Infinite Devils Hunter   作:パン粉

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◆◇◆◇◆◇

 

 

「そんで、生徒会長さんが僕に何の用で?」

「連れないわねぇ。もっとこう……再会の感動とかはないのかしら?」

「いや、帰って勉強したいんですけどねぃ?」

「私が手取り足取り教えたげるから大丈夫よぉ♪そ・れ・よ・り♪対抗戦、ペアは決まったかしら?」

 

 何故か誰もいない生徒会室に、"更識楯無"に無理矢理連れ込まれた悠李。無論面識はあるのだが、楯無が悠李の年上なため、敬語を使ってしまう。

 

 随分と和風な感じではあるが、ソファーなどがあることから、あまり纏まらない部屋であるというのが感じられる。ソファーに腰掛けるように言われ、悠李は遠慮なくどかっと座る。その隣に、やけにくっついて座る楯無に、悠李は気まずそうな顔をした。

 

「決まってないですよ。まだ、ね」

「あら、ちょうどよかった。じゃあゆーくん、簪ちゃんと組んでくれないかな?」

「かんちゃん?いるんですかぃ?」

「いるんですよぅ。日本代表候補生、でね」

 

 更識簪。楯無の妹で、いつも楯無にくっついていた覚えしかない。悠李にも懐いていた覚えはあるが、あくまでも尊敬対象でしかないだろう。

 

「あの子、まだ専用機が使えなくて……」

「え?」

「ゆーくんのクラスの"織斑一夏"くんのせいでね、簪ちゃんの専用機、"打鉄弐型"の開発スタッフが、"白式"の開発に全員集中しちゃって、今は自分で機体を組み上げているの」

「ほう。それで?もう専用機で戦えるんですか?」

「ううん。まだ、学校のISを使ってる……。けど、実力は確かなはずよ?」

「そりゃあ、代表候補生ならあるでしょうよ」

「だからよ!!実戦で、どんな機体を使っても強いんだ、ってことを証明して自信を付けさせてあげたいの!!」

「つまり、彼女には自信がないと。でも、僕があまり出過ぎてはいけませんよね」

「勿論!だから、ゆーくんの知恵をあげて、一緒に戦ってほしいなって」

 

 妹想いないい姉だが、悠李がそれをやることに意味があるのだろうか?自信は自分が付けなければならないだろう。動機付けぐらいしかしてやれないだろうし、それが簪の心を必ず動かすという保証はない。

 

「でも、考えてはおきますよ」

「ホントに?やったぁ、ゆーくん大好きぃ♪お礼にキスしてあげちゃうぞっ」

「いや、いいです」

「そんな遠慮せずにっ♪」

「なら……!」

 

 悪乗りした悠李が、引っ付いて来る楯無をソファーに押し倒した。

彼女がその体制になると、笑顔は絶やさずも頬が紅くなっており、益々悠李を受け入れんとする体勢になっている。

 

「ゆーくんったら大胆!この数年間で、ここまでになっちゃうなんて、やっぱり血は争えないねぃ。んで?このまま私の処女をあげちゃってもいいんだけど?」

「……やめときますわ。僕、お腹空いてきたんで、帰りたいですねぃ」

「女の子を押し倒しといて食欲優先?それとも私を食べちゃったり?」

「それはまた今度でねぃ」

 

 楯無から身体を離し、ゆっくりと廊下の方に動き出す悠李。楯無がその後に続き、悠李の背中に抱き着きながら、共に1年生寮へ。楯無は2年生寮へ行かなければならないのだが、この女は言って聞くような玉ではないだろう、と悠李は知っていた。

 

「いつまで僕に引っ付いてるんですかぃ?」

「んー……ラグナくんがキスするまで!!」

「ちょっ、バッ……!!人がいるのに……!!」

「え?ちゃんとラグナくんって言ったじゃない」

「あのね、楯無さん……」

 

 力に物を言わせて楯無を引っぺがし、夕焼けに染まる屋外に楯無を放り出した。足早に自分の部屋に向かうと、シャルロットも楯無に負けない笑顔で悠李を出迎えた。

 

「おかえり、悠李♪」

「ん、ただいま。どしたのん?」

「あの、悠李がおぶっていた女の子、あれは誰かなぁ?」

「生徒会長・更識楯無。父さんの所に、昔修業に来た人で、僕の顔なじみ」

「紹介してくれればいいのになぁ♪中々、面白そうな人で……」

「妬いてんの?」

「まさかぁ。だって、この部屋で一緒に悠李と暮らしてるんだもん、この特権はボクしかないんだからさ、妬くわけないじゃん。それより、聞いてよ悠李」

 

 楯無とは全く関係がなさそうだ。と、なると、シャルロットが笑顔な理由は一つしか考えられない。彼女は、他人の幸せにも笑顔で応えられる人だから、恐らくそれだろう。コートスタンドに上着を引っ掛けて、ベッドに腰掛ける。向かい側に座っていたシャルロットが悠李の隣に移動して、嬉しそうに話した。

 

「更に、一夏と篠ノ之さんの距離が縮まったんだよ!」

「へえ。どうしてだい?」

「篠ノ之さんと一夏をボクが一度で相手したんだけど、それが距離を縮める原因になったみたい!」

「やるじゃん」

 

