヤにアッシュの実力を確かめるための戦いでもあるといった。
彼女の実力を確かめるにクラースナヤは自分の力を抑えた。
『敵艦隊は駆逐イ級が6隻、左右に3隻ずつの配置だよ』
「さて、彼女はどれほどの実力の持ち主なのでしょうか」
そう呟いてクラースナヤは右側の3隻へ体を傾けた。
駆逐イ級の砲撃にさらされる。
が、しかしこの程度の攻撃はどうという問題ではない。
クラースナヤに向かった砲弾はPAにぶつかり、爆発する。
PAに纏わり付く黒煙の中からライフルの弾丸が駆逐イ級の砲身に吸い込まれるように命中し、炎を吹き出させる。
「1、2、3」
小さく数を数えてクラースナヤは右側の駆逐イ級を殲滅した。
この程度の相手、ネクストなら何も問題ない。
そう、何も問題ない筈なのだ。
「うわ!?無理よこんなの!」
悲鳴を上げながら駆逐イ級3隻にアッシュは追いかけ回されていた。
「きゃあ!」
駆逐イ級の砲撃に何度も被弾したアッシュのPAが減衰する。
さらに、身を守る物を失ったアッシュにいくつもの砲弾が直撃する。
「痛い、痛い!」
アッシュは涙を流してクラースナヤに助けを求めた。
クラースナヤはため息をつき、OBの咆哮を上げ駆逐イ級に向かっていった。
アッシュを追いかける駆逐イ級の真後ろから、内蔵されたブレードの刃を形成し3隻同時に切り裂いた。
「クラースナヤちゃん怖かったよぉ!」
アッシュが泣きながら勢いよくクラースナヤに抱き着く。
「まったく・・・あの威勢はどこへ行ったのやら」
自分に抱き着くアッシュに呆れたように言い、静かに頭を撫でた。
戦闘区域から離れたある場所で一人の男が双眼鏡片手に誰かと通信をしている。
「旧空巣鎮守府にて2機のネクストの戦闘を確認した。これはネクスト運用法の違反であります」
『少し様子を見てみよう。そこの新提督が倒れたとき、例のプロジェクトを始めるよ。君は監視を続けてくれ』
「国連、企業連全体の意見ということで宜しいのでしょうか?」
『あぁそうだよ。財団としてもこのプロジェクトには大賛成だ』
「了解しました。では、そのように」
男は通信を終了し、タバコを吸い始める。
「全く、面倒な事になったな」
そろそろ戦える艦娘をちゃんと出したいですね。
何がいいでしょうか?
間違いないなどあれば指摘していただけたら嬉しいです。
また、設定などもわからない所があればコメントで捕捉するので、遠慮せずに質問してください。
それではまた次回