なんでかイギリスに来ていた日
ここはどこ、私は誰とリアルにやる日が来るとは思わなかった。
なんでイギリス、というかどうやって来たんだと聞けば。
「ヴァカめ!空間を斬って移動したに決まってるだろ」
とのこと、決まってるんだ。
エクスカリバーってスゲェなぁ。と、ちょっと遠い目になりながら思う。
というかなんでイギリスなんだよ、紅茶が飲みたくなったから?はぁ、馬鹿なの。
そこら辺の紅茶で良いじゃん、本場のがいいとか今日はそういう気分だったとかなんだお前。
あと、誰もいないビーチってのも不思議、人払いの結界を張ってるとか俺はお前がなんなのか分からなくなってきたよ。
もうエクスカリバーだからで納得出来てしまいそうだよ。
エクスカリバーが紅茶を飲んだり、海で泳ぎ始めたり自由に遊び回り始めたが俺は手持ち無沙汰だったのでベッドで待機。
なんだこの状況、誰もいないベッドで屋外にいるってシュールすぎるだろう。
もう暇すぎて、こうやって日記を書いてるくらいだ。
何が楽しいのかエクスカリバーはエクスカリバーの歌とか言う自作した物を歌ってるし、何回エクスカリバーとかカリフォルニアとか言うんだよ。
「よもや、このような場所に来ることになるとはな……」
「……ファ!?」
突然、人の声が聞こえてびっくりする。
イギリスと言えば幽霊が出るってことで有名な場所だし、いや違うか幽霊大好きイギリス人か、混乱してその時は動転していた。
でもって、振り向けば首を傾げながら海を見るイケメンの兄ちゃんが立っていた。
誰だ、この金髪の王子様は……
「どういうことだ、確かにアレは違うが同じ存在だ。だが、それはあり得ないことだぞ」
「ヴァカめ!エクスカリバーとは私のこと、私以外のエクスカリバーは存在しない」
なんか俺を無視してブツブツ呟く兄ちゃん、それを浮き輪をしながら馬鹿にするエクスカリバー。
あの、もしかして知り合いですか?この人に会いに来たとかそういうノリですか?
「予感はしていたが、私という存在が最後の一押しとなったか。まつろわぬ神アーサー王」
いつもと違うシリアスな口調で、エクスカリバーが恐ろしいことを言う。
まつろわぬ神って災害じゃないですかやだー!
「ふん、まぁ良い。私を封印した魔王共を討つ前の前哨戦として紛い物を討つのも一興か」
「ヴァカめ!真に仰ぎ見るべき聖剣は私一人、小僧よ特別に使わせてやる」
そう言って、エクスカリバーが光り輝き姿を変えた。
そこには煌めく刀身を持った西洋の剣、それは回転しながら飛んできてスムーズに手に収まる。
えっ、えっ、と困惑していたら、いたのかみたいな反応をした兄ちゃんが武器を持って構え始めた。
なんで、戦う流れになってるんだよ!
俺とアーサー王の戦いが始まった。
なんやかんやあって、アーサー王に勝った。
序盤、アーサー王は剣を投げてきた。王様、なんで剣なんて投げるんですかと思ったら投げられた剣が爆発。
アカン、これブロークンファンタズムや!壊れた幻想、つうか壊した幻想だった。
仮にも王様なのに卑怯な戦法、序盤ブッパである。
「ヴァカめ!奴は卑怯なことをしたからカリバーンを失った。卑怯なことくらいするわ」
「俺の知ってるアーサーと違う、それが騎士王のやることかよ」
「先程から何を言ってる少年、勝てば良いんだよ勝てば」
アーサー王はオルタの方でした。
まぁ、その爆発するカリバーンもエクスカリバーを振るった瞬間、どこかに消え去った訳だが。
本当に、いったい何をしたのか分からないけど振ったら別の地点に剣が移動していたのでテレポートというか空間ごと斬り飛ばしたとかそういう奴だと思う。
「ヴァカめ!私を使った時点で勝利は約束された物、そんなことも理解せず挑んだのが貴様の敗因よ」
「ふん、贋作が抜かしおる」
アーサー王が残ったもう一本の聖剣を振るう、恐らくはこの世界のエクスカリバー。
それに対して俺の身体は、目に見えない剣撃に対応してエクスカリバーを振るう。
ドラえもんの道具で伸びたが自動で戦ってくれる剣を使っていたが同じ感じかも知れない。
しかし、決着が付かない状況に業を煮やしたのか、アーサー王が空に浮かんだ。
……はぁ?
