アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity- 作:銀塩
<>は基本的に通信,「」は会話になります.
まさかの依頼とまさかの結末
<AP残り10%! 早く戦闘領域から離脱しろ!>
パートナーであるオペレーター,セレン・ヘイズの声が耳元で聞こえる.その声を聴きながら、愛機ストレイドの中でなんでこうなったのかを頭の片隅でぼんやりと思い出した。
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<雇い主はいつものGA。目標はカラードランク28、セレブリティ・アッシュの撃破だ>
いつもの回線で連絡してきたGA代理人からの依頼内容。いくら企業連の通達を無視した結果、無償でいくつか依頼をこなすことを決められていても、明らかに関わるような依頼ではない。
世界に反旗を翻したORCA旅団。それを鎮圧せしめた英雄。名前もなきリンクス、通称首輪付きは、過去にカラードランク最高位のリンクスと政治的影響を抜きにすればカラードランク最高位に匹敵するリンクスの戦闘に参戦しただ一人生き残った彼は、現在カラードランク1、現時点での最強のリンクスである。それを利用するというのは、よほど危険な依頼であるということになる。それなのに、目標はカラードランクは下の下。他目標もないと来れば、明らかに怪しい依頼と言えよう。
「おい、たかがカラードランク28の格下にカラード最高位のコイツを使うとはどういう了見だ」
GA代理人に食いかかる女性。それこそが首輪付きのパートナーでオペレーターのセレン・ヘイズだ。首輪付きのリンクスとしての素質を見極め、その戦場に迎え入れた女性でもある。
<流石に俺もおかしいとは思って調べたんだが一切の情報が出てこなかった。GAに聞いてもなんの回答もなし。ただ、僚機としてメリーゲートとレイテルパラッシュを連れて行けと言われている>
「なに?」
ますます怪しい内容だ。というより、その僚機だけで十二分に対処可能だろう。
<すまないが、おれはこれ以上調べられない。ただ、十分すぎる戦力だ、費用はGA持ちだそうだから、そちらへの損失はない。まぁ、こんなところか>
「お前はどうする、この依頼」
セレンが振り返り、そのキツ目のまなざしでこちらを見る。
「……受ける。それしかあるまい」
なのでこちらもその目をしっかりと見て答える。
「それしかない、か」
<そうか、それではそのように伝えておこう>
セレンのあきらめたような表情を最後に、代理人は通信を切った。
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そこからの展開はあっという間だった。
作戦開始時刻、現場にあらわれたレイテルパラッシュとメリーゲートが突如として離反、こちらを攻撃してきたのだ。
<すまないが、これも私たちの願望なのだ>
<ごめんなさいね、あなたを悪いようにはしないから>
重量二脚と軽量二脚。一瞬でも油断すれば撃墜されかねない攻撃を紙一重で回避し続ける。
しかし、いつまでも回避できるかというとそういうわけではない。時々回避し損ねた弾がプライマルアーマー、通称PAを削り、装甲をかすめる。
<くそっ、GAはいったいなにを企んでいる!>
有効な手を探しているセレンが毒を吐く。実のことを言うと首輪付きは一切発砲していない。なぜ襲われているのに発砲をしないのか。簡単だ、火器管制システム(FCS)が機能せず、レイテルパラッシュとメリーゲートを敵と認識できず、安全装置が外れないためだ。右腕には07-MOONLIGHTが装備されてはいるものの、迂闊に飛び込めば一瞬で蜂の巣にされてしまうだろう。そのため一切の手出しができず、超高機動戦闘によってなんとか回避しているという始末なのだ。
<だめだ、いったん戦闘領域を離脱しろ! FCSが正常に動作していない以上、これ以上の戦闘は危険だ!>
耳に入る情報。打開策なしという絶望的な状況に応じたセレンの判断を忠実にこなすため、一瞬で二機から距離を開ける。
「……了解、これよりオーバードブーストでっ!?」
その瞬間、脳裏をよぎる悪寒。それに逆らうことなくクイックブースト(QB)で右に避ける。と、その一瞬前にいた場所をレーザーが射抜く。
<流石、カラードランク1の英雄ですね。今のを避けるとは>
続いて入る通信。その凛とした声は、
<まさか、アンビエントまで?!>
カラードランク2、アンビエントのリンクス、リリウム・ウォルコットだった。
<くそっ、いったいなにがどうなっているというんだ!>
混沌とした戦場。それでも一瞬でも気を抜けばメリーゲート、レイテルパラッシュ、アンビエントの集中砲火により藻屑となる。
<ランク1のあなたをだまし討ちするようなことになってしまい、申し訳ありません。ですが、彼女たちとはすでに取引を済ませていますので>
さらなる事実。彼女たちが結託しているのは明らかだったが、他のリンクスまで関与していることが判明した。
そうこうしている間に、もう何度目か分からない被弾が発生する。
<AP残り10%! 早く戦闘領域から離脱しろ!>
ふと思い出す依頼の受領。しかし、そこからやり直すことなどできない以上、現状を切り抜けるしかない。
「…仕方ない」
<ゆるせっ!>
<ごめんなさい>
<お覚悟を>
一気に接近する三機。そしてそれに呼応するかのように緑色に発光するストレイド。
<まさかっ!>
起死回生の一手。しかし、それは機体を覆うPAがはがれてしまうという致命的な弱点を持つ一手。
「アサルトアーマー……!」
そして、四機は閃光に包まれた。
次第に閃光が収まり、いつもの風景が戻る。
しかしそこには、四機の存在はなかった。
2017/03/05 句読点を直しました。