RE:世界一可愛い美少女錬金術師☆   作:月兎耳のべる

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季節外れのインフルエンザの中初投稿です。
おっさんがイベントで大活躍で誇らしいよ…。(後方彼氏面)


第五十三話 取り返しの付かない世界(中編)

「フラグラ先生っ、添え木ですっ」

 

「はいどうも。じゃあついでだ嬢ちゃん、しっかりこの部分を抑えてておくれよ」

 

「なぁなぁ医者のばーちゃん、何か手紙がすっげぇどっさり来てんぞ」

 

「いつもの事だ。包装がやたらド派手な奴とそうじゃない奴を分けておきな。うちは貧乏優先だ」

 

「ねぇおばあちゃん、包帯の巻き方ってこんな感じ?」

 

「やり直しだ。あんた患部を壊死させる気かい」

 

「先生、こちらの患者さんは傷口の消毒と縫合までは完了しています。残りの患者さんは腹痛と微熱との事ですが…」

 

「助かるね、後は引き継ぐよ。あとの患者の治癒はあんたの判断でやっていい、何かあったら呼んでおくれ」

 

 この世界に来てから3日目。僕らはルリアとクラリスと共にルグニカ王国の首都にあるフラグラ治療院と呼ばれる場所でお手伝いをしている。

 勿論当初の目的を忘れている訳ではない。この世界でカリオストロを捜索するにあたって僕らには拠点とする場所が必要であり、その拠点がここフラグラ治療院と言うだけである。

 

 ではどうしてここが拠点になっているかと言えば……それは偶然の産物であるとしか言えない。

 

 昨日、現地人に教えて貰ってようやく最寄りの街である王都に到着した僕ら。

 そんな僕らがまずすべき事といえば「休む」事……ではなく、「現地のお金を手に入れる」事。僕らの世界のお金が使えないのは来る前から分かりきっていた事なので、幾つかの武器や素材を売って旅の費用にあてる必要があったのだ。

 当然の事ながら丸一日以上歩きづくめだったため、クラリス、ルリア、ビィの三人はもうへとへと。(僕はまだ大丈夫だけど)けど皆が休むためには何とかしてこの問題を解決しないといけない。疲労の色が見えるみんなを鼓舞しながら僕らは親切な人に教えて貰った武器屋を目指していく……途中で。事故現場に遭遇してしまった。

 

 聞けば竜車と呼ばれる荷車を引く貨車が横転し、通行人が巻き込まれてしまったとの事。

 辺りは騒然とし、自然とできた人だかりを前にしてしまえば、僕らはお互いコンタクトしあっていつもの調子で事故現場に飛び込んでいった。

 

 見てみれば投げ出された御者はうつ伏せのまま倒れて動きがなく、横転した荷車の下から子供の手がはみ出ている状態。

 僕はルリアとクラリスに御者の人をお願いすると急いで荷車へ向かい、市民の皆さんとの協力で下敷きになった子供を救い出す。

 しかし救い出した子供は腕の骨折以外に外傷はないものの意識がない。頭を強く打った調子で気絶してしまったのだろうか。いや、最悪の事態を想定しなければいけないだろう。

 

 そう考えると僕は元の世界で習得した力と技術を使う事に躊躇(ためら)いを覚えなかった。

 

 元の世界では仲間から「どんな影響が起こるか分からないから不用意に力を使わないように」と散々口酸っぱく言われていたが、これは緊急事態だ。第一困っている人を放置する事なんて僕には出来やしない。

 

 人だかりの中で最初は子供、次は御者のおじさんに治療を施してゆき、ようやく施術が終わったと思えば……気がつけば隣に白衣を纏ったお婆さんが立って僕を見下ろしていた。集中しすぎて全く気付いていなかった。

 そう、この時会ったお婆さんこそがフラグラ治療院の院長、フラグラ=クルエスティ先生だ。

 僕は即座に立ち上がって医者でもないのに差しでがましい真似をしてすみません。と謝罪してみんなと共にそそくさと去ろうとしたのだが……先生は僕の手を掴んで事情を聞きたいと治療院までの同行を願ってきた。どうやら先生は僕が披露した未知の治療技術について聞きたかったようだった。

 

 最初は見ず知らずの人に伝えるべきか迷ったものの、少し話していく内に先生が真摯に患者と向き合う真面目な医者である事を理解すれば、もう拒むことは出来なかった。

 

 自然治癒力を利用した魔法治療法。これはソフィアから。

 非魔法依存の鎮痛技術。これはカリオストロから。

 水魔法を応用した疑似血流作成法。これはマギサから。

 古来から昇華され続けてきた医薬技術。これは多分ザンクティンゼル住まいのお婆さんから。

 

 数多の仲間の教えと数多の経験を基に作り上げた僕の医療技術、その一端を僕は伝えていった。

 先生はにわかには信じがたそうな表情を見せたが、軽い実演も含めて見せれば最終的には信じてくれたようだ。

 

