インフィニット・バリアンズ   作:BF・顔芸の真ゲス

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ep.1 目覚め

sideベクター

 

 

 

ベクター「とんだお人よしだ。君みたいなやつ、道連れになんて出来ないよ」

 

差し伸べられた手を放しながら、目の前のバカにそう告げる。何度も何度も裏切って、死ぬ間際にも道連れにしようとした俺を救おうとした大バカに。

 

遊馬「おい、やめろ真月!手を放すんじゃねぇ!」

 

手を放そうとする俺を止める声を無視して、手を放す。

 

ベクター「さよならだ、遊馬君」

 

身体がドン・サウザンドの方へと吸い込まれていく。恐らく俺はこのまま消滅するのだろう。

 

だが、不思議と死にたくないと言う気持ちは起こらなかった。ドン・サウザンドの奴に踊らされて、多くの人を殺して来た、力を手に入れる為に、仲間を手にかけた。そんなどうしようもない俺を、全力で救おうとしてくれたやつがいた、それだけで、俺は救われた気がした。

 

身体が赤い光に包まれていく、自分の身体が指先から少しづつ消えていくのがわかる。あのバカの叫び声が聞こえたのを最後に、俺は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

・・・筈だった。

 

真月「・・・・あぁ?何処だここ?」

 

辺りの騒がしさで目を覚ました俺は見知らぬ場所に寝転がっていた。とりあえず起き上がり辺りを見渡した所、何処のかまでは分からないが自分が路地裏にいるのは分かった。しかし同時に違和感を感じた。俺が真月零としてハートランドの学校にいた時、遊馬への嫌がらせで路地裏や下水道など通る必要がない所を通って思いっきり遠回りで登校していたが、こんな路地裏を通った覚えが無い。ナッシュやメラグのムカつく行為を一億ポイントになるまでチマチマ数えるくらいには記憶力に自信がある俺だ、ハートランドの地形については完全に頭に入っている。それでも今自分が居る場所が分からないというのは、流石に変だ。

 

それと、立ち上がって始めて気がついたが、地面がやけに近い。起きたばかりで頭がハッキリしていないせいだと思ったが、それを抜きにしても近い。丁度近くに捨てられていた姿見があったので、それを使って自分の姿を確認した所、信じられないものが映っていた。

 

真月「はあ!?何だコレ!?」

 

身体が縮んでいた。さらに詳しく説明すると、大体四、五歳くらいのガキの姿になっていた。道理で地面が近い筈だ。背が縮めばそりゃ近くもなる。

 

真月「どうなってやがんだ・・・」

 

頭が痛くなって来た。死んだ筈の自分が生きている事もそうだが、自分が見知らぬ場所で寝転がっていた事、小さくなってしまっている事など、一度に訳のわからない事が起き過ぎだ。

 

真月「とりあえず、持ち物を確認するか・・・」

 

自分の周りを確認し、何か落ちてないか確認する。その結果、自分が何も持ってない事が分かった。ナッシュとデュエルをした時に持っていたデッキも、俺自身のNo.である「No.104」を除く全てのカードが消えていた。

 

ただ、この事実から分かった事もある。ドン・サウザンドに吸収されて消えた筈の俺がNo.を持って此処に居るという事は、俺以外の七皇も同じような状況になっている可能性が高い。

 

ミザエルの奴やナッシュは知らないが、俺が消えた時点で消滅していた七皇は居るかもしれない。まだここが何処かも分からないがやるべき事は決まった。とりあえずは水と食料を確保しつつ他の七皇を探そう。

 

真月「・・・行くか」

 

そう呟いて、俺は歩き出した。

 

 

 

 

 

 




次回予告

メラグ「突如見知らぬ場所で目覚めたベクター。街中で力尽き倒れた彼を、一人の少女が拾っていく」
「私は篠ノ之束、天才科学者だよ」
メラグ「彼女との出会いが彼の運命を大きく変えていく」
次回、インフィニットバリアンズ
ep.2 兎との邂逅
メラグ「ねえ凌牙、私の出番はまだ?」
ナッシュ「大人しく待ってろ!」
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