怪盗団の日常   作:藤川莉桜

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お久しぶりです。結局真の話は難産になったので、勢いがついた別の話を投稿させて頂きます。ちなみにモチベーションとキャラをもう一度把握するために三週目を始めました。
怪盗団名は「おにんにん♂ランド開園☆」
もし遭遇したらよろしくお願いします。


高校生クイズ選手権 –前編–

「「「高校生クイズ選手権!?」」」

 

 放課後の秀尽学園高校生徒会室で、少年少女達の素っ頓狂な叫び声がこだました。本来、生徒会室といえば生徒会長と共に生徒達の模範となるべく日々邁進する優等生が集っているはずなのだが、今ここに揃っているのは到底真面目とは言い難い問題児ばかりである。

 

 数多くの男を誑かしていると噂される魔性の女。

 一度暴れ出したら手が付けられない、教師をも恐れぬ暴力の権化。

 そして極め付けに、傷害事件を起こした前歴持ちの極悪人。

 

 そんな評価もといレッテルを貼られている彼らが呼び出された。既に生徒会長とは懇意の仲とはいえ、いったい何が始まろうと言うのか。 

 しかし、内心にそんな不安を抱えながら部屋に入った彼らを待ち受けていたのは、これまた予想のつかぬ頼み事であった。

 

「ええ、文字通り各地の高校生が集まってクイズ対決を行うの。秀尽にも申し込みが来たんだけど、なんだか断れなくて……お願い!私も一緒に行くから出演して!」

 

 両手を合わせて申し訳なさそうに懇願する生徒会長の真。面食らったままの竜司と杏は互いに顔を見合わせている。

 

「いや、そりゃテレビでそういうのやってるっつーのは知ってるけどよお」

 

「よりにもよって、なんで私達なわけ?あれって学校でも頭が良い人達が出るものなんじゃないの?」

 

 実際、決勝戦に残るのはいつも誰もが知っているような有名進学校ばかりである。彼らはその中でも特に知識や読解力に長けた非凡な才の持ち主だろう。

 勉強は得意な部類に入るメガネの少年はともかく、補習常連に名を連ねる杏や竜司の成績は決して褒められたものではない。むしろ下から数えた方が圧倒的に早い。そんなメンバーを無理矢理出場させたところで到底敵う相手とは思えない。

 いささか自虐めいてはいるが、他に適任者がいるに決まっているだろうというのが竜司達の感想だった。

 

「それがね。今年の出場希望者がゼロだったから、一応成績優秀者には片っ端から声かけてみたんだけど、全員首を縦に振ってくれなかったのよ」

 

 秀尽学園高校は都内でもそこそこの進学率を誇る名門校ではあるが、反面積極的に目立つのを嫌う、事なかれ気質の持ち主が多い傾向にある。特に最近は教師陣の不祥事を初めとしたスキャンダルが多発していたためか、悪目立ちしないよう皆息を潜めて生活しているかのような空気が充満していた。

 

「んで、他にあてがないからウチらにってわけ?」

 

 杏は盛大にため息を漏らした。決して頭の出来がよろしくはないと自覚はしているが、面向かって消去法で選ばれたと言われるのは辛い。

 

「そ、そんなつもりじゃないんだけどね!ただ、私ってその……気軽にこういうのを頼める友達が他に全然いなくて……生徒会の子達にも結局断られちゃったし……」

 

「おう、なんか容易にその光景が目に浮かぶぜ」

 

 メガネの少年のカバンに隠れていたモルガナは顔を引きつらせている。ただの優等生から卒業を宣言したとはいえ、人間そう簡単に変われたら苦労はしない。それは真も例外ではなかったようだ。

 

「無理して勝とうだなんて思わなくていいのよ。ただ、一応予選に出てくれたらいいから」

 

「おいおい……それでいいのかよ」

 

 蚊帳の外のモルガナですら冷や汗を流す投げやり感に満ちている。

 ふと、杏と真の視線が重なった。

 

「いやいや、ムリムリムリムリ!絶対ムリ!私クイズとかそういう頭使うのマジでムリだから!」

 

「……みんなこの調子なのよね」

 