 だが信じたものの、先生が次に疑問を抱いたのは「どこでその技術を手に入れたのか」と言う事。先生は古今東西様々な医療技術を収集しては医学の発展を進めてきたとの事で、自身がこれらの斬新な技術を知らないのは考え辛いと言うのだ。

 

 今度こそ僕らは口ごもってしまった。

 

 「別世界から来た」などと言って誰が信じよう、遠い場所から来たのだとボカすのが精一杯。

 ただそんな僕らの反応を見た先生は「詮索しすぎた」と質問を切り上げ、謝罪になるか分からないがと僕らを昼食に誘ってくれた。

 

 その後はとんとん拍子で進んだ。

 昼食の場で自己紹介兼雑談がてら僕らの旅の目的を伝えていったのだが……今は宿探しをしている、と言えば「うちの治療院に泊まればいい」と先生は気軽に答えてくれて。お金に持ち合わせがない、と言えば「幾らかは貸与してやってもいい」とこれまた軽いノリで答えてくれた。

 いささか都合が良すぎる気がしたが「未知なる技術を知れた報酬を思えば軽すぎるくらいだ」と嘯く始末。ただ拠点のあてもない僕らにとってはまさしく渡りに船。ご好意に預かる事にした。

 

 しかして先生から受けた恩恵の中で一番大きい物は、先生がカリオストロの事を知っていたという事だろう!

 

 どうやらカリオストロはロズワールさんと言う貴族の元で食客として仕えているようだ。

 この世界での手がかりがほとんどない事が不安だっただけに、あまりの幸運に昼食の場だと言うのに僕らは両手をあげて喜び、先生を驚かせてしまったのは申し訳ない限りだ……。

 

 その後、先生はロズワールさんの元にカリオストロをこっちに向かわせるように手紙を出してくれたようで、カリオストロが来るまでここでゆっくりすればいいさ、と言ってくれた。

 しかしながら如何に僕の知る技術が価値があると言えども衣食住を提供し続けて貰うのは申し訳ない、それはクラリスもルリアも同じ考えなようで、置かせて頂く代わりに治療の手伝いをしたいと申し出て……今に至るという訳だ。

 

「ふぃ~……疲れたぜ。まさかこんなにも人が来るなんてよぉ」

 

「今日はこれでも少ない方さ。それにお昼時を過ぎればまたどばっと来るよ」

 

「うげぇ」

 

「でもでも、やっぱり治療して患者さんにありがとうって言われるとすっごく嬉しいですよね!」

 

 慌ただしかった午前中の診療時間はあっという間に終わり、みんなが部屋の中で思い思いに休息を取っている。

 ビィは手紙の割り振りや小物の運搬を朝っぱらからずーっとこなしてくたびれており、ルリアは誰かの頼りになっている、という実感が嬉しいのか非常にイキイキとしていて疲れの気配が見られない。

 

「……ぅぁ~……」

 

 だから、この中で一番疲れ果てているのはクラリスで間違いなさそうだ。

 クラリスはソファに頭から突っ込んだ形で倒れ込み、先程から呻き声しかあげていない。

 普段の彼女の溌剌とした姿は影も形もなく、これでは自称している最強可愛いという印象を持つのは難しいと言わざるを得ないだろう。

 

「……ししょーの勉強会(シゴキ)ぐらい疲れたぁぁ~~……」

 

「うん……まあその、なんだろう。お疲れ様?」

 

「あはは……特にクラリスさんは色々と苦戦してましたよね。でも初めてやることですし、仕方ないですよっ」

 

「……そうだよ、そうだよ、そうだよね~? うちの本領は錬金術なんだからさ~、ちょっとこういう手先を使うのは苦手っていうか」

 

 正直僕はまだまだ余力はあるけど、クラリスは午前の診療でもはや燃え尽きる寸前だったらしい。そんなクラリスの言い訳めいた呟きに僕とルリアの二人は曖昧に反応をする事しかできなかったが、

 

「得意不得意っていうか何ていうか……雑なんじゃねえのか? あの包帯の巻き方とか特に」

 

「うぐっ」

 

 ビィが容赦なく言葉の剣でクラリスをばっさりと切り捨て、その体がびくんと跳ねた。

 確かにクラリスの包帯の巻き方は、何というか……個性的だった。

 5cm程の切り傷に過剰な程の包帯を使い、あまつさえ鬱血する程力が込められていたのだから。

 

「そこのトカゲの言う通りだ。全くもって感覚に頼るな、とは言わんが基本的に治療行為は理論体系を元にした行動さ。オール感覚でやるんだったら医者なんているもんか」

 

「うぐうぐっ」

 

