Infinite Devils Hunter   作:パン粉

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Prologue.2

 機内でゆっくりと過ごしながら、2日かけて成田に着いた。シートから腰を上げ、のんびり退場ゲートまで歩く。

 

 荷物を受け取り、電車で東京まで出る。キャリーバッグに、ギターケースやら、色々なモノを持ち、都内を歩き回ると、教科書やら制服やらを売っている店を見つけた。そこに入り、制服を作ろうと、中に入ると、テレビで見た、ISを動かせるもう一人の少年が、姉と思われる女性と一緒にいた。

 

 彼等もこちらに気付いたらしく、女性の方が、悠李に近付いて来る。

 

「神威悠李くんか?」

「はい。そっちを知っている、ということは、教師の方ですか?」

「ああ、織斑千冬だ。以後よろしく」

「こちらこそ」

「千冬姉、その子が確か、ラグナ・ブラックモアだよな?」

「紹介しよう、私の弟で、君の同級生になる、織斑一夏だ」

「よろしく」

 

 手を挙げ、挨拶を交わす。男は二人しかいないのだ、仲良くしたい。

 

 千冬が後ろの大荷物を見、呆れた様に声をだすも、大体は検討が付いている。仕事の事は承知の上だ。

 

 彼の父が軍人、ということは、彼もまた軍人であるかもしれない。彼女も、ドイツ軍に身を置いていた事があった。

 

「君は軍人か?」

「いえ、違いますよ。僕は民間人です。まあ、無法地帯に住んでるんで、民間人って言っていいのかわかりませんけれど」

「スラムの育ちか。まあいい、制服を買いに来たんだろう?」

「はい。ちょっとゆとりのあるサイズがいいんですけどね」

 

 悠李に店員が近付いてくると、荷物を預かり、素早く採寸を始めた。

 

 背丈が大きく、なかなか上まで届かない。肩幅もそれなりに広いし、かなり大きめに作りそうだ。

 

「特注になりますが……」

「明日までに出来ますか?」

「はい」

「では、ここに請求しておいてください」

 

 請求書の宛先は、「Black Cherry」。自宅宛てである。高くない買い物ではあるが、今は持ち合わせが少ないのだ。

 

 色々な口座を持っている自宅だからこそ、このような手段が通用するのだ。

 

「後は教科書買って……。ホテルで一泊かな」

 

 肩をぐるぐると回し、キャリーを引きながら、上のフロアの本屋に行き、教科書と、小説や雑誌などを、勿論自宅への請求書宛てで買い、ちょっと高めのホテルに入り、荷物を適当に放って、ベッドに寝転がる。

 わざわざスーツに着替え、バーガーキングで食事をしながら、明日の予定を整理する。

 

「制服取って、その後、学園か。それにしても、旨いな」

 

 なんでもやりすぎなイギリスの料理は嫌だった。フィッシュ&チップスなど、口に入れた瞬間、まずく感じた。

 

 それを考えると、流石日本。ハンバーガー時代はアメリカの料理だが。だが、素材は日本産だろう。

 

 スーツでいるのは流石に浮く。よくいる女子高生が、遠めからきゃあきゃあ騒ぎ出す前に、ささっと食べ切り、店を出た。

 

 トコトコと適当にほっつき、日頃の仕事の疲れを癒すような行動を取る。そして、夜にホテルに戻り、好きなだけ惰眠を貪り、翌朝、服を取りに店に向かった。

 

「よく考えれば、カードもあったなぁ……」

「おっ、ラグナ。お前も制服か?」

「一夏くん。こんにちは。それと、また馬鹿でかいキャリーを引いて、学園寮に直行さ」

「へぇ……」

 

 話を聞くと、一夏は自宅から通うようになっているらしいのだが、悠李は最初から寮だ。別にホテルからでも良いのだが、軍と学園側が気を利かせてくれた結果らしい。

 

 彼も一緒に着いていく、という事で、また電車に乗り、学園まで行く。その広大な敷地面積に、悠李達は思わず驚いた。

 

「ぶったまげた。こんなにデカいとは……」

「寮はあっちか?荷物、持つよ」

「本当?助かる」

 

 ギターケースを一夏に任せて、スタスタと進む。どうやら、もう住人がいるようだ。

 

 案内された1018号室に入ると、自宅で使っていたベッド、冷蔵庫、AV機器、アンプやドラムセットなどが既に配備されていた。シャワーもバスタブが付いているし、高級ホテルのスウィートのような部屋であった。

 

 日当たり良好、外の景色も良い。一夏がギターケースを置いて、近くのソファーに腰掛けると、悠李は冷蔵庫から紅茶を取り出し、カップに注いで出した。

 

「ありがとうラグナ。というか、いいのか、勝手に冷蔵庫開けて」

「うん。これは僕ん家から持ってきた奴だし。この部屋の家具は、ほぼ全部僕の私物」

「お坊ちゃまなのか」

「いや、家業だよ。かなり高い給料を、僕が稼いでるんだ」

「一人暮らし?」

「違うよ、父さんと一緒に暮らしてる。母さんは……知らないや」

「二人暮らしかぁ。俺も、千冬姉と一緒に暮らしてるんだ」

「なんか楽しそうな家族だね」

 

 少しの談笑。日本で出来た、最初の友達は、とても面白い奴だった。

 

 しばらくして、一夏が帰ると、悠李もスーツから制服に着替え、校舎の方に行く。部活動の気配はないが、教師は山ほどいた。

 

「そうだ、試験……」

 

 自ら受けると言った事を思い出した。職員室へ行き、その旨を話すと、アリーナと呼ばれる所に案内された。

 

 サッカースタジアムより広そうな所。ここに、試験官役の教師が、二機のISを運んで来た。

 

「ラファール・リヴァイヴと、打鉄。どっちがいい?」

「バランスがいいのを」

「では、ラファール・リヴァイヴに」

 

 動かすこと自体初だが、恐る恐る触れてみる。自分の身に、金属の塊が纏わり付き、グリーンの機体が展開された。

 

 これからどうするのか、と尋ねてみると、模擬戦をするらしい。慣れない動きにはなるだろうが、構わない。

 

 開始の合図。教師が間合いを取り、射撃を行って来る。が、それをスレスレでかわし、射撃直後の硬直を狙って、二発撃ち込んだ。

 

 見事命中。更に己の肉体をフルに使い、反動をものともせず、教師にスラスターを吹かしたタックルを当て、追撃する。同時、銃口を突き付け、零距離で射撃した。

 

 シールドバリアなるもので、完全に零距離にはならないが、そのバリアを削ることが、第一の目標だ。吹っ飛んだ距離にグレネードを投げつけ、ライフルで更に追撃。物も言わせぬ間に、相手のエネルギー数値を0にしてしまった。

 

 この瞬間、悠李の勝利が確定した。ISを解くと、教師に近付いて、手を差し延べ、起き上がらせる。

 

「いや、流石だね。ISを、自らの身体能力を活かして動かすとは」

「ISを動かしたのは今が初めてですけど、身体を動かすことなら自信はあります」

 

 人間離れしたその身ごなしは、やはり、彼が人間ではないという証明でもあった。

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