 すがるような真の視線が今度は男子二人に向けられた。

 

「いや、俺だってめんどーなのは嫌に決まってんだろ!だいたいよお、そんなん春にでも頼みゃあいいだろ。あいつなら二つ返事で真の助けになってくれんじゃね?」

 

 真は眉を八の字にして首を横に振った。

 

「もうとっくの昔に頼んでるわ。春は当日に自分の用事があるのよ」

 

 よく考えれば、あの真が春の存在を忘れてしまうわけがない。あてが外れた竜司は隣の少年にそっと目配せした。

 

「なあ、どうする?正直すげーかったりぃけど」

 

 少年の答えは既に決まっていたようだ。なんの迷いもなく首を縦に振った。真には既に色々と助けになってもらっている。そんな彼女の頼みを断われるわけがなかった。

 勿論、竜司も少年のそんな義理堅さを既に熟知していた。やれやれと頭を掻きながら天井を見つめている。

 

「……しゃあねえ。俺も付き合うぜ。まっ、ちょろっと出てさっさと終わらせりゃいいんだろ?つーか問題解くのはお前と真に任せるわ」

 

「ありがとう二人共!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一週間後の日曜日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クイズ大会当日。水道橋にあるドーム内では無数のクイズ大会出場者達でごった返していた。

 

「うっひゃー、こんなに参加する奴がいんのかよ!」

 

「当然よ。出場する高校だけでもいくつあると思ってるの」

 

 竜司は感嘆し、真は出場校のリストを眺めながらため息を吐いた。

 辺り一面人、人、人。まるで蟻の巣に迷い込んだかのような光景は圧巻としか言いようがない。日本最大にして世界でも名だたる大都市東京でも、ここまで人が大勢集まる事は稀だろう。

 

「ほんとすげえ人の数だ。フタバは付いてこなくて正解だったな。あの引きこもりがここにいたらきっと卒倒しちまうぜ。ていうかワガハイもちょっと軽くグロッキー……」

 

 モルガナはメガネの少年のリュックサックから顔だけをひょっこりと出しながら、ゲンナリとした面持ちで愚痴を漏らした。なんせ、いつもに増してぎゅうぎゅう詰めの電車に揺らされ、会場に着いてからも人の群れを掻き分けて進んできたのだ。ここに至るまでリュックサックの中にいたモルガナは、当然何度もボコボコにされる羽目になった。

 

「おいアホ猫。ここで吐くんじゃねえぞ」

 

「だからワガハイは猫じゃねえ!」

 

「調子悪くてもそこだけは譲れないのね……」

 

 相変わらず喧嘩を始める竜司とモルガナ。ここに来るだけで疲れてしまった真は止める気力もわかず、ただ呆れるしかない。

 

「あれ?もしかしてあれって祐介じゃない?」

 

 杏が指差した先には一人の他校生がスマートフォンを弄っていた。

 女性以上にすらりとした痩躯の長身、そこんじょそこらの芸能人よりも遥かに整った顔立ち、それでいながら人を寄せ付けない何処か浮世離れした空気。あの存在感を出せる少年が二人といるはずがない。

 

「おーい!祐介〜!」

 

 竜司が手を振ると、それに気づいた祐介が近づいてきた。

 

「ん?君達か。日曜は用事があるから活動は休止と言っていたが……まさか同じイベントに参加しているとはな」

 

 前髪をそっと払う祐介。キザ男とも見られかねない仕草だが、美少年と形容するに相応しい祐介の場合はあまりにも似合いすぎてもはや嫌味すら感じられない。

 

「祐介もこの番組に出るのね?ちょっと意外」

 

 真が知る限り、祐介は進んでこの手のイベントに参加するようなタイプではない。人混みを嫌い、怪盗団以外の人間との接点は殆ど持とうとしない、いかにも芸術家肌な厭世家である。実際にどうやらクイズ大会参加は彼の本意ではないようだ。祐介はうんざりといった様子で眉間にシワを寄せた。

 

「ああ、本当は出る気など全く無かったんだが、誰も出ようとしないから抽選で俺に無理矢理決められてな」

 

