魔法科高校の鏡の魔法師   作:烏鷺烏鷺

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九校戦編 5

一高のモノリス・コードの2回戦は市街地フィールドで、相手はここまで最下位の四高だ。

一高の勝ちだろうと思いながら、大型スクリーンに映っている一高と四高のメンバーをみているうち、開始直後に落下物が現れてのスクリーンのブラックアウト。

何かが一高メンバーへ落下したのだが、スクリーンのアナウンスでは『しばらくお待ちください』とだけしか流れない。

このままではらちがあかないと思い一高の天幕へ向かった。

 

一高の天幕について、少したってからはっきりしたのは『破城槌』の魔法が使用されたこと。

そして七草生徒会長たちが一高のメンバーのそばへ向かったということだ。

 

七草生徒会長がもどってきて一高のメンバー3人は魔法治療を行なって、入院が3日間に全治2週間。

魔法治療のことを知っているだろう多くの魔法師にとって、とんでもない重症ということを聞かされたのだ。

さすがに、道場で多くのけが人が発生するとはいっても、そのような重傷者をだすことは無いので、さすがに気分が悪くなってきた。

一緒にモノリス・コードをみていたレオたちに、状況だけでもきかせようと思い、そちらへ行くことにした。

付いたところで、座っていた席にもどり小声で、森崎たちが怪我で出られなくなったことを伝えた。

怪我は少なくともモノリス・コードにでることは不可能というぐらいでとどめておいた。

俺は気が進まないとはいっても、とりあえずは、まわりに気がつかせないということで、そのまま一緒についていった。

三高の試合を2試合みたが、プリンスは左腕にはめた汎用型CADで、収束系魔法・偏倚解放『へんいかいほう』で爆風を起こして、相手を攻撃している、一方的な砲撃魔法といったところだろう。

三高の他の2人は動きすらしない。

一高は多分危険で、このままなら多分、モノリス・コードは三高の1位だろう。

 

そう思っていました。1年生女子が夜にお祭り騒ぎをしていた最中までは。

 

 

 

ミラージ・バットで、ほのかと里美の、1位、2位による1年生女子がお祭り騒ぎ……モノリス・コードで怪我をしたメンバーに対しての不安を打ち消すためなのもあったのだろう……その最中に、中条先輩からホテルのミーティング・ルームに至急きてほしいと呼び出された。

至急ということだから、この呼び出しにいかないわけにもいかないだろうと、ミーティング・ルームに向かって中に入ったら、そこからモノリス・コード出場の説得が始まった。

とはいっても、七草生徒会長から聞いたことに対して

 

「俺でいいんですか?」

 

「ええ……もちろんよ」

 

そこに渡辺風紀委員長が蛇足のように

 

「君は単独なら魔法のみの戦闘力では、十分ずば抜けていると思うからね」

 

その言葉とともにちらりと視線をずらした先には、服部副会長が苦虫をかみつぶした表情になっていた。

それで納得してしまった俺は

 

「はい。よろしくお願いします。ところで他のメンバーは?」

 

「そこの達也くんに、1-Eの吉田幹比古くんよ」

 

七草生徒会長の言葉に俺は唖然としていた。

達也くんという呼称はともかく、達也が先にいたのは、技術スタッフとして説得されていたのだと思っていたからだ。

また、幹比古が呼ばれた理由も逆にいうと、この時点で逆に理解できた。

達也がからんでいることには、間違いない。

 

そのあとからきた幹比古に対するものを、説得と言えるかどうかは、こちらは当事者ではないので、目をそらすことにした。

 

 

 

モノリス・コードに出場することが決まったら、今後の段取りを説明するという名目で、達也の部屋に行くと、外でまっていたのはレオ達で、それがついてくるのも、もはや必然といえよう。

 

俺からは、

 

「なあ、達也。今日のミラージ・バットの結果で、新人戦総合2位は確定しているはずだが、七草生徒会長たちはモノリス・コードも勝てと言ってるのか?」

 

「勝って、新人戦総合優勝」

 

「はい? 総合優勝ってことは……何位になればいいんだ?」

 

「2位だな。だから決勝トーナメントで決勝戦まで行くには、そこまで全勝が条件だ」

 

