Infinite Devils Hunter   作:パン粉

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STAGE 2 クラス代表対抗戦 ーBreaking the Gunー
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◆◇◆◇◆◇

 

 

「というわけで――」

「どんな訳かわからないんですけど……っでえ」

 

 決闘の翌朝のHR。一夏の頭を千冬の武器・出席簿が打ち、彼が机に突っ伏すと、困った顔をしながら真耶が説明を続けた。

 

「一年一組のクラス代表は、織斑一夏くんに決定しました。あ、一繋がりでいい感じですね!!」

「いぇい、ぱふぱふー」

「ブラックモア、ラッパをしまえ」

「なんでラグナじゃないんだ!」

「たるい。それに僕は君とセシリアの決闘に巻き込まれた被害者だから関係ない」

「なら、セシリアが……」

「オルコットも辞退した。お前に賭けると言っていた」

 

 友は時に非情だ。面倒事を全て自分に押し付けて、彼等は呑気に高みの見物だ。

 

 悠李を睨むも、ニヤニヤと厭味ったらしく笑ってきた。昨日の食券の仕返しもあるのだろう。あの後、食券のお札の投入口が詰まって、券売機一台を弁償するはめになった悠李。千冬に事の次第を説明し、彼女とともに仕組んだのだ。

 

「くっそぉ、怨んでやる」

「ああ一夏、そういえばクラス代表戦もあるらしいから、恥晒さないようにね」

「畜生め……」

 

 二回目の出席簿が一夏を襲う。汚い言葉を発するな、と千冬が叱る。これはどうみても家庭の問題だろう。余所でやれ、と皆が思った。

 

「恥晒さないように、私が――」

「いやラグナの方がいい」

「その方がいいですわ」

「なぜだ!」

「ひゅーという感じだ、とか、ばきっ、どかっ、でなにを解れと。それよりもラグナやセシリアの理詰めの方がいい」

「僕も結構感覚だけどね……。てかめんどくさいからパスするわ」

 

 ――なんとまあ、非情な人間なのだ!

 

 今度またおごらせてやる、一夏はそう心に決めたが、それを読み取った千冬が、三発目の出席簿を放った。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 時が経つのも早いもので、もう四月下旬。朝のHR後、すぐにISの飛行訓練をするため、スーツに着替えて、訓練場へと向かう。一夏とセシリア、悠李がまず模範を見せろと言うことで、一夏とセシリアは専用機を展開するが、悠李だけどぎまぎしてしてしまう。

 

「僕は何を使えば?」

「ラファールは私が貰った。ドレッドノートでいい」

「それは初耳なんですが……。まあいいか」

 

 地面に拳を叩き付けると同時に、頭から爪先迄を魔力の鎧が包む。黒と紫のIS、と言えばいいのだろうか。一切無駄のない

その装甲に、初見の千冬やセシリア、そしてクラスメイトが眼を見張る。

 

 なんと禍禍しいISだろう。千冬はこれがISで無いことがわかってはいるが、それでもこれの異常なオーラが感じ取れた。ジャージの下の腕には鳥肌が立っていた。

 

「それでは各々、飛行と共に着地をしてみせろ」

「Roger(了解)」

 

 セシリアと一夏はスラスターを吹かし、悠李は地面を蹴り出す。二人よりも、悠李の方が、上昇速度も、到達点も高い。大分上に行って、魔力で足場を固め、一夏とセシリアを待った。

 

「は、速いな……」

「そう?」

「なかなか追いつけませんもの」

「ふーん。じゃあ、降りるのも先にするね」

 

 空気を踏み、後ろへ飛んで、真っ逆さまになりながら、ドレッドノートを解除する。端から見れば自殺行為のそれだ。一夏もセシリアも、そして下の皆が表情を強張らせる。

 

 当の本人は、至って平気な顔をし、地面まで3mと言うところで体勢を整え、静かに着地してみせた。周りからは歓声。そして千冬からは愛の出席簿。

 

 頭に当たると同時、出席簿がぐにゃっと曲がった。は?、と千冬自身も不思議に思ったが、悠李が人だと思わなければ当然か。

 

「アクロバットはいい。心臓に悪い……」

「でも、一夏の方が心臓が悪くなりません?」

 

 セシリアが優雅に降りてきて、10cm手前で静止したと同時、悠李は一夏を指差した。空中でバランスを崩し、そのまま地面に墜落しそうだ。

 

 悠李がまた飛び、一夏を掴んで、そのまま安全に着地させる。なるほど、この男の、先のISの操縦技術の高さは、己の身の捌き方から成っているのか。

 

「助かったよラグナ……」

「もうちょい練習しないとね」

 

 体勢はお姫様抱っこ。周りが妄想を巡らせ、セシリアと箒は身を案じて駆け寄ってきた。悠李は一夏を降ろし、そこから離れて、女子の集団に入っていく。

 

