雁夜おじさんが○○を召喚しました   作:残月

32 / 33
俺の名前を言ってみろ!

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

 

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

 

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

 

召喚に上手くいっていたのか、隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「おい……俺の名前を言ってみろ」

「………は?」

 

 

そこに現れたのは装飾されたヘルメットを被り、裸に肩にトゲ付き革ジャンを着た人物だった。しかも胸には七つの傷があった。

 

 

「テメェ、俺の傷を見ても誰だか分からないのか!?」

「いや、わからん……」

「………ぬぅ」

 

 

サーヴァントにとって真名を悟られる事は死活問題だが、このサーヴァントは様々な特徴があるにも拘らず、真名が全く分からないのだ。数多の知識を持つ臓硯ですら頭を悩ませる以上、本当にわからないのだ。

 

 

「え……わからないの?マジで?」

「あ、ああ……わからん」

 

 

先程の高いテンションから急にテンションが下がったバーサーカーはゴロンと寝転んだ。

 

 

「やっぱそうなんだよなぁ……どんだけ目立とうとしてもケンシロウみたいに活躍出来ないし、兄者達みたいに強かないからさぁ……今更鍛えても上には上がいるし……」

「……よくわからんが……その、頑張れよ」

 

 

ヘルメットの奥からサーヴァントの涙がキラリと光った。雁夜はどう対処したものかと悩んだが励ます事を選んだ。

 

 

「で、何?聖杯戦争?いいよ、やってやる……聖杯とやらで今度こそ俺は北斗神拳伝承者になってやろうじゃないか!」

「おお、頼もしいぞバーサーカー!」

 

 

召喚された際に聖杯戦争に関する知識を得ていたジャギは気持ちを切り替えて聖杯戦争に挑む事を宣言した。やる気に満ち溢れたバーサーカーの態度に雁夜も先程までのテンションの低さに抱いた不安な気持ちが払拭されていた。

 

 

「俺の名はジャギ……北斗神拳伝承者候補の一人よ」

「頼むぞ、ジャギ!」

「ククッ……コヤツらしいサーヴァントと見た」

 

 

頼もしげなジャギに雁夜は安心していたものの臓硯はジャギが北斗神拳伝承者候補止まりだった事を見抜いており、ある意味で雁夜らしいサーヴァントだと思い始めていた。

 

 

◆◇◆◇

 

 

日が沈みきった倉庫街にて二人の騎士がお互いの技と力をぶつけ合っていた

 

一人は長短異なる二本の槍を操るランサー。

対するは小柄で可憐な少女でありながらも最優のセイバー。

どちらも互いに英雄を関する名を持つサーヴァント。

戦いは一進一退の互角。

 

 

「流石だな、セイバー。最優のサーヴァントの名に違わぬ見事な力だ」

「貴殿の槍捌きこそ称賛に値する。貴方のような騎士との勝負に名乗りすら許されないことが悔やまれる」

「それは光栄だなセイバー」

 

 

互いの技を讃え合うセイバーとランサー。

しかし、その戦いに更なる乱入者が現れた。自分のマスターを引き連れて(無理矢理)現れたライダーである。

そしてライダーは驚くべき提案をする。

なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘に二人の英霊は怒りと共にそれを断る。その時だった。激しい爆音と共にバイクが倉庫街に侵入してきたのだ。

 

 

「な、なんだコイツ……」

「ほぅ、面白そうな奴よな」

「近代風なサーヴァントなのね」

「貴様……何者だ!?」

「テメェ……」

「ん、俺か?」

 

 

突如現れたジャギにウェイバー、ライダー、アイリスフィール、セイバーが驚きながらも警戒し、ジャギは一同を見渡した後でランサーに目を付けた。睨まれたランサーは警戒をしながらもジャギが何を言おうとしているのか身構えた。

 

 

「テメェの耳が弟に似てやがる……気に入らねぇ!」

「なっ……くっ!」

「何の躊躇いもなく撃った!?」

 

 

ジャギは腰のホルダーに収められていたショットガンを引き抜いて構えると躊躇いもなくランサーを撃った。ランサーはジャギの動きの流れから攻撃が来ると察して何とか避けた。

 

 

「貴様、騎士道は……なさそうだな!?」

「何が騎士道だ!戦いってのは勝ちゃいいんだよ!負けちまったら何にもならねぇ!」

「正々堂々と戦う事も出来ない卑怯者め!」

 

 

セイバーがジャギを咎めようとしたがジャギの今の行動からそれは無いと断定し、ジャギも言葉を重ねてランサーの反感を買っていた。

 

 

「正々堂々ね……正々堂々と真面目にやっていても……俺は何も得られなかった……だったら何をしてでも泥を啜っても力で勝ち取るしか……ねぇじゃないか……」

「貴殿は……いや、何も言うまい。我が槍がお相手しよう」

 

 

ジャギはショットガンを握り締めながら何かに思いを馳せる様に空を仰いだ。雲もない星空はジャギが目指した七星が見えたのかも知れない。

 

 