「そっちもってわけかよ」

 

 皆気が乗らないというのに知った顔が揃ってクイズ大会に出演する羽目になるとは、世間というのは実に狭いものである。

 

「ここにいたんですか喜多川君。急にいなくなったから驚きましたよ」

 

 世間の狭さを痛感していた五人と一匹の前に、一人の少女が姿を現わす。少女は祐介が通う洸星高校のブレザーを纏っていた。

 

「ああ、すまない東郷さん。たまたま知った顔を見つけて……」

 

「あら?あなた、もしかして……」

 

 東郷と呼ばれた少女はメガネの少年を見つけると軽く首を傾げる。

 

「お、お、お、おいおいおい!東郷一二三じゃねえか!やべえよやべえよ!本物は写真で見るよりめっちゃ可愛い!」

 

「ひやっ!あ、あの……」

 

 不良を気取ってる割になかなかにミーハーな竜司が突然裏返った声をあげた。竜司の野獣の如き振る舞いに、案の定、一二三は大蛇に遭遇した小動物のように縮こまってしまう。どうやら竜司のような無作法な人種とは相性が悪そうである。

 

「ちょっとやめなさいよ馬鹿竜司!この子怖がってるじゃん!」

 

 杏は竜司を睨みつけると、今度は打って変わって満面の笑みを一二三に向けた。

 

「ごめんね。こいつったら馬鹿で礼儀知らずで下半身に脳みそついてるような馬鹿なの。もう二度と近づかせないから安心して?」

 

「すまない東郷さん。彼女の言う通りに、そいつは心底救いようがない馬鹿でな。謂わば野生の猿のようなものだ。俺からも注意しておく」

 

「お、お前ら……いくらなんでもそこまで言わなくてもな!」

 

「馬鹿言うな。そいつは野生の猿どころか煩悩丸出しのパツキンモンキーだ。檻に入れたって扱いきれねえぞ」

 

「アホ猫てめえは後で必ずぶん殴るっ!」

 

 突如、くすくすと笑い声が漏れ聞こえてくる。その場にいる全員が顔を笑い声の主に向けた。笑っているのは一二三であった。口元を手で抑えて隠そうとしている。

 モルガナは慌ててリュックサックの中に隠れる。ついやってしまったが、人前で猫と人が会話するのを見られるのは流石にマズい。

 

「ふふふ、いえ、すいません」

 

 一二三は緊張がほぐれたのか、さっきまでの堅い雰囲気が少し削がれたように見える。

 

「喜多川君がこんな風に誰かと気軽に話してるのを見るのは初めてです。教室ではいつも静かな佇まいでしたから。よほど仲の良いご友人方なんですね」

 

「あ、いや俺は……」

 

 学校では怪盗団の仲間達のように気兼ねなく話せる相手がやはり皆無なのだろう。つい気が緩んで自分の意外な一面をクラスメイトに晒した事を後悔しているのか口ごもってしまう。

 

「ご紹介が遅れました。初めまして……ではない方もいらっしゃいますね。私は洸星高校芸術科二年の東郷一二三です。本日はお手柔らかにお願い致します」

 

 名前だけならここにいる全員が知っている。いや、もしかするとこのドームにいる高校生全員が知っているかもしれない。

 その容姿と高い棋力で圧倒的人気を誇る高校生女流棋士『東郷一二三』。テレビには何度も出演しているし、最近はグラビアも掲載されている。知名度は探偵王子の再来と呼ばれる高校生探偵にも引けを取らないはずである。ここまでくると、もはや棋士というよりアイドルに近い扱いを受けていると言うべきか。

 しかしながら、天才棋士だけにそのオーラはやはり只者ではない。幼少期よりプロ棋士を目指して厳格に育てられてきただけあって、その洗練された佇まいに秀尽の生徒達はすっかり飲み込まれてしまっていた。竜司ですら「あ、どうもどうも」と普段は一切しないお辞儀を雑ながら何故か釣られてやってしまう程だ。

 一二三の視線の先はメガネの少年に変わった。

 

