とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社   作:怠惰ご都合

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前回の投稿から微妙に間が空きましたが、それでも三ヶ月経ってないので、許してもらえたら幸いです。
エイプリルフールにそれっぽく投稿しようとか考えてましたが、気付けば過ぎてました。
・・・・はい、いつもの事です。


介入者と追憶

「えっと、つまり・・・・どういう事?」

 

翌日の夜、学生寮にてライは弟から事情を聞いていた。

しかし、いかに弟の事を理解している彼女といえど、今回に関しては流石に無理があった。

 

曰く、転送先は聖天子様のリムジンだった。

曰く、聖天子様が狙撃で殺されかけた。

曰く、兄である一方通行(アクセラレータ)が毛布を纏った少女と共に歩いていった。

 

「・・・・・・という訳で納得?」

 

「いや、できるわけないでしょ」

 

そう告げる弟にバッサリと返事する。

だよね、と弟は苦笑いを浮かべた。

夏世は既に寝ているため、今この空間には二人だけである。

 

「まさか、身内の二人(・・)がロリコ・・・・・・同じ病気を抱えていたなんて」

 

「だよね・・・・・・・・ん?ごめん、ちょっと待って姉ちゃん“二人”って?兄ちゃんと、あと一人は誰の事?」

 

「あんたに決まってるじゃないの。何を今更」

 

「いやいや、いつ!?全っ然、身に覚えがないんだけど!?」

 

「これは一大事ね。支部の皆にどうやって説明すれば・・・・」

 

「・・・・お~い」

 

「まぁ、取り敢えずは、今後の方向性を決めることが最優先よ」

 

「・・・・あぁ、うんそうだね」

 

「と言っても、私たちの役割はあくまでも監視。つまりは今まで通りの事をするのが最善よ」

 

「オッケー」

 

「じゃあ、お休み」

 

「・・・・ねぇ」

 

そう言って、立ち上がったライを引き留める。

 

「何よ」

 

「何で今、このタイミングで役割の再確認したの?」

 

「・・・・忘れてそうだからね」

 

「姉ちゃんが?」

 

「冗談でしょ、私が忘れる訳ないわ」

 

「じゃあ・・・・誰が?」

 

誰かが(・・・)、よ」

 

それだけ告げて、ライは自分の部屋に入っていった。

その後、結局姉の言っている意味が解らなかったレイは、何度考えても答えが出ないのに嫌気がさして、面倒になって、諦めて寝た。

翌日、特に何事もなく時刻は夕方。

今日も終わり、レイがそう考えていた時だった。

二人の女の子が家を訪ねてきた。

一人は栗色のショートヘアーで活発な雰囲気、もう一人は黒髪のロングヘアーで大人しい雰囲気を纏っていた。

人間違いではないかと答えて、ドアを閉めようとしたら瞬間。

栗色のショートヘアーの子が口を開いた。

『“木原”から逃げて自由になりたい』と、彼女は確かにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、そのままドアを閉める事が出来なかったレイは、仕方なく二人を部屋に通した。

そして、ライと夏世を呼び、狭い部屋に5人が揃った。

「私は真実鏡映(リフ・トゥール)。長いからリフでいいわ。そして何もかもが貴女と対極な存在よ。仲良くしましょうね、嘘つき(ライ)お姉様」

 

「えーっと、虚的想放(リスメージス・ワン)って言うの。メイって呼んでね。仲良く・・・・はしなくてもいいけど、宜しくね。ゼロ(レイ)お兄さん」

 

黒髪の方が先に名乗って、栗色の子はその後に名前を口にした。

 

「自己紹介はわかったよ。確かに名前も知りたかったけど、君達は何?只の名前・・・・にしては何処か型式番号みたいだね」

 

レイはこの二人を見てから、ずっと胸騒ぎがしていた。

そして、二人の名前。

更には、古城や蓮太郎たちが行動を起こし始めたこのタイミング。

偶然とは考えにくい。

 

「私たちは実験によって生かされている『呪われた子供たち』よ。実験内容は・・・・“能力の定着化”、そして責任者は“木原幻生”」

 

「そんなッ⁉ダメよそんなの‼すぐに限界が来るわ‼」

 

「確かにそうね。貴女の言うとおりよお姉様。そう、確かに私たちは『呪われた子供たち』。ただでさえガストレアウイルスに侵食されているのに、能力を使用していけば、いずれ壊れる。でもそれはあくまで身体(・・)だけ、本体は違うわ。貴女だって時々やってるんでしょう。なら当然、解るわよね」

最初は何を言われたのか、解らなかった。

だけど、最後の一言で理解できてしまった。

 

「・・・・・・まさか」

 

「そう、私たちは乗り移ってるだけ」

 

「・・・・なら、その身体の主は?まだ無事なの?」

 

「さぁ?考えたこともなかったわ。だってほら、外周区(あそこ)には予備が沢山いるんで。そんな事(・・・・)でいちいち考えたって面倒じゃん?」

 

その一言を聞いた途端、姉弟の顔から感情が消えた。

 

少女たちは、まるで悪びれていなかった。

それが当たり前、そう考えているのが手に取るように解った。

だからと言って、彼女たちを責めるのは筋違いだ。

責めるなら、無垢な彼女らに『それが正しいのだから』と、洗脳も同然に教え込んだ奴だ。

しかし、しかしだ。

特に理由を考えるでもなく、『正しいからいい』と信じてしまった二人の思想は、幼い頃の自分達を見ているようで、歯痒いとレイとライは思わずにはいられなかった?