 だからオイラはトカゲじゃねえ!と言い募るビィを軽くあしらいながら、フラグラ先生が更に追撃の剣を打ち付け、クラリスの体が更に跳ねる。

 

「第一に錬金術こそ手先と理論の集合だろうに、お前さん本当にあの嬢ちゃんの弟子かい」

 

「せ、先生……その、お手柔らかに? クラリスが完全に撃沈しています」

 

 先生のトドメの一撃が深々と突き刺さったのか、最早クラリスはうめき声すらあげずに完全に沈黙している。それでも先生は「本当の事を言っただけだろうに」と悪びれた様子を見せず、僕とルリアとビィとで苦笑する他なかった。

 医療の探求者であるフラグラ先生は、当然ながら名医と呼ばれるくらいには王都で有名だ。多分先生が人一倍医療に対して真摯に向き合い続けているからこそ、クラリスの言い訳めいた発言にも真面目に返してしまうのだろう、そう思っておく。

 

 しかしこうして僕らがてんやわんやしながら対応するしかなかったのに、普段はこれだけの患者をほとんど一人で相手していたというのだから驚くばかりだ。僕も一端のドクターと呼ばれるくらいには修練を積んで居たはずだが、まだまだだと思い知らされる。もっと精進しなくては……。

 そうして新たな使命感に燃えていると、不意に僕の服が引っ張られる感覚が。ちらりと視線を向けるとルリアが小声で囁いてきた。

 

「……ねぇグラン。やっぱり感じます」

 

「ん……近い?」

 

「はい、近いです……けど頼りない感じで……あ、消えちゃいました」

 

 そうだ、言い忘れていたが僕らがここ王都を拠点とした理由がもう一つある。

 それはカリオストロをこの世界に連れ去った星晶獣、ヴァシュロンの気配が感じられるためだ。

 

 この世界にやってきてから数時間後にルリアが見知った気配を感じ取っており、そのかすかな気配は幸運にも道行く人に聞いた王都への道筋と一致していたのだ。

 

「ここで暴れるつもりなのかな~」

 

「多分そうする程の力はないと思います。あてもなく彷徨っているような……そんな感じで」

 

「あの野郎、オイラ達が与えた傷でまだ弱ってやがんのかぁ? だとしたらチャンスだぜ相棒!」

 

 クラリスとビィも呟きに反応してこちらに身を寄せてくる。特にビィはふんふんと鼻息荒くこっちに詰め寄ってくるけど、肝心の居場所が分からない事にはどうしようもないし……そも、カリオストロの居場所はもう分かってるからなぁ。ヴァシュロンは悪さしないようにルリアには吸収して貰うけどさ。

 

「なんだい皆してこそこそと。うちから金目の物でも盗む算段でもつけてるのかい」

 

「はわわっ、そんな事考えていませんよ!」

 

「ただの秘密作戦会議って所っ、ししょーをどうやって出迎えてあげようかなーってね☆」

 

「それって本人がいない所で秘密にする必要あるのかい?」

 

「そもそも医者のばーちゃんの所って金目の物あんのかぁ? さっきも患者さんからお金全然貰ってなかったしよぉ、慈善事業多すぎてお金とか全然蓄えてねえような気がするんだけど」

 

「馬鹿にするんじゃないよ、人ひとり生活するぐらいなら十分さ」

 

「おいおい……逆に言えば一人分しか担保出来ねえのかよ……」

 

 うん、先生は何かこう今までの人柄や性格を考慮するのにお金目的じゃなくて人命第一の人だからかお金に頓着は全くなさそうだ。治療院の外観は失礼だけど結構オンボロだし、多分必要最低限以外のお金に関してはほとんど貧しい人に寄付しているんじゃないだろうか。

 冗談交じりに聞いてみたら「よく分かったね」なんて本気とも冗談とも取れない返事が帰ってきた。……これは本気で寄付していそうだ。

 

 そうやって他愛もない話をしながら先生が手ずから入れてくれたお茶を飲んで、みんなでまったりと休憩していると、ふと窓の外で兵士が走り回っている様子が見えた。

 入国した時から思っていたが比較的町中に兵士の数が多い。軽く見た感じ町中の治安は良さそうだったが……他国との戦争の準備でもしているのだろうか。

 

「……ふん。何かあったようだね」 

 

 どうやらそういう訳ではないらしい。先生も訝しげな目を窓の外に向けていたかと思えば、すっくと立ち上がって窓を開け放った。

 

「ちょいとそこの兵隊さんよ」

 

「! これはフラグラ先生。いつもお世話になって……」

 

「挨拶したくて声かけたんじゃないよ。そんな事よりドタバタ走り回って一体何事だい」

 

 僕らもついつい二人の会話が気になって耳を傾けてしまう。

 数多の事件に巻き込まれ、時に自ら押し入っていった僕らは、気付けば事件の気配と言うのに敏感になっていた。

 「物事の起こりを逃すな。初動が遅れれば手遅れになるぞ」とはカリオストロが口酸っぱく教えてくれたっけか。

 

