とある一方通行な3兄弟と吸血鬼の民間警備会社   作:怠惰ご都合

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 やはり高齢となった年1投稿。気づいたら初投稿から10年が経過しそうなことに驚きを隠せない作者ですが、お久しぶりですねと挨拶から入ります。初投稿時とキャラもストーリーもあっちこっちと迷子になってる気もしますが、それはまぁ追々。
 では今回もよろしくお願いします。


サプライズか報いか

 今度は誰に教わる訳でもなく、夢を見ていると最初から判る。どうして言い切れるか聞かれても、だって明らかに夢だと解るくらい単純で都合の良い内容でしたから。今度は自分の望みを叶えるといった身勝手な物ではなく、単なる光景でした。学園都市の何処かでお二人と会える、そんな内容。示し合わせていた訳ではなく、偶々遭遇したんです。何故か走っていてそんな時にぶつかったのが、お二人だったんです。ただ一つ残念だったのは、お二人の顔が靄に覆われていてはっきりと見えなかった点。でも、あの全てを受けて入れてくれそうな優しい雰囲気は一緒でしたから、間違いありません。・・・・・・・ですが、どうしてでしょうか。とても大切なそのお二人の名前が、思い出が、繋がりが・・・・思い出せません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「本当に良かったの?・・・・皆だけじゃなくて、夏世ちゃんの記憶まで封じちゃって」

 

 「うん、最初からそれが1番だったんだよ。封じておけば、それは知らないのと一緒。だって、知らないままでいれば、あの男(木原偶発)に無理矢理協力させられる事はなくなるんだからさ。僕らがいることで、彼女の記憶に僕らが存在している事で巻き込まれるっていうなら、最初から知らなかった事(・・・・・・・・・・・)にしてもらった方が、迷惑をかける事もないし余計な心配に悩まなくていい。良いことだらけだよ」

 

 水槽から出てきたばかりだろうか、光を反射している水滴をタオルで拭き取りながら二人は、そう話していた。2人の視線の先にはベッドで横になっている夏世がいる。

 たった今二人は、夏世の中にある姉弟(自分たち)に関する記憶を封じたばかりだった。自分たちの事を覚えていては、再び今回みたいな事をするだろうからと、そう考えての事だった。とはいえ、消してしまっては彼女の拠り所を奪ってしまい、より危険にさせてしまうかもしれないから・・・・と話し合って決めたのだ。

 やり方自体は、以前に佐天涙子の能力を思い出させたのと変わらない。自分の意識で潜り込んで関係する記憶を見つける。ただし、異なる点があるとすれば、記憶を引き出すのではなく、見つけた物を奥底に移動させてなかった事にする(・・・・・・・・)という点。

 異なる点があるとすれば、佐天の時はレイが行っていたが、今回はライが行ったとという事にある。ちなみにライが行うに至った理由としては、レイ自身が鈍い(・・)というものと、そんなレイに夏世の記憶を触れさせたくないという、個人的な考えが僅かに混じっていないとも言えないものも関係していたりする。

 ただ、ライが行う事で人一人分の情報が直接ライへ流れてしまい、負担が増してしまう。その上、場合によってはキャパオーバーにより、より危険な目に遭わせてしまうかもしれない。故にレイが、ライへ流れ込んでくる情報を仕分けする。分けるポイントは自分たちに関するものとそうでないもの。関するものをA、そうでないものをBとする。記憶とは類似するもの毎に別けられていて、扱いとしては箪笥に近い。だから中身を見ないでも仕分けをして流れ込む情報量を調整する事も可能だ。

 

 「でも、だからって何もここまでしなくても・・・・・」

 

 「姉ちゃん、僕らに出来るのはせめて夏世がアイツの実験に巻き込まれないようにすることなんだ。寧ろこれしかないんだよ」

 

 「そう、なのかもしれないけど」

 

 「僕らは夏世が無事でいてくれさえすればいい。今まで家族の様に接してきて急に何も無かったかのように行動するのは、確かに褒められたことじゃないけど・・・・・・・でも、今思いつく限りこれが一番なんだ」

 

 そして二人は夏世を今まで自分たちが過ごしていた部屋に戻そうと歩き出す。急に決めたことなため、全てを片付けられる訳ではないが、最低限自分たちがいたであろう痕跡の消して道具を運び出す。寮の手続きなど面倒くさい事は木原に押し付ける。素直にウンとは言わないだろうが、元を正せばあの男の実験だ。最初の準備から最後の片付けまで全て含めて実験だとでも言えば従わざるをえないだろう。なにより『家に帰るまでが遠足だ』という言葉があるくらいなのだ文句は言わせない。

