今回も、のんびりしていってね!
教室の中には、皆がプリントに文字を書く音がコンコンと響いている。そんな中私に出来るのは、この意味不明な問題用紙をつまらなそうに眺める事だけだった。そして、問題を読み終わった私は心の中で不満を爆発させる。
(こんなの分かる訳無いでしょ! 何よコレ!? 意味不明だわ!)
そして、鐘の音がテスト終了を告げた。
俺は縁側に座って、茜に染まる空を見上げていた。
後もう少しで宴会が始まる。魔理沙が言うには、今回は紅魔館メンバーと暇な奴が来るらしい。
まあ、誰が来ようと俺がやる事は一つだけ。絶対に霊夢を演じきる! じゃなきゃ俺は殺される!
俺がそう決心するのと同時に、魔理沙の声が聞こえた。
「おーい霊夢! 始めるぞー!」
ついに来た。
やってやる……この
俺は立ち上がり、皆の元へ向かった。
***
本当に幻想郷なんだなぁ……ここ。
俺はここにいるメンバーを見てそう確信する。心の中のどこかで、やっぱりこれは夢だと思っていたのかもしれない。でも、これは夢じゃ無いんだ。
目の前には、酒を飲んだり料理を食べたりしている、初対面だけど俺が良く知る者達がいた。
「あら霊夢、遅かったじゃない。もう皆食べてるわよ?」
俺が声の方を見ると、少女がいた。ナイトキャップを被り、ピンクのドレスに身を包み、背中からは悪魔羽が生えている。
“おぜう”と言えば分かるだろう。
そう、紅魔館のリーダー、レミリア・スカーレットだ。
コスプレ何かじゃないんだ、俺が見ているのはレミリア本人だ。
何と言うか……コスプレにしては似合い過ぎているんだ。ここまで来ると本人としか言えないね。
「そのようね。私も早速食べるとするわ」
だが、今一番重要なのは俺の存在を知られない事、のみ!
レミリア嬢との別れは名残惜しいが、俺は魔理沙の元へ行く。今回の宴会は一緒に食べようと誘われているのだ。
俺が魔理沙の所に行くともう一人、お馴染みのあの人がいた。金髪に青い瞳をした少女、アリス・マーガトロイドである。
「よお霊夢、座れ座れ」
魔理沙は自分の隣の座布団をぽんぽん叩きながら言う。俺は言われた通りに座る。
そして魔理沙、アリスとの談笑が始まった。
…………疲れた。
私の思考はさっきからずっとそればかりだ。
朝起きたら男になってて、ここは外の世界で、学校で訳が分からないテストをやらされて……。
外の世界に来るなら自分の体で来てのんびりしたかったものだ。
私は溜め息を吐く。
すると、誰かに名前を呼ばれた。後ろを振り返ると、一人の男がこちらに近付いて来るのが確認出来る。
「新太君、ちょっと良いかな?」
同じ制服……恐らく同じ学校の人だろう。背は
今私がいる場所は人通りが少なく、街灯も無い。……恐喝にはうってつけって訳か。
男は私に肩を組んできて、ヘラヘラとした面持ちで言う。
「最近ちょっと金欠でさぁ……新太君、金くれ――」
男が言い終わるより早く手が出る。私のグーパンが男の鼻に直撃し、男は鼻血を出して倒れた。
そんな男に追い討ちをかけるように、私は男の胸ぐらを掴んで言ってやる。
「金寄越せですって? ふざけんじゃ無いわよ! 人にあげる金なんてある訳無いでしょう!? 金欠だから? あんたねぇ、良く私の前で金欠とか言えたわねぇ? 寝言は寝てから言えっての!」
「ひっ――す、すみませんでした!」
男はさっさと逃げていった。
「私に金をねだるなんて、一万と二千年は早いわ」
私の声が、静かな路地に小さく消える。
今日一日で、私が一番スカッとした瞬間であった。
はい、お疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!