とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社 作:怠惰ご都合
例に漏れず文字が少なくて申し訳ないです。
レイと別れた四人は、食堂に来ていた。
あの後、インデックスが食堂に入っていくのを目撃し、いざ捕まえようと作戦を考え、入った・・・・のだが、食事中だった為にあっさりと捕まえる事に成功したのだ。
少し拍子抜けしてしまったが、それ以上にインデックスの一言に驚いた。
曰く、“ちょっとつまみ食いして油断しただけなんだよ!“と。
言葉だけなら驚く要素は何処にもないだろうが、目撃した側としてはそうもいかないのだ。
どう見ても『つまみ食い』の枠に入りきらないぐらいの、袋が散乱していたのだ。
袋を見れば、調理済みの肉類や野菜、果ては菓子類まで。
菓子類が何故あるのかは一先ず置いておくとして、これがたった一人によって行われたのだと知れば、管理者は倒れる事必至だろう。
「さて、次はどうしようかしらね」
「そうだなぁ、このまま素直に捕まってくれると私も楽でいいんだが」
袋の処理を終えたところでふと、担任の声が聞こえる。
「・・・っ!?」
振り替えると、鎖で捕らえられた初春と佐天、そしてゴスロリ服の少女・・・・もとい南宮那月が立っていた。
夏世はまだ無事だが、二人して同じ場所にいても時間の問題だ。
最悪、夏世だけでも逃がしておいた方がいい。
ライはそんな事を考える。
相手は現役の攻魔師。
真っ向から立ち向かったとしても、軽くいなされて終わりがいいところだ。
「夏世ちゃん、そこの窓から脱出して。私が囮になるわ。せめて貴女だけでもレイと合流して」
夏世が脱出したのを確認し、彼女が離脱するまで、少しの時間を稼ぐ。
「ねぇ、那月ちゃん」
「・・・・教師を『ちゃん』付けで呼ぶなと何度も言わせるな。何だ用件ならさっさと済ませろ。私は忙しい‼」
「・・・・いやいや、それは私たちのせいじゃないから。むしろ自分で蒔いた種じゃん」
「・・・・何か言ったか?」
「いえ何も」
どうやらこの
「
愚痴を聞いてくれるつもりはないようだから、素直に質問する事にした。
「・・・・協力?何の事だ?私はアイツがこの付近を通るとは知らず、
なんとも正当な事を言っているが、結局のところ偶然を装って誘き寄せた訳だ。
少し考えれば解る、簡単な餌に引っかかってしまった自分が言うのもアレだが、大人としてこの態度はどうなのだろうか。
やはり、見かけ通り幼女なのでは・・・・なんて考えていると、扇子を突きつけてきた。
「どんな失礼な事を考えているか知らないが、大人しくしていれば処罰を軽くしてやらんでもない」
この件は
「どこに行こうかな~」
レイが校庭をのんびり歩いていると、正面から夏世が走ってきた。
「レ、レイさん」
「あ、無事だったんだね」
「は、はい」
取り敢えず、夏世が落ち着いてから状況整理をした。
話を聞く限り、 Aグループはレイと夏世以外の全員が捕まったとの事。
Bグループは雪菜と黒子だけが生存。
Cグループに関しては、古城だけが無事。
しかも普通に捕まったのではなく、『ゲコ太ストラップ』や『天誅ガールズフィギュア』等の餌にかかったらしい。
「・・・・いや、教師が罠や買収とかやっちゃダメでしょ。んな卑怯な~」
「レイさん、どうします?」
「うーん。残り、一時間だし逃げよ・・・・」
「諦めろ弟」
「・・・・あぁ終わった」
言葉を遮れたと同時に背中に鎖が触れる。
散々、振り回したから何かしら言われるだろうが、それは最初から覚悟している。
「全く、この私をここまで困らせてくれるとはな。どうやらお前を、暁古城たちと同様に罰さなければならないなぁ」
早くも前言撤回。何か悪態をつかれると思っていたが、単純に処罰を告げられるとは予想だにしなかった。
「さて、イニシエーターのお前はどうする?まさか
「・・・・っ‼」
「やっぱりずるい~」
夏世の性格を見抜いた上で言っているから、尚更たちが悪い。
結果、夏世は捕まり、暫くして時間終了となった。
最終的に、どのグループにも逃げきった者はいなかった。
皆仲良く特別講義を受けることとなる。
「う~ん、理不尽」
辺りを見渡せば、古城、雪菜、当麻、インデックス、蓮太郎、延珠の姿がない。
「あの6人なら
『補講と死にかけ』で死にかけを優先するとはなんて連中だ。
・・・・・・まぁ、一人は死んでも生き返るが。
というか、『死への片道切符』で行ったはずなのに、何故に徒歩で帰ってこれるのか、レイには理解できない。
「・・・・というか、蓮太郎がいないって事はお兄ちゃんもいないんじゃ」
「・・・・あ」
姉の言葉でレイは気付いた。
確かにそうだ。
監視役なら、監視対象と共に行動しているのが普通だ。
「・・・・って事はさ、僕たちは古城の監視に行かないとダメ?」
「当たり前でしょ」
ライは呆れながら伝えてくる。
「・・・・ねぇ那月ちゃん」
「断る」
「まだ何も言ってないじゃん!?」
手伝って欲しいと言う前に断られた。
「暁古城の所まで転送させろ・・・・・・とでも言うつもりだったのだろう?」
「あ~うん」
「諦めなさいよ、レイ。自分たちで行くしかないわよ。でも安心ね、
「・・・・・・ええい‼」
まるでいつかの仕返しかのように、ライがそんな言葉を放った。
悔しそうにしながら、那月は仕方なく転送魔方陣を開いた。
「・・・・行くなら早くしろ」
「ありがと」
レイは一年に一回見れるかどうかの素晴らしい笑顔で感謝し、魔方陣へと入っていった。
「・・・・なんか、ごめんね~。那月ちゃん?」
「教師を『ちゃん』付けで呼ぶ暇があるなら、さっさと行け‼」
「・・・・は~い」
完全な八つ当たりで怒られながら、僕も魔方陣へと入っていった。
最近は前書きで謝る事がデフォルトになってきました。
次話の投稿はいつになるかまだわかりませんが、出来る限り急ぎます。