とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社   作:怠惰ご都合

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およそ一月ぶりの投稿になります。
文字数は少ないですが見ていって頂けると嬉しいです。


交差する願い・届かぬ想い

 「ホントに心配したんですからね!お願いですから、もう勝手に行動しないで下さい!次やったら、私もついていきますからね!」

 

 時計の針が午前8時を過ぎる頃、ようやく夏世の説教が終わった。

 因みに家のドアを開け、夏世に見つかった時には夜中の1時を回っており、その時から今までずっと説教だったのだ。

 そして夏世は立ち上がり自分の部屋へと入って行った。

 これから寝るのだろう。

 二人がいない事に気づいてからずっと起きていて、当の二人が帰宅した途端に説教を始めたのだ。

 いかに「呪われた子どもたち」といっても10歳児なのだ。

 睡魔への抵抗も限界だろう。

 

 「・・・・・おやすみ」

 

 ライは夏世の後姿を見送ると、早速その場で寝始めた。

 

 「・・・・」

 

 レイはと言えば・・・・・とっくに夢の中へと誘われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に3人が顔を合わせたのは日が沈んでいる最中だった。

 

 「それじゃ二人とも、今から夕食の材料を買ってきてください。メモを渡すので余計なものは買わないで下さいね」

 

 更に口を開くよりも先に買い出しを頼まれてしまう。

 二人は大人しく従うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「重っ!ちょっ姉ちゃん、これ手伝ってよ~。一人じゃ無理だって!」

 

 「あと少しじゃない。頑張りなさいって」

 

 買い出しを終えた二人は、帰路に就きながら会話していた。

 

 「いやでも、この量は・・・・・」

 

 ふと、後ろを歩いていたレイの声が途切れる。

 

 「・・・・・どうしたの・・・・よ?」

 

 ライは振り向き、弟と同じ方向を見て動きを止める。

 ・・・・・・・二人が見たのは何体目かもわからない御坂のクローン個体と、それを正面から見つめる彼らの兄、一方通行(アクセラレータ)

 

 「・・・・レイ、行くわよ。アレ(・・)を止めるにはまだ準備が足りないの、解ってるわよね?」

 

 「・・・・・うん」

 

 姉弟は静かに歩き出す。

 今はまだ、止める力を持たない未熟な自分たちでは何もできないのだと悔やみながら。

 夏世の待つ我が家へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事はあっという間に終わった。

 ライは重苦しい空気が夏世に気づかれないように、いつもと同じように振る舞い、いつもと同じように1日を終えた。

 ・・・・・しかし、レイは違った。

 夜中に家を出て、兄を、一方通行(アクセラレータ)を止める為、一人で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ライはあの光景が頭から離れず、寝付けなかった。

 今までに何度も目にしてきた光景のはずなのに、今回に限って妙な胸騒ぎがする。

 不安に思って起きると丁度、ドアが閉まる途中だった。

 急いで準備していた道具を探すも、見当たらなかった。

 

 

 

 

 

 慌てて夏世を起こし、後を追う。

 最悪死ぬつもりなのではという考えを必死に否定しながら、夏世とともに走る。

 走っている中で列車の操車場へと入ろうとしているレイを見つけた。

 すぐに近づいて声をかける。

 

 「・・・・見つけたわよ、レイ」

 

 レイは静かに振り返り口を開く。

 

 「・・・やぁ、姉ちゃん。こんな時間にどうしたの~?何か買い忘れ?」

 

 「レイ」

 

 「・・・・それに夏世まで一緒なんて、こんな小さいうちから夜更かしさせるのは良くないよ~」

 

 「レイ!」

 

 自分の話を聞こうとしない弟にライは声を荒げる。

 

 「・・・・・何?」

 

 「まだ・・・・まだ早いのよ!準備だって全然整ってないし、そんな状態で止めたって・・・・」

 

 「・・・・じゃあ、いつまで待つって言うのさ?」

 

 遮った言葉にライは口を閉ざす。

 

 「待つだけじゃ、黙認するだけじゃ、何も変わらないし変えられない!」

 

 「・・・・それは」

 

 「だから、実験を止めて兄ちゃんを救うんだって!あの日約束したんじゃないか!」

 

 ライは黙ってしまった。

 勿論ライだって弟と同じ事を思ってるし、約束だって覚えてる。

 実験の事を知って一週間経過した頃、『二人で一緒に止める』って誓い合った。

 でも、今のままだと・・・・・・・。

 

 「なら、やってみればいいじゃないですか」

 

 己の苦悩を、弟の怒りを、その場の空気を止めるように夏世が口を開く。

 

 「夏世・・・・ちゃん?何、言ってるの?だってまだ・・・・」

 

 「準備が足りないかどうか、今日やってから判断すればいいだけです」

 

 「夏世が・・・・危険に・・」

 

 「それは、結局レイさんは私たちを信じてないってことですか?」

 

 夏世の声が静かに響き渡る。

 

 「今まで私は、二人の事を家族のように慕ってきました。だったら、二人のお兄さんだってそうです!それに・・・・」

 

 「夏世?」

 