「この身は湖の乙女より加護を授かっている。水上を歩けるならば、水蒸気のある空中に浮けるのも道理だろ」
「いや、その理屈はおかしい」
でも実際に浮いているので、何でもありかよと思わずにはいられない。
そんな状況もエクスカリバーがあれば解決、何故か俺の背中に黄金の光で形成された羽が生えた。
あっ、アニメで見たことある奴だこれ。
「はぁ?」
「この身はエクスカリバーで何でも出来る。翼が生えるのも道理だろ」
「いや、その理屈はおかしい」
えぇい、おかしいものがあるか。エクスカリバーが出来るって言うんだから出来るんだよ。
実際出来てるだろ、分かったか。
そんなことを思っていると、エクスカリバーから解説が聞こえてくる。
「奴は鋼の神格、その身は竜や猪を討った英雄神だ。ブリテンの象徴から、竜の神格かと疑ったがどうやら鋼の伝承が元になっているようだ。ヴォーディガン、トゥルッフ・トゥルウィス、そして海の向こうからやってくる蛮族。化け物退治から対人戦まで何でもあり、まさに最強の神格だ」
「エクスカリバーが真面目な件、こんなのキャラじゃないだろ」
「ヴァカめ!無知な貴様に教えてやってるのだ。そもそも私の伝説は12世紀から始まる」
いつも言ってるな、それ。
そう思っている間にもアーサー王は攻撃を加えてくる。
だが、光り輝きながら聖剣がアーサー王の聖剣を薙ぎ払って防ぐ。
すげぇ、エクスカリバーすげぇ。凡人が騎士王と戦えるようにしている。
「贋作だとしてもやは――」
「そういえば私の伝説は今日と同じ火曜日だった。いや、土曜だったかな、金曜かも知れない。とにかく木曜日のことだった」
アーサー王が人に見せてはいけないような顔になっていた。
分かる、分かるけど剣筋が怒りで乱れてるぞ。
「ひらり、ひらーり、ひらひらりーん」
「避けてるときに変な効果音着けるのやめてもらえませんかねぇ!気が散るんですけど」
「ヴァカめ!仕様だ」
んな仕様、あってたまるかと憤慨していると俺より憤慨している人が本気を出しはじめた。
なんと、背中に装備していた槍を取り出したのだ。
「ここまでコケにされようとは、ロンゴ――」
「聞きたいか、私の武勇伝を……そういえば貴様好きな数字はなんだ?」
「貴様ぁー!」
「ヴァカめ!止まってみえるわ。そうそう、止まっているで思い出したのだが私はかつて恋をした。そう、彼女を見た瞬間、世界が止まった。アレは暖かい春の初めかな。それほどまでに美しい人だったのだ。当時の私は札付きの悪でね、だいたい悪そうな奴は友達だった。女性にはモテていたし、いや今でもモテているのだが当時は今ほどではなかったかもしれない。いや、モテ始めたと言っても良い頃かな。モテ始めていた、そして悪だった。アレは綺麗な夕日が見えた秋だったかもしれない。あぁ、当時の私は鋭いナイフのようでいて、気品に溢れていた。今ほどではないが、それでも他の聖剣が霞むほどには気品が溢れていた。アレは日差しの強い真夏のことだったかな、いや冬だったかもしれない、と見せかけてやっぱり春、いや秋というのも捨てがたい当時の――」
「死ねぇぇぇぇぇぇ!」
プルプル震えていたアーサー王がキレて槍を投げてきた。
凄いヤバい武器なのに、それを普通に使うでもなく投げさせるとは可哀想にな。
王は人の話を聞かないって聞くけど、結構我慢して聞いてた方だと思うよ俺はね。
まぁ、勝手に瞬間移動して避けたんだけどな。
でもって、必殺技名を言えと言われたので棒読みだけどエクス……カリバァァァァーと叫んでみた。
「ぬわっー!?」
「あっ!?」
アーサー王が爆発した。
ば、爆発オチなんてサイテー!?
これが俺とアーサー王の戦いであった。