忘却のヴァルキュリア   作:林檎です。

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第六話 ”翼”の意味

信じた世界は皆同じだった。

 

あるものは、赤き荊を背に背負い。

あるものは、血と硝煙の香りを求め。

あるものは、軍の誇りを捨て。

あるものは、愛する者の楯となり...散って逝った。

+

「バイムイストさん!バイムイストさん!!!」

世界が赤く燃える。

(あぁ...世界が落ちる...新たな始まりをここに...)

バイムイストは正面から倒れこみ、アルヘイムに寄りかかる。

「バイムイストさん...。」

「アル...ヘイム...最後の...願いだ...。空を...見せてくれ...。」

バイムイストはとっくに限界だった。半分以上の内臓は抉られ、右腕を失いながら。

ただ、目の前にいる最初で最後の”愛する者”とひと時を過ごすためだけに。

「な、なに言ってるん、です...か。あの日約束したじゃないですか!また、一緒に空を

 

見ようって!笑顔で笑え合える世界を見ようって!」

「頼む...その約束は...破りたくない...だから...空を見よう。アル...。」

「ずるいですよ...皆...。私のためだけに...。」

そう言って、アルヘイムはバイムイストに泣きながら笑いかけ、

「ありがとう。バイム兄ちゃん。そして...さようなら。」

と言って、自分の膝の上に乗せ空を見上げさせ、瞼を閉めた。

+

...ここはある小さな孤児院。小さい子から、青年まで。男女問わず35人が暮らしてい

 

た。

「君が新しい子?」

真っ赤な髪の女の子が少年の目の前にいた。彼女は俯きながら

「うるさい。あっち行ってて。」

「なーなー、お前どこから来たんだー?」

少女が新しく来てから3日目。少年は無視され続けてもめげずに声をかけ続けていた

 

。そんな少年を鬱陶しそうに見ながら、

「しつこい。」

と相手にしなかった。

ある日、少女は年上の女子にいじめられていた。

「あんた、ウザいのよねぇ...。悲劇のヒロイン面して。所詮、”吸血鬼に魂を売った村”

 

の出身よ。さっさと居なくなれば良いのにねぇ~。」

「「「ははははは。」」」

女子と取り巻きの男子たちは少女を囲って罵詈雑言を投げかけていた。

「お前ら、何をしてるー!!」

「ゲッ...バイムイストじゃん...。逃げろ~」

「あ、あんた覚えときなさい!」

そこに入ってきたのはあの少年だった。

「お前大丈夫か?」

「何で私なんかにかまうの?」

「そりゃ、決まってんだろ。ここの家に住むやつら全員俺の家族だからさ。」

少女はその言葉を聞いて顔を上げた。

「あなたって...本当にバカ。」

と花が咲くような笑顔で笑った。

それから、少年と少女は何をするにも一緒になった。

遊ぶのも、食事をするのも、寝るのも。いつしか少女は少年にだけ心を開いていた。

+

「お兄ちゃん...私頑張るから...。」

それから10年。今、少年は眠りについた。

赤髪の少女は黒髪の少年の遺骸をそっと地面に置いた。

「(ご心中察するぞ。主人よ。)」

「ごめんなさい。少しだけ一人にさせて。」

赤髪な少女は立ち上がり振り返る。

「さようなら。世界で唯一の私のお兄ちゃん。お休み。」

と言って、そっとそこを後にした。

+

「素晴らしい!何と素晴らしい物語だ!!私自らこの劇に題名をつけよう!」

はるか上空。軍服を着た男が居た。

「諸君!我々は!このような物語を見るため!演じるために!この戦争を求める!諸

 

君が求めるのは、名誉か?それとも死か?いや違う。血と硝煙の香りの中に身を置く

 

ためだ!!!」

 

 

 

終焉の始まりはまだ遠い。




初めましてのお方は初めまして。そうではないお方はお久しぶりです。どうも林檎です。
今回こそは!!!文字数を伸ばそう!と想いましたがそんなに伸びませんでした。
じ、次回こそは!

(注)次回のネタばれ含みます
果たせなかった約束。諸君の望み。荊の記憶。これらが交わるとき物語は再び動き出す...。次回も99人のうちの1人の面白いを信じて!!
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