魔法科高校の鏡の魔法師   作:烏鷺烏鷺

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九校戦編 7

いよいよ三高との対戦は、スタートの合図とともに、まわりから見れば意外な第一弾だっただろう。

プリンスが長距離攻撃をしかけてくるのはわかるとして、達也が600mという距離であっても相手に魔法を放てるということだ。

 

 

 

プリンスは1対1で達也との対戦を望んでいるのは見えていた。

こちらはもともと、プリンスからの砲撃魔法をどのように耐えるかが最重要ポイントだったので、これにかけるしかなかったのだが、その対処をしなくても実際によくなった。

これから行われるものとしては、『不可視の弾丸』を使うであろうカーディナル・ジョージが2人目のオフェンスだろうとの達也の読みも当たっていて、自陣から飛び出している。

こちらは幹比古が遊撃、俺がディフェンスでも、攻撃的ディフェンスを行うというフォーメーションへの組み換えだ。

 

ジョージがこちらまで200mを切ったところに、まずは加速・振動複合魔法で迎えうったが、情報強化の魔法でしりぞけられた。

これで、ジョージが計算違いに気がついたようだ。

俺の得意距離は確かに近中距離で、その距離でしか競技ではみせていなかったが200mぐらいの距離ならば、余裕で魔法を相手に放つことができることを。

俺も直接魔法はきかないとさとって、まずは中間ほどの距離に半鏡の魔法を発動させる。

こちらからは相手は視認できるが、向こうからは鏡として自身が映し出されるので、こちらを直接視認はできない。

ゆえに、ジョージの『不可視の弾丸』対策にもなる。

そして、こちらの各種鏡の特性を知らない相手にとっては、鏡から見える範囲からの攻撃が可能かもしれないと思わせることも可能だし、ジョージもそのように考え、鏡の横をすりぬけようと走ってくる。

俺は半鏡と明鏡の魔法を混在させながら発動していき、半鏡が20枚、明鏡が40枚で、この魔法が同時にだせる上限で打ち止めだ。

 

そして、ジョージがこちらまで100mほどまで来たところで、幹比古の古式魔法による風撃をかわしたところへ、『小通連』の魔法が放てるよう、あらかじめ近づいて準備していたところから、自己加速魔法による最速の速度で『小通連』の先端を当てようとしたところで、別な魔法の気配がそばでする。

その魔法は気がついたところで、すでにプリンスの『偏倚解放』の魔法による風の打撃は避けられなかった。

 

一瞬気が遠のいて、倒れ掛かったところで、鏡系や、『小通連』の魔法がキャンセルされているのに気がついた。

状況判断のため、無理に耐えることなく、倒れることにした。

『偏倚解放』による風撃は、気による受け流しの技法でかなり逃したはずなのに、ダメージがおおきかったようなのと、次の魔法が周囲で発生していないか探る。

瞬間でおこなった戦いによる死んだマネはとりあえず成功しているようだが、次の手をどうするかだ。

 

えっ? せこいって? 気にするな。追撃しなかったプリンスが自分の技におぼれている甘ちゃんなだけだ。

 

メタな思考はとりやめて、達也とプリンスの距離が縮まっているのと、幹比古が俺と同じく倒れていながら、ジョージは立っている。

そして厄介なことに、三高のもう1人がこちらにむかってくる気配がすることだ。

ここは、素直にジョージをターゲットにしようとしたところで、轟音がきこえてきた。

どの種類の音かは不明だが、その音と連動するように、プリンスが倒れていくのがわかった。

状況から判断するのに、轟音の元は達也だろう。

どちらにしろ、自陣に近いジョージを相手にすることにきめ立ちあがると、幹比古が同じように立ち上がった。

状況が二転三転としていくところで、俺は

 

「幹比古、ジョージは任せた!!」

 

そういって行なうのは、右わきのホルスターからショート型の特化型CADを取り出した、使用する魔法は単純な加速魔法だ。

相手も魔法を使用していたが、こちらは特化型CADで、相手は汎用型CADの違いもあり、先に魔法を発動できた。

風速150m/sに達する風……本来なら風精を中継して上空の雲をかき集めて雨雲とする魔法……を相手の足元へ向けて放った。

今度はプリンスやジョージのことを気にすることなくなって、相手へ最大限の魔法力を使用すしている。

 

連続してくる強風で空中に舞った相手に、今度は左手の汎用型CADによる半鏡の魔法によるバリエーションのひとつで、加重魔法をいれこんであるのを上からたたきつける。

 

半鏡内部の加重は9G。

 

地面にたたきつけてから、10秒間で魔法が切れるように設定してある。

それ以上の時間は殺傷ランクBに格上げされるからだ。

 

幹比古もジョージを倒したようなので、俺の方は相手の状態を確認しようとしたら、試合終了のサインがなった。

それにしても、このモノリス・コードは疲れた。

手の内を隠すのは当たり前。

さらに、全国に画像が流されるから、見られては問題がある魔法は使用禁止を自分に言い聞かせての魔法競技。

これなら、道場で高段者との組手稽古の方がよっぽど気が楽だ。

 

たとえ達也の魔工師としての腕が、高校生にしながら並のプロ以上……無意識の演算領域の限界速度までひきだせるっぽい感触はしていたが、この世界と理(ことわり)の世界の力を同じ力になってしまうようならば、本来の俺の能力までは、ひきだせない。

そう思いつつも、一番元気なのは俺っぽいので、まずは、近くの幹比古のところに行こうとしたところ、拍手のシャワーがふりそそいできたのには、照れる以外の手段は持ちえなかった。

 

 

 

その夜は、例年なら、新人戦優勝のパーティが開かれるらしいのだが、今年はその立役者と完全にみられている達也と、明日に本戦出場となった深雪がいないということで、延期となった。

 

 

 

大会9日目で今日から本戦が再開される。

俺は雫の横でモノリス・コードを観戦することになった。

モノリス・コード・フリークの雫から競技者としての視点で教えてほしいようなことを言われて困ったぐらいだ。

なんせ、チームのメンバの特性がかわれば、役目もかわる。

そのあたりは雫もわかっているが、複数の視点で知りたいということなので、可能な限りはなしてみた。

ちなみに、ほのかもセットでるいていた。

 

モノリス・コードも本日の分が終わったら、今度は夕方からの、ミラージ・バット決勝戦を観戦して、全員が飛行魔法ばかりというのには驚かされた。

 

 

 

大会最終日は競技としてあるのはモノリス・コードだけだ。

観戦は今日も雫の横で気がついたこと話していたぐらいだ。

 

午後3時半からは表彰式と閉会式で、そのあとの夜の後夜祭合同パーティ会場では、大会を主催している大手企業のお偉いさんらしき人たちと、簡単ながら挨拶をしなければならなかった。

だいたいは「来年も期待しているよ」に対して「はい。がんばらせてもらいます」だった。

 

お偉いさんたちが退出して、各学校の生徒だけになると、俺は適当に壁際で立っていたのだが、雫や、エイミィ、里見にほのかなどと踊ることになり、他校女子生徒からの踊りたそうな視線には、九校戦の新人戦ながらモノリス・コード優勝(他の競技優勝者よりも明らかに多い)というのは伊達じゃないだなぁ、というのが一点。

 

そして来年は実技テストの関係から、選手として出場は無理だろうなぁ、と逃避気味に考えていた。

 




『九校戦編』は本話で終了です。
『横浜動乱編』はストックがたまってから順次公開していきます。
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