「はぁ……それが今日は王都全域で緊急訓練との事でして、街に大掛かりの災害が起きたケースを考えて動けと急に通達が飛んできたのです」

 

「……街ぐるみでかい? おかしいね、だったら私の所にも通達があって然るべきだろうに」

 

 これは後から知ったんだけど町医者であるフラグラ先生は軍の医療顧問でもあるらしく、軍事機密までは流されないが訓練や演習の情報は逐次回されてくるとか。

 

「先生の所に届いておりませんか? そうですか……自分たちも正直困惑しています。確かに抜き打ち訓練は今までありましたが、事前通達もなしに王都全域で行う訓練だなんて前代未聞です。それに……」

 

「それに?」

 

「災害ケースがやけに具体的なんです。都内で巨大魔獣が暴れた場合の災害対策……らしいですよ。こんなの今までやったこともありませんよ」

 

 都内に巨大魔獣が? この場所は確かに王都と称せるぐらいには周りを堅牢な石壁で覆われており、守りも硬そうなイメージを僕は持っていたが……そんな石壁すらも物ともせずに暴れる存在がここに来るのだろうか。

 

「何だろう、ティアマトとか? コロッサスとか? うちらが良く相手してあげてるよねっ」

 

「ほとんど毎日息抜きがてら付き合ってるもんなぁ……」

 

「うーん、でもこの国に来てから他の星晶獣の気配なんて感じた事ないんですよね……」

 

 みんな呑気な事を言っているが、思えば僕らは大概おかしな事をしている気がする。

 あとルリア、そりゃ違う世界だもの。逆にあったら驚くよ。

 

「どこのどいつが考えた訓練案だかしらないが、あんたら兵士達も災難だね……。で、そんな通達を出したのはどこの馬鹿だい。いたずらに市民に不安を与える真似なんざ、全くもって愚の骨頂だよ」

 

「お気遣いありがとうございます。自分もただ上から下された命令としか聞いてないので誰が発案なのかは正直分からないのですが……」

 

 兵士さんは逡巡したかと思えば、先生に顔を寄せてこう告げた。

 

「噂によればラインハルト様のものだとか」

 

「……あの剣聖がかい? 解せないね……よりによってあの坊主がそんな通達を出すとは」

 

「私らも半信半疑です。ラインハルト様が急にこんな事を言い出すとは、何か意図があっての事なのでしょうか」

 

 二人の声には明らかな困惑が含まれていたが、それよりも僕の頭に引っかかったのは「けんせい」という言葉だ。けんせい……剣聖って、あの剣の道に非常に優れているという意味の「剣聖」の事? 僕が疑問符を頭に出していると、クラリスも同じ疑問に至ったのか、口を挟んでいた。

 

「けんせい……けんせいって、聖なる剣って書いて剣聖?」

 

「む。先生、その方達は? 患者さんでしょうか」

 

「この子らは臨時の助手でね、やんごとなき理由があってうちに住まわせてるのさ。……で。嬢ちゃんの認識は間違いないが、よもやラインハルトの名も初めて聞くとか言わないだろうね」

 

「あ、あはは……」「えへへへ……」

 

「呆れた……あんたらは相当遠い場所から来たんだろうね」

 

 そんな事を言いながらも先生は丁寧に説明してくれた。

 曰く、この国は昔から王国を守る剣である剣聖の家系が存在しており、ラインハルト・ヴァン・アストレアという人は当代きっての最強の剣聖との事。その名も全世界に広がる程の物らしい。

 最初はジークフリートやシャルロッテのイメージが思い浮かんでいたのだが、「根は真面目だけど融通の効かない、天然の正義バカさ」と言う評を継ぎ足されると、どっちかと言うとユーリのイメージが浮かんでしまった。少し気性が激しそうだ……。

 

「でも剣聖って言えばうちのイメージだと……グランの事かなっててっきり」

「はい、てっきり私もグランの事かと」

「相棒は名実ともに剣聖だしな! ずっと前にジョブとして手に入れてたし」

 

「はん? この坊主はそんなに強いのかね」

 

「えへへっ、それはもう!」

 

「武勇伝なんてそれこそ腐るほどあるよお婆ちゃん、グランは自慢のだんちょー様だよっ!」

 

「……」

 

 皆が後ろで好き勝手僕を持て囃しているのを気恥ずかしく思っていると、先程から兵士さんがこちらを見つめているのに気付く。

 もしやとは思うけど剣聖の事で気に障ってしまったのだろうか。

 一瞬焦った僕だが、よくよく見ると彼の視線の先は僕ではなくてルリアに注がれていた。ルリアもそのことに気付いたのだろう、少しだけ体を強張らせ始めた。

 

「あの……どうかしましたか?」

 

