モンスターハンター 〜舞い踊る嵐の歌〜   作:亜梨亜

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 孤島の狩猟BGM大好きです。それだけです。


水獣

 午前十一時半。ヤマトは少し早めに到着しておくべきかと考え、この時間に集会所へ到着した。まだ昼時だというのに酒を飲むハンター達が騒ぐ集会所だが、この時間帯は流石に人が少ない。

 

「あら、早いわね」

 

 ヤマトが到着して数分も経たないうちに、雌火竜の防具、レイアシリーズに身を包んだアマネが到着した。尚、当然だがヤマトも彼のお気に入りの防具、ユクモシリーズを着用している。背中には愛刀、『鉄刀「禊」』を携えている。

 

「……防具変えたら?」

 

「一応、ハンターシリーズも揃えてはいるんだけどな。こっちの方が動きやすいし、気合いが入るんだ」

 

「ふーん……まあいいや、期待してるわよ」

 

 アマネはヤマトに話を持ちかける前にマスターから依頼書を受け取っていたらしく、それを受付嬢のミクに渡し、クエスト受注状態にする。当然ながらメンバーにはヤマトも含まれている。

 

「契約金は私が払っといたわよ」

 

「悪いな。……そういえばアマネ、お前武器は?」

 

 よく見るとアマネは武器を携えていない。アマネはそれを聞いてあ、忘れてた!と思い出したようにマスターの方へ走って行った。

 

「そうだった、あの時怪我してマスターに武器預かってもらってたんだよね」

 

 暫くして戻ってきたアマネの背中には、短めの剣が二本、ぶら下がっていた。両手に一本ずつ剣を持ち、その手数でモンスターを切り刻む武器、双剣。防御を捨て、ひたすら動き回り、攻撃する武器である。

 

「さて、太刀に双剣。こりゃとんでもない防御系統無視パーティになったね」

 

 アマネの双剣は勿論の事、ヤマトの太刀も防御に長けた武器ではない。寧ろ防御を捨てた武器である。その長く、細い刀身は相手を「斬る」ことに特化しており、攻撃を刀身で受け止めようものなら折れてしまうだろう。

 

 アマネの双剣は「ツインフレイム」。防具にも使われている雌火竜の素材と、その番となる火竜リオレウスの素材から作られる双剣だ。強力な飛竜達を倒した証となる双剣。それはアマネの強さを物語っていた。

 

「用意は終わってる?」

 

「ああ」

 

「オッケー。じゃあ行こうか」

 

 以前傷だらけの状態で開けた外へ繋がる扉を開け、外で待っている竜車に乗り込む二人。手綱を持つアイルーに向かってアマネがお願いね、と言い、竜車はガタゴトと出発した。

 

「あ、はいコレ。私の主観だけど、ロアルドロスの攻撃法と対処法、危険な動きとかまとめたメモね。もし良かったら読んどいて」

 

「サンキュ」

 

 紅葉がヒラヒラと揺れる中、ヤマトはアマネから渡されたメモを読み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 竜車で港まで進み、その後船に乗り到着した狩場、「孤島」。狩場のいくつかのエリアは水が流れており、自然も豊かなこの狩場は、飛竜種の巣等も存在し、多種多様な生物、モンスターが存在する。

 そんな場所だからこそ生息する植物や、そんな場所だからこそ存在する鉱物も幾つか存在し、商人等はそれを目当てに訪れる事も時たまある。

 

 そんな商人からの依頼が今回のロアルドロスの狩猟である。二人はベースキャンプに到着するなり必要な荷物をまとめ、支給品ボックスに目を通した。

 

「携帯食糧は持ってた方がいいわね」

 

「応急薬、多めに貰っとけ。傷口、いつ開くか解んねえだろ」

 

「ふふ、ありがとう。……さて、ロアルドロスが何処にいるかだけど……エリア5か9かしら」

 

