魔法科高校の愛溺事録   作:薔薇大書館の管理人

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何か波乱が~~!!


エピローグ~男だけの遊戯会~第八話 逃げるが勝ち

 

 

 

 

 「ハァ…、ハァ…、ハァ…、…ったく、いつまで追いかけてくるんだ!?あいつらは…!!」

 

 

 「な、何で僕たちがこんな目に遭っているんだろうね!?」

 

 

 「それはもちろん、あれだろ~~~!!」

 

 

 「………悪い、俺のせいかもしれない。」

 

 

 「「「その通り(だ/だよ/だぜ)!!」」」

 

 

 見事なシンクロをしたのは、将輝、幹比古、レオ。

 

 三人のツッコミ(かなり本格的に。そして若干の怒りが入っていた)を受けたのは、達也。

 

 今四人は、ゲームセンター内を走り回っていた。

 

 

 その状況で、三人の非難を浴びた達也は、痛くもない顔をする。それどころか、一緒に走っている将輝と幹比古は既に息が上がり始めてきているのに、更に涼しそうな顔で横を走っている。…レオは山岳部の部活動に含まれる「林間走十キロ」をしてきているため、達也と同じく息は上がっていない。ノリで達也に文句は言ったものの、内心はこの状況に面白がっている。ゲーム機の間を横切ったり、飛び越えながら走る達也とレオ。日頃からの鍛錬や訓練で慣れているため、動きはかなりいい。

 

 見学者はその動きの良さに感激していた。

 

 

 

 …しかし、一体なぜ達也たちはゲームセンター内を走り回っているのか?

 

 

 それは、少し時間を遡ってみれば、分かる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「また達也がハイスコア出したぜ…。」

 

 

 「ここまで来たら、神ってるなんてレベルじゃないよね…。」

 

 

 「その言葉、一昔前の言葉だぞ? …でもそう言いたいのも分かる。あいつは、一体四葉でどんな訓練を受けたんだ?」

 

 

 レオ、幹比古、将輝がまたまたハイスコアを出した達也の成績を見て、それぞれ感想を述べる。レオと幹比古は呆れ感満載だが、将輝は闘争心が折れかかっていた。どんな強者もここまで差を見せつけられれば、挫折するのだが、将輝は何とか持ちこたえていた。それは、「ここで敗北を認めれば、自分が達也より劣っていると認める事だ。そうなれば、司波さんへの恋心も諦めると言っているようなもの。俺は司波さんに…、俺の女神にまだアピールしきれていない…!これしきの事で挫けてはいけない!!この屈辱は次回の九校戦で必ず…!!」と早くも九校戦に目を向け、意義込んでいたからだ。深雪への恋煩い(横恋慕とも言える)が強いから…かもしれないが。

 

 休憩も終え、モグラ叩きした達也は、それはもう手が何本あるんだ!?というくらい、手の分身が見えるような素早い速さで、出てくるモグラを叩きまくる。終盤になると、徐々に早くなり、負けじとモグラが同時に出てきたりする。それでも達也の方が素早さでも一枚も二枚も上手で、ゲーム終了した時はパーフェクトを叩き出していた。

 

 これを見れば、三人の反応になっても不思議ではない。

 

 

 しかし、達也のゲームの腕前は実に洗練しており、一切無駄がない動きでクリアしていったため、ゲームセンターに遊びに来た同じ客からは歓声が上がる。

 達也はこの歓声に照れくさくなったのか、ハンマーを戻すと、すぐにレオたちの方へと帰ってきて、レオと幹比古の肩を掴んで、この場の離脱を図った。

 幹比古も人が集まってきた客に囲まれる状況は嫌だったので、達也の誘導に大人しく従う。

 

 

 「お、おい!? 達也! まだ俺はやりつくしていないぜ!」

 

 

 「落ち着け、レオ。昼食を食べに行くだけだ。レオがしたいゲームっていうのも分かるが、それなら余計体力は改善しておかないといけないと思うが?」

 

 

 達也が歩きながら見つめた先は、VRAG(バーチャル・リアリティ・アクション・ゲーム)。ゲーム世界を専用のマシンで演出し、体感させるアクションゲームだ。実際に動くため、ボクシングジムより練習になると、購入する上級家庭がいたりするほど人気のゲームだ。まさにレオにうってつけのものだ。しかし、ゲームに夢中になっていたため、気付けば昼を通り越して、間食でもするかという時間になっていた。だが、夕食の時間まではまだゆとりがある。今の内に昼食を取っておいた方がいいと判断した結果だった。

 

 

 「お…、そうか。俺としたことが、すっかり忘れていたぜ。」

 

 

 ぐぅ~~~…

 

 

 「「「……………」」」

 

 

 

 レオもこれには納得し、寧ろ達也に言われるまで自分達が昼食を食べていなかった事を忘れていたため、気付いた瞬間にお腹が鳴ってしまった。

 

 

 「は、ははははは。悪い…。思い出したら、鳴ってしまった…。」

 

 

 「わははははははは。西城は面白いな!! いいぜ、俺も何か食べたかったところだ。」

 

