アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity- 作:銀塩
「さて、今年もこの世界に新しく携わる若者たちが入ったわけだ」
薄暗い部屋。その中に浮かぶモノリスが声を上げる。
「今年は特に不可思議な年となるのぉ」
「すべてを狂わせた大天災の妹、世界の特異点となった最強の弟」
「そして、ギリギリになって発見された第2の特異点」
順繰りに口を開くモノリス。
「結局、調査のほうはどうなったんだ」
「だめねぇ、ぜんぜん足取りが追えないわ。まるでその瞬間に出現したかのように過去の経歴がないのよ」
「監視カメラはもちろん、各公式記録にも一切の足跡がない……」
「ふぅむ……。とりあえずそのまま調査を続けてもらいたい」
「りょうかいよー」
「承知した……」
そして、再び少し沈黙が降りる。
「ああ、聞くところによれば、なにやらいきなり模擬戦闘があったとか?」
「そうそう。なんか英国の代表候補生のご令嬢と例の最強の弟とねー」
「原因はただの口論から始まったようだ」
「なるほど……。これだから若造どもは……」
「ほっほっほ、血の気が多くて良いではないか」
嘆息する声に、それを愉快そうに笑う声。
「はぁ……、まぁいい。どのみちただの模擬戦だ、どうでもいい。それより、もう一人のほうはどうした」
「もう一人はほとんど動きがないな。ただ普通の生徒程度の活動がせいぜいだ」
「ふむ、動きがない、か」
「ほんとにまったく動きがないんじゃな? 校外まで出かけるとかの動きも?」
「ああ、そうだ。校外まで出かけた様子もない。寮の自室にこもっているか、学内にいる程度だ」
「あれだけ完璧な経歴抹消ができるんだ、必ずバックボーンがある。そこと連絡するときを掴んで正体を確かめろ」
「大天災の妹と最強の弟は?」
「大天災と連絡を取った形跡なし、弟は最強が教官なんだ、無駄だろう」
「監視だけにとどめておこう」
「ああ、それでいい」
モノリスが淡く発光する。
「今年は忙しくなるはずだ。大天災の妹、最強の弟、そして特異点。三つもの異常の坩堝が一堂に会している。誰だって注目せざるを得ない事態だ。われわれはなんとしてでもこれを操り、すべてを進める」
「世界はすべて、われらの手に」
すべてのモノリスが、消える。
ふ、ふふ、ふふふはははははははは
そう、そうそう、そうやって過去の栄光に縋っているといい
世界はもう、お前らの手にはない
すべてはもう、終わっている
盾も剣もないから隠れていたけど、それももう終わり
震えて斬首台で待つといい
新たな世界は、もうすぐそこにある
世界を蝕む害虫の居場所は、そこにはない
ああ、大空よ、私たちを抱き、今なお謎めいたものよ
私はいずれ、そこにたどり着く