 僕が兵士の視線が途切れるように立ち位置を変えれば、兵士はぽつり、と呟き始める。

 

「……白いワンピースに青の長髪。もしや通達にあった……? キミ、名前はもしかしてルリア、と言わないかい?」

 

「!」

 

「は、はいっ……そうですけど、どうして私の名前を?」

 

 ルリアも、そして僕も困惑してしまう。どうしたって別の世界に来たというのにその名前が知り渡っているのだろうか。ビィもクラリスも同じ気持ちなのだろう、少し警戒心を覗かせながら兵士さんを伺うと、途端に向こうは慌てだした。

 

「あ、あぁ警戒させてすまないね。これもまたおかしな話なんだが……ルリアと呼ばれる青髪の少女を見つけたら、詰所まで連れて来て欲しいと伝えられていてね」

 

「ルリアが何かしたって言うのかよ?」

 

「そうだとは聞いてはいないけど……これも上からの命令でね、良かったらご同行願えないかな?」

 

 兵士の表情と雰囲気を鑑みるに、本当に捕らえようとする意図は見受けられない。

 てっきり帝国軍が別世界まで出張ってきたのかと一瞬思ってしまったが、そうではなさそうだし……おそらく、これもまた逃してはいけない切欠の一つに違いないだろう。ルリアの問うような視線に頷いて返し、指し示したかのようにクラリス、ビィとアイコンタクトを取り、

 

「はい、私は構いませんっ」

「けれど、そこには僕も同行させてください」

「当然ウチも!」「オイラもな!」

 

「お、おぉ、勿論構わないとも。では今から詰所まで一緒に行こうか……と思ったんだが、君たちは今日は助手をしていたのではないのかい?」

 

 うっ。少し勇み脚が過ぎた。

 兵士さんの言葉に僕たち全員がギクりとなって、ほとんど同時に恐る恐る振り返ると……肘掛けで頬杖を突いていた先生がこちらをじとっとした目で見ていた。けどすぐにわざとらしく溜息を付いたかと思えば、

 

「好きにするといいさ、あんたらはあくまで臨時だし、もとはと言えば客人だ。行きたいというのなら止めはしないよ」

 

「ほ、本当に勝手ですみません」

 

「「ごめんなさいフラグラ先生……」」

 

 先生には本当に悪い事をしてしまったと思う。

 だけどルリアを一人で行かせるという選択肢は僕にはないし、仲間たちにもないだろう。

 どういった用事かは分からないけど、終わったら先生には何らかの埋め合わせをしないと……なんて考えていたのだが、いざ出発のタイミングで更なる異変が待ち受けているとは思っても見なかった。

 

 

「――――笛の音?」

 

 

 それは生活音からかけ離れた一際高い音の線。

 誰しもが耳に留めるであろう警告めいた音。そんな音が街の奥から突如響き出したのだ。

 しかも最初は一つだったそれが呼応するかのように2つ、3つと別の場所からも奏でられ始めてゆき、否が応でも自分たちの警戒心を刺激してくる。

 

「これって……!」

 

「何かが起きてる、って思っていいだろうね……兵士さんこの音に聞き覚えが」

 

「ある……が、まさか本当に起きたっていうのか……?」

 

 兵士さんは困惑しながらも教えてくれた。

 これは非常警笛の音らしく、緊急事態が発生した時のみ鳴らされる物らしい。

 今回の訓練では鳴らされる事はないと聞いていた以上、訓練では想定し得ない何かが発生したのは違いないだろう。

 

「すまないが同行は後回しだ。自分は現場を見てくるからキミ達は先生の元で待機を――何、手伝おうかだって? ううぅむ、気持ちは嬉しいが」

 

「それでも緊急事態なんですよね? 私達少しでも役に立てると思いますっ」

 

「決して足手まといになるような真似は致しません。それに、こう見えても結構僕らは腕は立ちますよ」

 

「それだけは保証するぜ兵士の兄ちゃん、グランはともかく、クラリスだってそこそこ強いんだぜ?」

 

「そこそこじゃなくて最強ですー。可愛さも兼ね揃えた最強可愛い錬金術師なんだからっ☆」

 

 僕らの推しに兵士さんは躊躇いを見せたものの、今は迷ってる暇はないと悟ったか僕らの顔を見回し、

 

「……分かった。ただし自分の言う事には必ず従って貰うから勝手な事は慎むように。それじゃあ現場に向かうぞ、駆け足!」

 

「はいっ!」

 

「それじゃあ先生行ってきます!」

 

「あいよ、怪我人が出たらすぐにうちに来な。無茶だけはするんじゃないよ」

 

 先生の声援を背に受けて僕らは後ろ手で手を振ってから街へと駆け出してゆく。

 

