魔法科高校の鏡の魔法師   作:烏鷺烏鷺

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来訪者編 2

月曜の朝、教室はとある話題でもちきりだった。

昨日ニュースとして出ていた連続猟奇殺人事件、犯人の通称『吸血鬼』の話題でもちきりだった。

そして達也の後ろに陣取ってエリカが中心となりさっそくひっかきまわしていたが、俺にも話しがまわってきた。

 

「ミキは、妖怪か魔物かはわからないけど、ただの人間の仕業とは思えないって言ってるけれど、浩くんはどう思う?」

 

「俺も断定はできないけれど、従来の『吸血鬼』の亜種っていう可能性はあるかもね」

 

「『吸血鬼』の存在は確認されてなんかったはずだが?」

 

達也が珍しく疑問をとして問いかけてきたが、説明がややこしくなりそうなので

 

「幹比古は知らないか?」

 

「ロンドン会議ででてきた定義だね?」

 

「そう。それ」

 

「『吸血鬼』っていうのは、ヨーロッパの古式魔法師の一部が退治したと主張しているけれど、各術師の秘儀に触れられているので、証拠物件が提出されていない妖魔だよ」

 

「なんでそんな話を知っているのよ」

 

「古式魔法を伝える者たちも国際的なつながりがあって、主にイギリスのロンドンでそういう会合をおこなっているから、ロンドン会議ともいうんだけれど、『吸血鬼』っていうのは、魔性のもののうちパラサイトが関連したものらしいんだ」

 

「パラサイト(寄生虫)? そのままの意味じゃないよね?」

 

「超常的な寄生物がパラサイト。各国の古式魔法を伝える者で呼び方が違うから、同じ概念をもつものを、それぞれロンドン会議で定義づけしていっているんだよ。妖魔、悪霊、ジン、デーモン、それぞれの国で、それぞれの概念で呼ばれていたモノたちのうち、人に寄生して人を人間以外の存在に作り変える魔性のものをこう呼ぶんだ。国際化したからと言っても古式魔法の秘密主義は相変わらずだから、基本的に現代魔法の魔法師である皆が知らなくても当然だと思う」

 

このタイミングでレオが入ってきて

 

「はよッス、何の話だ?」

 

「今日はずいぶん遅かったな」

 

「あー、チョッと野暮用で夜更かししちまって……それより、何の話してたんだ?」

 

「例の『吸血鬼事件』のことですよ」

 

美月の答えにレオは顔を顰めていたが、ちょうどその時、端末へ一時限目開始のメッセージが表示されたので、その意味を考える間もなく授業を開始することになった。

 

 

 

その2日後の朝、情報端末へエリカから『レオが『吸血鬼』に襲われて、警察病院に運び込まれた』という内容のメールが届いた。

命には別状が無いのと、意識もあるということで、こればかりは安心したので、放課後に見舞いにいこうと思いつつ学校へ出かけた。

 

学校の授業が終わり、警察病院へ向かったところエリカが待っていたのか1階のエレベータから、レオの病室まで案内された。そして、この部屋には盗聴器がしかけられている感じがしたので、ほぼ黙っている感じになった。

レオからの話の中で対戦した相手の特徴が語られて、

 

「フード付きコートに覆面、コートの下はハードタイプのボディアーマーで人相も身体つきも分からんかったよ。ただ……女だった、ような気がするんだよな」

 

そのあと幽体を調べると幹比古が言い、レオも了承し術具を使用して調べたところで幹比古が

 

「多分、レオが遭遇したのは『パラサイト』だ」

 

と言ったところで、『パラサイト』の定義などが改めて説明された。

 

「それが今回の吸血鬼の正体か?」

 

「そうだと思う。でも……」

 

「でも?」

 

「殴り合っている最中に触れるだけで、精気を吸い取れるなら、血を吸う必要なんてないはずなんだ。何故、このパラサイトは血を抜き取るなんて余分な手間を掛けているんだろう……?」

 

これは同感だが、パラサイトたちから聞いてみないと分からないというのが実感だ。

 

 

 

面会時間をすぎて、警察病院を出たのは達也、幹比古、美月、ほのか、深雪に俺で、達也が幹比古に向かって口を開いた。

 

「さっき聴き忘れていたことがあるんだが」

 

「何だい?」

 

「妖魔とか悪霊とかパラサイトとかいうヤツらは、頻繁に出現するものなのか?」

 

「いや、滅多に出現するものではないよ」

 

「そうでもないと思うけどね」

 

俺は、ここで口を挟んだ。

幹比古は『えっ?』という表情をしていたが、

 

「幹比古が言う滅多に出現しないというのは、自然発生的にはという意味だろう。しかし、術者が操るのであれば、管狐(くだぎつね)などが類すると思うけどね」

 

「そう言われると、確かにそうだけど……」

 

「問題は今回の場合、自然発生したものか、どこかの術者が呼び出して行動させているのかだね」

 

「管狐? それはどういう存在なんだ?」

 

達也が聞いてきたところで、純粋な現代魔法師にはあまり知られていない話にむかっていたことに気がつかされて、説明をすることにした。

 

「管狐というのは、動物を殺す瞬間にプシオン情報体を抜き出し人造精霊として、それを同族の幼体に埋め込むことで魔法的な能力を持つ獣……『使い魔』の一種で、原理的には人間にもできる」

 

「それが、今回の『吸血鬼』の正体だというのか?」

 

「可能性の問題だよ」

 

達也と幹比古と俺以外は、重苦しい雰囲気がただよっていた。

 

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