今の私は盗賊のクリスだよっ!   作:ひきがやもとまち

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めちゃくちゃ久しぶりに更新しました。話の内容自体はめっちゃ前から思いついてたんですけど、なぜか書けずにいたんですよね…迷走してたのがトラウマになってたのかもしれません。いつまでも思いついてるネタをデジャブるのも面倒ですので書いて出してスッキリしたいと思います。
原作2巻が元ネタの話ですが、別物としてお読みください。


復帰回「原作回帰の2巻目1章目のお話だよ♪」

 ゆ~き~や~コンコン♪ アラレや~コンコン♪

 降って~も、降って~も、ま~だ~降~り止~まぬ♪

 い~ぬ~は喜び、庭駆け回り~♪

 ボ~クは嬉しくなって走り出す!!!

 

 

 ――と言うわけで雪だよ! 冬だよ! 駆け出し冒険者の街アクセルにも雪の降る冬の季節がやってきたんだよ! テンション上がるね! 楽しいね!

 今のボクは箸が転んでも雪が降っても楽しくて笑える銀髪の巨乳盗賊クリスだよ☆

 

「わーっ♪ 見てみてアクア様にエリス様ーっ! 雪だよ雪! 綺麗だね~・・・。

 なんだか雪って見てるだけで元気が出てくると思わない?」

 

 ボクがいつも通りに半ズボン姿で街の中を駆けずり回ってから到着した冒険者ギルドの食堂のいつもの席で座ってる二人の女神様にそう話しかけたところ。

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ズ~~~~~~~~~~~~~ン・・・・・・・・・・・・)」」

 

 

 

 ・・・あれあれ~? なんかスッゴく暗い雰囲気に包まれちゃってるよー? これだとボクってもしかして浮いちゃってな~い?

 

「いえ、大丈夫ですクリスさん。貴女はいつどこでだろうと確実に浮いてる人ですから」

「ナイスツッコミ! さすがはルナさん、寒いときでもキャラを崩さない萌えポイントに痺れる! あこがれ~る♪

 ――と言うわけなんで、雪中デートしてください。お金払う準備は出来てますから」

「・・・その潔すぎる変態さんなところを直してくれたら、少しだけ考えて差し上げます。では、失礼」

 

 相変わらずクールなルナさんは、通りすがりでツッコミ入れて仕事に戻っていっちゃった。うーん、残念。後ちょっとでイケたと思うんだけどなぁ。

 まぁ、いいや。変態なところを直したら考えてくれるって言ってたし、それぐらいなら少しだけの努力で余裕でイケるよね!? ボク真面目でいい子だから! ちょっとだけ変態さんなところがあるだけだから!

 

「・・・っと、忘れてた忘れてた。めっがみ様~☆ どうしたのー? 元気ないよー? なにか悩み事あるの? あったら聞くよ? ボクはこれでもクラスのご意見番として相談を受けること多かったからね! 今一番ホットなパンツの柄はなんだと思いますかとかの質問をさ!」

「・・・・・・・・・いのよ」

「ん?」

「・・・・・・・・・ないのよ」

 

 うつむいてる二人の内、アクア様の方がうつむいたまま声だけ答えを返してくれた。意味は分からなかったけどね。

 

「ないって・・・・・・何が?」

 

 

「お金と仕事以外に私たちが求める物が他にあると思ってんのアンタは―――――っ!?」

 

 

 どっか―――っん!

 アクア様大爆発! 大激怒! でも大魔神がお仕置きに来る気配はありません! よかったね☆

 

「・・・って、仕事? 仕事ないって・・・どゆこと?」

 

 ?マークを頭の上に乱舞させながらボクが聞くと、アクア様が暗い顔してクエストが張り出してあるギルドの掲示板を指さすから見に行ってみる。

 

 ドラドラ?

 

「牧場を襲う白狼の群れの討伐、百万エリス。

 冬眠から覚めてしまった一撃熊が畑に出没。討伐なら二百万、追い払うなら五十万・・・。

 なるほどね~。確かにこれはアクア様とエリス様の二人じゃキツそうだね~。まぁ、ボクがいたってあんまり変わりそうにないけども」

 

 ぶっちゃけ二人って、討伐依頼には向いてないアークプリーストコンビだもんね。どっちかだけでもアークウィザードを選んでいたら別だったんだけど、アクア様は知力低いし、エリス様は女神っぽい聖職者にこだわりもってるしで選べる余地最初からなかった。

 選べなかったんじゃ―、しゃーないしゃーない。諦めてお鍋でもつついて冬を仲良く乗り切りましょー♪

 

「・・・そうなのよ・・・このままだと借金が・・・未払いが・・・借り入れた冬服のローンの支払い期限がもうすぐそこまで迫ってきてるって言うのにーっ!?」

「いつも思うんだけど、なんでそんなにまでして借金増やすことに精を出そうとしてるの? アクア様って」

 

 普通に考えたら、もう少し計画的にお金の貸し借りするようになるぐらい失敗してきたよね? 知力が低すぎるからって理由で繰り返すには限度がある回数をそろそろ超えすぎてるよね? 割と本気でなんでなのん?

