とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社   作:怠惰ご都合

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気付けば9ヶ月も更新しておりませんでした。
例に漏れず文字が少なくて申し訳ないです。


退院パーティー3

レイと別れた四人は、食堂に来ていた。

あの後、インデックスが食堂に入っていくのを目撃し、いざ捕まえようと作戦を考え、入った・・・・のだが、食事中だった為にあっさりと捕まえる事に成功したのだ。

少し拍子抜けしてしまったが、それ以上にインデックスの一言に驚いた。

曰く、“ちょっとつまみ食いして油断しただけなんだよ!“と。

言葉だけなら驚く要素は何処にもないだろうが、目撃した側としてはそうもいかないのだ。

どう見ても『つまみ食い』の枠に入りきらないぐらいの、袋が散乱していたのだ。

袋を見れば、調理済みの肉類や野菜、果ては菓子類まで。

菓子類が何故あるのかは一先ず置いておくとして、これがたった一人によって行われたのだと知れば、管理者は倒れる事必至だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、次はどうしようかしらね」

 

「そうだなぁ、このまま素直に捕まってくれると私も楽でいいんだが」

 

袋の処理を終えたところでふと、担任の声が聞こえる。

 

「・・・っ!?」

 

振り替えると、鎖で捕らえられた初春と佐天、そしてゴスロリ服の少女・・・・もとい南宮那月が立っていた。

夏世はまだ無事だが、二人して同じ場所にいても時間の問題だ。

最悪、夏世だけでも逃がしておいた方がいい。

ライはそんな事を考える。

相手は現役の攻魔師。

真っ向から立ち向かったとしても、軽くいなされて終わりがいいところだ。

「夏世ちゃん、そこの窓から脱出して。私が囮になるわ。せめて貴女だけでもレイと合流して」

 

夏世が脱出したのを確認し、彼女が離脱するまで、少しの時間を稼ぐ。

 

「ねぇ、那月ちゃん」

 

「・・・・教師を『ちゃん』付けで呼ぶなと何度も言わせるな。何だ用件ならさっさと済ませろ。私は忙しい‼」

 

「・・・・いやいや、それは私たちのせいじゃないから。むしろ自分で蒔いた種じゃん」

 

「・・・・何か言ったか?」

 

「いえ何も」

 

どうやらこの先生(ヒト)、自分の責任とは捉えていないらしい。

 

インデックスちゃん(あの子)が捕まった後にしては、随分タイミングがいいと思ってね。ひょっとして、協力してたのかしら?」

 

愚痴を聞いてくれるつもりはないようだから、素直に質問する事にした。

 

「・・・・協力?何の事だ?私はアイツがこの付近を通るとは知らず、うっかり(・・・・)休憩用の菓子を閉まっておいた『だけ』なのだがな。それが偶々(・・)開いて匂いを放出してアイツを呼び込んだとしても、私に責任はないはずだ」

 

なんとも正当な事を言っているが、結局のところ偶然を装って誘き寄せた訳だ。

少し考えれば解る、簡単な餌に引っかかってしまった自分が言うのもアレだが、大人としてこの態度はどうなのだろうか。

やはり、見かけ通り幼女なのでは・・・・なんて考えていると、扇子を突きつけてきた。

 

「どんな失礼な事を考えているか知らないが、大人しくしていれば処罰を軽くしてやらんでもない」

 

この件は那月ちゃん(あなた)が持ちかけてきたよね、私悪くないじゃん・・・・なんて口にできる筈もなく、捕まる以外に選択肢などなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに行こうかな~」

 

レイが校庭をのんびり歩いていると、正面から夏世が走ってきた。

 

「レ、レイさん」

 

「あ、無事だったんだね」

 

「は、はい」

 

取り敢えず、夏世が落ち着いてから状況整理をした。

話を聞く限り、 Aグループはレイと夏世以外の全員が捕まったとの事。

Bグループは雪菜と黒子だけが生存。

Cグループに関しては、古城だけが無事。

しかも普通に捕まったのではなく、『ゲコ太ストラップ』や『天誅ガールズフィギュア』等の餌にかかったらしい。

「・・・・いや、教師が罠や買収とかやっちゃダメでしょ。んな卑怯な~」

 

「レイさん、どうします?」

 

「うーん。残り、一時間だし逃げよ・・・・」

 

「諦めろ弟」

 

「・・・・あぁ終わった」

 

言葉を遮れたと同時に背中に鎖が触れる。

散々、振り回したから何かしら言われるだろうが、それは最初から覚悟している。

 

「全く、この私をここまで困らせてくれるとはな。どうやらお前を、暁古城たちと同様に罰さなければならないなぁ」

 

早くも前言撤回。何か悪態をつかれると思っていたが、単純に処罰を告げられるとは予想だにしなかった。

 

「さて、イニシエーターのお前はどうする?まさかプロモーター(パートナー)を置いて自分だけ逃げる・・・・・なんて言わないよな?」

 

「・・・・っ‼」

 

「やっぱりずるい~」

 

夏世の性格を見抜いた上で言っているから、尚更たちが悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、夏世は捕まり、暫くして時間終了となった。

最終的に、どのグループにも逃げきった者はいなかった。

皆仲良く特別講義を受けることとなる。

 

「う~ん、理不尽」

 

辺りを見渡せば、古城、雪菜、当麻、インデックス、蓮太郎、延珠の姿がない。

 

「あの6人ならいつもの(・・・・)用事でいないぞ」

 

『補講と死にかけ』で死にかけを優先するとはなんて連中だ。

・・・・・・まぁ、一人は死んでも生き返るが。

というか、『死への片道切符』で行ったはずなのに、何故に徒歩で帰ってこれるのか、レイには理解できない。

 

「・・・・というか、蓮太郎がいないって事はお兄ちゃんもいないんじゃ」

 

「・・・・あ」

 

姉の言葉でレイは気付いた。

確かにそうだ。

監視役なら、監視対象と共に行動しているのが普通だ。

 

「・・・・って事はさ、僕たちは古城の監視に行かないとダメ?」

 

「当たり前でしょ」

 

ライは呆れながら伝えてくる。

 

「・・・・ねぇ那月ちゃん」

 

「断る」

 

「まだ何も言ってないじゃん!?」

 

手伝って欲しいと言う前に断られた。

 

「暁古城の所まで転送させろ・・・・・・とでも言うつもりだったのだろう?」

 

「あ~うん」

 

「諦めなさいよ、レイ。自分たちで行くしかないわよ。でも安心ね、生徒思いで心優しい(・・・・・・・・・)那月ちゃんなら、きっと古城の現在地ぐらいは教えてくれるわよ」

 

「・・・・・・ええい‼」

 

まるでいつかの仕返しかのように、ライがそんな言葉を放った。

悔しそうにしながら、那月は仕方なく転送魔方陣を開いた。

 

「・・・・行くなら早くしろ」

 

「ありがと」

 

レイは一年に一回見れるかどうかの素晴らしい笑顔で感謝し、魔方陣へと入っていった。

 

「・・・・なんか、ごめんね~。那月ちゃん?」

 

「教師を『ちゃん』付けで呼ぶ暇があるなら、さっさと行け‼」

 

「・・・・は~い」

 

完全な八つ当たりで怒られながら、僕も魔方陣へと入っていった。

 




最近は前書きで謝る事がデフォルトになってきました。
次話の投稿はいつになるかまだわかりませんが、出来る限り急ぎます。

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