モンスターハンター 〜舞い踊る嵐の歌〜   作:亜梨亜

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MHXX、私は発売日に買うことができません。いとつらし。


白兎少女

 ヤマトは悩んでいた。

 

 「……これだとちょっと動きにくいか、いやでもこっちの方が……」

 

 「あんたって結構見かけによらず優柔不断なのね……」

 

 ユクモ村、武具加工屋前。アマネはヤマトのユクモシリーズ装備から新たな装備に変更する所への付き添いに来ていた。

 ヤマトが今まで狩猟したことのある大型モンスターはアオアシラ、ドスジャギィ、ドスファンゴ、そしてロアルドロス。そのモンスター達の素材を使った防具、若しくは今のヤマトなら狩猟出来るであろうモンスター達の素材を使った防具、そして鉱石をメインに使った防具。それらのカタログを見ているヤマトだが、「動きやすそうで軽そうなもの」を決めあぐねているらしく、先程から唸り声しか聞こえてこない。

 

 「なんか、ビビっと来るもんがねえんだよな」

 

 「別に一式揃えようとしなくてもいいんじゃない?視界確保の為に頭だけ着けない、とか結構ある話よ」

 

 「あー、それもアリだな。となるとコレとかいいんじゃねえかな」

 

 そう言いながらヤマトが指差したのは水没林や火山を住処とするフロギィ達の長、ドスフロギィの素材を使った防具、フロギィシリーズだ。異国情緒溢れる装備は割と動きやすそうであり、重さも大した事は無いだろう。しかし頭を守る防具がツバの大きい帽子であった為、視界が塞がるのを嫌い、少し躊躇していたのだ(ユクモノカサも大概だとアマネは思う)。

 

 「いいんじゃない?じゃあ私、そろそろ仕事だし行くわ。ドスフロギィ、毒に気をつけてね」

 

 「ああ、悪いな。仕事の武運を祈る」

 

 ヒラヒラと手を振って村の入口へ向かうアマネ。恐らく竜車を入口に用意しているのだろう。対するヤマトはカタログを返し、加工屋のオヤジに礼を言ってから集会所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ありますよ!ちょうどドスフロギィの狩猟依頼」

 

 ミクはそう言うと依頼書を一枚引っ張り出し、ぽんとヤマトの前に置く。

 

 「水没林にてドスフロギィ一頭の狩猟。どうやら行商隊が襲われたみたいですね……あ、これ一応依頼板にも貼ってるクエストなんで、もしかしたら他に行きたい人がいるかもなんです」

 

 「このクエスト行きます、契約金の支払いしていいですか?」

 

 ミクが説明をしたちょうどその時にミクの元へ渡される依頼板に貼ってある依頼書。その内容は……水没林にてドスフロギィ一頭の狩猟だった。

 

 「あ、はい!承ります……あっ、このクエストヤマトさんが今悩んでたやつですね」

 

 「え?もしかしてこのクエスト、ダメでした?」

 

 依頼書を出したハンターは女性だった。いや、女性というかは女子と呼ぶべきなのだろうか。小柄で童顔。白兎獣ウルクススの素材を使った防具、ウルクシリーズを身につけている。ウルクシリーズはかなり厚手の毛布のような防具である為、雪だるまのような可愛らしさを演出していた。

 

 「いえ、全然ダメではないです!ただ、同時に二人から同じ依頼を受ける、と来たものでして……よかったらお二人で狩猟なんてどうですか?」

 

 ミクは少し慌てながら、そんな提案を持ち出した。それを聞いてヤマトと女性ハンターは互いに顔を見合わせる。

 

 ヤマトから見たこの女性ハンターははっきり言ってしまえば、何故この仕事をしているのかと聞きたくなる程頼りなく見えた。童顔であることもそうだが、大きな目は常に涙を貯めているようにも見える。

 対する女性ハンターから見たヤマトは、かなり頼もしく見えていた。低くない身長、鍛えられた肉体。防具は何故かユクモシリーズだが、彼なりのこだわりが何かあるのだろう。

 

 「あの……じゃあ、もし、よかったら、よかったらですけど……このクエスト、一緒に行きませんか?」

 

 恥ずかしそうに目を伏せながら、ヤマトにお願いする女性ハンター。ヤマトとしては別に一人で行こうが二人で行こうが変わらない。そしてアマネやディンと狩猟を行った経験により、彼自身もレベルアップできた。このハンターとの狩猟も、彼にとってプラスになるかもしれない。

 

 「……いいぜ。俺はヤマト。この村のハンターだ。まだ一年目だけどよろしく頼む」

 

 「……本当ですか!?ありがとうございます!私、リーシャって言います!ヤマト君と同じこの村のハンターで、二年目です!」

 

 リーシャと名乗った女性(少女?)は心底嬉しそうに目を輝かせた。ディンといいリーシャといい、ハンターはリアクションが大きいのがデフォルトなのだろうか。

 

 そしてヤマトはリーシャの口から聞こえた言葉に違和感を覚える。

 

 「……え、先輩?」

 

 「貴方が最近噂の新人ヤマト君だったんですね、あとディン君?その人も新人ながらすごいって話ですよ!」

 

 そう、この見るからに年下の彼女は、ヤマトより一年長く狩猟生活を行っていたのだ。そのことがヤマトには意外というか、驚きであった。

 

 「期待の新人の強さを近くで見れるなんて……あ、私準備してきますね!またここに集合でお願いします!」

 

 最初の恥ずかしそうで引っ込みがちな態度や仕草は何処へやら、迅竜のような速度で話すだけ話してそそくさと準備をしに行ったリーシャ。その感情の起伏具合も年下の印象を付けるのに拍車を掛けている。

 

 「あっ!えーっと、リーシャさん、契約金払うの忘れてる……」

 

 ぴょこぴょこと走り去って行ったリーシャの後ろ姿に手を伸ばしながら、そしてうなだれながらミクが呟いた。どうやら代わりにヤマトが払わなくてはならないらしい。

 

 「……えっと、ああ見えてリーシャさん、結構強いんですよ。去年はリーシャさんが期待の新人って言われてたみたいです」

 

 「マジかよ、信じられねえ……まあいいや、水没林だよな?竜車の手配、よろしく頼む」

 

 契約金を払い、ヤマトも自分の支度に向かう。何故か少し疲れを感じた。

 

 「……大丈夫なんだろうか、この狩猟」

 

 

 




 知り合いにいたら面倒くさそうなキャラ、リーシャちゃんです。彼女もまた狩猟者であるわけで。

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