 とはいえ出来なかったこともあるので伝えておこう。

 

 「・・・・ちなみに姉ちゃん、当麻の記憶だけは封じられなかったけどそこだけは勘弁ね。あっでもでも!蓮太郎も古城も、学校で関わった人たちの記憶は大抵封じることができたから!」

 

 「いやそこはちゃんと遂行してきなさいよ情けない」

 

 「最初から難易度高いって知っててその返しは鬼畜だと思いますけどねっ!?」

 

 だってあの上条当麻だよ?右手一本であらゆる異能を打ち消せちゃう不幸体質なんだよ!!仮に封じたとしても偶々右手が頭に触れたりすれば思い出しちゃうし、意識体で近づいた瞬間にうっかり右手が触れたりでもしたら・・・・・場合によっては弾け飛んじゃうかもしれないんだからね!

 それだけハイリスクなのに、ノータイムで蔑むとか鬼畜以外の何者でもないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏世の記憶から自分たちの痕跡を消して数日が経ち、アイツからのお使いで暑い屋外を歩いている。すれ違う学生たちは暑い暑いと笑いながら学校へと歩いていく。

 僕と姉ちゃんは知らないが、アイツの実験に参加している間、学園都市のどこかで突然大勢が倒れるという事件があったのだそうだ。不可解な点としては被害者は全員揃って病気や事故の類ではなく、種族、年齢、性別を問わず多くの人が同時に昏睡状態になってしまったとか。

 警備員(アンチスキル)や攻魔官が何度調べようとも詳しいことは不明のまま。結局、その件は宇宙からの謎の周波数による影響ということで落ち着いた。あちこちでクレーターのように抉れてる地面も、能力者同士の喧嘩、一部魔族の暴走、暴れるガストレア、及びそれを民警が処理した際の結果ということで片付けられている。

 そしてもう一つ。学園都市第一位の男が「木原」を名乗る男と盛大な『お話し合い』をしたという話もアイツ経由で小耳に挟んだ。ただその「木原」は行方不明となっており、第一位がピンピンしているということは・・・・・そういうことだろう、とアイツが言っていた。

 

 「やっぱり判ってもらえないみたい。それどころか怒られたんですけど。『揶揄いたいなら他所でやれ』って、風紀委員(ジャッジメント)のセリフじゃないよ普通。困ってる人いたら助けるもんじゃないの!?」

 

 「・・・・・当然でしょ。今まで失踪してて、『実は今までのは実験してた姿で、こっちが本当の器でーす』なんてバカ正直に伝えたところで、誰が聞いても“何言ってんの?”状態になるに決まってるでしょ。証拠の腕章だってないんだし、登録だって今までの姿で済ませてたんだから、理解してもらえるハズないわよ」

 

 「・・・・・そうじゃん、腕章失くしたばっかじゃん」

 

 「それに、風紀委員(ジャッジメント)登録したのも、この前まで使ってた器なんだからね。いくら借りてきた器とはいえ、書類上は他人に該当する人の登録で名乗れる訳無いでしょうよ」

 

 「それはそうなんだけどさぁ〜」

 

 歩きながら不満げに話しているのは、何年かぶりに本来の器に戻った姉弟(ふたり)。例え直接血が繋がっていなかったとしても、共に置き去り(チャイルドエラー)として利用され実験上姉弟として過ごすことになった間柄といえど、長年一緒に行動してきた相手だから、気軽に文句を言い合える。ゴソゴソとポケットや鞄など思い当たる箇所を全て探せど濃い緑色の腕章は出てこない。

 

 「・・・・むぅ〜」

 

 「取り敢えず、当面の間は木原偶発(アイツ)が手配してくれた寮で生活するしかないでしょ。・・・・・暫く買い出ししなくてもいいこの状況に、心の何処かで感謝してる自分が腹立つけどね」

 

 「当分は、知り合いに会っても初対面のフリをするの?」

 

 「勿論よ!今見つかっても大事になるだけだからね。皆を巻き込まない為にもこれが1番なのよ」

 

 「それは、夏世と会っても?」

 

 「・・・・・そうよ。例え夏世ちゃんと会うことになっても、それは変わらない」

 

