とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社 作:怠惰ご都合
「ステイルさ~ん、久しぶり~」
「ああ、レイ君じゃないか。久しぶりだね」
強烈な香水の匂いを漂わせる赤い髪、耳にピアス、5本の指に銀の指輪、右目の下にバーコードのような刺青を刻んだ身長2メートルを超す神父だった。
そんなステイルと簡単に挨拶をしているレイを見た3人は驚いていた。
研究所へ入って暫くした頃。
4人が見た物は直径1メートルほど、高さが2メートル弱の20基ほどある円筒形の濁った琥珀色の溶液で満たされている水槽。
「これが・・
レイが水槽を見ながらうめいて4人以外が聞いてもわかるぐらいに怒っていた。
水槽の方を見ると、琥珀色の溶液の中に漂っているのは子犬ほどの大きさの奇妙な生物であり、その姿は伝説の魔獣のようであり、美しい妖精のようでもあった。
自然界には存在しないはずの生物ばかりだった。
「レイ先輩・・・?」
雪菜は怒りをあらわにしているレイに驚き理由を聞こうとするが、水槽の陰から現れた何者かの気配に気付いたため銀色の槍を構え姿勢を低くした。
水槽の陰からあらわれたのは藍色の髪をした小柄な少女と緑に染めた髪をオールバックにしたスーツの男、そして身長190センチを超え、右手に
「暁先輩と上条先輩は見てはいけません」
突然、雪菜が言い出したので2人は理由を知ろうとして少女の姿を見て凝視してしまう。
「すぐにここから立ち去れ」
「肯定。その前になるべく遠くへ逃げてください」
「私はオイスタッハ。アスタルテの言う事は本当ですよ。そのうえ我らは望みを叶えるために必要な力を手に入れた」
「そこのおっさん。力ってのはその子の体内に埋め込んだ眷獣のことだろ?」
「レイ先輩?」
普段の彼からは想像できない位怒っているレイを見て、雪菜は驚く。
「正解です。さすがはアレイスター達から任せられた監視者ですね。もう気付かれるとは。確かに、自らの血の中に眷属たる獣を従えられるのは吸血鬼のみ。ですが私は、捕獲した孵化前の眷獣を寄生させることにより、眷獣を宿したホムンクルスを生み出す事に成功しました。まあ、成功例はアスタルテだけですが」
「うるせえっ!」
レイはその話を遮って怒鳴る。
「眷獣は実体化する際に凄まじい勢いで宿主の生命を喰らう。だから眷獣を飼い慣らせるのは無限の”負”の生命力を持つ吸血鬼だけだって事を知らないわけないよな?」
「もちろんです。なのでロドダクテュロスを宿している限り、残りの寿命はせいぜい2週間といったところですね。これでも他の魔族を喰らって引き延ばした方なのですがね・・・・。しかし私たちが目的を果たすためには十分です」
「じゃあ、その『目的』だけのためにその子を道具みたいに育てたというんですか?」
「あなたも同じはずですが、剣巫よ?不要な赤子を買い取り、魔族に対抗するためだけに技術を仕込み、戦場に送り出す。まるで使い捨ての道具のように」
「黙れよ、おっさん!」
オイスタッハの言葉に雪菜は全身が凍りつき蒼白になっていくのを感じた。
「レイ、俺とステイルでタキシードを倒す!そっちは任せたぞ」
叫んで眷獣の一部を実体化させた古城を見て、上条はレイに告げるとステイルを連れてタキシード男と別の場所へと走っていった。
アウレオルスとステイルを追加で入れました。
それではまた次回。