 ヤマトは基本、狩猟は近場で危険度も高くない渓流をメインに行っていた為、孤島の地理に関しては詳しくない。支給品に入っていた地図を見ながら、アマネの言うロアルドロスの居るであろうエリアを確認する。どうやらどちらのエリアも足下が水浸しらしい。

 

「準備いい?」

 

「ああ。お前こそ携帯食糧食べなくていいのか」

 

 殆ど味のしない携帯食糧を口の中に入れながらヤマトが応える。アマネはニヤリと笑いながらとっておきの食べ方があるのよ、とだけ言った。

 

「じゃあエリア2を経由して取り敢えずエリア5まで行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、ホントこれ美味しい!」

 

「理解出来ねえ……」

 

 孤島エリア2。そこには蜂の巣があり、そこからハチミツを採取することが出来る。アマネはそこでハチミツを採取し、それをたっぷりと携帯食糧にかけたのだ。

 そう、アマネの言うとっておきの食べ方とは、携帯食糧にハチミツをかけること。彼女曰く、「携帯食糧は味がないからハチミツクッキーみたいな感覚で食べられる」とのこと。ヤマトからしたらただ甘ったるく、パサパサしているだけだろうと思う。

 

「ヤマト、本当にいらないの?」

 

「いらねえ。……てかこんなとこでこんなことしてていいのか」

 

「それもそうね。あー美味しかった!じゃあ行きましょうか」

 

 本当に大丈夫なんだろうか。本当に隣にいるハンターは強いのか?そんなことを考えるヤマトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、エリア5に着いたわけだけど。……静かね」

 

「ここに居ないとなるとエリア9か?」

 

 エリア5に到着した二人だったが、そこにロアルドロスの姿は無かった。いや、モンスターも殆ど居ない。アマネの言う通り、静かなのだ。

 

「いや、多分……もうすぐ来るわよ」

 

 モンスターが居ない、ということは何か危機を感じてこのエリアから離れている、と考えることも出来る。アマネは経験から、それを感覚的に感じ取っていた。そしてそれは確信へ変わる。

 

 突如何匹かのモンスターが現れてきたのだ。黄色い体。青い瞳。水生獣ルドロスだ。非常に目が良く、獲物を見つけると四本の足で接近し、飛び掛り爪や牙で攻撃する小型モンスター。ヤマトも何度か狩猟したことがある。

 

「この子達がいるって事は群れのリーダーであるロアルドロスも居るはず。来る前にルドロスの数、減らすわよ」

 

「ああ。……いざ、参る」

 

 得物を手に取り、ゆっくり近付いて来るルドロス達に向かって走り出す二人。獲物が戦闘態勢に入ったことを感じ取ったのか、ルドロス達も吠えながら二人に飛び掛った。

 爪を振りかざしながらヤマトに向かって飛び掛るルドロス。ヤマトはそれを走る勢いそのまま体を横にずらし、綺麗にかわす。そしてルドロスが着地した地点は、体をずらしたヤマトの正面。

 

「せぁっ!!」

 

 スパァン、と振り下ろされた太刀はルドロスの首と体を分け、一瞬で絶命させる。飛び散る血飛沫が水を汚した。ヤマトはルドロスの首が離れたのを見るや否や次のルドロスに狙いを定める。体を少し後ろに引き、噛み付きの姿勢を取るルドロス。次の瞬間、ヤマトに向かって飛び出し、牙を剥き出しにする敵を正面から見据え、ヤマトは口の中に正確に突きを入れた。

 

「グゴォ!?」

 

 口の中に鱗や甲殻があるはずもなく、いとも簡単に串刺しにされるルドロス。ブンッと太刀を振るとルドロスは地面に落ち、太刀に付いた血が払われる。

 

「あら、二匹も倒してたの。意外と早いのね」

 

 急に後ろから聞こえてきた声にバッと振り向き、太刀を構えるヤマト。しかし後ろにいるのは敵ではなく、当然ながらアマネだった。彼女の後ろには五匹のルドロスの死骸が転がっている。

