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秘められた想い
ルインが日本へ来てから半年彼は国立魔法大学付属第一高校に入学を決めていた。
「ふむ…完全に迷ったな」
そして現在絶賛迷子になっていた…
ルインは別に方向音痴というわけではないが初めての学校生活ということで浮き足立っていることは否定できないだろう。
「あと10分くらいか…まずいな」
端末を使って調べれば簡単にわかるのだが先ほど確認したところ生憎の充電切れ。いよいよヤバイと思いながらどうするかと頭を掻きながらルインはため息をついた。
「ん?」
「おっ?」
そんなルインが視線を上げると一人の男子生徒と目が合った。
(ラッキー道聞けるじゃん)
ルインはそう思いながらその生徒に近づいていく。相手も嫌がる素振りはなく友好的な雰囲気だ。
「どうも。新一年の守王 ルイです」
「ん?俺は西城 レオンハルト!同じ一年だしタメ口でいいぜ!それと呼び方はレオで頼む!」
「そうか。それなら俺のこともルイって呼んでくれ、よろしくなレオ」
「おう!」
二人は軽く自己紹介を交わし笑顔を見せる。
しかし新入生なら今ここにいるのは問題がある。すでに入学式まで時間は10分を切っている。
「いや〜助かったよ。実は恥ずかしながら迷子になっちまってな」
「おっ奇遇だな。実は俺も焦って端末を忘れて地図が……ん?」
「Shit…マズイなこれは」
「ああ、全く同感だぜ」
ルインはレオに聞けば場所がわかると思っていたのだがそれは向こうも同じようだ。
「0と0じゃ足しても0だな」
「おお〜確かにそうだな!上手いこと言うじゃないか!」
二人はやや現実逃避気味に頭の悪い方向にどんどんと逸れている。
「君たち新入生か?そろそろ行かないと間に合わないと思うんだが…」
「ひょっとして…先輩の方ですか?」
「ああ、私はここの風紀委員長の渡辺 摩利だ」
二人は偶然通りかかった摩利に声をかけられ安堵の表情を浮かべた。
「お…自分は守王 ルイ、こっちは西城 レオンハルトです。実は端末が使えなくなってしまい道がわからなくて困ってたんですよ」
「そうか。この学校は広いからな。毎年こうやって先輩である私たちが誘導をしているんだよ」
そう言った摩利から会場の場所を聞き二人は頭を下げた。
「助かりました」
「ありがとうございました」
「ほら急いだ方がいいんじゃないかい?」
摩利に促されルインとレオはもう一度頭を下げて会場に向かって走った。
「助かったなレオ」
「全くどうなるかと思ったぜ」
ルインもレオもかなりの速度で走りながらも悠々と会話を続ける。自分ははともかくレオもかなりの使い手だとルインは見抜いていた。
「ふぅ、なんとか間に合ったな」
「とりあえず座ろうぜ」
二人はまだ空いている後ろの方にあった二つの席に腰を下ろす。
その時ルインに大量の視線が向けられた。
「あ…ルイ、お前一科生だったのか?なら前に座った方が」
「ん?あぁ俺はそんなちっせーことに興味はねぇよ」
レオが気を使った理由は簡単だ。
よく見ると前列の方に一科の後列の方に二科の生徒が座っているのだ。
ルインは一科生であるにかかわらず空気を読まないでそのままレオの横に座った。
彼としてもそう言ったことに興味はないし寧ろくだらないとすら思っているくらいである。
USNAにいた頃は多種多様な力よりも一つの技能に特化したものの方が活躍する場面も多くすでにそう言った世界を経験したルインに言わせればそれは愚考に過ぎない。
「レオが困るんなら俺は前に行くが…」
「いや、俺は構わないぜ!せっかく知り合えたんだしよ!」
最初は気を使ったレオだったがルインの雰囲気を感じ取ったようだ。
入学式も終わりルインとレオは二人で校内を練り歩いていた。
「やっぱデカイな…簡単に迷いそうだ」
「次は地図もってこないと無理だな…」
未だに迷子になってしまったことを悔やんでいるようで若干苦々しい顔をしている。
「そいやーお前何組だ?」
「俺はE組だったぜ。ルイは?」
「俺はA組だ」