 話しながら辺りを散策しているも、正直なところこの行動に必要性はないのである。ただ、転校してきたという設定に説得力を持たせる為に行っているだけなのだ。フラフラと歩いていて警備員(アンチスキル)に絡まれようものなら、それは面倒くさい事以外の何ものでもない。可能性としては限りなく低いが、データを漁られて身元を特定される恐れもあり得るのだ。そうなってしまった際に逃げると怪しまれてしまうから、そうならないよう事前から行動していこうと決めたところなのだ。だが・・・・・

 

 「・・・・きゃっ!?」

 

 「わっ・・・・ごめんなさ・・・・い」

 

 「い、いえ・・・・・こちらこそ余所見してて」

 

 そうはいかないのが現実というものである。人間、絶対に避けたいと思っていることに限って直面しやすいのである。出会ってしまったのは今までに何度も行動を共にしてきた、しかしそれでいて、今の体(本来の器)では初めて接するという少しややこしい関係となる相手・・・・・・千寿夏世。ついさっき出会わないように用心すると話し合っていた矢先の出来事だった。

 

 (・・・・・・どうすんの!?)

 

 (どうするって・・・・・・・どうしよー)

 

 「本当に大丈夫?ごめんなさい、止まって話してたものだから。大怪我になってないかしら」

 

 焦ってはいるが、夏世からしてみれば初対面だ。なら戸惑ってしまえば変に怪しまれる。焦りを表に出さず可能な限り冷静に対応する。

 

 「いえ、少しぶつかっただけですし、ボーッとしてた私も悪いんですから。それよりもしかして・・・・何かお困りなんですか?もしそうならお力になれるかも・・・・なんて、ごめんなさい変ですよね。初めて会ったのに、何故か嬉しくなっちゃって」

 

 確かに驚きはしたが、これはこれで新鮮だ。なんだかんだで、今までに夏世が他の人と接しているシーンを見ることなんてあまり無かった。固法さんとか馴染みのある人ではなく、全く初対面の人と接する機会はあったのかどうか・・・・・正直なところわからない。

 

 「・・・・・・誰か知り合いに似てたとかでしょ?よくある事だから気にしなくていいわ」

 

 「そうそう。僕たちの方こそ驚かせちゃってゴメンね。ちょっと道に迷ってて」

 

 「・・・・・・・お二人は観光とか見学でいらしたんですか?」

 

 「いいえ、今日からここに住むことになったの。ただ、なんの準備もしてなかったから、今から買い物に行かないとってところだったの」

 

 「だけど、肝心の道を把握してなくて絶賛迷子中だったっていうんだから笑えるよね。あっはははは!」

 

 「・・・・・自分の失態を堂々と笑うな恥ずかしい」

 

 「あの、もし良ければ私に案内させて下さい。細かいところまでは無理かもですけど、生活にが関わる範囲の場所なら案内できますから」

 

 「いやでも・・・・」

 

 正直なところ無事な姿を見れたのは嬉しいけど、今はまだ会うべきではなかった。とにかくそれとなく断ろう・・・・そう考えてライが口を開こうとした時だった。

 

 「いいじゃん、お言葉に甘えちゃおうよ」

 

 隣りにいたレイが、自分とは真逆の事を言い出して驚いた。下手に知り合いになって、巻き込んで、後々正体を伝えては色々と気不味くなるに違いない。なにより夏世を危険な目に遭わせてしまう可能性が高くなる。それだけは避けたいと、二人で話し合ったばかりだというのに。

 

 「ちょっと!?」

 

 「だって僕たち、他に知り合いなんていないでしょ?だったら、甘えたっていいじゃん。せっかくの機会なんだし、次はないかもしれないんだよ?」

 

 「・・・・・わかったわ。ならお言葉に甘えてお願いしてもいいかしら、えっと・・・・」

 

 「夏世です。千寿夏世」

 

 その名前を聞いて、思わず正直に打ち明けたくなってしまうが今は我慢するしかない。

 

 「私はフェイ」

 

 「僕はリーン!」

 

 「ありがとうございます。これで私たち、お知り合いですね!じゃあ、案内します!」

 

 (・・・・・なに勝手に言い出してんのよ。別に自分から危険に飛び込まなくてもいいじゃない!)

 

 (確かにその通りだけどさ~、あの状態で断ったって、意味無いじゃん。だって学園都市って狭いんだよ?今日断ったって、明日また会うかもしれないじゃん。その時に『やっぱりお願いします』なんて、気まずいだけでそれこそ面倒だよ。だったら今から知り合っておいた方がいいでしょ?)