 

「あれ、全部お前か!?」

 

「そうよ?よかったわ、ロアルドロスが来る前に全部倒せて。……そしてタイミングの良いことに今ご登場ね」

 

 そのルドロスの血の臭いにつられて来たのだろうか。はたまた群れのピンチを野生のカンで察知したのだろうか。エリア9へと繋がる道から、何か大きなモノが走って近付いて来る。少しずつ、近付くにつれその姿は顕になっていく。

 

 まるで獅子のような黄色い、巨大なたてがみ。

 

 人間の何倍だろうか、その巨体。

 

 生半可な刃物では傷一つ付けられそうにない、鱗に覆われた爪。

 

 水獣、ロアルドロスだ。

 

「グギャオォォォオ!!!」

 

 ヤマト達を見つけ、威嚇の咆哮をあげるロアルドロス。その雄叫びの声の大きさ、猛々しさはその巨体に相応しい。孤島の水が震えた気がした。

 

「来るわよ!!」

 

 アマネの声と共にいつでも動けるように下半身に体重を乗せ、足に力を入れるヤマト。太刀を扱う上で忘れてはいけない事は無闇に突っ込まないこと。確実に生まれるチャンスでしっかりと敵を斬り、それ以外は機を伺う事が大切だ。

 

 体を震わせたかと思うと、唐突に全身をひねり地面を転がるロアルドロス。二人に当たる距離ではなかったが、水しぶきが視界を奪う。ヤマトが左手で水を払おうとした瞬間、アマネが動き出した。

 

 鎧を着ていることを感じさせない程のスピードで走り出し、武器を両手に持ちロアルドロスに肉薄するアマネ。射程内に入るや否や、右手の剣でたてがみを切り裂き、左手の剣で右手で切り裂いた部分をさらに斬る。たてがみは柔らかいらしく、簡単に切り裂かれた切り口から血が吹き出す。ロアルドロスは叫び声をあげた。そしてすぐさまアマネは後ろに引く。

 しかしやられっ放しでは気が済まなかったのか、ロアルドロスはたった今自らを傷付けた相手を目で捉え、長い尻尾を振るった。鞭のように振るわれた尻尾はアマネを狙って正確に飛んでいく。

 

「甘いわね、そんなのお見通しよ!!ヤマトが!!」

 

「んなこと言わなくていいんだよ!!」

 

 ここで少し遅れたヤマトが追い付き、アマネを狙う尻尾の根元を上から斬る。叩きつけるように放たれた太刀筋が尻尾の軌道をズラし、アマネの頭上を通り抜けていった。

 そしてすぐさまヤマトはロアルドロスの攻撃範囲から外れようと後ろに素早く引く。一瞬後、先程のロアルドロスの転がり攻撃が目の前で繰り出された。少しでも引くのが遅れたら、ヤマトはこれに巻き込まれ吹っ飛んでいただろう。

 

 そしてすぐさま攻撃に移っているのはやはりアマネだ。逆手に持った右手の剣を尻尾に突き立て、それを支点に飛び上がる。リーチが短く、軽い分ダメージが入りにくい双剣の、火力不足を補う為にアマネが考えた技。

 

「メテオォォォ!!」

 

 後ろ足を狙って落下し、着地と同時に思い切り後ろ足を斬り付けるアマネ。火力不足を、空からの落下速度と重力を足して補う、アマネの得意技。それがロアルドロスに命中し、またもや血が吹き出した。

 

「なんだありゃ?無茶苦茶だろ……」

 

 初めて見る戦法、しかし確実に実力のあるハンター。ヤマトはロアルドロスへの驚きより、アマネへの驚きの方が大きかった。




 ようやく狩猟開始ですね。まあ今回はロアルドロス君ボッコボコにされてますが笑
 
 次回から本格的に狩猟が始まります。二人のハンターの仕事ぶりをどうぞお楽しみください。

 感想、評価等、宜しくお願いします。
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