モンスターハンター 〜舞い踊る嵐の歌〜   作:亜梨亜

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ダブルクロスしたいよぉ......お仕事が忙しくて......買えないのです......

本編をどうぞ。


毒狗竜ドスフロギィ

 水没林。

 

 その名の通り、足下が常に水で覆われた狩猟エリアだ。

 

 ルドロスやロアルドロスのような生活の大部分に水が必要なモンスターは勿論のこと、足下が水で覆われているものの林である以上自然も豊かである為、草食のモンスターも多数棲息する。そしてそれを狩るために肉食のモンスター、稀に飛竜も現れる狩場だ。

 

 そんな水没林に昼間に到着しようと思えば、竜車では夜中にユクモ村を出なくてはならない。

 そんな訳で夜中からガタゴトと竜車に揺られながら到着した水没林。ベースキャンプから既に足下は水浸しだ。

 

 「さて……リーシャさん、どうするんすか」

 

 「あ、いや、敬語じゃなくていいんですよ、ヤマト君。なんか恥ずかしいですし」

 

 本当についさっきまで寝ていたリーシャは欠伸をしながら伸びをする。本当に大丈夫なのだろうか。

 リーシャは目を擦りながら支給品ボックスを開け、地図を取り出す。それをヤマトに見せながら説明を始めた。

 

 「ドスフロギィは10番、もしくは7番にいる事が多いですね。住処は10番にある事が多いのでまずはそっちに行こうと思います。今回私達は初めて組むチームなので、互いの邪魔をしない感じで行きましょう!」

 

 「……お、おう。了解した」

 

 いきなり真面目になったリーシャに一瞬ついていけなくなったヤマト。やはり去年の大型新人の名は伊達ではないらしい。

 

 「ヤマト君の武器は……太刀ですね。じゃあ、まずは私が突っ込むので、合図するまでサポートに回ってもらっていいですか?」

 

 「ああ、構わないが……お前、それ振れるのか?」

 

 ヤマトの疑問はリーシャの背中にあった。彼女の背中に背負われているのは斬るための武器ではなく相手を殴りつけ、頭に当てれば眩暈を起こす打撃武器、「ハンマー」だった。モンスターに眩暈を起こさせる程の打撃を与える為には、武器もそれ相応の大きさ、重さがいる。小柄な彼女がそんな武器を振れるとは思えなかった。

 

 「大丈夫ですよ!たまーに逆に振り回されますけど」

 

 やはり少々不安にさせる少女だ。

 

 「さあ!行きましょ、ヤマト君!解毒薬は常に出せるようにしといた方がいいですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 水没林エリア10に向かおうとすると必然的にエリア7を経由することとなる。エリア7にドスフロギィは居なかった為、リーシャの予想が正しければエリア10にいるのだろう。

 しかし、それよりもヤマトの頭を占めているのは、足下が地味に冷たく、そして動きにくいことだった。

 

 「絶対帰ったら温泉入るぞ……」

 

 「どうせ竜車で乾きますよ……?」

 

 ユクモ装備は吸水性に優れているのだろうか。染み込んでくる水に不快感を覚えずにはいられないヤマトであった。

 

 「そろそろエリア10に着きます、多分ここにいるので……行きますよ」

 

 いよいよやってきたエリア10。そこには大量の鳥竜種、フロギィが元気に跳ね回っていた。

 そしてその中で一際大きく、そして存在感を放つ個体。毒狗竜、ドスフロギィだ。

 

 「すげえな、ビンゴだ」

 

 「これでも先輩!ですから。さあ、気付かれるのも時間の問題、行きますよ!」

 

 共に駆け出す二人の狩人。それに気付かない野生の強者達ではない。飛び出してくる人間達を見てすぐさま戦闘態勢に移り、開戦の遠吠えをあげた。

 そして最後に吠えたのが彼らのボス、ドスフロギィ。ギョロリとした瞳、細長い尻尾、喉元に存在する紫色の袋のような器官、毒袋。骨格はジャギィ達と同じであるが、その姿形は所々違いが見える。

 

 「私が眩暈を起こします!周りの処理を!」

 

 「解った、頼むぜ!」

 

 全力疾走で駆け抜けるリーシャの行く手を阻めるフロギィはいない。ならば背中から狙おうと牙を剥くフロギィだったが、その口が閉じることは無かった。後ろから突き刺された太刀が貫通し、口から突き出ていたのだ。

 

 リーシャはドスフロギィの正面から突っ込み、右手で背中に携えたハンマーの柄を握り、左手で己の肉体を強化し、攻撃力を高める「怪力の種」をポーチから取り出す。それを口に放り込むと同時に両手でハンマーを掴み、思い切りドスフロギィの顔面に叩き込んだ。

 

 「やぁぁあ!!」

 

 見事にヒットした打面から火が噴き出す。彩鳥クルペッコの素材から作られたハンマー、フリントボウク。火打石が埋め込まれており、殴る度に火が噴き出し、相手にダメージを与える武器だ。

 正面から殴りつけられたドスフロギィは目の前の小柄な少女をギョロリとした目で睨みつけ、ぷくりと毒袋を膨らませた。

 それを見たリーシャは殴りつけた勢いそのままに跳び、地面を転がってドスフロギィの視界から離れる。

 

 その瞬間にドスフロギィが息を噴き出した。すると口から吐き出されたのは紫色の息。毒霧だ。

 毒霧を少し無理な姿勢であるものの回避に成功したリーシャはすぐさま起き上がり、再度頭部に打撃を与えようとハンマーを構える。しかしそこに割って入ったフロギィが二匹。どちらも小さな毒袋を膨らませている。

 

 「っ……らぁっ!!」

 

 今にも毒を噴き出す処のフロギィの首が飛ばされた。恐ろしい身体能力で踏み込み、二匹同時に斬り飛ばしたのだ。ハンマーから片手を放し、解毒薬に手をかけていた手を戻し、代わりにブーメランを持ち、そのまま投げた。

 そのブーメランはフロギィを斬り捨てたヤマトに噛み付こうとしているドスフロギィの喉元を斬りながらリーシャの手元に戻る。急に喉元を斬られたドスフロギィは怯み、ヤマトはその隙にドスフロギィから離れた。

 

 「珍しいもん使ってんな」

 

 「たまーに斬撃攻撃、欲しくなるんです……よっ!」

 

 ブーメランをしまいながら片手で無理矢理ハンマーを振り下ろすリーシャ。その一撃は遠心力も相まってフロギィを潰し、無残な姿へと変化させた。

 

 「貴方こそすごいですね、あんなに速く鋭く動けるなんて」

 

 「これが俺の最大の武器だから……なっ!」

 

 飛び掛って来たフロギィをいなし、着地の瞬間に斬り伏せる。そしてそのまま一気に駆け出し、向かってくるドスフロギィの爪を掻い潜りながら足元を斬り、そのまま射程外へ走り抜けた。

 その素早さに驚いたのはリーシャだけでは無かったのか、ドスフロギィは今自分の脚を斬っていった人間に狙いを定めるべく、ヤマトの方へ頭を向けた。

 

 「こんにちはーっ!!」

 

 しかしそこに待っていたのはフルスイングをかますリーシャの姿。ハンマーは吸い込まれるようにドスフロギィの顔面にヒットした。




ドスジャギィの次はドスフロギィ......次はドスバギィではありませんよ!笑

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