「あなたもこの番組に出演されるのですね?これはあくまで直感でしかありませんが、あなただったら決勝戦まで行けそうな気がします。買い被りすぎ?ふふふ、そんな事はありません。私は対局の中で感じたあなたの底知れぬ才を口にしただけですよ」

 

 メガネの少年と一二三は幾度か神田の教会で対局した仲でしかないはずだが、まさかここまで人柄を買われているとは思ってもみなかった。急に照れ臭くなってきた少年はポリポリと頭を掻き始めた。

 

「東郷さんも俺と同じくクジが当たってしまってな。まあ、俺と違って彼女はこのクイズ大会を楽しみにしていたようだが」

 

 そこで彼らはようやく気づいた。他校の生徒達が一二三に視線を密かに送りながらヒソヒソ話を繰り広げていた。

 

「なあ、あの子ってもしかしたら東郷一二三じゃね?美人すぎる女流棋士の」

 

「マジ?おい、本物じゃんか!俺ちょっと声かけてみよっかな〜。……って横にいるあいつら何もんだ?」

 

 ざわめきが徐々に大きくなっていく。同時に祐介の表情が険しくなった。

 

「……行こう東郷さん。少々周囲の目が集まりすぎている。それじゃ、またな」

 

「はい、それでは」

 

 無闇矢鱈に好奇に晒されるのはあまり好ましくない。軽く会釈しながら背を向けた一二三を連れて、祐介は早々に立ち去っていった。存在感抜群の二人がいなくなって、再び周囲は元の喧騒と人ごみに満ちた風景に戻った。

 大会が始まるまでまだ時間は残っている。杏は少し疲れた顔で壁に寄りかかる。

 

「それにしても、みんな自信満々って感じの顔してるね。なんか私ら完全に場違いって感じじゃない?」

 

「しかたねえって。ぜんっぜんやる気出ねえんだからさ。そもそもお前はどうせ見てるだけなんだからまだいいだろ。あー、早く終わらせてドームタウンでも行こうぜ?」

 

 同じく、竜司は壁に寄りかかって欠伸をこらえる。既に彼の頭の中は予選敗退後に寄る予定の、会場近辺にある飲食店や娯楽施設の事でいっぱいになっていた。クイズや勉強の類は苦手だが、遊び場のリサーチは得意な彼らしい投げやりな言動である。

 

「やあ、もしかして君達も予選に参加するのかい?」

 

 この爽やかが服を着て歩いているかのような声。怪盗団とも因縁深い少年の声を忘れるはずもなかった。

 

「「「明智(君)!?」」」

 

 予想した通り、彼らに声をかけてきたのは爽やかを絵に描いたような少年であった。もっとも、名前と容姿だけなら東郷一二三と同じく知らない者はこのドームにまずいないかもしれない。

 2代目探偵王子、明智吾郎。怪盗団にとっては油断ならない宿敵である。そんな彼が何故ここに……と言いたいところだが、彼も普段は一介の高校生なのだ。かといって、出場する同級生の応援をする暇も無いだろう。だったら理由は一つしかない。

 

「ふふ、意外だね。まさか君達もこの番組に出演するだなんて。どちらかというと、なるべく目立たないように学生生活を送ろうと努めてるイメージがあったから」

 

「……他に出たがる奴がいなかったんだよ。それだけだ。つーか『も』って事はやっぱてめえも出場すんのかよ。探偵王子様ってのも案外暇なんだな。もしかして怪盗団相手に無能晒してるせいで警察から干されてんのか?へへっ!ざまあねえでやんの!」

 

「ちょっと竜司!そうやって余計な諍いを起こさないの!」

 

 普段から明智を毛嫌いしている竜司は不機嫌そうに顔をしかめる。彼の明智に対する敵愾心は相当なものらしく、真の戒めにもフンっとそっぽ向いてしまう。

 しかし、

 

「いやー、奇遇だね。実は僕も最初は気乗りしなかったんだけど、学校や同級生のみんなが、どうしても僕に出て欲しいって言って聞かなくて」

 

 明智の今の表情は表面上「困った困った」といった様子だが、何故だか「人気者はつらい」と言っているように聞こえてならなかった。

 

