魔法科高校の鏡の魔法師   作:烏鷺烏鷺

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九校戦編 1

7月中旬の金曜日放課後、九校戦準備会合がおこなわれる部活連本部会議室のオブザーバー席に座っている。

隣には今日の昼休みにCADの調整員、九校戦では技術スタッフというが、それの内定がでたという話の達也が座っている。

簡単にいえば2科生である俺らは、一緒に座らされたわけだ。

ちなみに俺は、競技選手の方だ。

 

 

 

そこで、ぼけっと思っていたのは、最初に男子SSボード(スケートボード&スノーボード)・バイアスロン部の部長から、九校戦競技選手に内定したと聞かされて、耳を疑った。

SSボード・バイアスロンの競技に補欠としてベンチ入りメンバーにはなったが、その競技大会では競技者全員がきていたから雑用係になっていたのが実情で、1年生としては1名だけだったので名誉ではあるが出場実績に数えられない。

部長から返ってきた答えは、定期試験で魔法の実技テストが21位だったからだそうだ。

成績優秀者上位20名は学内ネットで氏名を公表されるのだが、そこは21位だったために表にでてこなかったのだ。

 

「それにしても、実技テスト21位って、芝崎は本当に2科生なのか?」

 

「その疑問はもっともですね。けど、加速系統と他系統の複合魔法は得意なんですよ。入試は単一系統の魔法だったのに対して、実技テストは10工程で先頭に加速系魔法が入った魔法が多かったですから、全体工程が早くコンパイルしおえたのですよね」

 

「あー、得意な起動式が先頭に入ると、その後の起動式の工程が高速化されるっていうやつか?」

 

「だいたいそうです。人によって効果の上昇が異なるので、それをさけるために純粋な国際基準は先頭に入れる起動式は別々にするのですが、俺の場合は、その中でも例外にあたって、工程の中で加速系統の起動式が入った後は、先頭でなくても、その後の工程の高速化がなさられるんですよ。厳密な国際基準では、そこまで考慮されて工程を作っていくはずなのですが、今回は出題した先生のポカですね」

 

「まあ、先生のポカにしろ何にしろ、このチャンスをいかせよ」

 

そう言ってあてにされているのだか、そうでないのかわかりづらいはげまされ方を部長からしてもらった。

これには、九校戦の出場メンバーになれば、夏休みの課題免除と、課題の一律A評価の特典に、試合で勝てば、それに見合った成績加算が与えてもらえるというのはあるのだが、部活動にも出場者を出しただけで、学校からの部活動補助額の増額や、試合で勝てばさらに部活での場所の使用時間の割合が長くなるという特典がつくからだ。

とはいっても女子SSボード・バイアスロン部と対立しあっているという雰囲気は無いから、部活動補助費が目当てかな?

 

 

 

九校戦準備会合は全員が着席したようで、七草生徒会長から

 

「それでは、九校戦メンバー選定会議を始めます」

 

こういう席ではさっそく「2科生がこの場にいるんだ?」と、目ざとく俺や達也を見つけて、話がもつれて行った。

 

上級生の中には、俺より達也の方が選手としていいんじゃないのかという達也を応援したいのか、俺をひかせたいのか、はっきりとした意図の見えない発言もあったりした中で、オブザーバー席に座っている以外の相手から、俺を擁護してくれたのは部長1人だ。

しかし、達也には風紀委員としての活動からか、好意的な意見が俺よりもはるかに多かった。

それでも達也や俺に対しての反対意見が多い中で

 

「要するに」

 

重々しい声が議場を圧した。

 

「芝崎の競技選手としての実力と、司波の技能がどの程度かわからないという点が問題になっていると理解した」

 

十文字会頭がとりまとめに入ろうとしているところを聞き漏らすまいと、注視すると続けて

 

「芝崎は各部部長の推薦と、この場にいる男子1年生の中で定期試験実技テスト9位という共通の物差しが存在する。そして、キャスト・ジャミングにさらされても魔法が使えるという魔法力を有している」

 

キャスト・ジャミングと聞いて思わず春の事件を思い出した。

キャスト・ジャミングに必要なアンティナイトは軍事物資で一高とはいえ、試すことができない。

キャスト・ジャミングにさらされながら、魔法を使ったのは一度だけで、その場には確かに十文字会頭もいた。

その中で魔法を使うことが不可能、あるいは困難であるということは桐原先輩も体験しているが、他のメンバーが理解できているだろうかと不安に思ったが、そこに渡辺風紀委員長が口をはさんだ。

 

「補足として、今は休学中であり当時洗脳状態にあった司が、キャスト・ジャミングを使用して風紀委員の沢木の魔法を封じこんだことを付け加える」

 

その風紀委員の沢木先輩は、同じくオブザーバー席に座っていることから、みてみるとこちらを向きながらも笑ってみせていた。

度量のある人だと思わされる。

十文字会頭の意図はともかく、渡辺風紀委員長の意図は、沢木先輩の上を行ける男子1年生がいるのか? と問うているのと同じだ。

 

「芝崎のチーム入りを支持する」

 

続いての十文字会頭の発言には、周りのうるさ方も文句のつけようがなくなり、質問などもなく競技選手として決定した。

 

「司波の技能は、実際に確かめてみるのが一番だろう」

 

その後に多少のやりとりはあったが、桐原先輩の立候補によって、達也の腕を見るという話になった。

九校戦用のCADを持ち込むということで、基本的に1年生が出て行って場所を確保することになった。

 

SSボード・バイアスロン部は男子と女子の部にわかれているが、部室は場所的には近いので、ほのかに雫と一緒に部室へ向かうことになった。こちらから、

 

「ほのかさん、雫さん、実質確定していたとはいえ、競技選手として選ばれてよかったね」

 

「そうでもないんですけど、浩さんのことはひやひやしながら話をきいていました。しかし、選ばれてよかったですね」

 

「うん」

 

「やっぱり、3人ともバトル・ボードの選手になるのかな?」

 

「私、達也さんが技術スタッフになってくれるのなら、なんでもいい」

 

ほのかの発言はほほえましいが

 

「達也は、普段から深雪さんのCADを調整しているそうだから、深雪さんが出る競技になるだろうなぁ。確か、アイス・ビラーズ・ブレイクとミラージ・バットが有力候補だって言ってたよね」

 

「両方ともできます」

 

「達也がバトル・ボードの技術スタッフも行えばいいわけだ」

 

「それは無理」

 

雫の発言から

 

「なんで?」

 

「アイス・ビラーズ・ブレイクと競技時間が重なっている」

 

「そうか、ここで言っててもきまらないことだし、まず達也が技術スタッフに決まることを祈っていようぜ」

 

「私は信じています」

 

結局そこで話はそこまでで、部室についた。

 

 

 

 

その日の帰りはいつものように1-Eの達也、レオ、エリカ、美月に、1-Aからは当然のことながら達也の妹である深雪に、ほのか、雫と一緒に帰ることになっているのが春の事件後から続いているパターンだ。

帰り道では、

 

「達也が技術スタッフって、とんとんとんって進んだわねー」

 

「お兄様のことですもの。信じていましたわ」

 

エリカと深雪の発言だ。

 

「それはそれとして、競技選手は誰がどの競技になるかって決まったの?」

 

「明日になったら、各部の部長から、連絡があると思ういます」

 

「へー。そうなんだ」

 

「だいたい恒例らしいのだけど、クラブに所属している競技選手は部長から、クラブに所属していない場合には、生徒会から連絡が届くようになっているみたいよ」

 

俺はバトル・ボードになると思うのだが、水上競技っていうところが、楽しみ半分、不安半分といったところだ。

 

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