(僕は、いつも一人だった。)
「明日から学校だ・・・」
(僕の名前は長田昂生、明日から高校2年生になる、いわゆる男子高校生だ)
彼は学校が嫌いだった。
高校入学して一年、友達が誰一人出来なかった。そう、彼は「ぼっち」だったのだ。
「クラス変わったら友達できるかな。今更明るいキャラとかなったらおかしいよな・・・」
そして、次の日の朝。
「遅れるよ!」
母が部屋のドアを蹴った。
(そうか、今日から学校じゃん・・・)」
しかも天気は雨。ネガティブな要素満載の朝だった。
リビングのテレビは めざましテレビ。画面には軽部。
占いも昂生のみずがめ座は9位。何とも言えない朝だ。
そして7時10分。
(もう出なきゃ)
片耳にイヤホン、キュウソネコカミの曲を流して
「行ってくる」
昂生は自転車通学だった。カッパを着て、暑苦しい中自転車をこぎ始めた。
頭の中では学校についた後のイメトレをしていた。
(どんな顔で教室に入ろう。 挨拶されたら・・されないかな・・むしろ自分から?・・・)
とにかく、頭が正常に機能していなかった。
そして、校門前の信号。信号は赤。視線の先には教師、挨拶当番の生徒数名。
(とうとうついてしまった。青になったら自転車漕いで、あそこ通るんだなあ)
信号が変わった。昂生は自転車をこぎ始めた。
(もう、引き返せないんだ)
覚悟を決めた。
「おはようございます」
校門前に立つ教師と数人の生徒が言った。
「おはようございます」
言えたらよかった。言うつもりだった。ただ、声が出なかった。
(最悪だ。無視したと思われたかも・・・)
なぜ声が出なかったのかわからなかった。もちろん、ちゃんと挨拶するつもりだった。
(まあいいか。問題はここからだもんな。)
そう、昂生はどんな感じで教室に入るか。そこが一番心配だった。
(下向きっぱなしだと変な奴だと思われるよな。でも正面向いてて誰かと目が合ったらどうしよう。)
どんな感じで教室へ入り、どういう流れで自然に席につけるか。
(ダメだ、今日はダメだっ)
昂生は教室でなく、保健室へ向かった。
保健室へいき、寝て、初日を終わらせようと思ったのだ。
(明日から本気出せばいいや・・・)
昂生は逃げ出した。
ただ、昂生は自分の都合のいいところでポジティブだった。
(時には逃げるのも大事だよな)
そう、本当に自分に甘かった。
昂生はその日を保健室で過ごした。
そして下校時間。帰れると思った。だが、違った。
<コンコン>
保健室のドアを叩く音がした。
昂生のクラスの担任だった。
「長田君だね?調子はどう?
「よくなりました。すいません。」
「そうか。あのさ、帰る前に教室よってくれないかな?春休みの宿題だけ出してってもらえる?」
(そういえばだしてないっけ。)
「すいません。わかりました。」
昂生は、教室へ向かった。二年生の新しい教室は3階だった。一年の時は4階で、上り下りの際、ほかの生徒とすれ違うのが苦痛だった。
(ちょっとましになったな。)
そんなことを思いながら教室についた。
教室は電気がついていた。
(先生つけっぱなしにしてったのか)
そう思った。
教室をあけると、そこには宿題をやっておらず居残りだった数名の生徒がいた。
(最悪だ。)
目先の光景に、冷や汗が出てきた。