アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity-   作:銀塩

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お待たせいたしました。続きをどうぞ。

P.S.(01012016)
後部に追加を載せました。


不安な理由と邂逅

 「……であって、ここの詳細な意味は……」

 

 黒板に書かれていく解説を読み流しつつ、()()()()()()()()()()()の書かれた教本を、これまた流し読む。いわば、ISに触れたばかりの初級者向けの教本は、彼の知識を再確認させる程度の意味しかない。そして感じる視線。彼を観察する視線にアルは嘆息しながら、事の始まりを思い出していた。

 

――――――――

 

 「おおーっ、これはまた!」

 

 基地に声が響く。それは喜色に満ちていた。そんな声を上げた彼女、篠ノ之束に、興味を示した。

 

「ほう、あなたが声を上げるとは。いったいどんなニュースやら」

 

 動いたのはセレンだった。彼女は首輪付きに張り付いていた左腕を放すと、束に近づく。実は今、セレンをはじめとするACチームは首輪付きの体に密着している。セレンは左腕を、リリウムは右腕を彼に絡め、ウィンは彼の背中に自身の背中をくっつけ、メイは首輪付きの胡坐の上に座っている。

 

「いやー、これは流石に予想外だよねぇ……」

 

 そう言って彼女が見せたのは、『衝撃! 世界初の男性IS操縦者現る!』という見出しのニュースだった。

 

「……なに?」

 

 セレンが訝しむのも無理はないだろう。なぜなら、

 

「ISは女性しか扱えないのという話ではないのか?」

 

 そう、ISは女性にしか扱えない。それは開発者本人いわく、開発中に発現した特性で、原因は不明であるとのこと。ゆえに、このニュース自体も意味不明であった。

 

「女性のみが扱えるはずなのに、男性が、しかもまさかいっくんがねぇ……」

 

 いっくん、と呼んだニュースに使われている画像の人物は、青少年と言うべき背格好で、こういった取材には不慣れなのか、照れたような笑いを浮かべていた。

 

「博士、知り合いか?」

 

「んー……ISを発表してから会ってないんだけど、私の大好きな人たちの一人だよ」

 

 セレンの問いに、頬を緩ませて答える。

 

「そっかー……元気にしてるんだー……」

 

 そうして、ちらりと首輪付きを見る。

 

「首輪付きくん、ちょっと思いついたことがあるんだけど、いいかな?」

 

「……なんだ、博士」

 

 首輪付きはウィン、リリウム、メイを張り付かせたまま、束を見やる、

 

「君もIS学園に入っちゃおっか」

 

「……は?」

 

 突然の提案。一切話を聞いていなかった彼らにしてみれば、唐突でかつ突拍子もない提案だった。

 

「いやいやいやいや、ちょっと待て! 我々は秘匿されるべき存在だろう?! なぜそうなるんだ!」

 

「ええ、現状で言えば戸籍を偽装しているというだけでなく、姿をくらませた篠ノ之束という世界最強の兵器の生みの親の護衛です。ここで正体を明かすのは得策ではないかと」

 

「そうですよ、それは危険です」

 

 口ぐちの反論に束は胸を張る。

 

「そこは大丈夫だよ!」

 

 そこはかとない不安を、五人は覚えたという。

 

――――――

 

「ハーイ、アル君」

 

 自分を呼ぶ声に、アルは意識を回想から戻した。

 

「……なんでしょう」

 

 声の主は担任のエドワース。おそらく授業に意識が向いていないのを察したのだろう。

 

「どこかわからない所はありますかー?」

 

「……いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 

 そうして再び教科書に目を落とす、いつかの不安を再び思い出しながら。

 

 

 

――――――

 

 

 

「次も教室か」

 

「まぁ、いわゆる初心者に向ける授業ですし、仕方ないですよ」

 

 次の授業の用意をしつつ交わされる雑談を耳にしつつ、アルは立ち上がる。

 

「どうされましたか?」

 

 突然立ち上がったアルに、リリウムは問う。

 

「……少し、手洗いに」

 

 まぁ、ある意味当然の答えである。

 

 

―――――――――

 

「……」

 

 その性質上、完全な女子高ゆえに新しく作られた位置の遠い男子トイレまで足早に移動したアルは、その帰りにふと気づいた。

 

「あ、いたいた」

 

 目の前にいる、彼を除けばIS学園唯一の生徒に。

 

「えっと、君がもう一人の男子だよね? おれは織斑一夏。よろしく!」

 

 彼、織斑一夏はそう言って右手を差し出した。それに対し、アルはそれをじっと見つめる。

 

「……」

 

「……」

 

 奇妙な沈黙。それを破ったのは気まずそうな顔をした一夏だった。

 

「えっと、握手したかったんだけど、迷惑だった?」

 

 その言葉に、ハッと我に返るアル。

 

「……いや、大丈夫だ。俺はアルバート・ティーア。よろしく頼む」

 

 そして一夏の手を握る。

 

「そ、そうか! おれのことは一夏って呼んでくれ!」

 

「……おれもアルで構わない」

 

「ああ!」

 

「……それじゃ、次の授業があるから」

 

「ああ、がんばれ!」

 

 お前も、と返して、アルは再び教室へと戻った。




2017/03/07 句読点を変更、一部表現を変更
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