大森林〜くさタイプヘイトの俺がくさタイプ一筋になった訳〜   作:ディア

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まさか、まさかの1ヶ月三回投稿だぁぁぁっ!

こんなにモチベーションが上がったのもウルトラホール・ワープライドとかいう色違い入手システムのせい。
一番色違いが出にくい穴でも1%──ちなみにひかるお守り持ってかつ、呼び出し連鎖でどんなに確率を上げても1/273──は色違い。最高で36%だから、つまり9/25で呼び出し連鎖の90倍以上の確率で色違いが手に入るシステム……手に入れられるポケモンが限られているとはいえ如何にぶっ飛んだシステムかわかりますね。


第17草

 トバリジム。ジム施設とは思えないほどかなりボロいそのジムに俺達は来ていた。

 

「とてもじゃありませんけれど、ゲームコーナーがある街のジムとは思えませんわ……」

 

 エリカがそれを見て絶句してしまう。普通ゲームコーナーがある街は大都市と呼ばれるようなところで、ジムもボロくない。しかし目の前にあるこのジムは例外中の例外。ボロクソと言っていいほどボロだ。ボロボロだ。大事なことだから何度も言わせて貰った。

 

「これは……一体どんなジムの経営をしたらこうなるのかしら? 経営が下手な私でもここまで酷くならないわ」

 

 ミカンですらも信じられず、唖然としてしまう。いやまあ原作にも穴が空いていたりはしてたけどさ、いくら何でもここまでボロく表現されていなかったから俺としても予想外なんだがな。確かに一部ホラーな表現が緩くされていたのも知っているけど、ここまで予想を超えると何も言えなくなってしまう。……やばい、ホラーな表現と聞くだけでシオンタウンの音楽が脳内に流れてくるぅぅぅっ! 

 

 

 

「とにかく入りましょう! お姉様、ミカン」

 

 脳内に流れるシオンタウンの音楽を少しでも消そうと二人に急かしてジムに入る。

 

「そうですわね。見た目よりも中身が大切ですわ!」

 

 いや一言も言っていないからな? 

 

「どんなジムなのかしら?」

 

「かくとうタイプの使い手だよ、ミカン。パンフレットにかくとうタイプのジムって書いてあるじゃん」

 

「本当ね……」

 

 ミカンがそう呟くとジムからピンクの特徴的な女の子が出てくる。

 

 

 

「コスモ君来てくれたんだ」

 

「あ、スモモさん。こんにちは」

 

「はい、こんにちは。ところでこの二人は?」

 

「コスモの保護者にして姉のエリカと申します。本日は弟がお世話になるようですのでこうして見学させに頂いた訳ですわ」

 

「アサギジムのジムリーダーのミカンです。かくとうタイプがどのようなものか見学させて頂きますけどよろしいかしら?」

 

 二人が少しでも良い印象を与えようと猫を被る。ミカンはまだ良いとしてもエリカのはもう猫まんまじゃん。そんなことを考えているといきなり脳を揺らされ、意識を半分失い膝をつく。

 

「あらあら、コスモったら貧血かしら? 仕方ありませんわ」

 

 エリカが胴体を抱え、そのまま俺を前に担いでお姫様抱っこをした。

 

「エリカさん、そういう運びかたはコスモが可哀想でしょう。もう少し男の子が喜ぶ運びかたを考えないと……」

 

「いえ、私たちに見られる程度で貧血を起こすこの弟にはお仕置きが必要ですわ。そのお仕置きがこれです……良いですわね? ミカンさん」

 

 貧血を起こしたわけじゃないからな! 悟り並みの読心術で心を読まれただけだ! そう反論しようとしても意識が半分飛んでいるせいかこの身体を動かせない。

 

「マチスさんの時は緊張しなかったと思いますけど……」

 

「良いですわね?」

 

 意識が半分失ってもよくわかる。エリカが目を笑わせない笑顔でミカンに迫るその様子が。

 

 

 

「それでは私が担ぎますよ。エリカさんの華奢な身体つきじゃ辛い筈ですよ」

 

 第三者、いやこの声はスモモか? 確かにこの体勢は精神的にダメージが来るから有難い。是非ともお願いしたい。

 

「ダメです! 私がやります!」

 

 断らないでくれよそこは。このままだと……

 

「キャアッ!?」

 

 ほら言わんこっちゃない。変なところでおっちょこちょいだからこうなるんだ。人形のように放り投げられた俺は自然とスモモに抱えられるような体勢になった。

 