 

 「レオらしいというか、なんというか…。でも一条君の言うとおり、僕もお腹すいたし、ここらで一食しよう。」

 

 

 「なら、フードコートエリアに行くか。こっちだ。」

 

 

 四人の意識が統一したため、ゲームセンター内に設置されているフードコートに向かうため、達也が率先して誘導する。

 

 

 「お、おい?達也。 達也はここに来るのは初めてだろ? 場所知っているのかよ?」

 

 

 「問題はない。ここに入った時にこの建物の地図やゲーム配置は、案内掲示板ですべて覚えた。」

 

 

 「…相変わらずの記憶力だね。」

 

 

 「けど、あんなに回っているのに、俺達がどこにいるか分かっているのか?司波。」

 

 

 「各フロアごとにゲームの特色を決めているからな。今は……ここだな。ここから真っ直ぐに進んで、エスカレーターで二階上がって、右に曲ればいい。」

 

 

 歩きながら説明していた達也は、みんなを各フロアに設置されている案内掲示板まで連れてきて、指で現在地を示しながら、最短ルートを示す。

 

 

 「さすがだな~~!! これで達也がいれば、山で遭難してもすぐに下山できそうだぜ!」

 

 

 「レオ、いきなりスケールが大きくなったよ。でも、言いたい事は分かるよ。」

 

 

 「くっ…、司波にまた更に負けた気がするのはなぜだ…?」

 

 

 それぞれ抱える気持ちは違っているが、達也に尊敬と嫉妬を向けるのであった。達也は、首を傾げていたが。

 

 まぁ、とにかくフードコートで席を見つけ、全員なぜかレオの注文でステーキ定食を食べる事になった。レオ曰く、「同じ飯を一緒に食べれば、絆が深まるだろ!?」らしい。レオの明るい笑顔で言われ、達也も将輝も断るつもりもなく、受け入れた。元々みんな、年頃の少年であり、食べ盛りだ。ステーキ定食くらい余裕で食べられる。しかも空腹だ。レオの意見に口を挟むなんて真似はしなかった。ただし、一人だけ浮かない顔をしている。

 

 幹比古だ。 

 

 家が古式魔法の継承しゃだからか、幹比古も和食は好きだ。しかし、どちらかというと少食の方に入る食べっぷりだ。目の前に現れた肉厚がある手のひらサイズのステーキを見て、失敗したと思った。

 

 

 「幹比古は食べないのか? 美味しいぞ?」

 

 

 「確かに美味しいが、幹比古なりの食べ方ってものがあるんだ。そう急かさなくてもいいんじゃないか?」

 

 

 「急かしてはいねぇ~ぞ?でもよ、さっきからナイフが動いていないからさ。」

 

 

 「もしかして、具合が悪いのか?吉田。それならそうと言ってくれれば。別の物を用意してやる。」

 

 

 「は、良いよ! 僕、これが食べたかったんだ! ただ、このステーキ、今まで見てきたステーキより肉厚あって凄いな~って思っていただけだから。ありがたく食べるよ!」

 

 

 そう言って、幹比古はとうとうステーキにナイフを入れこみ、食べ始めた。ここで、引いたら申し訳ないという気持ちと男の意地?が幹比古を突き動かした。

 

 その結果、言うまでもなく幹比古は全て完食した後、しばらくは席から動く事も出来なかった。

 

 

 

 そしてこの今までの流れが凶と出たのか、達也たちにとってとんでもない物に巻き込まれる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 幹比古の食い覚まし?の間に達也とレオ、将輝はこれまでのゲームの話をし(主に達也にゲームの攻略方法を伝授してもらったり、改善点を教えてもらったりしていた)、本格的に全ゲームのクリアを狙いに行く気で話が盛り上がっていた。そんな達也たちの元に嫌悪感や闘争心が丸出しの人達が次々と近づいてきた。

 

 

 「……何か用か?」

 

 

 将輝が彼らの気合の入った態度と視線に堂々と振る舞う。戦闘魔法を重視した三高に通っているからか、闘争心溢れる人には臆する姿勢がまったくない。

 しかし、相手が友好的ではないのは態度を見れば一目瞭然。将輝は初対面だが、普段通りの口調で問いかけた。

 

 

 「…お前たちがスコアラーだよな?」

 

 

 「何のスコアラーだ?」

 

 

 相手の言いたい事は分かっていたが、何を望みなのか、相手にしっかり言わせるつもりで更に問いかける。

 達也は、彼らが先程から自分達を敵意丸出しで見てきていたのは知っていたが、なぜ敵愾心を込めた視線を向けてくるのか分からない。ここは、将輝に任せておこうと傍観者を決め込む。

 

 

 「…お前達がプレイした全てのゲームの事だ!! お前達、俺らと勝負しろ!!」

 

 

 達也たちに喧嘩を売りに来た人たちの代表なのか、少し猫背の中年男性が指を指してきて、勝負を挑んできた。その代表の言葉を後押しするように後ろから「勝負しろ!!」と連呼してくる。

 

 

 「何で俺達があんたらと勝負するんだ? 俺達はあんた達の事は知らない。それに今は話の取り込み中なんだ。勝負したいなら、他の人としてくれないか?」

 

 

 将輝の否を告げる言葉に勝負を挑んできた集団は、苛立つ。

 

 

 「俺達は、お前たちの所為でゲームランキングのトップから外されたんだ!! ここは、ゲーマーとして譲れない俺達の誇りだった!! それを、たった一日で全てハイスコアで陥れてくれたな!!?