 街の人達はまだ何が起こってるのか分かっていないのか、急遽響き出した笛の音に不安そうな顔をしている。けど、笛の音の近くまで行くとその様相も変わる。

 近づく先から逃げ出そうと市民たちが一様に僕らの方へと走り込んでくるのだ。

 元凶が近いと悟った僕らが気を引き締めて人混みを抜けてゆくと、半壊した露天のすぐ傍に身の丈3m程の巨大な狼が居た。既に二人の兵士がその場で狼に対峙している。

 

「大丈夫か……!?」

 

「応援か……! 助かる……って何だその子供達は」

 

「お尋ね人兼助っ人だ。かなり腕が立つそうだぞ……ソレよりも、どこからこの魔獣が?」

 

「分からない。巡回中に悲鳴の元へ向かったら露天を壊してたこいつと遭遇したんだ」

 

 魔物……いや、魔獣に向かった兵士さんは、その魔獣から視線を反らす事なく答えてくれた。

 僕は兵士さんの後ろでその魔獣を見て探っていく。

 爪の長さ、牙、尻尾、その目つき、体勢。数多の魔物とやりあい、そして様々な武術の達人から教わった事で、大概の魔物の強さは理解出来るように僕はなっている。

 分析の結果、爪も牙も人を殺傷足らしめるには十二分にあると判断出来るものの、いつもの魔物と大きく異なっている点がひとつあった。

 それは敵意と言う物がまるで感じられないという点だ。

 混乱しきっているのか忙しなく辺りを見回し、市民たちの悲鳴や物音に過敏なまでに反応する姿はまるで唐突にこの場に放り出されたかのような感じで。あたかも自らが兵士に囲まれている事が理解出来てないようにも思えた。

 

 僕とて魔物は常日頃退治はしているものの、出来ることなら殺生は控えたい。それが敵意のない相手であるなら尚更だ。

 だけど兵士さん達は眼の前の脅威を何とかしようとじりじりと間合いを詰めており、狼もまた警戒の色を強めている。このままでは互いに血を見る展開になりえるだろう。

 思考がリンクしたルリアもまた僕と同じ考えに至ったか、強い眼差しを持ってこちらへと頷いていたので、僕は争いを止めようと兵士さんの前に飛び出そうとした――その時だった。

 

「―――ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああッ!!」

 

「ギャウゥッ!?」

 

 轟くような声が近づいて来たと思った直後、横合いから飛び出してきた兵士さんが構えた槍で狼の腹部を突き刺していた。飛び散る飛沫と流れ出る血が石畳とこぼれ落ちた商品を汚す。傷つけられた狼は苦悶し、その場にのたうち回ってしまう。

 

「どうしてっ!」

 

 余りにも唐突過ぎる横槍。ルリアの悲痛な声は僕の気持ちの代弁でもあった。

 だが苦情を向けられた兵士は肩で息をつきながら逆にこちらを睨み返してくる。

 

「お前らぼさっとするな! 町中全域にいろんな魔獣が現れてるんだぞ! さっさと片付けて次へ行くぞ!」

 

「そんな、でもこの子は全然敵意とかもなかったんですよ! 何でいきなり傷つけるなんて事を……!」

 

「ルリアっ」

 

 たまらず抗議するルリアをクラリスが窘めるも、ルリアは撤回することなく兵士に詰め寄る。だが兵士は怒りの形相を向けるだけ。

 

「――敵意がなかっただ? 魔獣に敵意の有無なんて関係あるか、魔獣は人類の敵だぞ! お前は見逃した結果別の誰かが傷ついたら、殺されたら責任持てるのか!?」

 

「っ! き、きっと話せば理解してくれる筈です……だって現に」

 

 突きつけられた正論に困惑しながら口ごもるルリアだが、反論の余地はなかった。傷ついた狼は半狂乱で立ち上がったかと思えば今度こそ明確に敵意を向けてこちらに襲いかかってきたのだ。

 僕は反射的にその狼の一撃を竜爪と翼を模した直剣で防ぎ、弾き返す。結果狼の一撃はあらぬ方向に逸れ、狼は別の商店に頭から突っ込んでしまう。

 

「…っ、今だ! トドメを!」

 

「待っ」

 

 敵意には敵意を。殺意には殺意を。

 取り残されていた別の兵士さん達は明確な隙を見せた狼に殺到し、思い思いに武器を振るおうとする。

 

 そして僕はといえば――()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 追い縋ろうとするルリアを片手で引き寄せて僕の胸にかき抱いて視界を遮ったのと、心をかきむしるような悲痛な声が響いたのはほとんど同時だった。

 

 

「……ルリア、君は正しいよ。でもここでは兵士さんの方が()()()()()。……手負いの獣を説得するには余りにも時間が足りないよ」

 

 風土、価値観、倫理観。僕らはそれらが全く異なるかも知れない地に踏み入れているのだ。 

 ただでさえ異常事態に見舞われたルグニカの街で、魔獣が人々の中で完全に敵だと見なされている中で如何に敵意がないからと必死に説いたとしても、きっと事態は好転しないだろう。

