アーマード・コア for Answer -mutiny by infinity-   作:銀塩

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委員会

 その日、国際IS委員会の緊急招集が行われた。議題は先日発生したフランス山間部の大規模崩落である。ただの大規模災害ならそもそもISを管轄する国際IS委員会など招集されない。が、その大規模災害に際するフランスからの報告が問題となっていた。曰く、

 

「居合わせた我が国の候補生がそこから飛び去る四機のISを思しき高速飛行体を観測しています」

 

 とのこと。また、

 

「その候補生がそれらと接触し、彼らがカラードと呼ばれる傭兵であること、何者かに雇われているらしい、ということが分かっています」

 

 その報告に議会は大きくざわめいた。まず、ISコアは計467個、すべてが各国で厳重に管理されていること。次に、国際的な協定として定められたアラスカ条約によって、軍事利用は禁止されている。すなわち、他国への攻撃にこれを用いることができないのだ。それだけでなく、同条約によってISコアの取引は禁止されているため、配分されたコア以上にコアを保有することはあり得ない。以上のことを加味し、またすべての国がその事態を知らないということは、第三者がISコアの製造に成功したことを意味する。

 そう、今回の問題の本質。それは『第三者が』ISコアの製造に成功した、ということだ。これは致命的なまでに軍事バランスを崩壊させる。ISコアを世に広めた篠ノ之束博士がどこかに行方をくらましている以上、その人物はすべての国が喉から手が出るほど欲する人材である。他国よりも多くのISが所有できる機会なのだ、当然とも言えよう。

 

「我々、国際IS委員会は、アラスカ条約に反するすべての行いを断固として許さない。フランス代表、今の報告の裏付けはどの程度進んでいるかね」

 

 議長の発言に、フランスの代表は手元の資料に目を落とす。

 

「まず、大規模災害が発生したのは確実であり、その際に爆発音のようなものを多数の近隣都市のの住民が聞いています。また、その際に災害現場から北西方向に飛び立つ影が四つほどあったと目撃情報も複数あります。なお、災害現場の解析から地下で爆発があった痕跡が確認されていますが、その近辺に爆発物関連の工場などは公式には存在しませんでした。また、接触した候補生からの情報によれば、機体のカラーは緑、真鍮、白、そして黒の四色だそうです」

 

 沈黙が議場を支配する。

 

「……以後、この会議に関する情報を接触的に収集し、カラードなる傭兵と彼女らにISを提供した者の捜索を行うこととする」

 

 その議長の提案を拒否するものはなく、その日の会議は表向き終了した。

 

――――――――

 

 「まったく、新しいISコアの開発だと? いったいどこの誰がそんな迷惑なことを……」

 

 議会が終わって各代表が自国に帰るその一つに、日本代表、正確にはIS学園の実質的な会長の轡木十蔵がいた。ISコアの配分を巡った大騒動が再び繰り広げられるのかと思うと、非常に憂鬱な気分になる。そう漏らしつつ、議会で配られた資料に再度目を通していた。

 

「カラード、傭兵、大規模災害を引き起こすほどの爆発。わからないことだらけだが、少なくとも純軍事用ISと考えるべき性能だな」

 

 本当に頭が痛くなる案件であった。一応、軍事利用しないことを決められていて、そのカモフラージュとしてISの競技用にレールガンだのアサルトライフルだのを開発されているものの、あくまでそれは競技用で、威力はさほど高くはない(とはいえ、生身の人間はもちろん、既存兵器を撃墜できるだけの威力はある)。しかし、純軍事用となれば別だ。競技用という枷を外すれば世界最強の威力そのままに開発された兵器を、それこそ核兵器でさえ運用ができる。

 

(とにかく、これから忙しくなる。IS学園に入る生徒も先ほどの会議を念頭に置いた活動をするだろうし、学園を襲撃される可能性もある)

 

 これからのことを思うと気が重い轡木十蔵だった。




2017/03/07 句読点を変更
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