間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。
一人は黒いパーカーを着た白髪の男。
もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。
白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。
「ぐっ……がっ……」
呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。
体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。
しかし雁夜は詠唱をやめなかった。
雁夜には果たさねばならない誓いが有った。
叶わなければならぬ願いが思いが有った。
守らねば成らぬ少女が居た。
それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。
唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。
召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。
光が収まり、描かれた陣の中心には自身が召喚したサーヴァントが居た。
「ふん……まさか、この様な地に呼ばれるとはな……」
「………バーサーカー……なのか?」
光の中から現れたのは葉巻を咥えた黒いスーツ姿の男だった。雁夜の問いにバーサーカーはそれに反応するように葉巻を吸う。
「バーサーカー……か。確かにワシは奴との決着を付ける為に戦いに身を投じすぎた……バーサーカーと言われても仕方ない事よな」
フゥーと紫煙を吐いていくバーサーカー。その姿は理知的でバーサーカーとはかけ離れた存在に思えた。
「かかか……マトモにサーヴァントを召還出来ぬクズめ。その外れバーサーカーと共に勝てぬ聖杯戦争に励むが良いわ」
「気に食わんな……」
臓硯がしわくちゃの顔を歪ませながら雁夜を笑うが、バーサーカーはその臓硯を見て、顔を顰める。
「貴様の物言い……気に入らんな。その態度もだ」
「ふん、会ったばかりの貴様がワシの何を理解する?」
バーサーカーの態度に臓硯はバーサーカーに興味を覚えたのか、愉快そうに訪ねた。
「貴様の纏う雰囲気……孔明同様に物事に余計な口を挟む傍観者気取りの気に入らない存在よ」
「ならば、どうする傀儡よ?貴様がワシを殺せると……」
目の前の爺が気に食わないと話すバーサーカーに臓硯は鼻で笑っていたが、最後まで言葉を発する事が出来なかった。何故ならばバーサーカーが手を翳した瞬間、掌から赤い風の様な物が発生し、臓硯の体を粉々に打ち砕いたからだ。
「ふん……十傑集を舐めるな」
「す、凄いな……バーサーカー」
事なきもなく臓硯をアッサリと始末したバーサーカーに雁夜は唖然としていた。
「この程度、造作もない。さて……聖杯とやらがあれば何でも願いが叶うのだろう?今度こそ、奴と……戴宗と決着を付けてくれるわ」
「そう言えば……真名を聞いてなかったな。なんて英霊なんだ?」
葉巻を再び咥えるバーサーカーに雁夜は真名を問う。それに対してバーサーカーはニッと笑みを浮かべた。
「ワシの名はアルベルト……衝撃のアルベルトだ」
その不遜な態度の笑みに雁夜はゾクリと恐怖と安心を味わう事となる。
この後の戦いにて、とあるテロリストは特別な銃弾を素手で受け止められた挙げ句、弾を打ち返される。とある時計塔の講師は自慢の魔術を衝撃波で消し飛ばされる。とある殺人鬼は子供を拐う前に見つかって捕まり、とある愉悦神父は身体能力の差を見せつけられてプライドがズタボロになるなど、多方面に影響を及ぼすのだが現段階で彼等にそれを知る術はない。
『衝撃のアルベルト』
「ジャイアントロボ THE ANIMATION~地球が静止する日~」のキャラ。
犯罪組織「ビッグファイア団」(BF団)のエージェントにして、大幹部「十傑集」の一人。
右目にモノクルを装備し、スーツ姿に葉巻を咥え、髭を生やしたダンディな中年。
その名の通り「衝撃波」を繰り出す事が得意で身体能力も高く、走れば車にあっという間に追いつき、攻撃すれば一撃で複数の人間を吹き飛ばす、衝撃波を利用して空を飛ぶ等、かなり人間をやめている人。
単身で敵基地に乗り込み、楽々と壊滅させる程の戦闘力を誇る。
中の人のネタでGガンダムの東方不敗と共通点が非常に多い。
『スーパーロボット大戦α』では第三の使徒サキエルと生身で戦うと言う行為をやってのけ、プレイヤーに『衝撃』を与えた。因みにそれ以前のシナリオでMSを生身で倒している。
『スーパーロボット大戦64』では東方不敗と夢の共演を果たす。