アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity- 作:銀塩
「頑張れってそういうことかよぉ!!!」
必死に白式を揺さぶりながら、まるで雹のごとく降り注ぐレーザーやら銃弾やらを避け続ける一夏。そして、
「「逃げるな!」」
などと鬼畜なことをのたまう青と黒。そう、セシリアの駆るブルーティアーズと鳳鈴音の操る専用機、甲龍である。ブルーティアーズは得意のレーザー砲を、甲龍はその手に持ったブルパップガンを各々連射している。
「無理だろ! 避けなきゃ死んじまう!」
「ならば止めてみせる!」
そう言い返す一夏の懐へ飛び込むのは、銀灰色の機体、打鉄を纏った箒だ。得意の剣術で一気呵成に一夏へと連撃を叩き込む。
「ま、待ってくれって!」
「待たん! もう我慢ならん!」
振り回されるブレードに明らかな殺気が含まれているのは一夏の気のせいではあるまい。
「……ふふふ」
「あなたも懲りない人ですね……」
それを傍から見て楽しむアルと、それをあきれた様子で見るリリウム、ウィン、メイ。
「……あいつは見てて飽きないが、こうやってハッパかけるとより面白い」
「お前の趣味はよく分からん……」
ウィンはやれやれと頭を振る。
『うらむぞアルぅぅぅぅ!』
オープンチャンネルで聞こえた声に、アルは知らぬふりをした。
――――――――
「なに? クラス対抗戦?」
ウィンの耳に入った、クラス対抗戦なるものの情報。
「そうですよ、クラスの代表がそれぞれ戦って、その学年のトップを決めようっていう試合ですね」
「ほう……それは面白そうだな。観戦は可能なのか?」
「もちろん! その学年の最強を決める試合ですからね!」
ふふん、と胸を張る情報通の女子生徒。
「良いことを聞いた。では楽しみにするとしよう」
その生徒に笑みを返すと、いえいえー、とその生徒も席を離れた。
「と、いうわけらしいぞ」
「クラス対抗戦ですか……。どうしましょうか」
「他の専用機ならびに量産機の使い手を見るいい機会ではありますが」
「まぁ、例の青い淑女のおかげでおおよそは推測できたが、サンプルは大いに越したことはないからな」
「……録画できればいいんだが、まぁ、そこは期待しないでおこう」
アルたち4人も、どうするか相談し合う。とはいえ、ある程度決まった話ではあるのだが。
「となると、1組はあの織斑という少年だったな」
「……ああ、あれだけいろいろやったんだ、少しは腕が上がっているだろう」
「なるほど、それを確認するのにも最適、ですか」
「では、それを楽しみにしていましょう」
そうそうに話は決まり、普段通りに授業前の時間を過ごすことにした。
――――――――
「一夏っ!」
放課後、織斑一夏はいつも通り部屋へ戻る階段の前で、大声で呼びかけられた。
「あれ、鈴じゃないか。どうした?」
普段通りに応える一夏。しかし、なにやら鈴はなにか思いつめたような顔をしている。
「その、さ、昔、約束したこと覚えてる?」
「昔の約束?」
「ほら、アタシがあっちに行く前にした約束」
「……ああ、あれか、確か、えーっと、毎日酢豚を……」
鈴の顔が輝き、
「おごってくれるってやつ」
一気に憤怒の形相になった。
「……この」
「あれ、鈴? どうした?」
ぷるぷると震える鈴に気づく一夏。
「唐変木っ!」
「ぐあっ!」
そして全力で一夏の頬をひっぱたく鈴。
「な、なんだ一体!」
「うるさい! アンタなんか犬に噛まれて死ねっ!」
鈴は足早に帰って行ったのだった。
――――――――
「あんな大事な約束を忘れるなんて、絶対許さない……」
憤懣やるかたない鈴。その足音は怒気を十分に含んでいた。
「絶対、絶対に許さないんだから……」
そして、大きく息を吸う。
「絶対に思い出させてやるんだから、覚悟してなさい!」
鈴の意志は、固まったのだった。
一方、織斑一夏。彼は彼で、
「馬に蹴られて死ね」
「はうっ?!」
篠ノ之箒にトドメを刺されていた。
こうして、奇しくもそれぞれの理由で、戦うことになるのだった。