 分かるね、と宥めるように囁やけば腕の中で体を強張らせていたルリアは少し間を置いてから頷いてくれた。

 

「クラリス」

 

「……うん。兵士さんそこどいて」

 

 今尚苦悶の音が続くのは、狼の体格に対して兵士さんの武器が小さいからだろう。

 もう抵抗も出来なくなった狼を見て同じことを考えたのだろう、今の一言でクラリスが魔導書を片手にその狼に掌を向けた。

 

「貴様、一体何をす……おわっ!?」

 

 光を通さぬ小さな穴が狼の中心に現れたかと思えば、それは一気に広がって狼の全体を包む黒い球となる。紫電を纏う黒い球は限界まで大きくなった直後に急速に収束を開始し、周りから引き寄せるように風をおこして地面ごと消し飛ばしてしまう。

 

 残されたのは綺麗に楕円状に削られた地面だけ。

 唐突に起きた事象に兵士たちは軒並み尻もちをついていた。

 

「無駄に痛みつける事ないでしょ? 手こずってるようだから魔法で消し飛ばしただけ」

 

「いきなり過ぎる! 当たったらどうするんだ!」

 

 事前に声かけたじゃん、と兵士に対してぶーたれるクラリスを横目に僕も悲しそうなルリアの頭を少し撫でて離そうとする。先程の兵士さんの話す通りならば早く次の場所に行かなければ。そんな使命感に囚われていた僕だが……ルリアが服を掴んでおり、離してくれない。

 元々感受性の高い子だ、ショックだったのは分かるが今は気持ちを切り替えて貰わなければ。だからもう一度ルリアを励まそうとしたのだが……その前にルリア口を開いた。

 

「――グラン。あの人……さっきの兵士さん」

 

「……兵士?」

 

 どの兵士さんの事だろうと思ったが、どうやら最初に横槍を入れてきた兵士さんの事らしい。

 怒りを向けられたせいで一緒に行動するのが気まずいのだろうか。

 

「大丈夫だよルリア、きっとあの人は別に気にしてなんて居ないさ。ただ余裕がなくて怒ってしまっただけだと思――」

 

「違うんです、違うんですグラン」

 

 ふるふると首を振るルリア。じゃあ一体何が言いたいのだろうか。

 

「あの人、笑っていたんです」

 

「え……」

 

「私達が狼さんを攻撃してる時……ずっと、ずーっと笑っていたんです。態度で表さずとも、心の中で。そして目で」

 

 僕は一瞬理解出来なかった。

 ルリアが感じたその感覚は余りにも現状とは場違いの物過ぎたからだ。

 

「焦りとか、不安とか、怒りとか……そう言った感情なら分かります。でも違うんです、あの人は子供のように無邪気に私達が狼さんを傷つける様を楽しんで居たんです。まるでこの異常事態そのものが楽しみだったかのようで――怖い……です、グラン。大声だからとか厳しいからとかじゃなくて……理解も共感も全く出来ないのが怖いんです」

 

 咄嗟に辺りを見回してその兵士を探す。だけどその場に居たのは僕らと最初からその場に居た兵士達のみ。横槍を入れてきた兵士は既に姿形も見えなかった。

 ……一体何が目的だったのだろうか。僕は不安がるルリアを庇うかのようにもう一度彼女を抱き寄せた。

 

「おいルリア、グラン。一体どうしたってんだ?」

 

 いつまで経っても次の場所へ行こうとしない僕らに痺れを切らしたか、ビィが話しかけてきたけど僕は何でもない、と首を振る。

 ルリアをここまで怯えさせた兵士が何かを企んでいるのか、それとも単純に倒錯的な性格だったのかは分からない。でも今は時間がない。

 

「大丈夫、大丈夫だよルリア、僕がついている。だから今は他のみんなを助けよう、いたずらに魔獣達を刺激しないように何とか立ち回って、双方に怪我人を出さないように努めよう」

 

 勿論全ての魔獣がさっきみたいに敵意がないのかと言われれば分からないけど、出来る限り不要な血を流さぬように救って見せよう。この世界の人から見れば僕らは異端児だろうけど、自らの正義を僕らは幾度となく押し通し、そして最後にはまるっと笑顔にしてきた実績がある。きっと出来る筈だ。

 肩に手を置いて落ち着かせるように語りかければ、ルリアはようやくその手を離してくれた。

 

「……ごめんなさいグラン、そうですね。今はそれよりもみんなを助けないとっ!」

 

「ねえ二人共、イチャイチャは終わった~? 早く先に行こうよ。兵士さんも先行くってさ☆」

 

「あぁ、今行くよ」

 

「は、はわわっ。クラリスさん違うんですよ、これは別にイチャイチャなんかじゃ……!」

 

