とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社   作:怠惰ご都合

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久しぶりに投稿させて頂きます


思い出

 「ちょっとレイ、最近は虚空爆破(グラビトン)事件が多いんだから、目立つ行動は控えてよ」

 

 「まだ何もしてないよ~」

 

 退屈そうに書類整理を行っているレイに向かって、ライは忠告する。

 前にも同じような事をしている時に、レイが突然、壁に向かってボールを投げ始めた。

 能力を使って一人でキャッチボールをやったのだ。

 あまりにも馬鹿らしかったので、ライが怒っていた。

 故に、今回は注意されたのだ。

 

 「ところで、虚空爆破(グラビトン)事件って何だったっけ~?」

 

 レイがそう言った途端、ライが空き缶を投げてきた。

 

 「うっ」

 

 見事、頭に命中したため、レイはうめき声を上げた。

 

 「何すんのさ~」

 

 「アンタは人の話を聞きなさい!」

 

 「う」

 

 「今アンタに投げた物。アルミを基点にして、重力子(グラビトン)の数じゃなくて、速度を急激に増加させて、それを一気に撒き散らす。ようは『アルミを爆弾に変える』能力よ!」

 

 「はあ~」

 

 「ぬいぐるみの中にスプーンを隠して破裂させたり、ゴミ箱のアルミ缶を爆破するとか」

 

 「へえ~」

 

 「ちゃんと聞いてる?」

 

 「勿論ですハイ」

 

 生返事ばかり返すレイを睨むと、ライは続ける。

 

 「爆発前に前兆があるから、死亡者は出てないけど、犯人の特定が出来てないのよ」

 

 「でも、能力者の犯行なんだよね?学園都市の『書庫(バンク)』にある全学生の能力データを洗えば済むんじゃないの?」

 

 レイの提案にライは首を横に振る。 

 

「残念なことに、『量子変換(シンクロトン)』、それも爆弾に使用できるほど強い力を持っているのは、大能力者(レベル4)釧路帷子だけ」

 

 「へえ。でもその人って、八日前から原因不明の昏睡状態に陥ってなかったっけ?事件始まったのって一週間前だったよね?」

 

 「そうよ。病院からの外出はおろか、一度も意識を取り戻していないのよ」

 

 「『書庫(バンク)』のデータに不備があるの?」

 

 「あるいはね、めったにないケースだけど、前回の身体検査(システムスキャン)後の短期間で、急激に力をつけた能力者の犯行かもしれない」

 

 「姉ちゃん、『幻想御手(レベルアッパー)』って知ってる?」

 

 唐突な質問にライは戸惑う。

 

 「何よそれ?」

 

 「噂なんだけどね。能力の強さ(レベル)を簡単に引き上げてくれる道具らしいよ」

 

 「気味悪いわね」

 

 「でも、さっきの話と関係してるんじゃないかな?」

 

 「実在するならね」

 

 突然、浅葱がパソコンを見て慌てた。

 

 「衛星が重力子(グラビトン)の爆発的加速を観測したって!」

 

 「浅葱、観測地点は?」

 

 ライが聞き返した。

 

 「第七学区の洋服店、『セブンスミスト』よ!」

 

 「まずい!白井、急いで初春に連絡して!」

 

 場所を聞いた途端、レイの口調が変わった。

 

 「レイ先輩?」

 

 「早く!今あそこには、初春と御坂、佐天がいる!」

 

 その一言で白井はすぐに動いた。

 

 「初春ッ!今すぐそこを離れなさい!」

 

 『白井さん?』

 

 「今あなたがいる『セブンスミスト』で重力子(グラビトン)が観測されたんですの!」

 

 『分かりました。今から避難誘導させます』

 

 「あなたもすぐに避難しなさい!」

 

 『えっ?』 

 

 「過去発見の事件の全てで、風紀委員(ジャッジメント)が負傷してますの!」

 

 『まさか!?』

 

 「ええ、犯人の真の狙いは観測地点周辺にいる風紀委員(ジャッジメント)!今回のターゲットは初春ですのよ!」

 

 白井が話終えると、初春の携帯を通して、女の子の声が聞こえてくる。

 

 『おねーちゃん。メガネかけたおにーちゃんがおねーちゃんにわたしてって』

 

 そこで通話が途絶えてしまった。

 

 「白井!今から行け!警備員(アンチスキル)への連絡はしておく!」

 

 「了解ですの!」

 

 そう言って白井は空間移動(テレポート)していった。

 それから数分後、犯人は捕まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんなことがあったんですか」

 

 話を聞いていた夏世が興味深そうにしていた。

 

 「うん。次の話をしたいんだけどちょっと待っててもらえるかな~?」

 

 「どうしました?」

 

 「トイレにね」

 