 セシリアや鈴には悪いが、一夏と箒は一番似合っているペアだと、悠李とシャルロットは思っている。小さな頃から幼なじみの二人がくっつくのは、一番自然だ、というのが

二人の考えだ。実際、それは二人だけが思っていることにしか過ぎないが、これに賛同するものだっているはずである。

一夏が誰とくっつくのか、それは一夏じゃないとわからない。悠李だって、流石に未来は見れない。

 

 悠李は身体を倒してベッドに横たわった。対抗戦のペアが本当にどうなるのか、知りたくてたまらない。簪と組むことになるのか、もしくはラウラと組ませられるのか。最終的には抽選になるらしいが、その抽選も不思議に思う。

 

「結局さ、悠李は誰と組むの?」

「誰でもいいよぅ。もうシャルとは組めないしさぁ」

「妬いてる?」

「かもねぃ。でも、決まりそうな気はしてきた」

 

 ――簪と会ってみるか。部屋がどこかはわからないが。

 

「日本代表候補生、その子が第一候補」

「えっ!?また、凄い人と組もうとするね……」

「一応、面識はあるからねぃ。ちょっと会ってみよっか。行ってくるわねぃ」

「部屋わかるの?!」

「いや、わからないけどねぃ。そこらに聞いてみるよぅ」

 

 ベッドから跳ね上がり、ドアを開け、廊下に出た。適当に歩いていても辿り着くことは有り得ない。それは当たり前だが、悠李はそこまで焦ってもいないのでゆっくりとしていた。来る人来る人に笑顔で会釈をしながら、ポニーテールを揺らして。

 

「あれ?らぐなん?」

「あら、本音さん。聞きたいことがあるんだけどさ、更識簪さん、って子の部屋、知らない?」

 

 闊歩していた時に、偶然にも、本音に会った。何か知っているかなぁ、と悠李は本音に聞いた。ダボダボの着ぐるみみたいな服を着た本音は、袖を振りながら元気いっぱいに悠李に教えてやる。

 

「かんちゃん?知ってるよー!!かんちゃんはねー……」

「……うん。ありがと、早速行ってみるよ」

 

 目的も言わずに、悠李は簪の元に向かった。確実に会えるという保証はないが、しかし部屋はわかったのだ。

 

 階段を飛び降り、壁を蹴って、早く移動しながら、本音に教えられた部屋に着くと、悠李はその部屋のドアをノックした。中から反応がないが、もう一回ノックする。

 

「あれぇ、いないのかねぃ?」

「……ラグナ、くん?」

「あっ、ちょうどだねぃ。やあ、久しぶり、かんちゃん」

 

 いないから帰ろうか、と悠李が思った時に、右側から、楯無と同じ髪をして、眼鏡をかけた少女と出会う。この子こそ、悠李が探していた、"更識簪"当人だろう。

 

「久しぶり……ゆーくん」

「覚えていてくれたんだねぃ」

「忘れるわけ、ないわよ」

「そりゃありがたいねぃ。ああ、そうだ。本題、行こうか。かんちゃん」

「ね、中に入ってからでいいかな……?」

「あ、うん」

 

 顔が紅く染まっているのを、悠李は見逃さなかった。"この子も僕に?"と思ったが、好かれることは悪いことではない。簪に続いて部屋に入る。やはり、悠李の部屋が特別なのか、とても質素なインテリアだった。

 

「それでさ、本題なんだけど」

「うん……なに?」

「対抗戦、僕と組まない?」

「……ごめん。私、まだやることあるから」

「専用機、かい?」

「どうしてそれを知って……」

「僕はかんちゃんのことなら何でも解るよぅ?手伝えることなら、僕は手伝うけど。でも、専用機じゃなくても、かんちゃんが強いこと、証明しないかぃ?」

「私は、専用機でも――」

「ああん、ダメよそんなネガティブじゃあ。"病は気から"よ。それに、今までのネガティブさを払拭する、どんでん返しをやりたくないかぃ?」

 

 こんなに調子よく簪を誘うのも、楯無の為でもあり、簪の為でもあり、悠李自身の為でもある。ニコニコとした笑顔を、簪の顔に近付けた。簪の顔が更に紅くなるが、わざとそれを狙っているのだろう。

 

「ゆーくん、絶対勝てるって保証、ある?」

「あるねぃ。僕とかんちゃんが組むこと自体が、必勝の秘訣さね」

「ゆーくん……どうしてそんなに自信満々なの?」

「……かんちゃんがいるからねぃ」

 

 口説き文句っぽく聞こえるだろう。その通り、簪は林檎みたいな顔になり、表情が照れながらも、久しぶりに見た笑顔になった。これなら、口説き落とせるだろう。悠李の思惑通り、簪がまじまじしながらも、口を開いた。

 

「ゆーくんのためなら……」

「……よっし!!ありがとねぃ、かんちゃん!!」

「明日から、練習しよっか……」

「そうだねぃ!!」




お待たせし致しました。ハーレムの開始になります。

留まるかどうか?さぁ……。
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