さいきょーの主夫   作:樽薫る

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気付けば二年経っていてこわい
色々落ち着いたんでちゃんとやれそうです


第4話『ロリコンと超人と魔法使いと』

 一通りのばか騒ぎのようなものが終わって、チルノとリョウと文、そして大妖精は森の中を歩いていた。

 ルーミア、ミスティア、リグルとも別れて少し、もうすぐ家というところで、ふと大妖精がリョウの方を見る。

 

「ん、どうした大ちゃん」

「リョウさんって敬語だったり普通にタメ口だったりしますけど、それで結構印象変わりますよね」

「そうか?」

 

 そんな話をしていると、チルノが浮遊して後ろ向きに飛びながらリョウを指差す。

 

「それはあたいも思ってたけど、リョウってちょっとおかしな口調よね。バラバラな感じでさ」

「……敬語なら文も使ってますし、というよりチルノさんは家主ですし尊敬もしてますし」

「でもたまにタメ口が混ざるじゃない?」

 

 チルノの言葉にリョウはすこしばかり項垂れる。

 言いたいこともわかるし伝わってはいるのだが現状ではなんとも言えない。リョウとて理解していることでもあるのだ。

 歩きながらもチルノの方へと視線を向ける。

 

「チルノさんは、どういう口調が良い?」

「別になんでも良いけど……半年前に初めて会った時からずっとそうだったし」

「なら今まで通りこれで」

 

 そう言って笑みを浮かべるリョウに、チルノも子供っぽい笑顔で答えるとそのチルノの隣にいた大妖精も微笑ましそうに笑顔を浮かべる。

 なんな中、リョウの隣にいた文が悪そうな笑みを浮かべて言う。

 

「キャラ作りの真っ最中なんですよきっと」

「お前は……余計なことを言うな」

「否定はしないんですねー」

 

 バツの悪そうな表情を浮かべてリョウがため息を吐くと、大妖精が苦笑を浮かべた。

 大妖精が初めて出会ったときのことを思い出せば確かに口調が変わっているのは明らかだ。

 

「キャラ作り? リョウがなんでまた?」

「色々あるんですよ。半年続けてても慣れませんけど」

「まぁチンピラみたいな口調でしたからねー」

 

 そんな文の言葉にチルノが『チンピラ……?』と興味を示した。

 

「おい余計なこと言うなマスコミ」

「余計なこと言うのがマスコミですからね!」

「そんなんだからマスゴミなんて言われんだろ!」

 

 そこでふと、文が止まった。

 目を細めてから、キョロキョロ辺りを見回すようにする。

 不思議そうな表情で……。

 

「お前しかおらんわ!」

「あやや、この清く正しい射命丸がマスゴミ? ハハハ、またまたご冗談を」

「くっ、殴りてぇこのクソ烏!」

 

 大妖精は内心『そんなんだからチンピラと言われるんじゃ』とも思ったが言わぬが花だろうと黙っておくこととした。

 しかしそんな二人を見慣れた大妖精もチルノも笑いながら共に歩く。

 そうして歩いていると、ふと大妖精がなにかに気づく。

 

「あ、そう言えば明日は寺子屋お休みだけどチルノちゃんは予定ある?」

「んーない!」

 

 ニコッと太陽のような笑顔で笑うチルノ。

 そんなチルノに大妖精がなにか言う前に文がスマホの連写もビックリな速度でカメラのシャッターを引きながら言う。

 

「あややチルノさん、この射命丸とデートでも」

「おい哨戒天狗さん呼んでくるぞコラ」

 

 山の方で狼がくしゃみした。

 

「触んなきゃセーフ! セーフですから!」

「お前絶対触るだろ!」

「いやリョウ、そりゃ触らなきゃ据え膳に失礼ってもんで」

「殺すぞ!」

 

 額に血管を浮かび上がらせながら言うリョウに、頭に欠陥を抱えているのではないかという台詞を言った烏天狗の汚名丸もとい射命丸文は小首をかしげた。

 そして彼は額どころか手の甲にも血管を浮かび上がらせる。

 

「ま、まぁまぁリョウさん」

「止めないでくれ大ちゃん! こいつだけは許せない!」

「ねぇ大ちゃん、据え膳ってなに?」

 

 理性と良識のあった大妖精は『可愛く無防備なチルノちゃんのことだよ』とは返せなかった。

 無論、保身のためである。

 無難な答えを探そうとする大妖精だが、その長考がまた現状を変えていく。

 

 大体、射命丸文の仕業である。

 

「この射命丸文、チルノさんルート一直線!」

「いつも頭のネジ飛んでると思ってたけど今日さらに抜けたか!」

 

 さらにネジが抜けていたとしたら無論、今日の上白沢慧音の仕業だ。頭突き怖い。

 しかしながら一番の恐怖は文がシラフで言っているということだろう。モチのロンでリョウと大妖精は承知している。

 文は自らの胸(豊満)に手を当てて高らかに宣言。

 