第一高校ではAからDまでが一科、EからGまでが二科となっている。年によって誤差はあるが各クラス入試成績順に均等に分けられているようだ。
「にしてもさっきから視線が気になるな…」
「一科の俺と二科のお前がいるからなんだろうな」
ルインは元からかなり人目を惹く容姿をしている。
しかし今回の場合の視線はそれだけではなく一科と二科の生徒がなぜ一緒にいるのかわからないといったような視線だ。
この学校では一科生を《
「でよ。俺は山岳部に入ろうと思ってんだ」
「へぇ〜。部活なんて考えてもみなかったな」
「やっぱりルイは魔法系クラブか?」
「まだよくわからんが多分そうだな」
そんな視線を全く気にもとめず会話を続ける。似たような性格をしているのか二人はかなり気が合うようだ。
「ところでレオはハーフなのか?」
「いや。クォーターだぜ。だからこんな名前ってわけだ。……あっ!ひょっとしてお前も?」
「俺もクォーターだ。俺の爺さんが日本人でな」
ルインの言っていることは作り上げた偽りではなく真実だ。
ルインの血縁に日本人は確かに存在している。彼が日本語を流暢に扱えるのは祖父と過ごした時間が多かったからという面もあるようだ。
ルインが日本の忍者や苦無のことを知っていたのはこれが影響しているらしい。
「へぇ〜それにしてはこう日本人ぽくなっていうか」
「まぁ俺は母似だからな。父さんも婆さんに似てたから日本人って面影はないんだろな」
その後ルインとレオはたわいも無い会話をし校門に着いたところで
「じゃあなレオ!」
「おう!またなルイ!」
ルインは第一高校から比較的近い位置にあるマンションに住んでいる。
ルインが扉の前に立ち手をかざすと生体認証で自動的に鍵が開いた。
「フゥ〜楽しいところだな」
ルインは今日、初めての学校を経験してきた。小学時代はわけあって家庭での勉強、中学時代にはすでに軍入りをしていたルインにとってはとても新鮮なものだった。
「あいつらは元気でやってるかな…」
彼は夜になると決まって空を見上げている。
彼は天体観測を日本に来てからよくするようになった。
この時期に見える星の中でもルインが気に入っているのがアークトゥルスとベガらしい。
そんな夜空を見ながらルインはボソッと一人の少女の名前をこぼす。
「リーナ…」
彼が夜空を見た時に頻繁に浮かぶのは常に自分の横で切磋琢磨してきたリーナの顔だ。
今日の入学式で答辞をした司波 深雪という美少女がいたがそれと比べても引け劣らないあのとても可愛らしい顔だ。
「って何ホームシックになってんだか…らしくねぇな」
誤魔化すように頭をガシガシと掻きながらルインはベランダを後にする。
彼は日本に来てリーナと離れてから彼女の存在が自分の中でどれほど大きかったのかを知った。
確認するまでもなく隣にいた彼女に知らず知らずのうち、ルインは自分が特別な想いを寄せていることに気づいた。
「…I'm dying to meet you」
両手でグラスを持ち身体をベランダの手すりに預け上半身を少し前のめりにし俯き加減になる。
彼が思わずそう呟いた言葉の意味は《あなたに会いたくて、たまらない》
しかしそれが叶わないことは彼が一番よく知っていた。
ルインはUSNA上層部により消された人物。
もし生存が確認されでもしたらあの頃ルインと親しくしていたものまでにもその矛先が向かう可能性がある。
だからルインは日本へとやってきた。
少しでもリーナたちの危険を減らすために死亡の情報を流し遠く離れた。
「今は…まだ時じゃ無い」
しかしルインもやられっぱなしで黙っているわけでは無い。
そんな危険なところに自分の愛する者を置いてきてしまった後悔を胸にしまいながら彼は着実に力を蓄えていった。
「待ってろよリーナ」
ルインのその黄金の瞳は星の光を浴びより一層その強く気高い輝きを見せていた。
その奥に眠る深い信念はまだ誰にも明かされることはないだろう…
どうでしたか?
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