「すまない、遅くなってしまったな。」
和室の一室で待たされていたレオ達の元に親分が謝罪しながら障子を開けて入ってきた。親分の謝罪を必要ないと答えようとした幹比古は、口を開いた状態で固まる。ミツも顔を真っ赤にして違う意味合いで固まった。
「は、は、はだかですぅぅぅ~~~~!!!」
顔を真っ赤にして、両手で顔を覆い、視界を閉ざすミツが目にしたのは、上半身が裸で、見事な筋肉質の鍛え上げられたがっちりした体だった。少女から見れば、魅力的に見えても仕方がないくらい惚れ惚れするものだった。その証拠に、両手で覆いながらも指の隙間からちらりと覗き見ているのだから。
その一方で、幹比古が固まっていたのは、親分の顔を見て思わず驚いたからだった。何だって見覚えがある人物だったからだ。
「ん?俺の顔に何かついているのか?」
親分が幹比古に凝視されている事に気づいて、自分の顔を触ってみるが、異常は見当たらない。まぁ言うのであれば、身体全体に流れている汗だろう。
「な、何で貴方がここに…?」
驚きのあまりまだ意識が回復しきっていない幹比古は、親分にそう告げる。しかし問われた当の本人は、眉を吊り上げ、逆に問いだす。
「…俺と以前にも前で会ったことがあるのか?俺は記憶が良いと自負しておるが、そなたの顔は見覚えがない。誰かの御家族か?」
「い、いえ…、そう言う訳では……」
「ああ、平気ですよ。こいつも知り合いに親分とそっくりな人がいるもんなんで。驚いているだけで…すから!」
口籠った幹比古を庇って、レオがそう言う。そして幹比古に耳打ちして、本当の事を話す。
「幹比古が驚くのも分かる。俺も初めの頃は驚いてあの人と違うっていう事は分かっていても、なかなか認識できなかったぜ。」
「だからミツさんの事を話した時、すぐに理解してくれたんだね。」
「まさか美月までそっくりさんが出るとは思わなかったけどな。」
「ここは夢だから、知っている人が出てくる世界だと思う事にするよ。」
「にしても、幹比古…、覚悟しておいた方がいいぜ。」
「え?何を?」
「あの人とギャップがありすぎて怖ぇ~から。」
いつも明るい笑みをこぼすレオが苦笑するほど呟いた事に幹比古は目を見開くが、レオが嘘を言う理由がない事もあり、レオの忠告も聞きいれる事にした。
「そうなんです。実は僕の知り合いで親分さんに似た人がいまして、ついその人と勘違いしてしまいました。申し訳ありません。」
「何だ、そういう事か。いや、謝る必要は無い! 誰にでも勘違いはあるものだ。それよりもこの格好で来たのはまずかったな。女子もいたとは知らなかったとはいえ、こちらの落ち度だ。すまない。」
今度は親分が頭を下げて謝罪する。それを見て、口調や話の内容は知っている人と似ている。レオが言っていたギャップが見当たらないと、幹比古が心の中でそう思っていたその時だった。
「レオ! 女子が来ると言うならそう言っておいてくれ! おかげで大事な俺の見せ場が台無しではないか! 男を語るにはまずは身体からだと思っていたんだからな!」
そんな言葉がレオに向かって飛んだ。それを聞いた幹比古は、今度こそ顔を引き攣って、後ずさる。ミツは言葉を意味を捉え間違いして、ポッと顔を更に真っ赤にしてはいたが。
「……………え?」
気が抜けたような間があいた驚きを呟く幹比古の脳内は混乱しまくりだった。
(……有り得ない。
十文字先輩にそっくりな見た目なのに………!!)
…そう、心の中で叫ばずにはいられなかった幹比古だった。
十文字か!? 十文字ってそう言う趣味が…!
(作者自身なぜか意味を捉え間違いしている現状です!)