 「私たちは一人じゃないんですから」

 

 夏世が見つめる方へと二人も吸い寄せられる。

 そして姉弟は息を飲む。

 そこには、今も行われている実験を止めんと走ってフェンスの中に入っていく、一人の無能力者(レベル0)がいたのだから。

 

 「そうだよね~、信じなきゃ!」

 

 「えぇ!今日で終わりにしてあげるわ、こんな実験!」

 

 「さぁ、一緒に行きましょう。一方通行(アクセラレータ)さんを救いに!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・蓮太郎は行かぬのか?」

 

 建物の陰から三人を見送りながら、延珠は問いかける。

 

 「正直言って任せようと思ってたんだが。・・・・・約束しちまったからなぁ。悪いな延珠、手伝ってもらうぜ?」

 

 「うむ、任された!」

 

 初めは複雑な顔をしていた蓮太郎も、覚悟をもって延珠と共に向かった。

 

 

 

 

 

 

 「・・・・かっこいいね」

 

 コンテナの陰でレイが呟いた。

 正面では、当麻が傷つきながらも一方通行(アクセラレータ)と攻防していた。

 

 「そうね。・・・・・でも、私たちは兄さんを救うだけでいい。どんなに意地汚くてもただ、この実験を終わらせればそれでいいのよ」

 

 「・・・・うん。そうだね」

 

 そして、爆発が起きた。

 操車場が炎の海に包まれる。

 

 「・・・・粉塵爆発ですね。どうやら先程の粉は小麦粉だったようです」

 

 「・・そっか。なら煙の出てる今しかないね!姉ちゃん、頼んだよ!」

 

 夏世の分析を聞き、レイは走り出した。

 その手に一つの小形プロジェクターを持ちながら。

 

 

 

 

 

 「ハァ?誰だオマエ?」

 

 煙の中から突然現れたもう一つの影に一方通行(アクセラレータ)は呆れていた。

 何故ならその影は、自分だったのだから。

 正確には今までの実験から得た、一方通行(アクセラレータ)の行動をスキャンしたホログラムの3D映像。

 姉弟(二人)が今までに録画・編集したホログラムを発生させ、レイが同じように動きを、ライが録音済みの声を流すというもの。

 

 「・・・・・ッたく。面倒なもん使ってンじゃねェよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「大丈夫、なんですか?」

 

 隣から夏世の声が聞こえてくる。

 

 「・・・・・夏世ちゃんはどう思う?」

 

 「・・・恐らく失敗する可能性が高いかと」

 

 答えを求めるも、返答は否定的だった。

 

 「そうでしょうね。正直、気休めにもならないと思うわ」

 

 「だったら・・・」

 

 「・・・・でもね、レイの困ってる顔を見たくないから、兄さんを救いたいからやるの。例えどんなに成功率が低くても、家族を止めるのはやっぱり家族の役目だと、私は思ってるから」

 

 「ライさん。・・・・・あっ!?」

 

 会話の途中で夏世が声を上げる。

 映像が消失し、レイの姿が露になってしまったのだ。

 そして、もう一つ。

 あの日、一方通行(アクセラレータ)を止めると誓った彼が、里見蓮太郎が姿を現したのだ。

 

 

 

 

 

 

 「むかつく映像の正体がオマエだったなんてなァ、レイ」

 

 「・・・・兄ちゃん」

 

 一方通行(アクセラレータ)は呆れたように溜め息をつく。

 

 「・・・それで、オマエはなにしに来てんだァ里見蓮太郎?」

 

 「言っただろ。『止めてやる』って」

 

 「レイ、里見・・・・」

 

 当麻は友である二人の姿を目にする。

 

 「大勢で来たのは構わねェけどよ、俺の能力は「ベクトル変換」だ。オマエらの攻撃が通じるとは思えねェけどなァ!」

 

 突如、一方通行(アクセラレータ)はレイに迫る。

 鬱陶しいからなのか、はたまた兄としての思いやりなのかは解らないが、危険なのは確かだった。

 

 「・・・・・!」

 

 その時、レイは自分と兄の間に入り込む少女の姿を見て目を見張る。

 自前のショットガンを構えた夏世だった。

 

 「夏世!撃っちゃ・・・・」

 

 駄目だ!、そう言い終えるよりも早く引き金が・・・・・引かれた。

 この距離では反射した散弾が全身を撃ち抜くだろう。

 夏世が避けきれるとも思えなかった。

 

 「・・・ぐあッ!」

 

 気づけば、夏世に覆い被さっていた。

 背中に痛みが走る。

 何発受けたかは判らない。

 夏世にも当たっているかもしれない。

 それでも、夏世が死ぬよりはいい、そう思った。

 意識が薄れていく中で、激昴する当麻の声と、泣きながら何かを訴える夏世の叫び、蓮太郎の焦る顔、走ってくる姉の姿が目に入る。

 そして、兄の、一方通行(アクセラレータ)の顔を見ようとした途端、レイは暗闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 




早くて申し訳ありませんが兄弟喧嘩は終わりです。
物語自体は当分続きます。
・・・・・・下書き、あったかなぁ~。
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