アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity-   作:銀塩

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SHRのルビの振り方を間違えていましたので訂正です。


彼の名

 青年は焦っていた。とはいえ、彼がなにか失敗したわけでもなく、彼がなにか奇抜な特徴を有していたわけではない。いや、現状においてある意味特徴的ともいえる要素は持っているが。

 

「全員揃ってますねー。それじゃぁSHR(ショートホームルーム)始めますよー」

 

 その緊張感の中に入ってきたのは一人の女性。女性というには少し幼い感じもするものの、彼女はれっきとした学校の教師なのである。その背格好から、背伸びをした少女のようなほほえましさを感じるのだが、今はそれどころではないだろう。

 

「それではみなさん、一年間よろしくお願いしますね」

「…………」

 

 本来なら、ここで元気のいい返事が響くだろう。それがふつうだ。だが、今のこの状況はふつうではなかった。悲しいことに。

 

「じゃ、じゃぁ、自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

 

 この緊張感によってもたらせる沈黙にうろたえるその教師が少しかわいいなどと思ったりする余裕なんてない。あるはずがない。

 

 なぜなら、このクラスはほとんど全員が女生徒だからだ。

 

 そう、彼以外のすべてが女性。教師は数名ほど男性がいるものの。純粋な生徒はすべてが女性。右を見ても、左を見ても女性。上を見ても下を見ても女性。それだけならまだいい。なぜこれほどの緊張感があるのかというと、その全員が彼を、織斑一夏を。

 

「……くん。織斑一夏くんっ」

 

 他のことを考えて、いや、正確には周りを気にしすぎて、自身を呼ぶ声に気付かなかった。

 

「あ、あの、お、大きな声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね! でもね、自己紹介ね、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」

 

 気づけば、目の前で女教師、副担任の山田真耶先生が頭をぺこぺこと下げつつ、一気にしゃべっていた。

 

(いきなりやっちまった)

 

 それが、彼、織斑一夏の偽らざる思いであろう。

 

―――――――

 

 ここでもまた、緊張感が教室を支配していた。とはいえ、その緊張感の矛先となっている人物は、いたって平気そうな顔をしているのだが。

 

「ハーイ! みなさーん、私がこのクラスの担任、エドワース・フランシィですよぉ!」

 

 まぁ、担任もそれを気にしていないのか意図的に無視しているのか、ものすごく明るく振舞っているのだが。

 

「趣味は盆栽でー、彼氏は募集中でーす! ジャパンのカルチャーは面白いですね!」

 

 多少英語の混じった妙な日本語で元気よくしゃべるフランシィ。

 

「さて、次はみなさんの自己紹介の番でーす! 出席番号順でいきましょー」

 

 奇妙な緊張感のなか、進む自己紹介。そして、渦中の人物の番になった。

 

「ハーイ、次はアルバート・ティーアくんだよー」

 

 一斉に視線が向く。そう、アルバートから察することができるに、彼も男性なのである。

 

「……アルバート・ティーア。趣味その他は特にない。よろしく」

 

 そう少しだけ答えて、席に座る。と、一斉に椅子から滑り落ちた。

 

「それだけー? ティーアくん、もう少しないのー?」

 

 少し不満そうなフランシィ。ティーアは少し考え、やはり特にないので首を振る。

 

「……とくにはない」

 

 その様子に少し落胆するも、すぐに次に振る。

 

「じゃぁ、次はリリウム・ウォルコットさーん」

 

 そう、リリウムだ。一同はアルバートに注目していたが、一番の問題は彼女だったのだ。

 

「リリウム・ウォルコットです。趣味は紅茶で、現在はアルバート様と婚約させていただいている一人です」

 

 静まり返る教室。緊張感などなく、理解不能な言葉を投げられたが故の沈黙だった。その言葉にアルバートは額に手を当てていた。

 

「待て、リリウム! 抜け駆けはずるいぞ!」

 

「そうです! 私たちだっています!」

 

「ですから、婚約させていただいている一人、という言葉にさせていただきました」

 

 そんなリリウムに食って掛かるは、ウィン・D・ファンションとメイ・グリンフィールド。そう、彼女たちもここ、IS学園に入学していたのだった。

 

「ワーオ! アルバートくんったらハーレムですねぇ!」

 

 そんな生徒たちを尻目に、一人だけはしゃぐフランシィ。

 

「私はウィン・D・ファンション! リリウムと同じくアルバートの婚約者だ!」

 

「私はメイ・グリンフィールド! 同じくアルバートの婚約者です!」

 

 そう口早に宣言すると、にらみ合う三人。と、突然クラスが沸いた。

 

「ほ、本当に三人は婚約してるんですか?!」「誰が一番最初に言い出したんですか?!」「アルバートくんはどう思ってるですか?!」

 

 などなど。

 やはり、ここに来るのは早まったかと、思わず嘆息してしまうアルバートだった。




というわけで、首輪付きくんの名前はアルバート・ティーアに決定です。

名前には特に意味はないですね、はい。

今後は首輪付き、ではなくアルバートもしくはアルで表記していくのでよろしくお願いします。

2017/03/07 句読点を変更、一部修正
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