「ほっほー。そういえば、きちんと変則リーグのポイント計算をしていないが、そういう感じかぁ」

 

「だから、勝つための作戦をたてるのに、少し質問がしたい」

 

そこから、達也から各自への質問だ。俺にはどこまで魔法をだせるのかということで、

 

「全部出してもOK。どうせ、古式魔法は専門の鍛錬をしないと使えないものが多いからねぇ」

 

そして幹比古からは

 

「吉田家の術式には無駄が多くて、そのせいで俺は魔法が思うように使えないって」

 

「ああ」

 

エリカは吉田家と近いだけあって驚きもひとしおだが、レオや美月も驚いている。

古式魔法の名門の魔法だが、吉田家はたしか伝統派などのところかまわず術をとりいれているのに、反発をしているんだっけ。

芝崎古流柔術も、魔法に対してはマーシャル・マジック・アーツと剣術の組み合わせに近いところがあるし、忍術使いとはある意味競い合いみたいな面もあるから、吉田家は毛嫌いするかもしれないが、それは、吉田家の問題だから、気にしないことにした。

 

達也にCADを1台1時間以内で仕上げるは言われた時には驚いたが、CADの調整には中条先輩が、達也のアシストに立候補したが、俺もあきれるほどの速さで行う調整は、中条先輩もだまってみているしかなかった。

 

次は幹比古のCADの調整だから、その間は邪魔にならないよう外に出ていた。

 

 

 

大会8日目で新人戦最終日の最初の競技はモノリス・コードで八高と対戦するために、森林ステージへと続く一高側のフィールドに出ていったら、観客がやたらと多い。

注目のされ方に異様な雰囲気を感じる。

 

「やっぱり、注目を集めているのは、この剣……『小通連』なんだろうな」

 

俺は、自分の腰にぶら下げている『小通連』に意識をあわせて、ため息をつきたくなった。

 

昨日は、達也にCADを最初に調整してもらい、その最中に操作マニュアルを仮想型端末で体感をして、剣の感触を試すのにはエリカのつてで軍の施設に行った。

対戦相手として藁人形だが、この『小通連』での魔法の発動まで900msぐらいか。

汎用型CADに加速・移動複合魔法にするると400msぐらいまで早くなるが、低スペックCADだから、速度はこんなものだろう。

 

そんなことを思っていながら、指定された位置までいくとモノリスが立っていた。

 

 

 

試合開始の合図とともに、達也は相手陣地にダッシュをし、幹比古は歩いていく。

そんな中で俺はまず気配をまわりに同化させたが、そばにあるカメラを通しては表面上代り映えしないだろう。

感覚がするどい人でも、人間味がなくなった感じがする程度だ。

それから半鏡を2枚作る魔法を使い、1枚目の鏡の背後1mから見ている感じに、2枚目の鏡へと映りこんでいるかを確認する。

遠見の魔法の一種だが、初心者向けの魔法で、俺の場合、この半鏡の魔法を介して扱う。

よく千里眼の系統と間違われるが、千里眼が無線だとしたら、この遠見の魔法は糸電話だ。

互いの鏡がサイオンで3次元世界で結びつくことができる距離までしか放れることはできないが、今回はその程度で十分だ。

俺は、モノリスの真上へ、限界まで上昇させて、上空の鏡から見える映像を手元にのこした半鏡でみながら、八高のオフェンスがくるのを待ち構えた。

 

結果からみると、俺の場合は上空にみえている鏡が、相手オフェンスが気にかけながら進んでくるのをみつけて、『小通連』の発動により、近くの空間にまで先端を移動させて、その先端を加速・加重複合魔法でなぐりつけて気絶させるという、『小通連』の本来の使い方とはことなるが、楽をさせてもらった感じだ。

 

幹比古は相手のオフェンスの1人を『木霊迷路』の古式魔法で、方向感覚を狂わせていた。

 

そして達也は相手ディフェンダーが一時的に倒れている間に、モノリスに書かれている512文字のコードを専用端末へ打ち込んで、1回戦目は勝利に終わった。

 

まあ、あとで、達也が術式解体を使ったと知って、九校戦にくる時に魔法がサイオンの爆発により吹き飛ばされたような感じがしたのは、達也がおこなったものだったのかと納得していた。

 

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