 

 (そう、ね。その通りだわ・・・・・・なんか賢くなっててムカつく)

 

 (やっと元の身体に戻ったからね〜。長いこと離れてたけど、少しずつ感覚を思い出してきたよ。まぁ今までの借り物も名残惜しいけどね)

 

 (・・・・・精神(中身)は一緒なのにね)

 

 (幼いって言いたいんだろうけど、それはお互い様でしょ!)

 

 夏世「お二人は、どこからいらしたんですか?」

 

 「そうねぇ、外の国よ」

 

 「そうなんですか!日本語が上手だったので全く判りませんでした!?実は私、ずっと日本にいるから外の国について知りたかったんです!どんなところなんですか!?」

 

 「外の国と言っても、もともと僕たちは小さな魔族特区で生まれたの。そこは少なからず日本と交流のあるエリアで、国が主体となって日本について教える環境を用意してくれている。僕とフェイはそこの第一号として学園都市であると同時に魔族特区の役割も兼ねてるここに来たんだ。・・・・・だけど、話に聞いてたのと実際に見るとでは大違い。予想以上に入り組んでて迷ってたところだよ」

 

 「・・・・そうだったんですか」

 

 学園都市にいる能力者や『呪われた子どもたち』である夏世は正式な許可なしにモノリスの外へ出ることは敵わないため、外の世界に対する好奇心がある。だから目を輝かせて話を聞きたがるのも解る。しかしこの閉鎖的なエリアが損得なしに対外的な協力することは限りなく少なく、疑われないために交換留学生という名目を用いることになるのだが、それが夏世を落ち込ませてしまったことに少し罪悪感を感じてしまう。

 

 (なかなか上手いじゃない)

 

 (でっしょ〜!?結構自信あったんだ!)

 

 助かったのは事実だが、だからといって得意げにされるとそれはそれで気に入らないのだが、今はそんなことを考えてる場合ではない。案内してもらった後はどうやって別れようか、心配性なフェイ(ライ)はついつい考えてしまうのである。無論、その間の応答は勝手なことを言い出した相方に丸投げであるが、これくらいは許されるだろう。知られれば五月蝿いが、決して私怨とかではないハズである・・・・・・・多分。

 

 (現に助かってるんだからいいじゃんか〜。他に思いつかなかったんだよ)

 

 勝手に心を読まないでよ恥ずかしい。・・・・・・それはそうと、そろそろ私も感覚を取り戻さないとコイツに調子に乗られてしまうかもしれない。なんとしても防がないと。

 

 (随分と好き勝手言ってくれるし無視してくれるね!?あと、勝手に心を読むの云々に関しては思いっ切りブーメラン刺さってるからね!なんで自分だけ善良なフリしようとしてんのさ〜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏世の案内に従い、家具を見て回る。正直この前持ち運んだ家具をそのまま使えばいいのではとも思ったが、アレらはとっくに処分し終わった。どこかで夏世の目に映ることがあるかもしれない。自分たちに関する記憶も封じただけで、完全に消した訳ではない。何かきっかけがあれば思い出すかもしれないのだ。それなら少しでもバレる可能性を抑えるべきだと考えたが故の行動だった。勿論夏世はそんな事情など気にすることもなく、下校時間を告げるアナウンスが流れるまで案内を続けてくれた。くるりと振り返った夏世はどこか期待するかの様な目をして口を開いた。

 

 「厚かましいとは自覚しているんですが、お二人にお願いがあります。私の家で、歓迎会をさせてほしいんです!」

 

 「・・・・それは嬉しいけど、いいの?ご家族の方もいらっしゃるんでしょう?邪魔じゃないかしら」

 

 「確かに家族は、少し前までは一緒に住んでいた方もいたんですけどね、今はお仕事で忙しいらしくて、家に戻って来ないから今は私一人だけなんです。邪魔だなんてそんなことはありません!」

 

 ライがどう答えようか困惑している。勿論今後の行動を考えれば正しいのだが、自分たちの知る夏世が今日初めて顔を合わせた相手に歩み寄ろうとしている気持ちを尊重したい。

 

 「そっか・・・・・・・ならお言葉に甘えようかな、フェイ」

 

 「そうね、よろしくお願いするわ!」

 

 「任せてください!」

 

 なにより、ドキドキとワクワクが入り混じった表情を見て、断る理由はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もう、すっかり暗くなっちゃいましたね」