 

「・・・・・・へぇ」

 

「・・・・・・ふぅ~ん」

 

「まぁまぁお二人とも、そんなに怖い顔しないで?」

 

「そうそう、私たち別に敵対してる訳じゃないんだし。むしろ仲間になって欲しいと思ってる位だし‼」

 

「仲間に?」

 

「ええ、そうなのよ‼なんて言っても、たった二人で

あの、【憑賭画一(ポーベッツスタン)】を体現したって言うじゃない」

 

「・・・・ッ!」

 

「・・・それで?」

 

「それほど優秀な先輩達なら仲良くなってても損はないかなぁ・・・・って訳」

 

「・・・・あの、一ついいですか?」

 

そこで、それまで黙っていた夏世が口を開いた。

 

「なになに?」

 

「えっと、リフさんとメイさんは憑依?というのをされているんですよね」

 

「うんうん、そうだよ‼」

 

「なら、その身体の持ち主とは会話できるんですか?」

 

「・・・・今はまだ(・・)消えてないからできるわね。多分二人とも」

 

「なら話を。させてくれませんか?」

 

「構わないわ」

 

「いいよ‼事情も話して」

 

それから、リフとメイは目を閉じて脱力した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、二人の少女は目を覚ました。

雰囲気が先程とは異なる事から、この身体の本来の持ち主であると思われる。

少し躊躇いながらも、夏世は口を開いた。

 

「それでは、お二人の名前を教えて下さい」

 

「・・・・・・」

 

「えっと・・・・その」

 

「どうかしました?」

 

「・・・・・わからない、です」

 

「・・・・正確には、覚えてない、です」

 

夏世は、あまりの事に言葉が出なかった。

でも、ただ“可哀想だからと”同情するのは、この二人に対して失礼だ。

二人と自分には、年の差は多分ない。

自分との境遇にも、差は存在しない。

ならば、このまま質問をするのが、せめてもの礼儀だ。

 

「・・・・それでは二人は現状というか、自分のことは何処まで把握していますか?」

 

「すいません、全然」

 

「ごめん、なさい」

 

この質問をしている間、姉弟の表情はずっと哀しみを浮かべていました。

 

「そう・・・・ですか」

 

そして今日目の前の二人の口調は再び戻りました。

 

「さて?気は済みましたか?」

 

「まだ満足してないなら、もう一度話す?」

 

「・・・・いえ、私は」

 

私は、己の無力さを知っただけでした。

 

「・・・・もう、いいでしょ」

 

突然発せられたのは、レイさんの一言。

それはどんな反論も許さない、そんな意思を感じるものでした。

 

「姉ちゃん、やっぱり何も変わってないよ」

 

「そう・・・・ね」

 

二人が何を話しているのか、私には理解できませんでした。

二人が何を悔やんでいるのか、全く思い至りませんでした。

只、苦しんでいるとしか、私には解りませんでした。

 

「さっきのは見事な演技・・・・だったね」

 

そう、この言葉を聞くまでは。

 

「なーんだ、お見通しかぁ」

 

「あらあら、残念です」

 

対する二人には、悪びれた様子は全くありませんでした。

代わりにあったのは、幼子が悪戯がばれた時に浮かべるようなそんな表情でした。

 

「気づいた理由は簡単。今までに僕たちが経験しているから。憑依先の人格は表層に出る事はできない。外からの影響が強すぎるあまり、精神を護る為の本能として起こる結果だ」

 

「だから、さっきのは貴女たちが演技したとすぐに理解したの」

 

「あっはははは、すっご~い!」

 

「流石、周囲の実験体20近くを犠牲にしてまで成功させただけはあるわねぇ」

 

「・・・・犠牲って何の事ですか?」

 

“犠牲”、その言葉を聞いた時に姉弟の表情はさっきよりも暗くなっていました。

私、千寿夏世にはそれが何故なのか、全くわかりませんでした。

 

「あっれぇ、ひょっとして知らないの?」

 

「そう、なら丁度いいわ。これを機に教えましょう。そこの二人が今まで何をしてきたのか。貴女にはそれを知る権利があるわ。そこの二人はね・・・・」

 

「言わせない」

 

リフさんが説明しかけたタイミングで、レイさんが口を開きました。

 

「それは・・・・君たちが言うことじゃない。説明は当事者の、僕たちの役割だ。その責任は自分たちで負う・・・・そう決めたんだ」

 

「・・・・リフ、帰ろ。これ以上は無駄だよ」

 

「そう、ね。友達になる件も撤回するわ。この3人は・・・・私達の敵ね。それではこれで」

 

「まったねぇ」

 

彼女たち二人は、そう言って帰っていきました。

 

 

 

 




さて、今回の話でレイとライの「忘れてないか再確認」でしたが・・・・はい、私の事です。
気付けば、初投稿から三年以上。
今では、今までの話を読み直してから話を構成する始末です。
時の流れって怖いですね。
それではまた次回。
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