SAO短編クロス 作:黒桜
初めまして、黒桜です。
今回は短編クロスを書くことにしました。
思い付きで書いていきますのでバシバシ投稿とはいかないです。
チャプンと水音をたてながら私は眼下に広がる景色を湯気の中から見る。SAO内に閉じ込められて十ヶ月……いや、あと数日経つと十一ヶ月になるけど。そんな今日 実は私の誕生日だったりするのだ、そして――
「湯加減は丁度いいか?アスナ」
「うん、丁度いいよ。ありがとうね、此処に連れてきてくれて♪」
「喜んでもらえたのなら何よりだ」
彼と初めて出会ったのはこの世界に閉じ込められて直ぐの事、周りの混乱具合、突き付けられた現実に呆然となり、回りにいた誰かに突き飛ばされた私に手を差し出してくれたのが彼だった。 それから私達は二人で歩み続けてきた……時に窮地に陥ったり、人の悪意に晒されたりしながらも、それでもそれらをなんて事のないもののように歩む彼の姿を私はずっと隣で見てきたのだ。
そんな彼が私達の共通の友人であるリズと私の話を聞いてから、少しの間ソロで行きたいとこがあるから言って別行動をとられた時には心配したものだけど……そんな彼を見て悪い顔をするリズを見ていると彼が何をしに何処に行こうとしているのかわからない自分に苛立ちを覚えもした。
――結果は
「その……誕生日おめでとうな。で、これ……誕生日プレゼントだ。よかったら受け取ってくれ」
そう言って渡されたのは綺麗な細工が施されたイヤリングだった。あまりの事で……固まってしまった、でも次の瞬間には両手で包み込むように受け取り「ありがとうすごく嬉しい……」そう言葉を伝えたのだけれど彼は驚いた顔をしていた。理由は私にも直ぐにわかった、私は泣いていたのだ…………
そのあとは彼の胸でさんざん泣き続け、その間中ずっと抱き締めながら頭を撫で続けてくれた。今の私は本当に思う――
――この人に出会えてよかった、と。
そして今はと言えば……実は誕生日プレゼントはこれだけじゃなかった。何時も戦ってばかりだからと彼がmapの端の端にある秘境の温泉場を見付けて来てくれて、そこに回廊結晶で連れてきてくれたのだ。温泉のある階層は豪雪地帯、あまりの秘境故に誰も行こうとは思わないのも当たり前の場所にある。ちなみに情報源はNPCが教えてくれるけど場所を聞けば誰も行こうとはしない。雪山のほぼ頂上なうえに、厄介な敵ばかりいる場所なのだ。
(相手は浮遊タイプ、そんなのと戦わなければならないプレイヤーの足元には深い雪がある)
別に宝も何もないエリア。だから本当に誰もいかない。なのに彼は…………
温泉場に転移後は思わず抱きついてしまったけど、仕方がないことじゃない。だってイヤリングもそうだけどこんなに心のこもった誕生日プレゼントなんて初めてもらったんだから。 そして冒頭に戻るわけだけど…………
「いい加減岩の陰に隠れてないで出てきなさい」
「や、無理だから。ハラスメントコードに引っ掛かるから」
「……コードは解除しているわよ」
「や、でも……」
「出てきなさい♪」
「はい」
私の手のモーションをチラリと見て焦って出てくる。
(や、攻撃モーションのライトエフェクト出しながら言われたら従うしかないじゃないですかやだー)
「恥ずかしくないのかよ」
「八君だけだから♪」
「そうかよ」
SAOに閉じ込められて初めての誕生日。クリアまできっとまだまだ辛いことがたくさんあるだろうけど……私はこの人と共にこれからも歩んでいくことを秘かに胸の内で決めたのでした。
fin
お読みいただき、ありがとうございます。
また投稿したさいはお願いします。
では。