最後の希望を目指す転生者 え、俺の事? 作:x-フィリップ-x
「なぁーシュウ君。最近皆変なんよ」
「変とは?」
「なんか急にどっか行ったと思ったら、凄い遅くに帰ってきたり……」
「ふむ……」
なるほど、もう蒐集を開始したのか。
ヴォルケンの面々が現れて、つまりはやての誕生日から4ヵ月程たった。現在10月半ば。
それからのはやてはとても笑顔が増えた。たぶん、今まではやてが欲しかった家族ができたことが俺の考えていた以上に嬉しかったのだろう。
それからも図書館に行く時は俺と一緒に行くが、病院や買い物などはシグナムやシャマル、たまにヴィータが付き添いをする事になっている。
それに最近ははやての家に遊びに行くことも増えた。4人で出来るゲームができるのがはやても嬉しいらしく、ヴィータとシャマルも楽しんでいるらしい。ただヴィータは俺が相手になるとかなりムキになってくる。後、シグナムとザフィーラはあまりやりたがらないらしいとはやてが言っていた。
今は図書館ではやてと2人でいて、冒頭の愚痴へと続くわけだ。
最近はやての調子が悪くことが増えていたのでもしかしてとは思っていたがやっぱりか……。ちなみになんだが俺自身、魔力の反応などを感知するのがとても下手で、結構意識を集中しないとわからないんです……。だからヴォルケンがどこかに行ってるのに全く気づけなかった。後、言い訳としては最近リンカーコアを使った魔法を1つ練習していて、それで反応を探すのが辛かった。
「どこに行ってるとか言わないのか?」
「一応どこかに行くとかは言ってから出かけるんやけど、皆毎日どこか行くから心配で……」
「なるほどね~」
この年で完全に母親だな……。息子の帰りが遅いと夫に言う主婦のようだ。……ってそれじゃ俺が夫みたいじゃないか! 自惚れすぎだろ俺!
「1度俺からもさりげなく聞いてみようか?」
「ホンマに? それじゃーお願いしようかな」
「了解。んじゃ、近いうちに聞くか」
「ありがとうなシュウ君」
「どういたしまして」
さてと、ここからは上手く立ち回らないといけない。結果としてハッピーエンドを目指すのだが、その後も人生はまだまだ続くのだ。本編ではあまり語られていなかったが、フェイトとはやては陰で犯罪者扱いされているはずだ。それを少しでも軽減したい。
そしてその日、さっそく行動に移ることにした。
図書館からはやてと一緒に出て、そしてそのままはやての家にお邪魔する。
「ただいま~」
「お邪魔します」
「お帰りはやてちゃん。それといらっしゃいシュウ君」
玄関にはシャマルが出迎えてくれる。そしてリビングに行くと他の3人がいて、ヴォルケンが全員そろっていた。これは運がいい。
「今から晩御飯作るな。シュウ君も食べて行ってや」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
「うん。皆待っててな」
そう言うとキッチンに入るはやて。いつもなら手伝おうと動くのだが今回はやることがある。ごめんよ、はやて……。
〈さて。4人は最近どこに出かけてるんだ? はやてが心配しているんだが〉
〈〈〈〈!?〉〉〉〉
はやてへの罪悪感を振り切り、ヴォルケンの4人に念話を飛ばす。
俺が念話を使ったことに驚き、こちらを見てくる4人。
〈シュウ……お前〉
〈なんだヴィータ? 俺が念話できるのそんなに不思議か?〉
〈あたりまえだろ! どういう事だよ!〉
すごい剣幕のヴィータだが、すぐ近くのキッチンにはやてがいるので動きはせず睨んでくる。だが俺はいつもと変わらないようにできるだけ心がける。
〈まぁー、俺の事は後だ。お前たちは何をやっているんだ?」
〈……それを言う訳にはいかない〉
4人の総意なのかシグナムがそう返答してくる。
〈そうか。でもそれで『はいそうですか』と引き下がるわけにはいかないんだ〉
〈ならどうするつもりだ?〉
どうするか……。本当は話し合いで穏便にすませたいんだけど、そうはいかないだろうな……。
〈今日はやてが寝た後に4人で近くの公園に来てくれ〉
〈……わかった〉
しばらく考えた後、了承するシグナム。
どんな理由であれシグナム含めヴォルケンリッターの4人は俺の事を少なからず信用してくれている。
「お待たせ~。ってどうしたん皆? なんか暗いなー」
念話を終え、しばらくするとはやてが食事の準備を終えこちらに声をかけてくれる。俺は立ち上がり、料理を運ぶのを手伝う。
「いや、何もない。お! 今日もうまそうだな! はやてはいいお嫁さんになれるよ」
「え!? そ、そんなシュウ君……。お嫁さんやなんて……」
手を頬に当てくねくねするはやて。あれ、俺なんか変なこと言った?
ともかくその後、できる限りいつも通りに食事をした。
はぁー。上手くできるかな……。