 茶化すクラリスに慌てるルリア。

 うん、やっぱりこうやって距離感なく軽口を叩きあうくらいが丁度いい。

 準備を整えた僕らは街を再度駆け抜けてゆく。

 

 笛の音はもう止まっているものの、行く先々で逃げ惑う人々や叫び声が聞こえてくる。

 やはり街の中はもう大混乱なのだろう、到るところで魔獣達とやりあう兵士達の姿があった。

 僕らはたびたびその戦闘に飛び込み、可能であればその戦闘を収めようとした。けど既に傷つけられている魔獣は理性が消えてしまうのか説得も難しく、倒すほかない場面も多々あった。

 結局あれだけ街の中を東奔西走してもまだ二体しか救えていないのが悔しい。

 

「はぁ……はぁ……ねえだんちょー。何か変……だよね。この魔物達……基本的に怯えてるというか混乱してる?」

 

「それはオイラも思ったぜ。なんつーか……無理矢理連れられてきたって言うよりかは、自分が何なのか分かってねーっていうか」

 

 敵意のない魔獣を即席の石檻(錬金術で作った)で閉じ込めた後、二人が疑問を呈した。

 確かにこの街に現れた魔獣達は、そのほとんどが例に漏れず混乱している様子があった。

 しかもその混乱の様子がおかしい。グリフォンのような魔獣は空を飛ぶ事も出来ずに無闇矢鱈に羽を振り回し、巨大な蛇の魔獣に至っては移動も出来ずにその場でのたうち回るだけ。それはまるで自らの器官の使い方が分からない様にも思えてしまう。

 

「強力な薬を使って混乱させてる……とか? でも中にはそうでない魔獣も居るんだよね。混乱してる方が大半だけど……うーん、この事件を引き起こした人は何が目的なんだろうか」

 

 状況は俯瞰して見定めろ。ひとつの視野で物事を考えようとするな。

 かつて言われた言葉を思い出して僕は一度立ち返る。どんな事にでも言えるけど、物事には目的がある筈だ。この事件を引き起こした人も何かしらの目的があるのは間違いない。

 

 街に混乱を起こした結果、一体何をさせたいのだろう。混乱に乗じてお金を一気に巻き上げるとか? それとも兵士をここに集中させて別の所から攻め入る?

 そもそもラインハルトという人はまるでここで事件が起こることを予期して兵士を配置していたのはどうしてだ? 事前にリークがあった?

 

 ……ううん。ダメだ。謎ばかりで収集がつかない。

 まだ一つ一つの事情を線でつなぐには情報が足りない。だから一端切り上げて再度別の場所へと向かおうとした……矢先の事だった。

 付近の民家の窓ガラスががたがたと音を鳴らしたかと思えば、僕らの足元が小さく揺れだした。

 

「な、なんだぁ?」

「うわっとっと……地震?」

 

「いや、違う」

 

 直後起こるのは街に響き渡る衝撃と音。

 発生源に目を向けてみれば、数十件先の家屋の先に竜にしては歪な顔を持った巨大な魔獣の姿が見受けられた。そしてその魔獣の矛先は今、誰かに向いている。

 

「グラン、行きましょう!」

 

 拳を握った両手を胸元に寄せてやる気を見せるルリアに、僕は頷き、仲間とともに現場へと向かうのだった。




《フラグラ・クルエスティ》
・拙作オリジナルキャラクター。第三十三話でちらっと出てきた医者のお婆ちゃん。
 グラン君の医療技術に度肝を抜かれる。

《ソフィア》
・ゼエン教と呼ばれる宗教の僧侶。偉大なる僧正の座を継承すべく、星跡を巡る少女。
 そんな衣装とそんなむちむちの体で僧侶は無理でsy

《マギサ》
・未来を見通す力を持つすごーい魔女。
 ドラフを超えるバストを持つお姉さんでもある。グラン君と距離がやたらと近い。

《ザンクティンゼル住まいのお婆さん》
・かつて伝説の騎空団に所属していたモブ顔のお婆さん。
 やたらとキビキビ動ける上、やたらと強い。達人枠。なんでも知ってるっぽい。

《ティアマト / コロッサス》
・星晶獣の名前。グラブルではチュートリアル的なボスでもある。
 騎空士ならばほとんど毎日顔合わせする存在。

《シャルロッテ》
・騎士団の団長でありながら背を伸ばしたいが為に騎士団から脱退する超強い騎士(24歳 身長90cm)
 清く、正しく、高潔にをモットーにずばずば敵を倒す。身長カサ増しの為にやたらと長い宝冠をつけている。

《ユーリ》
・帝国軍という、ルリアを兵器として扱う敵軍に所属する真面目過ぎる熱血正義漢の兵士。
 同じく帝国軍の上司であるポンメルンと出会うとマジギレする。
 

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