雁夜おじさんが○○を召喚しました   作:残月

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婦警と精霊

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

しかし次の瞬間雁夜はポカーンと口を開いて自身が呼び出したサーヴァントを見る事になる。

召喚されたサーヴァントの姿はストッキングにスカート、上は作業着らしき服。胸元には、赤と黒のバッチを付けている。

髪は金髪でショートヘア、顔は年相応らしい顔つきをしてサーヴァントも呆気にとられた表情で雁夜を見ていた。

 

 

「え、えっと……何処ですか……此処?」

「しゃ、喋った!?」

 

 

呼び出したサーヴァントが口を聞いた事に驚く雁夜。雁夜が呼び出したサーヴァントはバーサーカーの筈。バーサーカーは『狂化』で通常のサーヴァントよりも高い力を得る。その代償としてバーサーカーは理性を失う筈なのだ。にも拘わらずバーサーカーが喋ったと言う事は召喚は失敗。若しくは『狂化』のスキルが付随されなかったのかもしれない。

対するサーヴァントも「え、私何か悪いことしました?」と不安気な表情で雁夜を見つめていた。

 

「あ~……コホン……キミは俺が召喚したサーヴァント……でいいのかな?」

「あ、はい。サーヴァント、バーサーカー召喚に応じました」

 

 

雁夜の問いに敬礼をしながら答えるバーサーカー。雁夜はその光景に貧弱なサーヴァント。しかも女性を呼び出したと溜め息を吐きたくなった。

 

 

「私の名はセラス。セラス・ヴィクトリア……吸血鬼です」

「ああ、俺は間桐雁夜。キミのマスターだ。そうか……吸血鬼か」

 

 

握手を交わしながらまずは互いの情報交換を始める雁夜とセラス。

 

 

「…………………って……え、吸血鬼?」

「はい。元は人間だったんですけど……噛まれちゃいました」

 

 

思考がクリアになった雁夜はセラスが吸血鬼だと言う事を再度、口にする。

対するセラスは吸血鬼の証明とばかりに笑顔になり牙を見せ、服のボタンを胸元まで外し首筋を見せた。其処には確かに吸血鬼に噛まれた後がクッキリと残っていた。

 

因みに胸元まで外したセラスの胸を見て雁夜は少し胸を見詰めてしまったのは仕方のない事だろうと雁夜は自問自答で自己完結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報交換をするには夜も遅くなり過ぎたので一先ず、雁夜とセラスは休む事にした。

そして雁夜が眠りについた時、奴は現れた。

 

 

『雁夜…起きなさい……雁夜…』

「……ん……んうぅ……………」

 

 

寝静まった頃に呼び掛けられて雁夜は寝ぼけたまま起き上がる。其処には怪しげなオッサンが居た。

ハァー、ハァーと息を荒立てながら手をパタパタと動かしながら空を飛んでいた。

 

 

「…………アンタ………誰?」

『私はアナタのサーヴァントの宝具「ハルコンネン」の精です』

 

 

子供の夢をぶち壊しかねない精霊の登場に雁夜は叫びを上げながら逃げ出した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

『ああッ逃げないで逃げないでっ!逃げないでって言うか引かないでっ!今日はガンバル雁夜に、このワタクシ応援をしにまいりました。さあこの精霊様になんでも言ってみんさい』

 

 

任せなさいと言わんばかりに自身の胸を叩く精霊。その際に口から心臓が飛び出たが何事の無かったかの様に話は進む。

 

 

「そ、それじゃ精霊さま……一つだけ聞きたいことがあります。俺の人生はもう不幸続きでヒドイ有様です……この先もずっと不幸にまみれる人生なのでしょうか……」

『……………………まーね』

 

 

雁夜の質問に精霊は鼻をほじりながら適当に答えた。

 

 

「うわああああん!」

『ま、待ちなさい雁夜!今のナシッ!ウソ!ノーカン!ノーカン!』

 

 

精霊のあまりに適当且つ希望も持てない言い様に雁夜は泣きながら走り去ろうとするが精霊はパニくりながらも雁夜を落ち着かせようとする。

 

 

『そんな事よりも雁夜。よくお聞き、寝ている場合じゃないのよ。今、君たちにはゴイスーなデンジャーが迫っているのだよ』

 

 

その場から逃げ出そうとしていた雁夜だが精霊の言葉に足を止めて振り返る。

 

 

「え、ゴイスーって?」

『すんごいって事』

「デンジャーって?」

『危険な事』

 

 

先程と違って雁夜の質問に答える精霊。しかもマジなのか目がグルグルと渦を巻き、雁夜に迫って行った。

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

そこで雁夜は目を覚ました。

体が重く感じるのは寝汗でびっしょりと濡れたシャツの性なのか今ほど見たとんちんかんな悪夢の性なのか。

そう言えばマスターとサーヴァントは魔力のパスで繋がれているからサーヴァントの過去を夢として見ると聞いた事があると雁夜は思い出した。

ならば今のはソファの上で眠り、鼻提灯を作り『すやすや、すぴー』と幸せそうに涎を垂らしているサーヴァントの過去と言う事になる。

 

幸せそうに眠るセラスに雁夜は「本当にこんな可愛い娘で聖杯戦争に勝てるのかよ」と一抹の不安に駆られながら夜を過ごす事になった。

 

しかし雁夜は知らなかった。

セラス・ヴィクトリアがバーサーカーの名に恥じぬ程の存在である事を。




今回は『ヘルシング』より『セラス・ヴィクトリア』と『ハルコンネンの精』でした。
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