「まいったなあ……ただでさえ出演してるテレビ番組がいくつもあるっていうのに、これ以上地上波に映ってたら余計な嫉妬を買っちゃうよ。実際、さっき何人もの女の子からサインをせがまれちゃった上に、同伴の男子生徒からはすごく睨まれちゃってね。困るよ、僕は芸能人じゃないんだから……ははは!」

 

「う、嬉しそうだなこいつ……」

 

「どうやらリュージよりアケチの方が一枚上手だったみたいだな。こいつとんだ大物だぜ……」

 

 明智相手にたっぷりと嫌味をぶつけていた竜司も、明智の爽やかスマイルを崩さずのらりくらりと躱す態度に毒気を抜かれてしまっていた。

 

「でも、出ると決めたからには優勝は僕が貰うよ。元より誰にも負けるつもりはなかったけど、君達にはなおさら不様な姿を見せるわけにはいかないからね。君達もそうなんだろう?」

 

「残念でしたー。俺達別にやる気ねえから。余裕で予選敗退してこの後ドームタウンで飯食って適当に遊んで帰りまーす」

 

 妙にやる気に満ちた明智の出鼻を挫こうとした竜司だが、そんな彼を無視して明智はメガネの少年に微笑む。

 

「ふふふ、なんせ秀尽には君がいるからね。こいつはなかなか強力なライバルになりそうだ」

 

「だーかーらー!俺達はそんなつもりはねーって……」

 

「それじゃあ、決勝戦で会おう!」

 

 最初から最後まで明智から軽くスルーされていた竜司。立ち去っていく明智の姿を呆然として見送る。そんな最中、他校の女生徒達による黄色い嬌声が響き渡る。

 

「キャー!明智君よ!ステキー!」

 

「明智君こっち向いて〜!」

 

 明智はお得意の爽やかスマイルを振りまきながら手を振り返す。それだけで嬌声はますます凄まじくなり、中には失神する女生徒までいる。明智のこの余裕しゃくしゃくの振る舞いの数々は、竜司の苛立ちを再び燃え上がらせるあまりか、ボルテージを限界まで引き上げてしまう。

 

「あ、あ、あ……明智の野郎ーっ!!」

 

 挑発するだけならまだ我慢のしようがあるが、明智は明らかに竜司など眼中に無い様子だった。ライバル認定していたのはあくまでメガネの少年。柔らかな物腰であったが、結局明智は竜司を取るに足らない存在だと見ているのではないか。

 もしかすると竜司の被害妄想かもしれないが、明智嫌いの彼にとって怒りを爆発させるには充分な態度だった。もはや怒りの収まらなくなった竜司は歯ぎしりしながら地団駄を踏んだ。

 

「おい、さっさと終わらせようと思ってたがやめだ!逆に勝ち残って、明智のキザ野郎を見返してやろうぜ!あの鼻っ柱をへし折ってやらないと気が済まねえ!」

 

「き、急にすごいやる気ね……」

 

 竜司の変わりように面食らう真。だが、真とて竜司の気持ちがわからないわけではない。むしろ、彼に劣らずの反骨心を備えた負けず嫌いである。だからこそ理不尽な大人達の仕打ちへの反逆を決意したのだから。おまけに彼女は以前にも明智から幾度も侮蔑じみた挑発を投げかけられている。元優等生の明智への対抗心が激しく燃え上がる。

 

「でも、確かにあそこまで挑発されて不様な結果に終わっちゃうのも癪だものね!いいわ!何処までいけるかはわからないけど、やるだけやってやりましょう!」

 

「おうよ!」

 

 一方、明智の公認ライバルは少し冷めた調子で見守っていた。背中に待機していた相棒の黒猫はそっと肩に乗りかかって耳打ちする。

 

「ワガハイもアケチには思う所があるし、あいつらの気持ちもわからんでもない。お前自身が奴をどう思ってるかは知らねえが、まあせっかくだしな。リュージ達にちょいと付き合ってやれ」

 

 どうやら、このクイズ大会は一筋縄ではいかなそうだ。




後編はほぼ出来上がってるので近日中に投稿します。それでは。
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