 

 

「うふ、ウフ、うふふふふふふ・・・・・・借金・・・貧乏、極貧生活・・・この私が、この幸運の女神である女神エリスが借金まみれの貧乏人生活を送っているなんて・・・うふふ、あははは・・・・・・」

「ちょ、ちょっとエリス・・・? 大丈夫なの? アンタまた暗黒面に落ちかかってるわよ?

 お嬢様暮らしで耐性なかったって言っても、いい加減慣れてきてもいい頃合いだろうし、今度は暴走したりしないで欲しいんだけど・・・?」

「うふふ・・・大丈夫ですよ先輩・・・私はただ、この前路地裏で見つけた道具屋さんに『今履いてるパンツを売ってくれたら五万エリス払ってあげてもいい』って言われたから、パンツすら持ってない可愛そうなお爺さんに慈悲を与えに行ってくるだけ・・・決して暗黒面に落ちたりなんか私はしませ―――」

「正気に戻れバカ女神! 道を踏み外すにも程があるぞ!(バゴォッ!!)」

「ぐほぁっ!? ・・・って、はっ!? わ、私はいったい今なにを・・・そしてここはどこですか!? 私は誰ですか!? もうこれ以上は食べられませんよ先輩!?」

「・・・もう一発いく?」

「・・・・・・すいません。反省しております・・・」

 

 それまで黙りこくって俯いていたエリス様が、ここへ来てようやく発言した内容が上記のコレ。

 うん、軽く末期っちゃってるねぇー。最近だといつものことだけど。

 

「・・・・・・仕方ありません。こうなるとは思っていませんでしたが・・・こうなってしまってはやむを得ないでしょう。先輩、最後の手段に出るときです」

「エリス!? 何かいい打開策を思いついたの!?」

 

 なにか策士って言うか軍師っぽいノリで言い出してるけど、ボクと出会って途中からのエリス様って、けっこう脳筋で頭悪い猪突猛進に走り出しまくってるイメージがあるんだけども。今回は例外だったりするのかな~?

 

「片っ端から報酬が高いクエストを全部引き受けましょう! たとえ一つしか達成できなかったとしても、キャンセル料を含めて他の全部を払い終えてなお一定額は残るようなハイ難度クエストなら、一発で今までの失敗すべてをチャラに出来ます!

 追い詰められたからには、最後の賭けに打って出るべきなんです! 私たちにはそれ以外に道は残っていません!」

「それ、完全敗北フラグの頂点に位置する言葉なんじゃない?」

 

 大河ドラマとか、アルスラーン戦記とか、三国志とか。あと、フレーゲル男爵とかさ。

 

「!!!! ・・・ええ、そうねエリス。私は今ようやく本来の自分と再会した気分だわ。これほど高揚した自分に出会うのは何ヶ月ぶりかしら・・・? 久しぶりに切れちまって本気を出したくなるほどに・・・」

 

 え~? さっきのアレで覚醒しちゃうのアクア様? どんだけー?

 

「そうよ、私たちは女神! 天高く、地の果てまでその名を轟かせた全てを統べる女神二人が手を組んで恐れるものなどあるはずがない!」

「そうです先輩! 私たち女神の前ではどんな大軍だろうと裸足で逃げ出し、あらゆる魔王が許しを乞うのが当然の結果なんです! 私たちはただ眼前に立ちふさがる敵をゴッドブローで打ち砕く! それだけでいいんです! 簡単な話じゃないですか!? もはや勝ったも同然です!」

「ええ! まったくその通りだわエリス! だって私たちは至高の存在! 女神!!」

 

 

「「勝利とは、我らが唯一進み征く道の名前なり!! いざ尋常にクエスト受領――っ!!」」

 

 

 どどどどどどどど―――っ!!!!

 

 ・・・砂塵轟かせながら行っちゃった~、冬なのにね。

 うーん、こういうのってなんて言うものなんだろうね? 所謂ひとつの・・・・・・。

 

 

 

「「・・・・・・・・・全部、ダメでした・・・(だったわ・・・)」」

 

 

 ・・・破滅するおバカフラグ?