「ミカンさん、エリカさんを手当て致しますのでジムまで運んでくれませんか?」

 

「わかりました」

 

 常識人二人がタマムシの二人を運ぶ。しかし身体を鍛えているスモモが俺を運べるのはわかるが、鍛えてもない華奢なミカンが俺よりも重いエリカを運べるのはあり得ないと思うんだが。それともアレか? ここの世界の住民は何か謎のパワーでも与えられているのか? 俺はその身体能力を犠牲にしてチートを貰った──というかほぼあの神の強制──んだから何も言えないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 数分後。エリカに頭を揺らされただけだったが、病状が二日酔いそのものでまともに歩けずに千鳥足をする有り様だった。

 

「その調子でジム戦大丈夫ですか?」

 

「すみませんが、もう少し待って貰えます?」

 

「じゃあ、それまでの間お話しましょう!」

 

 スモモが笑顔で手を叩き、黒一点のガールズトークを始めた。

 

 

 

「コスモ君達は確かカントーの出身ですよね? タマムシはどんな街なんですか?」

 

「タマムシ……あそこはトバリと同じくゲームコーナーがある街でカントーでは一番の街ですよ」

 

「そっか。そんなところから来たんですね。もしジム戦が終わったら一緒に街を歩きません?」

 

「そ、んなことは許しませんわ」

 

 それまで無言でいたエリカが口を開き、反対する。エリカは俺よりも早く回復していたがミカンにおぶられたのが相当嫌だったのか不機嫌。何か八つ当たり出来るものがあればすぐにでも八つ当たりさせるんだがサンドバッグくらいしかなく、それをしたらサンドバッグの原型がなくなるくらい不機嫌になるだろう。

 

「お姉様?」

 

「いくら私が弟離れしていないと言われようともまだ可愛げのある子供を見守るのは姉である私の役目ですわ」

 

「そういうことでしたらエリカさんも一緒に行きましょうよ!」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

 エリカが戸惑いの声をあげるとスモモも同じく戸惑いの声をあげる。ミカンがこれまでエリカを突き放すような事ばかりしてきたからスモモの善意にエリカは戸惑ってしまったんだろう。

 

 

 

「……止めませんの?」

 

「何をですか?」

 

「私とコスモを一緒にさせるのを」

 

「? 別に止める必要なんてないはずですよ。それより皆でワイワイ騒いだ方が楽しいに決まっているじゃないですか」

 

 汚れきった俺達姉弟には眩しいくらいスモモが優しいっ! なんで人はここまで優しくなるの!? 

 

「じゃあ私も一緒にお願いします」

 

「もちろんいいですよ」

 

 ミカンの参加表明にスモモが笑顔で頷く。

 

「ところでミカンさんの住むアサギはどんな街で?」

 

「田舎ですよ。ジムがなければタウンに降格させられてもおかしくないくらいに」

 

「それはまた……しかしどうしてそんなジムリーダーがコスモ君と共にしているんですか? エリカさんは姉だからと言うのはわかりますが」

 

「コスモのジム戦を全て見届けたいからですよ」

 

「どういうことですか?」

 

「コスモのポケモンバトルはくさタイプ使いとしては珍しい戦い方で、そこにいるエリカさんの攻略法の参考になるのではないかと思いまして」

 

「エリカさんも同じような戦法を?」

 

「いいえ。あのような真似はジムリーダーとしては出来ませんわ」

 

 エリカが首を横に降って否定する。そりゃそうだ。あんな戦い方はジムリーダーとして真似してはいけない。俺のチートは由来通りのズルだ。どれくらいズルかというとカンニングと同じく不正行為であり、決してあってはならないものだ。世界が崩壊するとも言っていい。俺を転生させたあの神はやはり有能だったんだな。

 

 

 

「お待たせしました。ようやく体調の方も回復してきたのでジム戦をお願いします」

 

「そうですか。ではコスモ君、ジムバッチは何個持っていますか?」

 

「カントーのジムは二つ。他はありません」

 

 エリカから貰ったレインボーバッチとマチスから貰ったオレンジバッチをスモモに見せる。

 

「ということですので、ポケモンリーグの規定によりトバリジムジムリーダー、つまり私スモモは道具なし、特定のレベルのポケモン三体のシングルバトルをすることを誓います!」

 

 スモモがそうお辞儀をして、気合いの叫び声をトバリジムに響かせる。こうして俺の三度目のジム戦が始まった。




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