「貴殿の無念が何なのかは私にはわからん……だが我が主の為に倒させて貰うぞ!」

「ならば貴様に北斗神拳の真髄を見せてくれるわ…… 北斗羅漢撃!」

 

 

ランサーが二つの槍を構えた事でジャギは自身の最大奥義を放つ構えになった。そんな二人の戦いを見守るセイバー達の他にアーチャーは天翔ける王の御座に乗りながら見下ろしていた。見るものが見ればサウザーの様だと語った事だろう。

 




『ジャギ』
『北斗の拳』に登場する北斗四兄弟の三男。
北斗神拳伝承者候補の一人で『勝つ為には手段は選ばない』スタイルであり、拳法家でありながら含み針やショットガン等を平然と使用する。移動手段としてバイクを使用している。

『兄より優れた弟など存在しない』とジャギが作中で放った台詞の通りジャギは弟が兄より優れている等あり得ないと言う理念をもっており、自身より未熟な弟であるケンシロウが北斗神拳継承者になった事に激怒し、ケンシロウに対して発せられた。しかし、この後ジャギは自身の発言が間違っていた事を、その身を持って味わう事となる。

世紀末になった後は北斗神拳伝承者となったケンシロウを貶める為にケンシロウの名を語り悪事を重ね、南斗聖拳のシンを唆しユリアを攫わせる。更に南斗聖拳のレイの両親を殺害し妹を誘拐する等、策略家としての面も持ち合わせていた(実際にジャギの企み通りケンシロウはジャギを探し回る事になる)
この企みの最中、悪事の度に胸の傷と共に「俺の名を言ってみろ」「俺は北斗神拳伝承者ケンシロウ様だ!」と度々主張してケンシロウの名を貶めた。
重ねた悪事の数に流石のケンシロウも堪忍袋が切れたのかジャギを探し当て、慈悲もなくジャギを葬った。

余りにも突き抜けた悪役っぷりから北斗の拳を代表する悪役として取り上げられると共に人気キャラとなっている。北斗四兄弟の中では一番世紀末向きの人物とされている。
ケンシロウはジャギに対して「不意打ちや闇討ちが得意な貴様が……」と言っていたが北斗神拳は暗殺拳なので不意打ちや闇討ちは寧ろ好都合であり、しかも伝承者に選ばれたばかりのケンシロウの背後を取るなど拳法家としてはジャギは未熟だったのかもしれないが暗殺者としてのジャギは優秀だったのかもしれない事が示唆されている。ジャギとの戦いに赴くケンシロウはレイに「今度は生きて帰れるかもわからない」と言う辺り、警戒はしていた模様。
北斗神拳の他にも南斗聖拳を見様見真似で会得しており、格下に見られがちだが拳法家としての才能はある(と言うかラオウ、トキ、ケンシロウの才能が高すぎるだけである)

意外にも部下に慕われており、正体が露見して部下に見捨てられたアミバと違い、親しみのある接し方をしたり食事の用意をしたりと良い上下関係だった模様。


『北斗の拳イチゴ味』ではケンシロウへの逆恨みが無意味で虚しいものである事を自覚しており、
『このまま悪事を続けるか悩む』
『変わる事が出来ない自分に涙を流す』
『北斗神拳VS南斗聖拳の全軍デスマッチの際にはダイナマイトで自爆しようとするシバに「世紀末なら通じたかもはしれないけど多分、それ今はやっちゃダメな奴だからな!」と嗜める』
『シンのケンシロウに対する危険な想いを察して周囲には黙る』等、原作とは違って真人間として描かれている。また意外にもツッコミ役に回る事が多い。またリュウガから「千の兵を連れるより力になる」と評される。

『極悪ノ華』ではジャギの半生が描かれており、実はリュウケンの養子である事が判明した。リュウケンと本当の親子の様に生活していたがラオウ、トキ、ケンシロウが北斗神拳の伝承者として寺に招かれた事から彼の運命が変わり始める。アンナという恋人もいた。
少年漫画の主人公のようなジャギが、挫折と決定的な絶望により、極悪に反転するストーリーであり、この作品を読むとジャギがあそこまで悪人になるのも無理はないとすら思えてしまう。




『北斗羅漢撃』
ジャギが作中で使用した北斗神拳奥義の一つ。
両手を前に突き出す構え、螺旋を描く様な腕の動きから無数の高速の突きを繰り出す技。
『極悪ノ華』では師父・リュウケン自らがジャギに伝授した技とされ「全ての雑念を取り払ったものにしか使えない」と語っていた。 リュウケンやラオウ、トキの口から北斗神拳の奥義の中でも高位の技だった事が語られている。
しかし、この技を使用したジャギはケンシロウへの憎しみ・恨み・妬み・嫉みの感情全てをコンプリートしていた為に技は不完全なものだったと推測される。
当然ながら不完全なジャギの北斗羅漢撃はケンシロウには通用しなかった。

次回、召喚するサーヴァントは?

  • ヘアースタイルがサザエさんみてーだと?
  • 手伝ってやろうか?ただし真っ二つだぞ
  • これが寝酒のバーボンだ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。