 そう言ってレイは廊下に出て行った。

 

 「あたしも」

 

 レイに続くようにライも出て行った。

 

 「夏世ちゃん、何か聞きたいことはない?」

 

 二人が出て行った事を確認した固法は夏世に尋ね始めた。

 

 「そうですね。あの二人はいつも仲よしですが喧嘩した事はないんですか?」

 

 「あるわよ。前に喧嘩した時は、誰も止められなかったのよね」

 

 「それでどうなりましたか?」

 

 「支部が半壊したのよ」

 

 「えっ?」

 

 夏世は唖然としてしまうが、固法は続ける。

 

 「でも、その後の事は二人以外気を失ってて、誰も知らないのよ。目を覚ました時には、支部が元通りになってて、二人とも何事もなかったかのように仕事をしてたから聞けなかったのよ」

 

 固法が話し終えると、二人が戻って来た。

 

 「じゃあ、続けるよ~」

 

 レイは椅子に座って話を続けた。

 

 「虚空爆破(グラビトン)事件を起こした介旅初矢はデータ上、異能力者(レベル2)だったんだよ」

 

 「でもそれだと・・・・・」

 

 夏世の言いたい事をレイは分かっている。

 

 「うん。破壊力と合わない。そこで幻想御手(レベルアッパー)を探すことにしたんだ」

 

 「幻想御手(レベルアッパー)って先程も出てきましたよね」

 

 「うん。使うだけで強さ(レベル)を上がるっていうから、関係があると思ってね」

 

 「実在したんですか?」

 

 「ああ。そして、昏睡状態に陥るっていう副作用も起きた。実際に使用した人がそこにいるよ~」

 

 そう言って、レイは佐天の方を見上げる。

 

 「ただね、使っていなければ大切な事に気付けなかったんだよ。だから、使用自体は間違ってない」

 

 「大切な事?」

 

 「うん。自分は一人じゃないってこと」

 

 「そうだったんですか」

 

 「犯人は、大脳生理学者の木山春生。情報を探していた初春を人質に逃走して警備員(アンチスキル)と交戦した」

 

 「木山と言う人は能力者だったんですか?」

 

 「いいや。彼女は幻想御手(レベルアッパー)の使用によって昏睡状態になった一万人の能力を幻想御手(レベルアッパー)を通して行使できる多才能力者(マルチスキル)だったんだよ」

 

 「止められたんですか?」

 

 「御坂がね。さすがにその後出て来た幻想猛獣(AIMバースト)は僕が倒したんだけど」

 

 「幻想猛獣(AIMバースト)って何ですか?」

 

 「簡単に言えば、幻想御手(レベルアッパー)で使った能力の集合体かな」

 

 「そうですか」

 

 「うん。木山にも理由があったんだ」

 

 「どんな理由ですか?」

 

 「彼女は教え子たちを助けたかったんだよ」

 

 「?」

 

 夏世の疑問は消えなかった。

 

 「詳しく説明しようか。彼女はある人物に『置き去り(チャイルドエラー)』の教師をやるように頼まれたんだよ」

 

 「どうなったんですか?」

 

 「彼女は引き受けた。そしてお互いの事を信頼するまでになった。けど『ある事件』によって、子供たちは昏睡状態に陥ってしまった」

 

 「ッ!?」

 

 「つまり、幻想御手(レベルアッパー)は子供たちを助けるためだったってわけさ」

 

 「そうだったですか。ですが・・・」

 

 「うん。彼女の罪が消えるわけじゃない。しかも、話はまだ続く」

 

 「まだ続くんですか?」

 

 「うん。もうやめる?」

 

 「いいえ。お願いします」

 

 そう言って夏世は居住まいを正した。

 レイは頷いて、再び話しだした。

 

 「ある時、春上衿衣っていうRSPK症候群を起こす女の子がいた」

 

 「RSPK症候群ですか?」

 

 「うん。能力者が一時的に自律を失って、自らの能力を無自覚に暴走させる事」

 

 「幻想御手(レベルアッパー)の事件と関係してるんですか?」

 

 「うん。春上は木山春生が教師だった時に起きた事件で意識不明になった枝先万里を探していたんだよ。そして、釈放された木山春生と春上がやっと、枝先万里たちを探した時に木山春生以外を拉致したのさ。絶対能力者(レベル6)を作りだすっていう為にね」

 

 「あの時のレイ先輩は怖かったですよね」

 

 「まったくですの」

 

 当時の事を思い出したのか、話を聞いていた初春と白井が感想を述べている。

 

 「じゃあ、僕と姉ちゃんの過去について話しておこうか。っとその前に、お茶を持ってくるね」

 

 そう言って、レイは椅子から立ち上がった。

 

 




次回に続きます。
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