  ここでお前達を叩き潰してやるっ!! さぁ!! 勝負しろっ!!」

 

 

 「そうだ、そうだ!!」

 

 

 「お前たちと決着付けるために、はるばる飛行機に乗ってやってきたんだ!!」

 

 

 「俺なんて、船だぞ!! 」

 

 

 「友人、家族、同僚に自慢できる唯一だったのに~~!! お前たちの所為で俺は~~!!」

 

 

 集団が一気に恨み言を言いまくってくる。

 達也たちは、彼らの執念に似た闘争心にどうすればいいか困った。

 

 

 「出始めに、俺達に屈辱を味わらせた”タツヤ”ってプレイヤー…。俺達と勝負だ!!」

 

 

 代表が大きな声で挑戦状をたたき込んできた。

 

 彼らの登場で、幹比古は何とか復活し、四人で顔を近づけて、話し合う。

 

 

 「どうするんだ? あいつらの闘争心は軽く逝っている。断るもんなら何をするか分からないぞ?」

 

 

 「だけどよ~、俺は早くVRAGがしたいんだ! あいつら全員相手してたら、俺達の楽しみがなくなっちまうぜ!?」

 

 

 「そうだな、軽く五十人はいるからな。まだまだ増えるだろうな…。」

 

 

 「五十人!!? そんなに!? 達也、よく数えられたね。」

 

 

 「勝負を挑んできた声を数えたまでだ。別に大したことはない。」

 

 

 「……それはそれで凄いんだけどな~。ふぅ~、達也には本当にびっくりさせられっぱなしだよ…。」

 

 

 「そうか?」

 

 

 「なら、司波があいつらに付き合ってやればいいんじゃないか? あいつらは司波を指名してきている訳だし。」

 

 

 「断る。彼らの喧嘩を買う必要性も意味もない。彼らの自己満足に付き合う気にはなれない。それに、相手にしていると帰る時間が遅くなる。深雪が待ってくれているからな。」

 

 

 「何を!! う…、羨ましい…。じゃない!! お前は彼らの熱意に応えようとは思わないのか!」

 

 

 「応えようとも思わないな。俺は、厄介事は避けておきたいんだ。」

 

 

 「お前……」

 

 

 「それに怪我をするだけにとどまらないだろうな…。」

 

 

 意味深に口ずさんだ達也の言葉を将輝は正確に理解した。もし、勝負を受けて四葉の事を知られれば、例え一般人でも排除する…。そう言っていると。

 それを理解した事で、将輝はもう何も言わなかった。

 達也が危惧しているのは、彼らではない。達也に勝負を挑む彼らの中に、四葉の情報を得るために潜入してきている者が接近してくる事に警戒していたのだ。

 将輝は考え過ぎだと思いたかったが、彼らを見る達也の鋭い視線を見て、達也の案ずることの方が一理あると思った。確かに四葉は秘密主義を取っているが故に、四葉の事は魔法師ではない者にまで興味を持たれている。気にするなという方が滑稽だ。

 

 そう考えると、達也に全員を相手しろとは言えなくなった。

 

 

 「よし…、ならやる事は決まったな!幹比古、動けるか?」

 

 

 達也と将輝のやり取りを見守っていたレオがそう話を締めくくる。

 

 

 「うん、もう動けるよ。いつでも大丈夫…。」

 

 

 「ほんじゃ、やるか…!!」

 

 

 レオの合図で四人は一気に走りだした。

 

 その素早い走りにゲーマー集団は呆気にとられて見ていたが、代表が一番に我に返り、仲間に追いかけるように叫んで、達也たちを追いかける。

 

 

 「待て~~~!! 俺達と勝負しろ~~!!」

 

 

 「誰か待つか~~!! こういう時は”逃げるが勝ち”だぜ!」

 

 

 「西城がそんな言葉を言うなんてな…。」

 

 

 「おい、一条。レオを甘く見ない方がいい。レオは知識はないが、知力はあるんだ。伊達に一高生徒をしている訳じゃない。」

 

 

 「…一応、褒め言葉として受け取っておくわ。」

 

 

 「褒めてるんだが…?」

 

 

 

 賑やかに話を弾ませながら、走り回り、ゲーマー集団から逃げる達也たちだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……以上が、達也たちがゲームセンター内を走り回っている顛末である。

 

 

 

 




ゲーマーは甘く見ない方がいいよ。
達也でも対応に困るほどの人達だからね。あ、殆ど将輝に任せていたか…。

いよいよ次回でエピローグは終わるよ~!! その次からは個別にストーリーを持っていく…。手筈になってます~~!!
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