 

 「そうね・・・・ありがとう、楽しかったわ」

 

 「いえ、喜んで貰えたようでなによりでした。久しぶりに他の方とご飯食べる事ができて、私も嬉しかったです!」

 

 嬉しいとは言いつつも、どこか淋しい表情で話す夏世を見て、フェイはゆっくり立ち上がる。

 

 「私たちもそろそろ帰るわね。ほらリーン、もう帰るわよ・・・・って寝てるし!?ごめんね、今すぐに起こして帰るから!?」

 

 思いつく限りの刺激を与え、慌てて起こそうとするも、リーンは微動だにしない。

 

 「・・・・・・起きませんね」

 

 「そうね、どうしましょうかしら」

 

 「このまま泊まっていきませんか?」

 

 「そんなっ!?こんなにお世話になったのに、その上泊まらせてもらうなんて迷惑以外のなにものでもないわよ!ほらリーン起きなさいって!帰るって言ってんでしょっ!?」

 

 ちょっと強めに叩こうと蹴ろうとそれでも動かないコイツはなんなのか。

 

 「でも、リーンさんも起きませんし、完全下校時刻も過ぎてるので、今から外に出ても警備員(アンチスキル)に補導されるかもしれませんよ?」

 

 「・・・・・・ホントに、何から何までお世話になります」

 

 「構いません。空いているベッドも布団だってありますし、何よりそのまま放置されるより使ってもらった方がいいハズです。今はお仕事で忙しくて帰って来られないあの人だって、同じ事を言ってくれると思いますから」

 

 「・・・・・・その人の事が、大好きなのね」

 

 「はいっ!」

 

 夏世は嬉しそうに準備していく。

 

 「リーンさんとフェイさんの間で寝てもいいですか?恥ずかしいことに落ち着くので」

 

 「・・・・構わないわ」

 

 「ふふっ、ありがとうございます!」

 

 暫くして夏世は規則正しい寝息を立て始めた。ここ最近は寝れていなかったのだろう、今は安心して寝ているが、今まで帰ってこない姉弟(ふたり)をずっと待っていたに違いない。その目から涙が頬を伝って落ちている。

 

 (今日のことは全部アンタのせいだからね!明日、夏世ちゃんに謝んなさいよ!)

 

 (うわヒッド〜い、途中まではあんなに賛成してたのに!・・・・・・・というよりもさ〜、もうちょっと優しく起こしてくれると助かるんだけど。体のあちこちがものすっご〜く痛いんだけど!?)

 

 意識を同調させながら、寝た振りをする愚か者に説教しても許されだろう。

 

 (アンタの事だからどうせ最初から起きてたんでしょうに、何が優しくよ!?芝居に付き合ってあげたんだから文句言わないでよね!)

 

 (・・・・・いずれちゃんと謝んないとね)

 

 (当たり前でしょ。安心しなさい、私も一緒に謝るんだから)

 

 (・・・・・じゃあ、入院の一度や二度は覚悟しないとね〜)

 

 (えっ、夏世ちゃんって怒るとそんなに怖いの!?)

 

 (それはもう!前に佐天さんの能力を誘導した事があったんだ。最初はバレずに抜けれたし、能力も無事に引き出せたんだけどさ、その後は結局バレて頬を突っつかれたり引っ張られた事があったんだ・・・・・アレはヤバかった。もう顔が元に戻らないかと思ったよ〜。なにより痛いなんてモンじゃないねウン。直接心を責めてくる。中でも1番キツかったのは自分に罪悪感があるから、避けられないって事だよね)

 

 (・・・・・・・)

 

 (あれ位で済めばいいね。一刻も速く夏世の気が晴れてくれるのを祈るばかりだよ)

 

 経験者の言葉を聞いて、いずれ訪れるであろう苦痛に既に青ざめる。

 

 (今から言えば許してくれると思う?)

 

 (・・・・・無理で〜す)

 

 (せ、せめて言い訳くらいは・・・・・)

 

 (・・・・・・)

 

 (諦めて寝るなーっ!?)

 

 そして無常にも時間は刻一刻と過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 




 言った矢先からフラグ回収していくこの二人、本人達に悪気はないでしょう・・・・・だよね?
 まぁ不安にはなりますが、それは作者の投稿速度にも言えること。これ以上自分でダメージを増やさないように今回はこの辺で。
 それではまた次回。
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