「私はチルノさんルート、ならチルノさんは私ルート一直線です!!」

「大ちゃん! こいつは殺そう!」

「私もそう思います!」

 

 大ちゃんはいつも通りだった。

 そして臨戦態勢に入った三人を見て伝統の『弾幕ごっこ』かとチルノも戦闘態勢に入ろうかというその時……。

 

「おーおー今日もロリコン共が騒いでら」

 

 そんな台詞と共に降りてくる金髪白黒普通の魔法使い。

 乗っていた箒を降りてケラケラと笑いながら四人を見ている。

 その悪名高き魔法使いの名は……。

 

「魔理沙!」

 

 霧雨魔理沙。

 チルノが眩しいまでの笑顔を浮かべてその友人の登場を喜ぶが、件の射命丸文(ロリコン)とリョウは違った。

 文が最高レベルの妖怪である烏天狗持ち前の身体能力で魔理沙の後方に回り込んだ。

 

「な、なんだ!?」

 

 焦るような声を出す魔理沙。

 だが文には魔理沙をどうにかしてやろうという明確な理由がある。そしてそれは彼も然り。

 ザッ、と文とは対になるように立つリョウ。

 二人が腕を振り上げる。

 

「マグネットパワープラス!」

「マグネットパワーマイナス!」

 

 そんなものは無いが叫ぶ文とリョウ。なにかが彼女たちのテンションを狂わせていた。

 しかしチルノは目を輝かせながらその光景を見ている。

 大妖精が驚愕の表情を浮かべる。

 

「まさかあれは!」

「なにこれ!?」

 

 焦る魔理沙をよそに二人が走り出す。

 そして二人が魔理沙を挟み込むようにラリアットをかける。つまりは……そういうことだ。

 

「クロスボンバー!!」

 

 文とリョウの合体技(ツープラトン)により、魔理沙は声にならぬ声を出して倒れた。

 二人は顔を会わせて頷くと無言でハイタッチ。

 謎の息の良さを見せつけた……ただし身内に。

 

「ま、魔理沙さぁん!?」

「文とリョウったらさいきょーね!」

 

 やりきった表情の二人。今日のもろもろの恨みを晴らした。

 さすがに(チルノ関係のことを除きさえすれば)まともで良識ある大妖精は魔理沙を心配するも、次の瞬間には魔理沙がガバッと起き上がる。

 

「死ぬかと思った!」

「あやや、チルノさんの前でそんなことしませんよ」

「いて良かったチルノ!」

 

 おそらく冗談ではあるはずだ。

 

「てかなんで文とリョウに技かけられたんだ!?」

「おや魔理沙、覚えがないと?」

「うん!」

 

 勢いよく首を縦に振る魔理沙に笑顔を浮かべる文。

 

「次は間接技(サブミッション)がお望みらしいですよリョウ」

「しかたないなぁ魔理沙」

「まてまてまて! なんでなんで!?」

 

 すでに半泣きになっている魔理沙を相手に容赦しない1000歳越えの大妖怪と20過ぎの男。

 端から見たら明らかにヤバめな図。

 ことの発端と経緯をしっている大妖精がそっと魔理沙に近寄って耳打ちをする。

 黙って待っている文とリョウ。

 

「……ということです」

「……あーなんていうか、そのだな」

 

 ニコニコ笑う文とリョウ。

 逆に怖いそんな二人を見て魔理沙は顔を反らす。

 

「貸し1つですね」

「あんな技かけといてまだ足りないのか!?」

「まぁまた異変とかあったら協力してもらうだけですよ」

 

 文の言葉にろくでもないお願いをされるパターンしか浮かばない。

 正直ここで適当に口約束だけしてしまえば良いのだが……。

 

「ちなみにここで負けを認めないと慧音先生の頭突きがセットで飛んできかねないよ」

「……くっそぉ、わかったよこのチルコンどもめ!!」

 

 さすがに慧音の頭突きはこわい魔理沙は仕方ないと頷く。

 そんな言葉に文とリョウが揃って不敵な笑みを浮かべる。

 

「チルコンですか、私たちには誉め言葉です!」

「……いや俺を一緒にすんなよ」

「え?」

「え?」

 

 そんなやりとりをする二人を前にガクッと肩を落とす魔理沙は、今度チルノに余計なことを吹き込むときは色々警戒しようと誓う。

 そして大妖精はそんな二人と一緒にされたくないなと思いながら、自分に抱きついてリョウと文が勝ったと喜ぶチルノの感触を楽しむのだった。

 

 

 




あとがき

よし、これからはちゃんと更新してくのでよろしくです

1話3000字ぐらいでちょこちょこやってきたいとこ
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