 

「ああ~・・・、これでホントの本気で後がなくなっちゃったわ、どうしようーっ!?

 明日までに最低でも五万エリスを納めないと私の肝臓片方なくなっちゃうかもしれないのにーっ!?

 ・・・いや、有りかもしれないわねコレ。無くなっても私アークプリーストだから魔法で再生できるし、人工臓器売買イケそうなんじゃない?」

「普通に捕まると思うよ?」

 

 むしろ、タダ働きで人工臓器製造マシーンをやらされちゃいそうな予感。ダークなエンディングのエロゲは、ボク好みじゃないのでやめてください。

 

「こ、こうなったらやはりパ、パンツを売るしか他に手はないのでしょうか・・・?」

「だから落ち着け変態女神! 冷静になれ! アンタは誇りだけじゃなくパンツまで売り払っちゃったら本気でなんも残らないわよ!?」

「人は誇りで生きていくことは出来ません! 誇りは食べることが出来ないんです先輩! 食べ物を得るため、時に人は自らのパンツを売り払うときだってあるんです!」

「生きるために売るパンツって何!? てゆーか、パンツを売って生きながらえた命でアンタなにして生きるつもりなのよ!?」

「パンツがなくても私は死にません―――っ!!!」

 

 突如始まった、美少女女神さま二人によるおパンツ会議。

 女の子二人が「パンツ、パンツ」言い合うのを聞いてるのって気持ちがいいし、楽しいよね~♪ 癒やされるわ~♡

 

 んー・・・、でも確かにこのままだとエリス様かアクア様のどちらかが肝臓とパンツのどっちかを売らなくちゃいけなくなっちゃいそうだな。それはイヤだな。すごく、すごくイヤな展開だな。

 エリス様のおパンツはボクだけの物なんだい! アクア様の生オケツはボクだけが見続けていたんだい! ――あれ? アクア様の場合は肝臓だからオケツは失われないのかな? ま、別にいっか。難しいことは気にしない! ボク馬鹿だから!

 

「んじゃ、そういう訳なんで。ちょっと行ってきまーす。お留守番よろしく~☆」

「え? あ、ちょっと待っ――行っちゃったわね・・・・・・」

「クリスさん、どこへ行かれたんでしょう?」

「さぁね。まぁあのバカのことだから心配するだけ無駄だろうし、どうせおバカなとこしか行かないだろうし。それに何より早く済ませて帰ってくるわよきっとね。

 アイツ、なんだかんだ言って私たちにベタ惚れしてることだけは嘘じゃないんだから―――」

「ただいま! いま帰ってきたよ!!!」

「早すぎるわ! アンタ本当に早すぎるわね帰ってくるの! マジでビックリ仰天させられるわよ!」

 

 怒られちった。ま、別にいいや。女の子に怒られるのは、気持ちいいしね☆

 

「そんなことよりお土産だよ! ほら! 五万エリス! 手に入れてきてあげたから、これでエリス様のおパンツも、アクア様の肝臓も売らなくて済むよね!?」

「え!? 嘘!? ・・・あ、本当に五万エリス入ってる!? しかも二人分ずつだから10万エリスだし!? アンタこれ一体どこで手に入れ――――」

 

 

「この前見つけた路地裏の道具屋さんにパンツ売って払ってもらった!! 一週間以上履き続けた脱ぎたてホヤホヤおパンツだったら倍額だすって前から言われてたし、10万エリスぐらい余裕のよっちゃんだよ!!」

 

 

 スパコ―――――――――――――ッン!!!!!

 

 

「アンタに羞恥心と人として最低限の誇りとプライドは存在しないのか―――っ!?」

「失敬な! そう言うのがあるからこそ、恥ずかしくって屈辱的で気持ちいいんじゃん!?

 羞恥心のない巨乳美少女の全裸なんてちっとも萌えないよ! ただ起っちゃうだけだよ!」

「同じだ―――――――――っ!!!!!」

「ご、五万エリスということは・・・、一週間履き続けて10万エリスと言うことは・・・、もし、もしも一ヶ月間履き続けたパパ、パンティーだったら・・・いったい、いくらの値段に・・・(ゴクリ)」

「この駄女神! 変態女神! 正気に戻れノーパン女神志望の露出狂信者女神――っ!!」

「現役ノーパン女神の先輩にだけは言われたくないですよ―――――っだ!?」

 

 やいのやいの。

 雪の降る寒い冬になっても、駆け出し冒険者の街アクセルに住んでる二人の女神様は元気みたいです。

 

 

つづく




ちなみにクリス自身は働けない冬に備えて、冬前から貯蓄してました。
変なところだけまともなTS主人公です。

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