提督は存在するはずのない天龍型の三番艦!?   作:戦闘狂の道化師

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海駆ける龍 ブルネイへ

寝る前にプリンを食べてぐっすりと眠った翌日の昼、海龍は燦々と照りつける太陽の下、姉の天龍と龍田に川内と夕立最後に夕張を連れて演習先の鎮守府に向かって縦列陣で航海していた。目的地は海龍の海軍学校時代の友人が指揮を執る鎮守府があるブルネイ。依頼は海龍一人と油断しやすい艦娘四名による演習がしたいと言うものであったので海龍は天龍と龍田を連れ3人で行こうとしていたが天龍達に護衛をつけろと言われ近くにいた川内と夕立、ちょうど通りかかった夕張を加えた艦隊で航行することになった。

 

「お姉ちゃん達だけで良かったのに....」

 

「そんなこと言ったって~、もし敵に囲まれたりしたらどうするの?海龍ちゃんが死んじゃったら私達だけじゃなくて私達がいる鎮守府にいる皆が悲しむわよ?」

龍田がそう言うと後ろからそうだ、そうだと龍田に同意する声が聞こえてくる。海龍は自分の好かれ具合に驚きながらもお礼を言うとその後は皆と楽しく会話をしたりお菓子を食べたり深海棲艦と交戦したり、夜になると途中にあった島で夜営をしたりしながら航海して行くのであった。

 

 

 

 

 

 

海龍達がブルネイの鎮守府に着いたのは三日目の昼だった。数分前にそろそろ着くとブルネイ鎮守府に連絡した海龍がブルネイ鎮守府に到着すると銀髪の短いツインテールの艦娘が出迎えた。

 

「ようこそ、ブルネイ鎮守府へ。私は香取型の二番艦練習巡洋艦の鹿島です。よろしくお願いします」

 

「旗艦の天龍型 三番艦 海龍です。よろしくお願いします....。この鎮守府の提督にご挨拶したいので案内をお願いします」

海龍が、そう頼むと鹿島は笑みを浮かべると快く案内を執務室まで案内をしてくれた。

 

「提督、ラバウル鎮守府の皆さんをお連れしました」

 

「は~い。入って」

返事な聞こえたので失礼しますと声をかけながら海龍達が執務室に入ると、書類と格闘している若い一人の男性がいた。

 

「よく来たね。僕がブルネイ鎮守府の提督の物部 時宗だ」

時宗は海龍達に笑いかけながら自己紹介するがその間も手は書類にサインをしたり忙しなく動いている。

 

「どうも、この艦隊の旗艦の天龍型 三番艦 海龍です」

時宗は海龍の自己紹介を聞くと海龍達を一人一人見ていくとこう言った。

 

「新夜はいないのか?あいつの性格的にもついてくると思ったのだが....」

黒鉄 新夜。海龍のもうひとつの名前。海龍は今、この場所ですぐに自分がそうだと時宗に伝えてあげたいがその前に....後ろで自分のスカートの裾を握ってぷるぷると震えながら過去のフラッシュバックに苦しみ過呼吸に陥っている川内と夕立の二人を下げないと倒れてしまいそうだ。

 

「その事につきましては説明しますので先に川内と夕立の体調が悪そうなので客室か何かで休ませてあげて欲しいのですが....」

そう言うと時宗は鹿島に川内と夕立を客室に連れていくのを頼み夕張もそれに同行していった。夕立達は前の鎮守府で捨て駒に、されたせいで提督という存在を恐怖してしまっている。海龍はその事を知っているために速く部屋から出してあげないとなと思っていた。最初から夕立達は執務室に入らせないと言う選択肢もあったが自分を心配する表情の二人にはそんな事言えずここまで連れてきたのだった。夕立達は言われた瞬間海龍を大丈夫?と言う表情でまた見つめてきたが天龍達がいるから大丈夫と伝えると鹿島達は部屋を出た。

 

「では、提督が着いてきていない説明をしますがその前に準備がありますので少しお待ちください」

海龍はそう言うと執務室の隣の部屋に行くと鞄の中からかなり久々に着る軍服を、取りだし袖を通すと執務室に戻っていった。

 

「お待たせしました。龍田お姉ちゃんお願い?」

 

「今日は特別よ~?」

急に軍服を着てきた海龍に驚いている時宗をほっといて軍服に身を包んだ海龍は龍田から青い錠剤を受けとると飲み込む。変化はすぐに現れた。腰ほどまであった髪は短くなり胸は無くなり、身長は少し伸びた。

 

「ひさしぶりだな。時宗」

 

「えっ!?新夜?海龍ちゃんはどこいった!?」

海龍が居なくなり新夜になったことを手品かなにかと思って狼狽えている時宗に....

 

「海龍は俺だ」

新夜がそう言うと龍田が勝手に軍服のズボンからタブレットケースを取りだし新夜の口に赤い錠剤を放り込むとまた髪が伸び胸が膨らみ海龍に戻っていった。

 

「こう言う事です」

開いた口が塞がらない時宗に海龍はこうなった説明を始めた。自分は海軍学校を卒業したあの日、提督艦娘化実験の実験体となりその実験は成功した事、その実験は様々な疑念や人道的に問題視されすぐに凍結された事、龍田に艦娘から人間に戻る薬を取られていて人間に戻るのは重大な会議ぐらいのものだとか、この姿では絶対に海龍という唯一一人だけいる艦娘として接して欲しいなどと様々な事を言うと時宗は少し唖然としていたがすぐに友達の頼みならと受け入れてくれた。

 

「演習は明日の10時(ヒトマルマルマル)に始めよう。こちらの編成は重巡洋艦二隻軽空母一隻駆逐艦一隻だ。最初は駆逐艦四隻の予定だったから海龍だけにお願いしたんだけど戦力が余りにも変わりすぎているからそちらは三人に変更したいけど誰が出る?」

 

「わかりました。ですが..えっと....まず何故此方の数が少ないのでしょうか?」

 

「そうだな、元々は駆逐艦の子達が油断しやすいからそこら辺を諌める目的だったんだけど、よくよく考えたら入れ換えた三人は油断しやすいからね。そこら辺を変えさせておかないと彼女達が危険だからね」

 

「了解しました。それでは私と天龍お姉ちゃんと龍田お姉ちゃんでお願いします。それでは数日間お世話になります」

海龍は時宗に、敬礼して部屋を出ると天龍型の制服にとなりで着替え直し、ブルネイで割り当てられた部屋に再び戻ってきた鹿島に連れていって貰い、部屋の中で海龍は天龍と竜田にラバウルでは長々休めないだろうからとこれでもかと甘やかされて日頃の疲れを癒していった。

 

 

 

 


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