「今のが失敗例だ。危うくクレーターを作るところだった」

 

 冷や汗を掻きながらも悟られないように拭いて生徒らに話す。今日はもうやることはないだろうな、と勝手に悠李は割り切って、立ちながら寝ていた。

 

 一夏が悠李に近付くと、それに気付く。千冬に告げ口すると、千冬は助走を付けて悠李を殴ったが、びくともしない。

 

「こいつ、本当に人間か?」

 

 箒が疑い、悠李に警戒心を抱いた日になった。

 

「次は武装を展開しろ。おいブラックモア、お前もだ!起きろ!」

「は、はぁ」

「あ、まだやるんスか」

「返事ははい、だ」

「はい」

「Yes,sir」

 

 またもやドレッドノートを展開するハメになった。今度はノーモーションで、一瞬で発動する。一夏の隣に立ち、一夏がちんたらしてるのを眺めていると、千冬がお前も今やれと行ってきたので、仕方なく武器を出した。

 

 なんの前触れも無く日本刀が出て来る。隣の一夏は手から光を発し、1秒でやっと雪片を出せた。

 

「遅いぞ織斑。オルコット、武装を展開しろ。ゆ――ブラックモアは銃器を」

 

 千冬が危うく悠李と言いそうになったが、噛んだと思わせる速度で言い直した。くすっと悠李は笑って、デスイービルを取り出す。それも一瞬だ。セシリアも銃を一瞬で展開するが、左手を肩まで上げ、銃口を横に突き出すポーズを取りながら展開した。しかも銃口は悠李の頭に向いている。

 

「ガ○ダムのOP?」

「流石だな、代表候補生。だがそのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開させて、ブラックモアを撃つ気か?正面に展開できるようにしろ」

「で、ですがこれは私のイメージを纏めるために必要な───」

「直せ。いいな?」

「っ……はい」

 

 反論は許さない、と言うように、ドスを聞かせた声で千冬が言った。言いからその銃口は下ろせ、と悠李も言いたくなったが止めた。

 

「次は近接用の武器を展開しろ」

「は、はい」

(あ、セシリアはこれが苦手だな)

 

 言葉が詰まったところを見ると、明らかに不得手な様だ。銃をクローズし、短剣をオープンしようとするも、光が形を作るだけで実体化せず、なかなか時間が掛かってしまう。

 

「まだか?」

「す、すぐです!!……ああっ、インターセプター!!」

 

 教科書通りの、"初心者"の展開の仕方だ。ここだけを見れば一夏に負けている。また悠李の方に切っ先が向けられるが、悠李は顔を動かして避けた。

 

「遅い!何秒掛かっている?実戦でも相手に待って貰うつもりか!?」

「実戦では近寄ら……せたから、ラグナさんにも負けたんでしたわね……。精進します」

「……うむ。では、ブラックモア。全武装を展開しろ」

「はい」

 

 悠李が無理矢理全装備を引っ張り出す。閻魔刀、天上天下無双剣、BIZON、エレクトロヘヴィ、M500、そして幻影剣。

 

 恐るべき武器の量だ。生徒全員がたじろぎ、千冬がまたもや驚いた。

 背中に天上天下無双、腰に閻魔刀とエレクトロヘヴィ、両手に銃、そして空中には浅葱色の剣。空き領域拡張したのだろうか、それにしても武器が多い。

 

「……見事だ。ちょうど時間だ、これで今日の授業は終了する。ブラックモアは残れ」

「ありがとうございました」

「へ?」

 

 他の生徒は集団で帰っていき、悠李と千冬だけがその場に残された。あまりこのスーツは好きではないので、早く脱ぎたいのだが。

 

 ドレッドノートを解除し、上半分だけ脱いで下のTシャツを見せる。スーツの袖部分は腰に巻き、そのまま千冬と話した。

 

「君に伝えたいことがある。一つは、ラファールの件だ」

「ああ、先程おっしゃられていましたね。いいですよ、というかあれは僕のではないんで」

「もう一つ。代表戦の為にも一夏を鍛えてやってほしい」

 

 二つめは大分私事が入っていると思う。弟の無残な姿を見たくはないし、晒したくもないだろう。弟バカと言うべきか、なんと言うべきか。しかしそれを口に出しはしなかった。出したらきっと頭を殴られる。

 

「弟さん思いなんですね。いいお姉さんを持ったな、一夏は」

「ふッ、自慢の弟だよ」

「そんな顔もするんですね。なんか新鮮だ」

 

 千冬が笑うところを始めてみた。初対面の時でさえ、無表情だったのに。一夏が言うところによれば、唯一の肉親らしいのだ、それを褒められて気を悪くする奴はいまい。

 

 千冬の頼みなら、と言って悠李は承諾した。そしてもう一つ、と千冬がまだ話を続けた。

 

「今日、君の部屋に転入生が入ってくる」

 

 

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